サンズと坂柳はカフェから図書室に移動していた。誰もいない席を見つけ、そこに座り込む。ちなみに今日は椎名はめずらしくいなかった。
チェス盤をどうやって用意するのか、という問題が存在していたが、坂柳はサンズがチェスでの勝負に応じるかどうかは『yes』ではない確率はかなり低いと見ていたため、今日は小型のチェス盤を事前に準備し持ってきていた。小型と言っても、問題なく試合ができる程度には整っているような、少し高価な物だった。
「んじゃ、早速始めるか。」
「はい、先行はそちらからでよろしいですよ。」
「ハハ、なら遠慮なく。」
そう言って駒を指し始める。そこからはお互いに無言で駒を指し合う時間が始まった。
制限時間がないためじっくりと考えられるが、互いにほとんど時間を使わずノータイムで指し続けていた。
「…サンズ君。少し質問があるのですが」
「…何だ?」
駒を進めながらサンズに質問をする坂柳。そこに集中を乱すという意図も少しはあったが、純粋に質問をしたかった、というのが大半を占めていた。
「本当に、私の派閥に入るつもりはありませんか?」
「…ハハハ…しつこいぜ、何度も言わせるな。オイラはアンタらの勝負に首を突っ込むつもりもないし、どちらか片方に肩入れするつもりもない。めんどくさいのはキライなんだ」
「そうですか。それは残念です」
ほぼダメ元で聞いてみたが、やはりバッサリ切られた坂柳は気を落とした素振りもなく、再びチェスに集中し始めた。そこからは、二人とも声を発さずにただ淡々とチェスを指し続けていた。
そこから20分程度。
「…私の、勝ちですね」
「そうだな。オイラの負けだ」
坂柳が詰み状況に的確に追い込んでいくことによって、サンズの負けは決定した。しかし、サンズは顔色一つ変化させることなく、席を立ち上がった。今の勝負が心底どうでもよさそうな、そんな瞳で。
そこに坂柳が待ったをかける
「待ってください、サンズ君」
「…ん?何だ?オイラ、この後ダラダラしながら過ごす予定だったんだが」
「それは予定がないのと一緒です」
突っ込みを入れながら、坂柳は本題に入る。
「サンズ君…手を抜いてましたよね?」
サンズは坂柳の言葉に対して、眉一つ変えず、ニヤニヤしたまま返答する
「ハハハ、勘違いってやつだな。オイラはチェスが元からヘタで、ルールくらいしか知らなかった。そんだけだ。」
「いいえ、貴方の指し方には迷いがなかった。私でも数秒程度考えるほどの局面でさえも。そして、負けるために3番目ほどに最適解な所に指し続けていた…私ができるだけ気づかないように、早く終わらせるために…違いますか?」
坂柳の指摘を聞いても、サンズの表情は変わらない。
相変わらず、気の抜けたニヤニヤした笑顔のままだ。
「……」
数秒の沈黙。
図書室にはページをめくる音すらない。
ただ、窓の外の風の音だけが聞こえていた。
そしてサンズは、肩をすくめる。
「へへ……」
「何がおかしいのですか?」
「いやなに」
サンズはチェス盤を軽く指でつついた。
カチ、と小さく駒が音を立てる。
「アンタ、よく見てるじゃねえか」
坂柳の瞳がわずかに細くなる。
「……つまり認めるんですね?」
坂柳はこの瞬間、得体の知らない恐怖感に全身を襲われていた。サンズの態度は変わらない。ニヤニヤとした態度も、頬杖をついている態勢も。それでも、サンズではない、別のナニカに見られている、一挙手一投足が相手の逆鱗に触れるかもしれない…そんな、恐怖だった。
不安を押し殺し、サンズの返答を待つ坂柳。その姿を一瞥し、サンズは椅子に体を預け、天井を見上げる。
「さあな」
そのまま数秒、ぼーっとした後。少し顔を横に傾け、言葉を発した
「でもまあ」
指を伸ばし、盤面のキングを軽く倒す
「アンタの言う通りかもしれないな」
坂柳はわずかに息を止める。
「……理由を聞いても?」
サンズは笑う。
「簡単な話だ。面倒くさいからだぜ?」
ウィンクしながらそう答えるサンズ。その答えに、坂柳は一瞬キョトンとしていたが、数秒後には青筋を浮かび上がらせながら、震える声でサンズにとある条件を出した。
「…そうですか…では、もう一度やりましょうか。」
「ハハ、ま、いいが、それはそれでもっと早く終わらせるだけだぜ?」
「負けたら私の派閥に入ってもらいます。サンズ君が勝ったら、もう二度と勧誘しないと誓いましょう。」
「おいアンタ、ちょっと待て…条件追加しすぎだろ。」
「私から手を抜いた罰のようなものです。さあ、やりましょうか?」
有無を言わせぬ口調と顔をしながら、座れと促してくる坂柳。渋々サンズは席につき、口を開く。
「…あ〜…んじゃ、オイラから一つ忠告、だ。」
「…なんでしょうか?」
「…アンタ…このやり方を続けてたら…」
言葉を切るサンズ。サンズの言葉を特に気に留めていないような態度をしている坂柳に、その言葉を告げる。何十回も、何百回も告げてきた、そのセリフを。
「…オマエはいつか、後悔することになるぞ」
「…っ!?」
先程とは比べ物に並ばないほどの大きな威圧感がサンズから発生しているように感じた坂柳。サンズの瞳を見ると、光が灯っていなかった。その瞳に射抜かれた坂柳の背中に怖気が走り、口を開くのも躊躇われる…
それでも、懸命に口を開く。
「…そう…ですか…それでは…始めましょう…か」
「…アンタから先行でいいぜ」
(…ガスター…アンタと一緒にチェスをやっておいてよかったぜ…ま、少しだけ、やる気を出そうか…)
…少しだけ、本気でやるとケツイを入れたサンズ。坂柳は、震える腕で駒を進指し始めた…
坂柳のキャラ崩壊許して…
ぶっちゃけこの作品
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これからも見たい
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お前の作品なんか見る価値ねえよ
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時間の無駄だった。ふざけんじゃねえぞ
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面白くなさすぎて溜息すら出てこない
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もう二度と書くな
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さっさと◯ね