アンタのことは、どうでもよかったんだ。ニンゲンで、信用できるわけがなくて。だけど、アンタはオイラたちを助けてくれた。地下世界から解き放ってくれた。
最初は、嬉しかった。パピルス達の、喜ぶ姿を見ることができて。
けれど、アンタは……いや、アンタに似た別のナニカは全員を殺した。そして、世界を破壊した。
何度も
何度も
何度も
オイラ達の反応を楽しんでいるみたいだった。
何度もオイラに助けを求めてきたアンタを、オイラは助けることはできなかった。
……アンタを……フリスクを、弟を、トリィを、アンダインを、アルフィーを、王様を、そして、一人の偉大なる研究者を……助けることはできなかった……
……オイラは……オレは……オレのことが大嫌いだ……
―――――――――
――――――
―――
翌日の放課後。サンズはDクラスに向かって歩いていた。まあ、別に自分からDクラスに向かっているわけではなく、堀北と綾小路(綾小路によると『俺はオマケだ』とのこと)に呼び出されたからなのだが。
(……帰ってやろうか……)
単純にめんどくさい。今から堀北は何かしらの件で質問、もしくは協力を仰いでくるだろう。サンズにはそうなる事が目に見えていた。
「……どうでもいいな」
取り敢えず教室に着いたはいいが、これからどうするべきか…
…はて、少しおかしいことに気づいた。いつも帰るときにDクラスの前を通るのだが、いつもはなんというか…動物園かと思ってしまうほどにはうるさいクラスなのだ。だが、今は誰かの葬式でも行われているのかのような静かな雰囲気に包まれていた。
扉に手を掛け、一瞬開けるか迷う。が、面倒事を振り払うというケツイを持って扉を開けた。
瞬間、サンズを凝視するDクラスの生徒達。普通ならばただ驚いたように見られるだけだが、このクラスでは粘っこい視線がサンズにへばりついていた。
「…あ〜…」
何と言えばいいのか分からないまま、サンズはそこに立っていた。そんな中、一人の男子生徒がサンズの近くに歩いてきた。好青年という印象を抱く、顔が整っている生徒だ。
「やぁ。えっと…このクラスに何か用かな?」
物腰柔らかく、警戒させないためか爽やかな笑顔で話す青年。そんな中、思い出したかのようにハッとした表情をして手を差し出してくる。
「ごめん、自己紹介がまだだったね。僕は平田洋介。よろしく」
……本人は純度100%の善意でやったに違いないのだが、サンズにとってはこの異常に注目されている状態で自己紹介をしなければならないのはただただ苦痛である。苦痛というか、なぜ自分がこんな目に…という気分だ…
とりあえず気を取り直して自己紹介をする。というか、ここでしなければ相手……平田に不快だと思わせてしまうかもしれない。いや、平田だけでなくDクラス全体の印象が悪くなることは避けられないだろう。
「…へへ、オイラはサンズ。よろしくな。ところで、この静けさはなんだ?いつもだったら……こう……もっと賑やかな気がするんだが」
かなり言葉を選んで話す。Dクラスの機嫌を損ねないためだ。平田もそれが分かったのか、苦笑しながらサンズの言葉に同意する。
「あはは……そうだね。今日は確かに、皆放課後にしては静かだと思うよ。ちょっと、事情があってね…」
「……それは、アンタ達のプレイベートポイントが追加されていないことに何か関係があるのか?」
サンズがそう言った瞬間、少し驚いたような表情を平田が見せた。いや、平田だけでなく、Dクラスの一部の生徒を除いたほぼ全員がサンズの言葉に目を丸くしていた。
「……何故、君がその事を知っているのかな?」
「今話題になってるみたいだぜ?Dクラスだけがポイントが振り込まれてないみたいだ、ってな」
「…そうだったんだね…」
