目が覚める。ラクガキだらけの天井が見える。
メガネをつけ視界をマトモにする。
今思ったのだけれど、この部屋。ゲームの画面で見た志貴君の部屋と似ている気がする。建物自体はあんな豪邸ではないんだけれども。
部屋の中にはベットと机と、空っぽの棚しかなく少し淋しさを感じる。
顔を洗ってキッチンに向かい、トースターにパンをセットし、冷蔵庫を開ける。
対して中身は入ってはいない冷蔵庫から、コンビニで買ったヨーグルトと牛乳を取り出す。
チンっという音が鳴り、トースターから焼けたパンを皿に移す。
このカラダになってから、前のカラダと比べると食べられる量が随分と減った。本当ならパンも2枚に目玉焼きも欲しいくらいだ。
今日はD.U.なるところに行こうと思う。
D.U.とはDistrict of Utnapishtimの略、直訳するとウトナピシュティム地区というらしい。
何かしら意味があるのだろうけれど、俺にはよくわからなかった。
あそこには連邦生徒会なるものがあるらしい。
学園都市キヴォトス全体の行政を担う統治組織。構成員は各学園から選出されているのだとか。
元居た世界的には首都であり、そこに国会議事堂がある。みたいな感じだろうか。
食器を水に浸け、歯を磨く。
今回の主目的は銃や盾等を見にいくこと。後の時間で街の観光などをしようと思う。ショッピングモールがあれば炊飯器なんかの電化製品も揃えていきたいところだ。
パジャマを脱ぎ服を着替える。リメイク版志貴君が来ていた白と黒のジャケットを羽織る。偶々か、黒服さんが用意してくれた服の中にあったから着てみた、
鏡を見るとゲームの中の志貴君そのままだ。志貴君の顔は整っており、美少年と言えるものであった。元の容姿のままだと、この世界で浮いていただろうが、この容姿なら寧ろ目立たずに済むだろう。
玄関を出て街から砂漠の方へ足を進める。
「まだ朝早い時間のはずだけれど、すっごい暑いな...」
小鳥遊さんに先日言われた通り、鞄には地図とコンパス、大きめの水筒を用意してきた。
まだ朝早い時間だけれど、日差しが強くとても暑い。駅までは基本真っ直ぐなのでコンパスに従い歩を進める。
すると、前の方から小鳥遊さんが歩いてくるのが見えた。
「おはようございます、小鳥遊さん」
声をかけると、小鳥遊さんもこちらに気付く。
「おはようございます。」
「今からD.U.に行くんですか?私が教えたとおり、地図とコンパスを持ち歩いているようでよかったです。」
「はい。小鳥遊さんは、朝から砂漠で何をしていたんですか?」
もう明るくなっているとは言えど、まだ活動を始めるには早い時間だろう。
「私は治安維持のためにパトロールを、これも仕事の一つなので。」
なるほど、生徒が地区を運営している以上、そういったこともする必要があるのか。そういえば小鳥遊さんと初めて会ったあの日も、パトロールの最中だったのだろう。
「こんな朝早くからそんなこともやっているんですか、お疲れ様です。でも夜も遅い時間までパトロールしてましたよね?大丈夫なんですか?体を壊してしまうんじゃ...」
「大丈夫ですよ、キチンと休息は取っていますので。」
「それでは、私は家に帰って寝ます。あと、暗くなる前には帰ってきた方がいいですよ、またヘルメット団に襲われたくはないでしょう?」
「わかりました、気を付けます。では、行ってきます」
小鳥遊さんと別れ駅へ向かう。
電車に揺られD.U.の駅まで向かう道中。
窓の外を見ると、先ほどまで砂漠しか見えなかった景色が少しずつ変化していく。
この世界に来て、黒服さんの事務所とアビドス以外、碌に見て回ることが出来ていなかったので、少しわくわくしている。
そうして揺られていくこと1時間。
目的の駅に着き、電車を降り改札を抜ける。周りの人からジロジロ見られるのは、ほとんど存在しない男性故か。
駅を出ると沢山のオフィスビルが立ち並ぶ、広大な都市が広がっていた。ここキヴォトスの中心地というだけあり、人もすごく多い。
街の中心に見える大きなビルがサンクトゥムタワーだろうか?あそこに連邦生徒会の本部があるらしい。
駅前の地図看板を頼りにガンショップに入り、銃を探すが。あまりしっくりこなかった。
折り畳み可能な防護盾と、防弾チョッキ。それとハンドガンを一丁購入して店を出る。
時刻は既に昼時になっており、小腹も空いてきたので、近場のカフェに入り軽食を取ることにした。
店内に入ると直ぐに店員さんから声が掛かり、テーブル席に案内された。
サンドイッチとコーヒーを頼み、外の景色を眺め時間を潰す。
今更だけれど、この世界の空に描かれているあの模様、あれはなんなのだろうか。あれもヘイローなのだろうか?
