「で、でけぇ•••。」
なんだこの広大な敷地は。遠野邸かよ。
流石はお嬢様校の生徒と言ったところだ。アビドスの毎月の利子分だけでも援助してくれないかなぁ。まあ、利子分だけでもかなりの金額にはなるのだけれども。
この娘に沢山恩を売ったら高給のアルバイトでも紹介してくれないだろうか。執事とかやってみたいな。
執事になって、可愛らしく心優しいお嬢様に仕えて、そのお世話を永遠としていたい。志貴君ボディだし、燕尾服も似合うとは思うんだ。
「そこのブザーを鳴らしていただけませんか?使用人が門を開けてくれるはずですので。」
えーっと、あれか。
ブザーを鳴らしてしばらくすると、門扉がズズズっと開いた。
少女に言われて、門を通り屋敷へと歩みを進める。
屋敷の入り口には、使用人と思われる女性が立っていた。
「お嬢様!?大丈夫ですか!?お怪我でもなさいましたか!?」
女性は、焦ったように後ろの少女に声をかける。
「大丈夫です。怪我はしていませんよ、セナ。実は•••。」
──────「そんなことが•••。」
少女から話を聞き終えたセナさんは、こちらを向き頭を下げる。
「この度は、誠にありがとうございました。このご恩、決して忘れはいたしません。」
「いえいえ。お嬢さん、もう大丈夫かな?立てる?」
「あ、はい!もう大丈夫です!」
少女が頬を赤らめながらそう口にしたので、優しく少女を背中から下す。
「じゃあ、俺はこの辺で。」
「ま、待ってください!」
もういいかな、と思い振り返って帰宅しようとすると、少女に止められた。
「もう外は暗くなり始めています、いくらお強いといっても、この時間に出歩くのは危険ですよ。」
「今日は屋敷に泊まって行ってください。客間がありますので、そこを使用してくださって構いません。」
「え?で、でも•••。」
「わたくしとしても、お嬢様を助けていただいた恩人を、こんな時間に帰らせてしまうわけには参りません。」
「たいしたもてなしは出来ませんが、是非泊まっていってくださいませ。」
「•••では、申し訳ないですけど。」
「アビドス高等学校1年の、遠野志貴です。よろしくお願いします。」
「そういえば、名乗っておりませんでしたね。」
そう言って、少女は手を叩く。
「トリニティ総合学園1年の桐藤ナギサです。今日は助けていただきありがとうございました。」
────セナさんに荷物を預けて、その後ろに従い屋敷に入る。
「志貴さん、落ち着いたらテラスに来てくださいね。」
そう言って、ナギサさんは階段を登って行った。
外観からわかっていたことではあるが、やはり広いな•••。
あちこちに、高そうな壺やら絵画やらが飾られている。
「そこを真っ直ぐ行った先に食堂が、反対側には居間があります。さらに奥に使用人達の部屋があります。」
「他にも何人か使用人がいますが、志貴さんのこと伝えておきますので、何かあれば声をかけてくださいね。」
「では、客間を案内します。着いてきてください。」
セナさんの後ろを着いていきロビーの階段を登る。
「ここがお部屋になります。テラスは先ほど登った階段の裏手にありますので、落ち着かれましたら、後ほど足を運んでくださいませ。」
そう言ってセナさんは一礼し、部屋を後にした。
案内された部屋は、柔らかそうなベッドと高そうな机が置かれてあり、高級なホテルのようだった。
ベットに寝転がり天井を見上げて、体を休める。
枕もマットもフカフカで、ホシノが凄く喜びそうだな、とても気持ちがいい。
が•••。
「お、落ち着かねぇ•••。」
1人部屋にしては、部屋が広いせいか落ち着かない。
部屋を出て階段を降りる。
「えっと、階段の裏手だったか•••?あ、あった。」
扉を開けると、広大な庭園が広がっていた。
テラスの奥は、庭園になっていたようだ。
中央には噴水があり、少し進んだ先には西洋の貴族の屋敷によくある、屋根と柱がある壁のない東屋。
ガゼボって言ったっけか?アニメでしか見たことないぞあんなの。
「志貴さん?」
庭園に目を奪われていると、横から声をかけられた。
目を向けると、白い椅子に座るナギサさんと横に立つセナさんの姿が見えた。
制服から私服に着替えており、いかにもお嬢様。といった装いだった。
「どうぞ、座ってください。」
ナギサさんに勧められるがまま席に座る。
机にはティーポットとクッキーが置かれていた。
座った席にはティーカップと小皿が俺の前に置かれていた。
セナさんがティーポットからお茶を注いでくれたので、一口飲む。
りんごの甘い香り、アップルティーか。
「美味しいです。」
そう告げると、セナさんが柔らかく微笑んでくれた。
─────────────────────────
「美味しいです。」
そう言って、彼は微笑んだ。
今日は、不思議な夢を見た。
男の子の手に引かれ、薄暗い森の中を進む夢。
どこか懐かしく、愛おしさすら覚えるあの背中。
夢の中で、私は彼を『にいさま』と呼んでいた。
────私には兄は居ないはずだ。
幼い頃に交流があったのは、聖園家のミカさんくらいのものだった。
父に隠し子が居ただとか、そんな話は聞いたことがないし、歳の近い従姉妹も、皆女の子ばかりだった。
それでも。
私にはどうしても、あの夢が現実のもののようにしか思えなかった。
夢の中の私は泣いていて、私の手を引く『にいさま』は、”大丈夫だよ”と優しげな声で励ましてくれた。
夢から覚めて、鏡を見ると。私は大粒の涙を流していた。
胸にぽっかりと穴が空いたような感覚。
存在しないはずの兄の夢。
どうしてもその夢を、私は忘れることが出来なかった。
学校からの下校中に、また涙が溢れてきたので、私は裏路地に入り、落ち着くまでそこで座り込んでいた。
そこで、彼に助けて貰ったのだ。
私を襲った恐ろしい黒い怪物を、彼は瞬く間に倒していった。
彼の後ろ姿は、どこか 夢の中の兄に似ているような気がした。
だからだろうか?
彼の、あの冷たくてくらい青い目を見ても、不思議と怖いとは思えなかった。
寧ろ•••。
お気に入り登録と評価設定、ありがとうございます!
今回初めてオリキャラを出しました。
使用人のセナさんですね。外見はご想像にお任せしますが、筆者的にはfateのセラさんですかね。彼女に翼とヘイローをつけた感じです。
メイド服は•••。どうでしょう?いっそアンケートでも取ります?
バッドエンドが見たいって人は居ますかね?需要があれば月姫のような、選択肢を今後入れてみようかなと。入れるならブルアカ原作始まってからだと思いますけど。眩病月とかいいですよね。
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要る
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要らない