平田は、これまでの経緯を話し始めた。単純に言うと須藤……赤髪の見るからに不良のような格好をしている生徒……が暴力をCクラスの生徒に振るってしまい、それによって学校側からのペナルティとしてポイントの支給が保留、あるいは取り消しになるかもしれないという瀬戸際に立たされているらしかった。
その上、Cクラス側からは審議会への申し立てまでされており、最悪の場合は須藤の退学処分もあり得るのだという。まあ、退学処分で済めばいいのだが。最悪、Dクラスのクラスポイントがもう一度ゼロになる可能性すらありえるのだ。
「言ってるだろ!俺はわざとやったわけじゃねえ!正当防衛だ!」
そう須藤は言っているがクラスの、須藤を見る目は冷ややかだ。一ヶ月を0ポイント生活で乗り越え、ようやくポイントが支給される、その間近だったのにも関わらず須藤が問題行動を起こし、ポイントが支給されなかった。ストレスが溜まりまくっていることだろう。
「だから、みんなこれからどうなるか不安で、どうしても暗い雰囲気になっちゃったんだ……」
平田は悲しげに眉を下げ、クラスの連帯責任や須藤の行く末を本気で心配しているようだった。
(……へぇ。暴力沙汰ねぇ。どこの世界でも、そういう血の気の多いニンゲンは揉め事の種を蒔くのが得意らしいな。なんて面倒な手間を……)
サンズはポケットに手を突っ込んだまま、クラスの奥の席で不機嫌そうに腕を組み平田を睨みつけている須藤に視線を向けた。
その隣の席では、堀北が相変わらず不機嫌そうな表情でこちらを確認しており、さらにその後ろでは、いつも通り感情の読めない目をしている綾小路が静かに佇んでいる……まあ、サンズからすると割と分かりやすいのだが。今は『ポイント欲しい』という思いを持っているようだ。
「平田、教えてくれてありがとよ。……おっと、オイラは堀北に呼び出されてたんだった。ちょっと行ってくるぜ」
「うん、引き留めてごめんね。堀北さんなら、君を待っていたみたいだから」
平田の丁寧な見送りを受けながら、サンズは一歩一歩、堀北と綾小路の待つ席へと歩みを進めた。
周囲のDクラスの生徒たちからの視線は、依然として突き刺さるように痛い。自分たちのクラスが崩壊の危機にある中で他クラスの、それもAクラスの人間がやってきたのだから、警戒されるのも当然といえば当然だった。
高円寺とすれ違ったので、何となくウィンクしておく。高円寺も同じようにウィンクを返して、お互いニヤリと笑った。
そのまま堀北の席に向かう。堀北は驚いたような顔をしていた。が、すぐにいつもの仏頂面に戻って、淡々と話し始める。
「……遅かったじゃない、サンズ君。ずいぶんと平田君とのお喋りを楽しんでいたようだけれど?」
席の前に辿り着くなり、堀北がトゲのある言葉でサンズを歓迎した。
「ハハ、悪かったって。オイラ、歩くのが遅くてな……で? 話ってのは何だい。この重苦しい空気の中で聞くには、随分と骨の折れそうな内容になりそうだが?」
サンズはいつもの気の抜けた笑みを浮かべ、堀北の横の席の綾小路に手を振りつつそう答えた。
「……須藤君のことは知っているわね?」
「まあな。というか、詳しいことは今平田に聞いたところだぜ」
ジョークを無視された悲しみを感じながらこの後の内容を推測する。堀北は今サンズのことを少なからず信用しているはずだ。
堀北妹にとって尊敬の対象である兄……堀北学からサンズは信用を得ている。その事実だけでこの盲目的なニンゲンはサンズを信用してしまっているだろう。
そして、今堀北が話出した須藤の話題。そこから導き出される答えは―――
「単刀直入に言うわ。須藤君の無罪を証明する。そのために、あなたに協力してほしいの」
…想像通りの回答であった。
「あなただけでは微力な力しか持っていないでしょうね。では、坂柳さんならどうかしら。あなたがAクラスのリーダーである坂柳さん、もしくは葛城君に協力を仰げば―――」
「なあ、アンタ」
「……っ」
長く長く喋っている堀北を切り捨てる。こんなものは、ただの時間の無駄だ。
