マイナス一誠とシトリーさん   作:超人類DX

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間が開きましたが更新です。

……。まあ、シリーズ恒例の――うん。


センパイとお姉さん

 怪我の功名って奴でセンパイとわいわい出来た俺だけど、イリナちゃんとゼノヴィアさんのご飯の事をすっかり忘れてたせいで、教室に戻ったらお腹を空かせていた二人に若干怒られてしまった。

 

 

「もう、お腹空いてたのにこの雌犬がイッセーくんに余計な真似をしたせいで……ぐぬぬぬ!」

 

「余計? 怪我をした一誠くんの心を癒せたのが余計とは私自身全く思いませんが?」

 

「ま、まぁまぁ二人とも……」

 

「菓子パンおいしい……」

 

 

 遅くなった理由がセンパイにあると察しの良いイリナちゃんは見抜き、恨めしそうに睨むのをセンパイは涼しい顔してスルーしてるというやり取りに、何と無く罪悪感みたいなそれを感じながら弱気に止める横でゼノヴィアさんがチビチビと買ってきたメロンパンを食べる。

 

 ゼノヴィアさんは置いとくにしても、俺にとって唯一交遊関係が強いセンパイとイリナちゃんが喧嘩してるのは嫌だというか……俺のせいなのかもしれないけど、して欲しくは無いので一応止めには入る。

 

 

「というか、アンタの姉と部下のせいでイッセーくんが怪我したのに……」

 

「それは申し訳ないと思ってます。ただ、一誠くんが『別に良い』と言ってる以上、波風たてずに居た方がと」

 

「うん、単に左目が抉れただけだし、その程度なら『否定して逃げられる』から問題ないのさ」

 

「む……一誠くんがそう言うなら……」

 

 

 ハリボテでしている左目の眼帯に手を添えながら、不満そうにするイリナちゃんに言う。

 死んでも尚その現実を否定して逃げる事が出来る性質になってしまったし、今更怪我程度でギャーギャーと喚くつもりも無い。

 魔王様その2はセンパイのおねーさんだし、匙くんはセンパイの眷属だもの……そら許すよ。将来的にそっちの方が良いし。

 

 

「それにこの怪我のお陰でセンパイに撫で撫でして貰えたしね!」

 

「ふふ、先程の一誠くんは甘えん坊さんでした……」

 

「あーっ!! やっぱりそういう事してたんだ! ズルい! 私とはそういうことしてくれないのにー!」

 

「クリームパンがおいしい……」

 

 

 

 

 

 

 

 セラフォルーはソーナの姉だ。

 そのキャラと趣味のせいで、若干引かれてる部分はあったものの、決して仲が悪いわけでは無かった。

 寧ろセラフォルーからすれば、妹のソーナは何よりも大切で、可愛さのあまり目に入れてグリグリしたって痛くないと言える程だった。

 

 けれど、久しぶりに見た妹の姿は、前回会った時とあまりにも違いすぎていた。

 上手く説明できないが、こう……駄目になっているというか、コカビエルを倒して一躍ヒーローとなったリアス眷属の兵士の少年の双子の弟という、セラフォルーにとっては正直どうでも良い人間とソーナがあんなにも仲良くしていた事に軽くショックだった。

 

 更にいえば、自分の落ち度でその人間の少年の目が潰れ、その事について本人はおろかソーナにですら『アナタは悪くない。』と言われた時は、言い知れぬ不安を煽られてしまった。

 

 

「こ、此処に居るんだよね? 確か……」

 

 

 責めることもせず、ただ揃って『悪くない。』と言われたのに感じる不安。

 それが今のセラフォルーの心を覆い尽くし、何かを知っているだろうサーゼクスからは『そんなに気になるなら一言謝罪したら?』と他人事の様に言われるがままに、一誠とソーナが居ると聞いた『ほぼ誰もない教室』の前までやって来て、中から聞こえるソーナと先程の一誠と呼ばれた少年……そして二人ほどの少女らしき声を盗み聞きするかの如くドアに耳を当てて探ってみる。

 

 

『そんなこんなで、近々家を出ようと思うんだよ』

 

