サキュバスになったけど、エロ系の魔法でどう戦えと   作:nyasu

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私の就職、無理っぽい

冒険者ギルド、と名ばかりのハローワークから飛び出した私は、仕事は明日から探そうと諦めた。

というかしばらくは近寄れない、髪の毛であんな騒がれてるからな。

 

「なぁ……1個食うか?」

「えっ、なんで急に……」

「1個やるから、そろそろどっか行ってくれないか。なんなんだ、さっきのエルフの知り合いか?」

 

そう言って、また串をくれるおじさん。

そういえばおじさんの名前知らなかった。

 

「美味しかったよ。あと、私はエルフじゃないよ」

「またそれ……なぁ、俺達どこかであったことあるか?」

「あっ、新手のナンパ!ある訳ねぇーだろ!」

 

嘘である。

本当は会ったことあるけど、ロリの私が今の私と同一人物だとバレると周り周ってギルドの件がバレる。

許せおじさん!無銭飲食もなかったことにしてくれ!

 

「あっ、はい」

「じゃあな!私は仕事探してくる!」

「なんなんだ……無職のエルフ多すぎだろ」

 

逃げるように立ち去った私の後ろでおじさんの声が聞こえた。

熱いエルフへの風評被害!

 

 

 

右も左も分からない。

つまりは迷子な訳だが、森と違って謎の安心感がある。

そう、これはつまり観光みたいなものなのだ。

ともすれば、探検とも言える。

 

「ここは……公園か?」

 

中世ヨーロッパ風な世界にも公園はあったんやなとか思ったが、よく見ればただ広い更地だった。

なんかモラルとか置いてけぼりにしてるからか、多分誰かの土地だと思うけどたくさんの人がいる。

物を置いて座ってる奴はフリーマーケットだろうか。

野菜とか果物の籠とか置いて座ってる奴もいる。

なんか木の枝引っさげて走り回るガキとか、座って酒飲んでる奴とか、更地の人口密度多すぎ。

 

「お姉ちゃん、何してんのー」

「おいやめろよ、エルフだぞ!魔法で食べられるぞ!」

「すげー、魔法使えるの!見せて見せて!」

「あっ、あうあうあう」

 

目と目があったからか、なんか走り回ってたガキ共に絡まれた。

なんだコイツら、初対面の人間に無警戒過ぎるだろ。

 

「魔法は、あの、街中じゃダメだから」

「なんだよ使えねー!行こうぜ!」

「あっ、待ってよ!」

「やーい、穀潰し!」

 

なんだコイツら、なんでここまで言われないといけない。

そんなに無職は悪いんか、働いてないだけやんけ!

許せねぇ、時間停止系のAVがあるんだ。

時間停めて全裸にしてやろうか!

 

「よぉ、そこで今にも魔法を放ちそうなハレンチ魔族。放つと世界の危機だからマジでやるんじゃねぇぞ」

「その声は……あの、あれ、あん時の……誰だっけ?」

 

私が馬鹿にしたクソガキを全裸にしようと画策していたら、待ったの声が掛かった。

声を掛けてきたのは、路上で壺を抱えた男だった。

見覚えのある、一度会ったことがあるけど名前は思い出せない。

 

「モンドだ」

「そうそう、未来人の!なんなの、お前よく会うけどストーカーなの?それとも世界の危機とか救う仕事とかしてんの?てか、また私が世界を滅ぼすの?」

「質問が多いな……ぶっちゃけ、俺はお前と同じ無職で世界の危機も勝手に救ってたりする」

「無職言うな、女子高生って言う仕事してるんだよ」

 

マジかよ、謎の壺に顔突っ込んでるオッサンかと思ってたらコイツってばヒーローなのかよ。

 

「女子高生は仕事じゃねぇし、太もも晒してる時点でお前は娼婦だと思われてる。そんでお前はガキに魔法使って、憲兵にしょっ引かれた先で出会った半グレと闇バイトして、ダンジョンに潜ってゴブリンに分からされて世界を滅ぼす」

「どういうことだよ……てか闇バイトなんかあるんだ。あと、ゴブリンは倒したことあるぞ」

「ゴブリンスレイヤーを見たことないのかよ。お前みたいな奴が犯されるんだよ、犯されたから世界が滅んだ訳だが」

 

マジかよ。

私がエロいことすると超絶ビッチになって世界が滅ぶとは聞いてたけど、ゴブリンと寝た私がいるのかよ。

私が強すぎるあまりに……強いか?だいたいのエロいことが出来るだけだぞ。

 