「オイラにメリットが何一つない。やる意味がないな」
「……メリットなら、あるわ」
「なんだ?」
「私達Dクラスに借りを作ることができるわ。仮に無罪を証明できた場合、このクラスは全員あなたのことを認め、好意的に接するでしょう?AクラスにDクラスが協力することもできるわ」
「……はぁ。分かってないな、アンタ」
大きくため息をついて首を左右に振る動作を見せる。
わざわざ大袈裟に、堀北の鼻につくように。
だが堀北にしては珍しくこちらの動きを見ても眉を顰めるだけでキレたりはしなかった。
どうやら、お願いをしている立場、ということを理解しているらしい。
「……私が、何を分かってないというのかしら?」
「……Dクラスが味方につくとか、敵になるとか…そんなことはどうでもいいんだ。だって…」
……ふと、サンズはトリエルの言葉を思い出した。サンズを後に縛り付けることとなる、呪いの言葉を。
『……あのニンゲンを、守ってあげて……』
彼女は守る対象であるニンゲンに殺された。もう、その約束は意味を持っていないのではないか。
だが、サンズは約束を絶対に破ることはしない。
この世界においても、ニンゲンの助けになるよう行動をする。
その相手は、この学校の全員だ。
生徒だろうが、教師だろうが。
誰であろうと絶対に助けてやると、決めている。
トリエルとの約束を反故にしないために。
パピルスとの思い出に傷をつけないために。
いつか、また会うことになるであろうフリスクを助けるために。
もう、何も失わないために。
サンズは『こうどう』を始めるのだ。
『約束』を、守るために。
「…だって、オイラはそんなメリットがなくてもアンタ達に協力するんだからな」
「……先程、手伝わない、という趣旨のことを言っていなかったかしら?」
「やる意味はない。だけど、やらない理由にはならないだろう?アンタが何を考えているのか、オイラには分からない。けど、オイラはオイラの『約束』を守るために行動する。アンタらの事情なんて、後付けのオマケみたいなもんだ」
サンズはそう言って、肩をすくめた。
「……意味がわからないわ」
堀北は眉間に皺を寄せながら、サンズをまっすぐに見つめる。何を考えているのか分からない、それでいてどこか掴みどころのない男。だが、今この瞬間だけは、いつものニヤニヤとした態度とは違う、確かな何かがサンズの中にあるように見えた。
「分からなくていいさ。アンタが理解できる必要もない」
サンズはポケットから手を出し、軽く首を回す。
「で?証拠は何かあるのか?証言とか、目撃情報とか」
「……っ、それは……」
堀北が言葉を詰まらせる。サンズの態度の変化に対応できていないようだ。
「現状、須藤君の証言だけよ。彼は正当防衛だと言っているけれど、相手の生徒……龍園君のクラスの生徒は、須藤君が一方的に殴りかかったと証言している」
「龍園……ね」
サンズは小さくつぶやいた。前に椎名から聞いた、Cクラスの『王』を自称している男の名前だ。
「目撃者は他にいないのか?」
「今のところは、ね」
突然、無言を貫いていた綾小路が口を開いた。
「……仮に裁判になった場合、龍園のクラスは複数人で口を揃えて『一方的に殴られた』と証言してくる可能性が高い。一対多数の証言になったら、形勢は不利だ」
サンズは、綾小路の言葉を聞きながら、ゆっくりと考え込む。
「……なら、決定的な証拠が必要、ってことだな」
「ええ……でも、現状そんなもの……」
「監視カメラだ」
「……無理よ。私達で場所の下調べは終わらせておいたわ。けれど、監視カメラなんて、あの場所には存在していなかった……」
悔しそうな顔で、堀北は苦しげに口を開いた。だが、サンズはまだニヤニヤとした顔をしていた。
「……書き換えればいいんだよ」
「……え?」