『え、そうなの?』

 

『うん、最近は『お兄ちゃん。』のお友達が毎日のように来てさぁ。独りで人生ゲームするにと喧しくて』

 

『そんな訳で、近々一誠くんを私が住んでる部屋に連れていこうかと……』

 

『はぁ!? いやふざけんなこの雌犬! 次々と抜け駆けばっかりして!』

 

『……。最近、暖かい布団で寝てない……』

 

 

 

「す、住む? ソ、ソーナちゃんがあの男の子と?」

 

 

 耳を当て、気配を極限まで押し殺して聞く一誠達の会話の内容にセラフォルーは愕然……とまではいかないけど驚いた。

 予想していたとはいえ、余りにも知らない間に妹が人間の男の子との仲を深めすぎていた事に。

 そして平然と受け入れているソーナ自身に。

 

 

「駒で転生してる訳じゃないのに、人間なんて直ぐ年老いちゃうのに……」

 

 

 ソーナが決めた事に今更姉面して反対するつもりは無かったが、種族としての寿命と老化の差が大きすぎる者同士の恋愛については、どちらかといえば反対だった。

 それは確実に先立つ一誠に取り残されたソーナを思えば当然の事なのだが、セラフォルーは知らないのだ。

 

 

『ふむ、何なら貴女達にも部屋を提供して差し上げましょうか? 正直独りで住むには前々から広すぎる部屋でしたし、教会から脱退して寝床が無いなんて一誠くんの『お友達』である以上、放ってはおけませんし』

 

『む……!』

 

『え、暖かい布団で寝れるのか?』

 

『あー……良いんじゃねそれ? ちょっと俺の肩身が狭くなりそうで緊張しちゃうかもだけど。へへ……』

 

 

 一誠の持つ性質から覚醒した能力(マイナス)がある事を。

 そしてその力が、ソーナと過ごした時間に比例して、更に手の付けられないものにマイナス成長している事を……そしてその力があれば生も死も老化も寿命も思うがままな事を……。

 

 

「!?」

 

 

 そうとは知らないセラフォルーからすれば、ドアの向こうでの会話は色々とアレな会話にしか聞こえない。

 ソーナの住んでる部屋に一誠が……更には例の事件のせいで神が不在だという事実を知って教会から脱退した二人の元悪魔祓いまでもが住むという話にセラフォルーは強烈な危機感を覚えた。

 

 何せ元とはいえ悪魔祓いが二人もだ……何かの拍子で喧嘩になって滅されましただなんて笑い話にもならない。

 

 

「ソ、ソーナちゃんから出した提案だけど、それは無謀すぎるよ……」

 

 

 能力保持者(スキルホルダー)という共通点を知らず、只の人間と悪魔祓い二人と決めつけてるセラフォルーからすればゾッとしない話に、今にもドアを蹴り破って登場し、ちょっと変わってしまったソーナに駄目だと反対したい衝動に駆られた。

 しかし、誰かが止めないと既に扉の向こう側での4人の会話はソーナの住んでる家に住み着くという話で終わりそうになっている。

 

 

「う……く……!」

 

 

 家族の賛成反対の話すら無いのに、年頃の男の子一人に女の子3人なんて、何もない訳がない。

 そうでなくても一誠という少年は人間なのに人間とは違うナニか得体の知れないものがあると、長年の魔王少女的勘が働いていたセラフォルーは――

 

 

「ス、ストップ!!」

 

 

 心の準備も後回しに扉を勢い良く開け放ち、4人しか居ない教室の真ん中で菓子パンを頬張っていたソーナ、イリナ、ゼノヴィア……。

 

 

「あ、さっきの魔王様その2」

 

 

 そして一誠のもとへ突撃を噛まし、自分の登場に若干ポカンとしてるその瞳に、早速戦意的な何かが削がれた気分になってしまう。

 

 

「うっ……」

 

「お姉様? 今度は何の用ですか?」

 

「え、この人がアンタのお姉さんで魔王なの?」

 

「……。なんか、色々とイメージが壊れた気がする」

 

