マイナス一誠とシトリーさん   作:超人類DX

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ちゃくちゃくと出世し始めるお兄ちゃまの裏で、今日もマイナス達は暢気に過ごす。


英雄視されてる者の裏

 冥界で何かあったらしい。

 ストーカーがどうだとか、悪魔の旧社会派の1人が乗り込んでどうだこうだだとかがあっただのって。

 

 まぁ別に知らんし、関係ないわけだけど。

 

 

 

 

 

「大変だったらしいぜ? ディオドラが旧ベルゼブブと結託してまでアーシアを自分のモノにしようとしてたのが発覚しちゃってたり、お前の兄貴っつーか兵藤誠八が何か切れて覇龍化して暴走したり、なぜか放蕩中のヴァーリがやって来て何かやってオーフィスとかグレートレッドが泳いでたりとかあってさぁ」

 

「それは何ですか? そんな状況があっても呑気に学校で宿題やってた俺達への嫌味かなにかっすか?」

 

「いや別に? お前達には全然関係ない話だし、俺が言いたいのは、そういったイザコザで活躍してくれたのがあのサイラオーグだって話がしたかっただけだぜ」

 

「サイラオーグさんが……?」

 

「おう、例の黒ずんだ狼の鎧を纏って覇龍化して暴走したオメーの兄貴を止めたりとかしてな。

いやー……アイツ思ってたよりは強いねホント」

 

「ふーん……?」

 

 

 兄貴君が英雄視されるのはどうでも良いが、夏休みにクワガタ捕りをしたサイラオーグさんが色々と頑張ったみたいな話を聞いた時は、ぬぼーっとしていた一誠も聞く気になった。

 どうやら彼はアザゼルの思っていた以上にやり手だったらしい。

 

 

「アイツの持ってる鎧ってマジ調べてぇわ……」

 

 

 謎の鎧を見て研究者気質が刺激されてるアザゼルがニタニタ笑っている。

 どうやら概ね冥界はそんな感じになってる様だが、やはり一誠にはほぼ関係のない話だった。

 

 

「で、そんなこんなで今兵藤誠八はデート中らしい。

若いよなぁ」

 

「はぁ」

 

「そんな話をされてもね」

 

「かなりどうでも良いわね」

「美味いな、このチョコチップメロンパン」

 

 

 悪魔でしかもシトリーだが、全然興味がなさげなソーナ、元から人間なので悪魔社会がどうなろうが知ったことではない一誠、元は敵対組織に居たイリナとゼノヴィア。

 ソーナはともかくとして、残りは悪魔でもなんでも無いのだからこんな態度なのも仕方ないのかもしれない。

 

 まぁもっとも――

 

 

「やぁイッセー君!! 釣りに行こうぜ釣り!」

 

「はぇ?」

 

 

 噂のサイラオーグがニコニコ笑顔の釣りキチスタイルで現れるからそうもいかないのかもしれないが……。

 

 

 

 

 

 コンビニ行ってくる的なお手軽感覚でやって来たサイラオーグに連れ出されてしまったイッセーは、後からやって来た匙を巻き込んでの釣りキチタイムへと突入した。

 

 

「定番の湖や沼も良いが、こういう小さい川での釣りこそ至高だとは思わないか?」

 

「は、はぁ……」

 

「ギャップがスゲーっす」

 

「釣りとか何年振りだろうな。割りと総督業が急がしくてさぁ」

 

 本当に用水路みたいな小さな川。

 それも普段は誰も近づくことも無さげな川に、若い男女が割りと大所帯で畔に腰掛けながら釣りをする………それも全員が釣りキチスタイルで。

 誰も何も言わないが、それはまさにシュールすぎる光景だった。

 

 

「申し訳ありません、突然言い出したら聞かない人なので……」

 

 

 そんな主に慣れてるのか、女王のクイーシャ・アバドンが例に漏れない釣りキチスタイルで釣糸を垂らしながら、イッセー達に謝罪する。

 

 

「やることも無いし、寧ろ親切にして貰ってるので構いませんが……」

 

「先日のご活躍を聞いてるだけに趣味が少年というか……」

 

 

 金髪ポニテの美女が釣りキチスタイル、しかも妙にこなれてる。

 何とも言えない残念さを醸し出すクイーシャに、匙とイッセーは微妙な気分になる。

 

「そこが可愛いのですがね」

 

「「………」」

 

 

 クスクスと笑うクイーシャ。

 あぁ、そういう事か……と、匙とイッセーは無言で顔を合わせながら悟る。

 大変そうだけど勝ち組なんだなぁ……と。

 

 

「あ、また釣れたぞ!」

 

 

 結局、そんなシュールな状況を出来るだけ楽しむ事にしたイッセーは何度も餌の付け替えをしては水面に垂らすという作業を繰り返すが一向に釣れやしない。

 別に釣れないからイライラする気は無いが、さっきから横でゼノヴィアが入れ食い状態で何でもかんでも釣り上げてはハシャイでいるのを聞くと、何だか微妙になってくる。

 

 

「これはなんという魚なんだ?」

 

「フナだな。人間界のフナは小さくて釣りやすい」

 

「フナか……。なぁなぁ三人共、フナが釣れたぞ!」

 

 

 しかも釣り上げる度に、小さな子供の様にハシャイでは獲物を捕まえては飼い主に見せに来る飼い猫みたいに一々報告までしてくる。

 一切まったく釣れてないイッセー、イリナ、ソーナはその都度はいはいと適当な返しだ。

 

 