「それで未来が滅んだ世界からタイムスリップしてきたのか」

「起きたら街が壊滅してんだからタイムスリップもするだろうがよ。お前分かってないけど、しょっちゅう危機に瀕してるぞ」

「マジかよ、漫画かなんかの世界かよ」

「あー、どうだろな。割とそんな気してきた」

 

うんうんと頷くモンドとか言うオッサン。

気付いちゃったんだけどさ、オッサン話が通じ過ぎてね。

 

「あんさぁ……」

「なんだよ。やらねぇぞ、このワイン高かったんだからな」

「無職が酒とか飲むんじゃねぇよ。そうじゃなくて……アンタ転生してるのか?」

「何頭おかしいこと言ってんだよ。いや、まぁ、そうだけど」

 

そーだよね!タイムスリップとか漫画とか、分かる訳ないもんね!

おかしいと思ったんだ。

 

「だから、タイムスリップなんてチート持ってんのか」

「大体チート持ってる奴は異世界から来た奴らだ。あれだろ、なんかバフとかあんだろ。よく考えたら、だからいつも滅んでるまである、全員死ねよ」

「昼間から酒飲んだオッサンが言うとヤバさが増すなぁ……」

 

そんな相手しか知り合いのいないのはもっとヤバい。

早く仕事を……あと、住むとことかも欲しい。

 

「まぁ、このやり取りも2回目なんだが」

「えっ、私はこの後犯されるのか」

「いや、就職出来なくて餓死しないために街の住民を衰弱死させる」

「やってることが普通にエグい!あと、たぶん無意識なんだろうな、やろうと思わんし」

 

私の無職で、街がヤバい。

回り回って世界がヤバい。

これが一昔前に流行った、セカイ系って奴の主人公だろうか。

私より毎回、世界の危機救ってる目の前のオッサンの方が主人公っぽいけど。

 

「なのでお前を就職させることで俺は平和を享受出来る……はずだ。ぶっちゃけ、滅んでからじゃないと結果はわからない訳だが」

「そんなこと言っても、働きたくても働けないし」

「お前にピッタリな仕事があるぞ。教会のシスターだ、お前はヒールが使えるからな」

 

はぁ?お前バカなの、教会のシスターとか何言ってんだ。

サキュバスがシスターって、お前の性癖歪んでんじゃねぇの?

 

「なんだ、言いたいことがあるなら言ってみろ」

「サキュバスにシスターやらせようとかお前の性癖歪んでんな」

「俺の性癖じゃねぇよ!お前が禁欲生活しつつ、必須のヒールが使えるから向いてるって話だろうが」

「いや、向いてるなら行くけどさ。アレでしょ、懺悔室でやらしいことすんでしょ」

「そんな発想なかったわ!お前の性癖じゃないか!」

 

くっ、確かにそういう系の本は読んたことがあったがバレるとは……クソ、ハメられた。

これは私の性癖を暴露させる高度な罠だった。

 

「なんかバカそうな事考えてそうだが、教会はあっちだ」

「私をハメた癖に!」

「やめろ、本当にやめろ、誤解を生むようなことを言うんじゃない。さっさと行け」

 

シッシッと手で追い払れる。

釈然としねぇが、就職が大事だ。

要はアレだろ、巫女さんのバイトみたいなもんだ。

住み込みとか出来ねぇかな、家とかないしな。

 

街の人に聞いたら教会はデカいから分かりやすいと、とにかく真っ直ぐ進めと言われた。

教会って観光地にもなるし、神社とか仏閣とかそんな感じなんだろ。

そりゃ、デカそうだなと思った。

 

「おぉ、教会じゃね?」

 

明らかにデカいし、ステンドグラス的なのがある建物が見えた。

多分教会だろうと、教会の門を叩いた。

知ってる知ってる、アレでしょ、教会はいつだって門が開かれてる的な。

 

「すいませーん、流れのシスターなんですけど」

「はーい、どうしました……か……」

 

教会からは、シスター服の若い女性が出てきた。

黒い服だ、ワンピースに見えなくもない。

イメージ通りのシスター服だ。

よし、きっと将来の上司だ。

ビシッと挨拶しよう。

 

「流れのシスターです、ここで働かせてください」

「流れのシスターって何!?えっ、貴方のようなシスターがいるわけないてしょ!」

 

私の就職、無理っぽい。

 

 

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