トリニティに着き、特に問題なく件のロールケーキの購入に成功した。
1日10本と聞いていたので、買えないのではと心配していたのだけれど、並ぶことなく1本買うことができた。どうも、連日黒髪の1年生の女の子が1人であるだけ全部購入していくらしく、いつもこの時間には売り切れているとのことだったが、今日はその女の子がまだ来ていなかったらしい。いやぁ良かった良かった。
目的を達して、あとはもう帰るだけだが、折角なのでトリニティにあるという大聖堂でも見て帰ることにした。
「おぉ•••でっか。」
これがトリニティ大聖堂。ここら辺の建築物じゃ一番デカいなこれ。
聖堂と聞くと、やはり型月の聖堂教会が出てくるけど、流石にあそこまでやばい組織ではないと願いたい。
「こんにちは。」
「礼拝でしょうか?それとも、観光でしょうか?」
聖堂を見上げていると、亜麻色の髪のシスター服の女の人に声をかけられた。
「観光です、ここのシスターさんですかね?」
「ええ。初めまして、私はシスターフッド所属のトリニティ総合学園1年生の歌住サクラコと申します。」
「あ、どうも。俺はアビドス高等学校の遠野志貴。1年生です。よろしくお願いします。」
「あら?同学年の方でしたか。てっきり、年上の方かと•••。」
「あーいや。年上で合ってるよ、色々訳があって今年から1年生として入学したんだ。」
というか、1年生だったのかよ。雰囲気的に3年生だと思ってた•••。
「ここ、中に入って見学していっても良いんですかね?」
「構いませんよ?宜しければ、私が案内致しましょうか?」
「え、良いんですか?•••では、よろしくお願いします。歌住さん。」
「サクラコ、で構いませんよ。では、いきましょうか。」
─────サクラコさんと別れて、トリニティの駅へと歩みを進める。
サクラコさん。丁寧に案内してくれて、解説もわかりやすかったけど、あの人解説中全く表情変わらないし、真顔でガン見してくるのもすっごく怖かった。美人なのが怖さに拍車をかけている気がする。もっと言えば妙な含み笑いもすっごい怖かった。ただ、回廊を移動している最中に互いの好物の話になったのだけど、甘いものの話をする彼女の顔は年相応の少女らしく可愛らしいものだった。それを彼女に伝えたら何故か顔を真っ赤にして怒られてしまった。解せぬ。
それから、今度大聖堂近くのカフェに一緒に行こうという話になり、モモトークを交換することになった。アビドスの外に繋がりを持つのも悪いことではないし、何より美人さんの連絡先を得ることが出来た。今日は中々良い1日であったと言えるであろう。
そんなことを考えながら大通りを歩いていると、路地裏の方からなにやら女の子のすすり泣く声が聞こえてきた。
「なんだろう。大丈夫かな?」
気になって路地裏の方に足を進めると、そこには先ほどのサクラコさんと同じ亜麻色の髪のトリニティ生と思われる少女が座り込んで泣いていた。
この娘の声、何処かで聞いたことがあるような••••早◯さんボイスじゃね?
少女に声を掛けようとした矢先、奥の物陰から黒い影のようなものが動いているのに気付いた。
「なんだ?」
ポケットのナイフの位置を確認しつつ、静かに少女の方へと近寄っていく。
徐々に黒い影の姿が明らかになっていく。どうやら四足歩行の生物らしい。あれは•••犬だろうか?
そうやって警戒していると、黒い影が勢いよく少女の方へと飛びかかった。
「ちょっ!?」
全力で少女に接近し、少女の身体を抱き寄せる。
「え?きゃっ!!」
黒い影が繰り出してきた鋭い爪をナイフで受け止める。
「うっ•••。」
相手の力が想像よりも強い。
流石に持ち堪えられないと判断し受け流して後方へと飛んで下がり、下手人を正面に見据える。
「••••。」
「なんだこいつ!?」
そこにいたのはデカい黒犬だった。どこか歪なフォルムをした強靭な四肢と、ピンとはりつめた鎖骨のような首。まるで、獲物を狩ることだけを追求されたかのようなフォルム。
少女を下ろしてジャケットに忍ばせていたトンプソン•コンテンダーを取り出す。神秘を込めた弾丸を装填し、照準を合わせ、頭部に撃ち込む。
一瞬相手は怯んだものの倒れなかった。ダメージが無いことはないようだが、これでは仕留めきれないだろう。
それならばと、メガネを外して相手の死の線を視る。
「よし、線は視える。ならっ!」
ナイフを構え前に踏み込む。一番近くにいた個体の頭部にナイフを走らせ切断する。しかし、頭部の上半分を失ってもなおソレは動き出した。こちらに飛びかかって前足の爪を振り下ろしてくるので、胴体の『点』を突き殺した。
「ひっ!」
後ろから女の子の悲鳴が聞こえていくる。
一旦それを無視することにして、次の個体の処理へと移った。
仲間が殺されたのに怯むことなく、もう一体の個体が飛びかかってきた。
黒犬の口が開く、俺のナイフよりも鋭いであろう牙が俺の喉めがけて迫ってくる。冷静に犬の喉元にナイフを差し込んだ。そこが奴の『点』だったからだ。例え脳が破損しようが筋肉というものはその命令を実行しようとする。本来であれば、例え頭を貫こうがこいつの牙が俺の首に届いていただろう。だが、俺が突いたのは『死の点』だ。そこを突かれた時点でコイツは死に絶えて完全に機能を停止させた。
「ハァ ハァ•••。」
なんとか全て殺すことができたが、その後直ぐに黒い犬の死体は、液体になって地面へと溶けていった。
それにしてもアイツらは一体なんだったのだろうか?それなりに神秘を込めた弾丸を撃ち込んだのに、大してダメージはなかったように見えた。ホシノ並みの生徒ならなんとか出来るかもだが、ユメ先輩レベルの生徒じゃあ太刀打ち出来ないだろう。
「すみません、大丈夫ですか?」と振り返りつつ少女に声をかけた。
「は、はい。」
少女はまだ震えて顔を真っ青に染めていたものの、なんとか返事を返してくれた。
「今のは、なんだったのでしょうか?」
「さあ?俺にはわからないな。もしかしたら今起きてる殺人事件の犯人だったりするのかもね。」
「とりあえず、家まで送っていくよ。立てるかい?」
そう言って少女に向けて手を差し出す。
「す、すみません。腰が抜けてしまったみたいで•••。」
「あはは、それなら俺が背負っていくよ。ほら、乗って。」
逡巡する少女を無理矢理おぶって足早に裏路地から離れた。
お気に入り登録していただき、ありがとうございます!
投稿する頃には150人超えてましたね。嬉しいです(*´ω`*)
一応プレ先世界の設定は出来上がってしまっているので、その辺りも今後書けたらなぁと考えてます。
バッドエンドが見たいって人は居ますかね?需要があれば月姫のような、選択肢を今後入れてみようかなと。入れるならブルアカ原作始まってからだと思いますけど。眩病月とかいいですよね。
-
要る
-
要らない