「俺は前に携帯画面で見たからねー……若干の免疫はあるぜ」

 

 

 自分の姿を見て胡散臭そうな表情をするツインテールの女の子と青髪に緑のメッシュが入ってる少女と、眼帯をした少年……そして妹のソーナから一斉に浴びる視線と、その『初めて感じる形容しがたい雰囲気』にセラフォルーは尻込みしてしまったのだ。

 特にツインテールの少女――つまりイリナと一誠とソーナは殆ど同じ雰囲気を纏い、その瞳も濁ったそれに見えなくもなかった。

 

 

「まさか律儀に一誠くんが気になりましたか? それならこの通り、治療がギリギリ間に合って失明という事態は免れましたよ」

 

「あ、そ、そう……なんだ……」

 

 

 もぐもぐとコッペバンを食べながらジーッと自分から視線を外さない一誠・イリナ・ゼノヴィアに妙な居心地の悪さを感じつつ、淡々と述べるソーナの言葉にちょっとだけ安心しつつもやはり変わってしまってるとセラフォルーは思った。

 

 第一、前なら自分が姿を現した時点でもっと可愛く恥ずかしがっていたのに今はどうだ? 何処までの淡々と抑揚無い調子で話し、恥ずかしがる反応の『は』の字すら見せず、若干突き放されてる感もある。

 それがセラフォルーにとっては何よりも心にグサリとくるものがあった。

 

 

「え、えっと……ご、ごめんなさい。私のせいでキミに大怪我させて……」

 

「え?」

 

 

 だが取り敢えずは謝る。

 どうであれ、自分がハシャイだせいで大怪我をさせてしまった事実に嘘は無いし、何よりこのせいでソーナと疎遠になったら死ねる。

 だからソーナと親しい通り越して普通に恋人っぽい空気放つ人間の男の子を『ほんのちょっぴり気に入らないけど』謝った。

 するとそれを受けた一誠は、眼帯で隠れてない右目を丸くしながら軽く驚いたリアクションをする。

 

 

「謝られたぞ……? 寧ろ殺しに来ると思ってたからちょっとビックリ」

 

「は?」

 

 

 謝れた事実に驚きつつ、殺しに来たと思ったと宣う一誠に今度はセラフォルーが目を丸くする。

 

 

「何時ものパターンだと、お前がそこに居たからだ! とか何とか言われて釘バットでボコボコにされるからさぁ……逆に謝られる事にオイラ驚くよ」

 

「く、釘バット……?」

 

「あぁ、私と再会する前のイッセーくんの話を聞く限り、無意味に嫌われてたっぽいもんね」

 

「街でチンピラに無意味に絡まれて腕と足の骨をへし折られたって話もあるくらいですからね、まあ、この姉は流石にそうはしませんよ流石にね」

 

「……。色々と壮絶だったんだなお前」

 

 

 それが当たり前だと言わんばかりにヘラヘラした顔で話す内容にさしものセラフォルーもちょっと引いた。

 どうやら一誠はやはり『普通』の人間では無いという確信と共に。

 

 

「そ、そんな事しないよ……。ただ私は――」

 

「あーはいはい、さっきも言いましたが、別に気にしなくても良いっすよ?

魔王様その2ともあろうお方がこんなちっぽけ人間が一匹や二匹壊れちまおうが気にする必要なんてねぇ?」

 

「うんうん、寧ろ放っておいて欲しいわ」

 

「もう騒動は懲り懲りだ……。

静かに普通に暮らしたい……」

 

「……。と、我々はこの意見で纏めてますわよレヴィアタン様?」

 

「う……」

 

 

 ヘラヘラと笑いながら眼帯越しに左目に手を添える一誠と、それに同意するかの様にニコニコしながら頷くイリナと、何処と無く哀愁を漂わせながらポツリと呟くゼノヴィアと、姉とすら呼ばず『良い笑顔で』話すソーナにセラフォルーはすっかり凹んでしまった。

 

 気にして無い訳がない言い方なのだ……全員が全員。

 魔法のステッキという名の鈍器で数多の悪者(魔王少女的な意味で)を凝らしめてきたセラフォルーにとってはあらゆる意味でやりづらい相手だった。

 