サンズの言っていることの意味がわからず思わず聞き返す堀北。綾小路よく分からないという顔をしていた。サンズは、少し具体的に話すことにした。
「情報の捏造だ」
「なっ!?」
「具体的には、別の場所の監視カメラの映像を使って内容を書き換えるんだ。須藤が相手に手を出されたようにして、な」
唖然としたように口を開いている堀北。綾小路は口を開いてはいなかったが、ぎょっとしたような顔でサンズを凝視していた。まるで、『マジかこいつ』とでも言いたげな表情で。
「試しに作ってやろうか?そうだな…」
「……いいえ、遠慮しておくわ」
思わず頭を押さえながらサンズを制する堀北。その判断は正解だった。仮に堀北がサンズを止めなかった場合
『綾小路と堀北がキスする』という地獄のような内容の動画が作られていただろうからだ。堀北の英断であった。
「……サンズ君……あなた、本当に……」
何かを言いかけて、堀北は言葉を止めた。それ以上、言葉にする必要はないと思ったのだろう。
「ハハ、オイラはオイラのやりたいことをするだけだからな」
サンズはそう言って、軽くウィンクをした。
その横顔を、綾小路はじっと見つめていた。
「本当に助かる。ありがとう、サンズ」
「ハハハ。硬いこと言うなよ、綾小路。…ただ、分かってるとは思うが、これは最終手段だ」
「……それは、なぜかしら?」
「解析をされるとバレちまうかもしれないからな。そこに監視カメラが最初から無かったこと、とかな。」
「映像が偽物ということが発覚する心配はないの?クオリティによって、とか」
「ないぜ。賭けてもいいな」
(ガスターからの折り紙付きだしな)
サンズは、ガスターとこのような偽の動画を作ることを楽しんでいた時期があった。今思い返せばおかしいのだが、まあ、実験でストレスが溜まっていたのだろう。
「……んじゃ、細かいことはアンタ達で考えててくれ。決まったら連絡くれよ。んじゃな」
そう言ってサンズはDクラスから出ていった。が、Dクラスの面々は、未だサンズを目で追っていた。
(……かっこ、いい……)
その中で、一人だけ熱烈な感情が籠った視線をサンズに向けていたことを、サンズ含め誰も知らなかった……
―――翌日―――
「お願い、サンズ君!私の、彼氏役をしてほしいの!」
(………どうしてこうなった………)
……そう言って来た張本人である一之瀬帆波を目の前にして、サンズは思わず天を仰いだ……
「……はぁ、つまり告白されそうで困ってるから、オイラに彼氏役をしてもらって、その相手を振ろう、ってことか?」
「い、言い方悪いよ!」
……どうやら、手紙が机の中に入っていて、それがラブレターだった。しかし、思いに応えられないためその相手を振るらしい。相手が誰なのかは分からないようだ。
まあ、一之瀬が超簡潔にまとめただけなので、細かいことは実際知らないのだが。
「…とりあえず、放課後な」
「う、うん!放課後ね!」
(……めんどくさい……)
―――ついに放課後―――
「……うう、緊張してきた……サンズ君まだかなぁ……」
少し緊張している一之瀬を見て、サンズは少しいたずら心が湧いた。
テレポートして気配を消して背後に回る。そして、背中をポンと叩きながら耳元で囁いた。
「よう、一之瀬」
「ふにゃぁぁぁ!?」
「うるせぇ」
肩を叩いた瞬間、とてつもない声を上げた一之瀬。
そのおかげでサンズの耳はキーンとなっていた。
「……もう、驚かせないでよサンズ君! 心臓が止まるかと思ったんだから!」
一之瀬は真っ赤になった顔を両手で押さえながら、涙目でサンズを睨みつけた。もちろんそこに本気の怒りはなく、ただただ恥ずかしさが勝っているだけのものだ。
「ハハ、悪い悪い。ちょっとした挨拶のつもりだったんだぜ?」
悪びれもなくそう言うサンズ。そんなサンズに一之瀬は少し頬を膨らませていたが、力が抜けたようにへにゃりと笑った。
「……ありがとう、サンズ君」
「ん?何がだ?」
