抜き打ちテストが始まる前日。
坂柳は席に優雅に座っていた。
この時点で、坂柳はSシステムをほとんど理解していた。が、周りに伝えるような事はしなかった。なぜなら…
(ゲームがつまらなくなってしまいますからね…)
坂柳は自分が楽しむためだけに、周りにSシステムについての推測を、あえて言うことはなかったのだ。
そして、坂柳はしばし思案する。
(…県骨サンズ…ですか…)
坂柳は出会った時の県骨サンズの姿を思い出す。
白髪の青色の瞳をした美しい容姿を持つ青年。いつも飄々とした態度をとっているが、橋本正義とは違う、本当に生まれたときからそんな性格のような、そんな感じの行動、言動だ。しかし…
(…彼はどことなく…何に対してもやる気がなさそうですね…)
プールの授業の時、坂柳は上で見学をしていたが、サンズの体は引き締まっており、反応している女子も多数だった。まあ白石としか基本的に喋らないのだが。基本的に無口だが、誰かが来れば対応する。が、その勇気がある女子は未だに少ないようだ。そしていざレースが始まると、サンズは力が少し抜けているかのような力加減で全員が分かるほどあからさまに手を抜いていた。サンズには自覚がなかったようだが。幸いにもレースは前の2人が白熱し、サンズはあまり目立つことはなかった。が、それでも3秒程度遅れてゴールしていた…異常だ。前で争っていた2人はこの学校でも上位に入るほどには身体能力が恐らく高い。にも関わらず、あれほど手を抜いていた状態で、3秒遅れでゴール。常人であれば10秒ほど遅れていたはずだ。
もちろん、サンズが昔水泳をやっていた、という可能性も捨てきれないが。
他にも、坂柳に対してまったく動じることなく話したり、ジョークを織り交ぜてきたりと、なかなか肝が据わっている。交友関係は少し狭いが、最近は白石に加え、葛城や吉田、西川などとも話している印象だ。だが、やはり坂柳が一番に興味を持った点は…
(…量子力学…)
サンズはほぼ常に本を読んでいた。最初はジョークの本の表紙を付けカモフラージュしていたが、今ではもはや隠すことはなくなっている。加えて、大量の式を目を輝かせながら、紙に書きなぐっている。その式としては
iħ ∂/∂t Ψ(r1,r2,…,rN,t)
=
[
Σ(i=1→N) ( -ħ²/(2mi) ∇i² + V(ri) )
+ Σ(i<j) e² / (4π ε0 |ri - rj|)
]
Ψ(r1,r2,…,rN,t)
Ĥ =
Σ(i=1→N) 1/(2mi) ( -iħ∇i - qi A(ri,t) )²
+ Σ(i=1→N) qi φ(ri,t)
+ Σ(i<j) Vij
⟨xf,tf | xi,ti⟩ =
∫ D[x(t)]
exp{ (i/ħ) ∫(ti→tf) [ (1/2)m ẋ² - V(x) ] dt }
…何が何だか分からない…
坂柳は最初は理解しようとしていたが、途中から捨てた。
(…そういえば、サンズ君は自己紹介の時…)
坂柳はサンズの自己紹介を思い出した。
『オイラはサンズ。好きなことはジョークとか研究とかだ。気軽に話しかけてきてほしい。これから3年もあるんだ。コツコツ信頼を作って行こうぜ?』
(確かサンズ君は…研究が趣味だ、と言っていましたね。
これはその研究の一部なのでしょうか…?)
考え込んでいる坂柳。
(…彼をチェスにでも誘ってみましょうか。)
きっと強いに決まっています。と、ほぼ坂柳は押しつけの考えをサンズに持ちながら、薄く笑みを浮かべた。
そして…今日。坂柳はありえないほどの衝撃を受けた。
サンズは全て余裕で解いたというのだ。
(…ありえないっ…)
坂柳ですら躓いてしまったところはあった。もちろん全て正解した自信はあるが、難しいと感じるところは確かに存在した。今まで天才と自負していながら、綾小路に絶対に勝つために並々ならぬ努力を続けてきた坂柳は、あのヘラヘラとした、いつもからかってくるサンズの顔を思い浮かべていた。
(本当に、分かっていなかったのでしょうか。)
サンズは先ほど、
『オイラ、間違えてるかもな。』
とサンズは言っていた。だが、それはほぼ確定で嘘だと坂柳は…いや、このクラスのほぼ全員が考えている。
(…彼を…知らなければ…)
坂柳は一つケツイを浮かべ、行動を開始した。
ケツイを入れたかったんですよ。誤字報告めちゃくちゃください。あとアドバイスめちゃくちゃください
サンズの能力(ガスターブラスターとかじゃないよ!)
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身体能力が綾小路と高円寺より余裕で上
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頭脳が綾小路と高円寺よりも上
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身体能力、頭脳共に綾小路と同等
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僅かに劣る
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どちらも最高レベル
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作者の好きにやれ