 

「ぜ、絶対気にしてるでしょ?」

 

「嫌だなぁ? そんなこと無いっすよ~ 寧ろこの怪我のお陰でセンパイともっと仲良しになれましたし」

 

「う、嘘だ……。

ソーナちゃんに『センパイのおねーさんキライ』って後で言うんでしょ?」

 

 

 疑心暗鬼……今のセラフォルーの心はその言葉で埋め尽くされていた。

 伊達に姉をやってる訳じゃない。ソーナがこれ程まで何の特徴も無さそうな人間の男の子を好いてる事ぐらい今回のことでよく知った。

 だからこそ、一誠に余計なことをソーナに吹き込ませる訳にはいかなかった。

 

 例えばそう……『センパイのおねーさん苦手であんまり関わりたく無いっす』とか『センパイのおねーさんを見ると怖くて仕方ない』とか。

 

 

「あのですねぇ……」

 

 

 そんな意図があると察しているのかいないのか、一誠はしつこく食い下がるセラフォルーにちょっと呆れながら、この際ハッキリ言ってみようかと口を開きかけたその時だった。

 

 

「いい加減しつこいですよレヴィアタン様」

 

 

 一誠の声を遮るかの様に声を出したソーナが、ちょっと怒った様子でセラフォルーの前に立った。

 

 

「ぁ……ソ、ソーナ……ちゃん?」

 

 

 その表情は激しい怒りというよりも、人が人を見限るソレに似ており、一瞬でそれを察したセラフォルーの身体がビクりと強ばった。

 

 

「何も思ってないと本人が言ってるのに、女々しくしつこいんですよアナタは。

何時ものあの小煩いノリで呑気に構えてれば良いものを、今日に限ってゴチャゴチャと……」

「そ、そんな……私は――」

 

 

 冷たい雰囲気と視線を向けくる実の妹に、ますます小さくなるセラフォルーは慌ててそうじゃないと口を開こうとするが……。

 

 

「そもそもこの様な場所でそんな痴女みたいな格好をして来る時点で真面目に謝れるとでもお思いですか? え?」

 

「うぐ……そ、それはソーナちゃんだってわかってるでしょ? こ、これが私の正装――」

 

「へぇ? 所構わずそんな格好で変なポーズ取ったり、わざとらしく殿方に下着を晒して悦に入るのが正装ですか? 昔からそうじゃないかと思ってましたが、どうやら真実はその通りのようで……」

 

「ち、違うもん! そ、そんなんじゃ――」

 

「ほう、なら私的に言わせて貰いましょうか? そんな露出の多い衣装着て男性騒がれて喜んでる人を総じてビッチって言うんですよ」

 

「びっ!?」

 

 

 

 

「あら……センパイが何時にも増して怖い」

 

「なんか……お前等三人にこの前散々言われた時のデジャブが……」

 

「早く終わらないかしら……怠いわね」

 

 

 一誠を思わせる薄ら笑いを浮かべ、セラフォルーが現在進行で着ている大きなお友達の大好きな格好について真っ向からエグい一言をぶつけるソーナに、すぐ後ろで眺めていた三人は飲み物を飲みながら呑気に聞いていており、姉妹喧嘩は更に加速していく。

 

 

「び、ビッチじゃないもん! この格好が好きなだけで――」

 

「言い訳なんて何とでも言えますよ。

露出の多い服着て大勢の前に出て、あざとい台詞を吐く方など姉だろうがなんだろうがノータリンのお馬鹿かビッチですよ――私にとってはね」

 

「うぐぐ、違うもん! ……………違うもん……」

 

「まあ、他の方からすれば違うかもしれませんし? そんなに悲観しなくても宜しいのでは? まあ、私はあなた様を『アホな格好して出てあざといポーズして、反応を楽しんで悦に浸る痴女な姉』と思い続けますがね、これまでもこれからも」

 

 

 薄ら笑いから無表情になってザックリ言い切るソーナにセラフォルーは心の中に留めといた何かが壊れそうになっていった。

 