「私の緊張をほぐそうとしてくれてたんでしょ?」
微笑みながらサンズの狙いをピタリと言い当てた。サンズは、そんな一之瀬の笑顔にいつも通りのニヤニヤとした笑顔を浮かべながらとぼけた。
「……なんのことだかな」
誤魔化そうとしているサンズを見て、クスリと笑う一之瀬。緊張はすっかりほぐれたようだ。
「……なぁ、一之瀬。少しオイラからの提案だ」
「ん?何かな」
「……告白はアンタが一人で受けてくれ」
その後、サンズは一之瀬にめちゃくちゃ言い寄られた。
『待って!待って!ホントに待って!サンズ君がいないと緊張ししししててて普通に話せなくなっちゃうつつつから!』
『大丈夫大丈夫。あっちに移動して見とくからさ。だから頑張ってくれ』
『なんで!?なんで!?』
のようなやりとりを繰り広げ、何とか一之瀬を説得することに成功した。
『オイラがいたら、相手も伝えられないだろ?アンタへの思いをな。それにアンタも、オイラとそんな関係になったって相手に勘違いされるのは嫌だろ?』
『う、ううう……べ、別に嫌じゃ……』
『……アンタは 「ケツイ」ってもんを もってるんだ。
そいつをすてないかぎり…
…じぶんの こころに しょうじきに こうどうしつづける かぎり…
アンタには ただしい はんだんが できるって しんじてるぜ。一之瀬』
……そのようなことを言ったら、何とか一之瀬は引いてくれた。
……ただし、相手が来るまで話し相手になってくれという条件で。
そして こくはくのとき が おとずれた。
一之瀬への告白相手……実は最近知り合っていた白波と言う女子生徒…が来た瞬間に少し離れた瞬間に退避し、一之瀬を見守ることにした。
「帆波ちゃん……あの、さっきのサンズ君は…?もしかして、か、彼氏……?」
「ち、違うよ!相談に乗ってもらってただけだから!」
「そ、そうなんだ……その、帆波ちゃん。返事を聞かせてもらっても……いいかな?」
「……千尋ちゃん……」
(……やれやれ、心配する必要はなさそうだな……一之瀬の緊張を解すのは骨が折れたぜ……)
終わったようだ。少し涙目の白波がサンズが座っているベンチの横まで来た。そのままサンズに気づかずに泣いてしまっている。
そんな白波を一瞥して、サンズは近くにあった自動販売機でお茶を購入し、白波に差し出した。
「……へ?」
「ほらよ、いるかい?」
ぽかんとした顔をした白波だったが、数秒後、顔が真っ赤になった。恐る恐る質問する。
「……いつから、いたんですか?」
「アンタが一之瀬に告白してここに来て泣いてたところまで見てたぞ」
「……全部、見てたんですか……っ!?」
白波千尋は耳まで一気に真っ赤に染め上げ、両手で顔を覆ってその場にしゃがみ込んでしまった。
振られたショックが訪れた直後に、同じクラスでもない、異性である男子にその始終を見られていたのだ。恥ずかしさで爆発しそうになるのも無理はない。
声を上げながら蹲っている白波にサンズはゆっくりと近づいて、先程購入した冷たいお茶が入っているペットボトルをピタリと白波の頬に当てた。
「ひゃぁぁぁ!?」
「一之瀬と同じ反応じゃねえか」
少し涙目になり顔をさらに赤くしてこちらを軽く睨見つけるという一之瀬とほぼ同じような行動を白波がするのを見て、次は白石で実験してみようと画策するサンズであった。
「な、なな、いきなり何するんですか!?」
「……気分は紛れたかい?」
「……えっ?」
サンズのあまりにも意図の読めない問いかけに、白波千尋はぽかんと口を開けた。
「アンタの顔、今にも沸騰しそうなくらい真っ赤だったからな。そのままじゃ脳みそが『アジドテトラゾール』で構成されてるのかと勘違いしちまう……冷やすには、ちょうどいいだろ?」
サンズはニヤリと、いつも通りどこか気だるい笑みを浮かべ、千尋の頬から離したペットボトルを彼女の目の前に差し出した。
「ほらよ。泣きっ面に蜂じゃなくて、泣きっ面に『お茶』ってね。水分補給は大事だぜ?」