「こんにちは、お兄さん」
そんな事を考えていると、後ろから声をかけられた。
「相席してもいいですか?」
淡い水色にピンクのインナーカラーが入った少女がそこに立っていた。
「え、あっはい。どうぞ」
思わず許可を出してしまった....
少女が正面の席に座ると、ちょうど店員さんがサンドイッチとコーヒーを持って来た。
注文したのはベーコンエッグサンドとアメリカンコーヒー、ベーコンエッグサンドには、レタスとカリカリのベーコンとたっぷりの卵が入っており、結構ボリュームがあった。皿にはサンドイッチが3つも乗っていた。
「うっ、結構多いな。」
少女の方を見ると、もう既に注文を伝えたらしい、注文を取り店員さんが戻っていった。
「おお、美味しそうですねぇ」
少女がこちらのサンドイッチを眺めている。
「良ければ一つ、いりますか?俺は少食なので、少し多いなと思っていたところなんです。」
「いいんですか!?では、一ついただきますね♪」
少女は目を輝かせながらサンドイッチを手に取る。
俺も一つ手に取ってみる。かなり分厚いサンドイッチは、そのままでは崩れてしまうのか、ピックでパンと中身が固定されていた。
一口頬張ってみると、こんがり焼けたパンのサクッという音がする。卵は白身は硬め黄身はなめらかでベーコンはちょっと分厚めでカリッしている。レタスも結構しっかり入っており、シャキシャキとした食感が楽しめた。
「美味しいですねぇ♪」
少女はとても美味しそうに、サンドイッチを口いっぱいに頬張っていた。
「ところで、何か俺に用事でもありましたかね?」
「いえ、特に用事があってお声がけしたわけではなく。」
「リンちゃん、私の友達が見つからなかったので、一緒にご飯を食べてくれる人を探してたんですよ〜」
「そしたらちょうど1人でカフェに入るお兄さんの姿が見えたので、相席させて貰ったというわけです。1人で食事するよりも、誰かと一緒に食べた方がご飯が美味しく感じられませんか?」
店員さんやって来て、オムライスが乗ったトレーを少女の前に置いた。
「いただきまーす♪」
チキンライスに、ふわとろではない薄焼きの卵が乗った、家庭でよく見るタイプのオムライスだ。
最近よく見るふわとろのオムライスもいいけれど、こういう薄焼きの卵のオムライスの方が、俺は好きだなぁ。
先ほどサンドイッチを一つ平らげたのにも関わらず、パクパクと美味しそうにオムライスを食べ勧めていく。
「お兄さんはこの辺りは初めてなんですか?」
「うん、最近このキヴォトスにやって来たばかりでね、今日はD.U.には買い物と観光を目的に来たんだ。」
「この辺りで何処かオススメの場所はあったりするかい?」
「ん〜。プラドアベニューはどうですか?美術館も素晴らしいですが、街全体が芸術の街となっていて面白いですよ〜」
「食べ歩きならラミニタウンもいいですよ、各学園のグルメスポットに勝るとも劣らない食堂街で、狭い川の両側に沢山の屋台や飲食店が並んでいるんです。」
そうやってコーヒーを飲みながら雑談をしていると、気付けば午後の1時を過ぎていた。
「そろそろ店を出ようかな。」
あんまり遅くなり過ぎるといけない。電気街で買い物を済ませて帰らないと。
「私も、そろそろ戻らないと、リンちゃんに怒られちゃう!」
会計を済ませて店を出る。
「今度また会えたら、この辺りのオススメスポットを案内してあげるよ〜」
「そうだ!お兄さん、モモトーク交換しない?」
「いいですよ」
モモトークを交換し終えると、
「じゃあね、お兄さん!また会おうね!」
そう言って、少女は真っ直ぐ走り去っていった。
「あれ?そう言えばあの子の名前、聞きそびれたな。」
そういってモモトークの画面を見ると、そこには先ほどの女の子のアイコンで、アロナと言う名前が書かれてあった。
電気街で買い物を済ませると、時刻はもう3時を過ぎていた。
「こりゃ、観光はまた次の機会にだなぁ」
荷物は自宅に届けてもらうことになっているので、そのまま駅に向かい、電車に揺られその日はアビドスに戻った。
第1部の終わり方に迷いが...筆者の気分次第なのですが、いろんなパターンを思いついてしまって迷っています。
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バッドエンドが見たいって人は居ますかね?需要があれば月姫のような、選択肢を今後入れてみようかなと。入れるならブルアカ原作始まってからだと思いますけど。眩病月とかいいですよね。
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