 いくら違うと否定しても、実の妹にこんな幻滅され顔で痴女扱いされてるのだ……心に来るのも仕方ない話だった。

 

 

「違う……違うんだも……ふぇ……」

 

 

 故に涙腺が壊れてしまうのもまた……致し方なしであった。

 

 

「び、びっちじゃないもん……じゅんすいに好きなだけなのにぃぃ……!」

 

「ほう、今度は泣きに入りましたか? それはそれは……そうすれば世の殿方はあなた様に味方しますものね? 流石は魔王様――実に人の動かし方を熟知されておいでで……」

 

 

 そして散々言われ、ポロポロと溢れ出る涙が止められず、それでも違うと言い続けるセラフォルーに無表情で言い放つこの一言が、心を支えていた最後の壁を破壊した。

 

 

「びぇぇぇぇぇん!! 違うのにぃぃぃ!!」

 

 

 姉としても魔王としての威厳もぶち壊れ、ただただその場に崩れ落ちて大泣きする魔王少女(推定数百歳以上)。

 

 

「ど、どうしたそんな意地悪言うの? グスッ……ま、前のソーナちゃんは言わなかったのにぃ……!」

 

「泣けば済むんですか? あぁ、泣いたら皆に味方されますものね? 流石レヴィアタン様……参考にさせて頂きますわ」

 

「うわぁぁぁぁん!! ソーナちゃんがグレたぁぁぁ!!」

 

 

 目を真っ赤に腫らした実の姉にニッコリしながらトドメこ言葉を刺し、まあ大声で泣く。

 何というか、後ろで見ていた第三者からすればシュールすぎる絵面だった。

 

 

「わぁ、センパイがSだ……」

 

「さっきお前等にされたのとまんま同じだから、何と無くあの魔王の気持ちはわかる……」

 

「泣いてないで早く帰れば良いに……姉妹喧嘩を此処に持ち込まないで欲しいわ」

 

 

 どんな形でも心をへし折るのに長けているが故に、へし折られたセラフォルー……ではなくてへし折ったソーナにキラキラした目で見つめる一誠。

 ちょっと内心ドキドキしてるのは内緒だ。

 

 

「そういう訳ですので、さっさと帰って魔王の仕事も痴女な趣味も頑張ってくださいね……お・姉・さ・ま♪」

 

「ご、ごめんない……ごめなさいぃ……!」

 

「私に謝られても困りますね……そもそも怒ってる訳じゃありませんし」

 

「ふぇ……」

 

 

 妹が豹変した理由を探りに来たら心を抉られ、更には泣かされてしまったセラフォルーはくすんくすんと鼻を啜り、目を真っ赤にさせてガックリ項垂れる。

 

 今まで言われても平気だったのに、無表情でお前なんてもうどうでも良いと主張する目で言われただけでこの様……。

 これじゃあ魔王もクソも無いと、セラフォルーは心の中で考えていたが……。

 

 

「くすんくすん……ご、ごめんなさい……怪我させて……」

 

「別に俺は良いんで……はい」

 

「さっきからそう言ってるのにまだそれを言いますか……しつこい人ですね」

 

「うきゅ……! ご、ごめんなさい……ごめ……んなさい」

 

 

 今現在も向けられるソーナからの罵倒される言葉と蔑む様な表情に、セラフォルーは俯きながらモジモジと身体を揺らし……思っていた。

 

 

「……。(ど、どうしよ……泣き止んだ辺りからソーナちゃんに罵倒されると――)」

 

「……。何ですか?」

 

「っ!? な、なんでもないよ……あ、あはは……グスッ。(あ、あの目と顔をされると何だか――)」

 

 

 

 

 

 

(もっと蔑んで欲しい……かも)

 

 

 実の妹に罵倒される事に言い知れぬ気持ちよさがあると……。

 それが如何に駄目な方向に進んでしまっている事に気付かずにだ。

 

 

終わり




補足

妹に罵倒されてビクンビクンに目覚めました(真顔)

……。ちなみにまだギリギリ引き返せますが、お分かりの通り、私がやってるシリーズで引き返せた方はおりませんのでお察しです。

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