「……あ、ありがとうございます……」
サンズからペットボトルを受け取ってゴクゴクお茶を飲んでいく白波。その勢いはすさまじく、10秒で全て飲み切ってしまった。まあ、元から量が少なかったというのもあるが。
「ハハハ、良い飲みっぷりだな?」
「……」
生温かいような視線をサンズに向けられている。そう感じた白波は少し恥ずかしがりつつ取り敢えずお礼を言うことにする。
「あ、あの。ありがとうございます……」
「おいおい、お礼を言われるようなことは何もしてないぜ?それと、敬語はいらないぜ」
「……そ、そう?じゃあ、ありがとう」
「お礼はいらないっての」
苦笑しながら言い返す。実際、本当にサンズにとっては当たり前のことをしただけである。
だが、その行動が白波にとってどれほど救いになっているかサンズには知る由もない。
(……あのニンゲンなら……)
……そう、あの優しいニンゲンならば、もっと優しく、懸命に、より良い方法で助けていたはずだ。
「……だめだな」
そう、白波に聞こえないほどの声で小さくつぶやく。そして、まだ泣き顔の白波に笑いかけた。ニンゲン……
フリスクの笑顔と言動を、少しイメージしながら。
「おいおい、まだ泣いてるのかい?そんなんじゃあもったいないぜ。折角可愛い顔してるんだからよ。笑ってるくらいがちょうどいいぜ」
「…………ふぇ?」
「ハハハ、泣き止んだみたいだな。んじゃ、後は頑張りな」
そう言い残して、サンズは去っていった。
あのニンゲンならば、泣き止んでもそばにいてやるのだろうと思いながら。
「……男の人から可愛いって初めて言われた……私ってこんなチョロかったっけ……」
その後、一之瀬から連絡が来た……いつのまに交換していたのだろうか。
『サンズ君、今日は本当にありがとう。次は、私がサンズ君を助ける番だから!サンズ君が困ったことがあれば、遠慮なく言ってね!』
……画面の向こうで、一之瀬が純粋な瞳でそう言っている姿が想像できる。その姿が、パピルスと、フリスクと、トリエルと重なって―――
……やめた。
『困った時には遠慮なく頼らせてもらうぜ』
そう返して、一日を終えた。
……頼ることはないだろうと思いながら……
そこから5日が経過した。どうやら、綾小路達はこの裁判を終わらせるための鍵が分かったらしい。
(……まあ、散々ヒントをやったしな)
監視カメラの映像を作る気は最初からなかった。ただ、そこに綾小路と堀北の意識を向けるために誘導しておいた。その場所が最適解だと示すために。
何度も何度も、場所を確認しに行かせた。情報を捏造するのにはとっておきの場所だと分かったはずだろう。
特に、暑さで頭が回らなくなっていくのはとてもいい。
ポケットに入れていた携帯が震える。綾小路からのメールだ。
『サンズも来てくれ。お前がいたほうがやりやすい』
………しょーがない。行ってやろうか
遅れてすみません。実生活が少し忙しくなっております。投稿頻度がゆっくりになるかもしれません
他のundertaleキャラを追加するなら?
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パピルス
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フリスク(性格はPルートでGの記憶持ち)
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キャラ(ニンゲンに操られていた善人)
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キャラ(悪人)
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他のキャラ(感想にお願いします!)