「よかったねー……? 俺は一匹も釣れてないけど」

 

「楽しそうねー……? 私も一匹も釣れてないけど」

 

「さぞ気分が良いでしょうねー……? こっちはまったく釣れてないけど」

 

「え……ぁ……」

 

 

 魚にまで避けられる程に退化が進んでいるのか、サイラオーグや匙やサイラオーグの眷属達はチビチビと釣り上げてるのに、この三人だけは未だに零。

 別にだからムカつくって訳じゃないが、何となく虐めたくなったので、凄まじく良い笑顔で一言ずつ返してやると、途端にゼノヴィアの顔は泣きそうなそれになる。

 

 

「す、すまない! そんなつもりは無かったんだ! お前達に褒めて貰いたくてつい……! 不愉快に思ったのなら謝るから!」

 

「「「………」」」

 

 

 三人に見捨てられてしまうと思ったゼノヴィアがオロオロしながら何度も謝る。

 先に言うと別に三人は怒っては無い。ただ単純にゼノヴィアが慌てふためくのを見たいだけという最高に最低な連中である。

 

 

「や、やめてくれ……見捨てないで――うわぁぁぁん!」

 

 

 三人からの感情の見えない瞳を受け続けた結果、遂にビービーと泣き出してしまうゼノヴィア。

 ご存知の通り、コカビエルが起こした騒動の際、一誠がこの世に存在する聖剣の存在全てを『否定』してしまい、ゼノヴィアが所有していたデュランダルまでもが消え去ってしまった。

 

 しかも信じていた神は既に存在してないという現実まで突き付けられてしまうしで、軽く世の中に不信を持ってしまうのも無理はなく、彼女が今信じられるのはよりにもよってある意味表裏が無いこの三人だけだった。

 だからこの三人に見捨てられてしまえば今度こそ自分は生きてはいけない――だから必死になって自分を見捨てないでくれと懇願するし、そのせいで泣き虫気味にもなってしまっている。

 

 

「お、おい……泣いたじゃないか」

 

「可哀想だろ……」

 

 

 端から見れば可哀想に思えてしょうがなく、思わずサイラオーグや匙が助け船を出すくらいにゼノヴィアの取り乱しっぷりは凄まじいのだ。

 

 

「ぐすん……」

 

「すぐ泣くわねアナタは。精神的に退行してるようにしか思えないわ」

「ごめんごめん、ほんの冗談のつもりだったけど、流石に悪かったよ」

 

「グミあげるから許してちょうだい?」

 

 

 よりにもよって、このマイナス三人に依存してしまっている。

 ゼノヴィアの未来はあまり明るいものではないのかもしれない。

 

 

「もぐもぐ……おいしい」

 

 

 本人は楽しそうだけど……。

 しかし、この依存度の高さが後に小さな小競り合いに発展するとは釣りに興じる皆は知らなかった。

 

 というか、ある意味事の発端は地味に巨鯉を釣り上げてサイラオーグとはしゃいでるアザゼルから始まったともいえなくもなかった。

 

 

 

 

 

 釣り遊びから明くる日。

 常にイッセーという本来の性格とはかけ離れ過ぎて害悪と化した存在のせいで自分の精神の均衡が崩れる――――と思い込む兵藤誠八は、ディオドラ・アスタロトや旧魔王派の一人とのイザコザに、イッセーが一切しゃしゃり出て来なかったというのもあってか少しは落ち着きを取り戻していた――――

 

 

「アザゼル、何故アナタはそう簡単に接触できるのよ?」

 

「私達が行っても居ないのに」

 

「知るかよってか仕方ねーだろ、アイツのクラスは崩壊してるし、教師も全員嫌がって勉強を教えたがらねぇんだから」

 

「……………………」

 

 

 ――――てな事は無く、アザゼルが学級崩壊を引き起こしたイッセーの勉強の面倒を見てて、それを聞いた朱乃と小猫の二人が納得いかないとばかりに毎度イッセーの事を話題にするので、イライラが止まらなかった。

 

 

「クソ、またアイツの話を……」

 

「セーヤさん……」

 

「大丈夫だよ、最近大人しいみたいだし」

 

 

 最早何かある度にイッセーが余計な真似をしてるのではないかと疑ってしまう妄想に囚われ始めてる誠八に、イッセーという存在そのものを嫌悪する木場とアーシアが落ち着かせる。

 

 

「別に何もしてないのに、どうしてそう過敏になるのかしら……。朱乃と小猫も気にし過ぎな気もするし」

 

 

 あくまで中立なリアスはそんな割れてる自分の眷属達を前にため息を吐いてる。

 

 

「それでアザゼル? 北欧神話の主神クラスが日本神話との会談の為に来日している―――からの続きをそろそろ話しても良いんじゃないの?」

 

「んぁ? そうだったな。おいイッセーの事は後にしてオメー等もちゃんと話を聞け」

 

 

 取り敢えずこの変な空気を紛らわす為に、リアスは話をすり替え、アザゼルから北欧神話が日本神話との会談を行い、その護衛の手伝いをするという話を聞かされた。

 

 

(ロスヴァイセか……)

 

 

 その話を聞いてる最中、知識を持つ誠八はその中に後々仲間となる者らしき名前を心中呟き、彼女は間違いなくイッセー達と関わることは仲間になって以降でなければあり得ないと考えつつも、油断はしないことを固く誓う。

 

 

「アザゼル先生、当然その話をイッセーにはしませんよね? 何の関係もないアイツに」

 

「してどうするんだよこんな話。一般人を巻き込む訳ねーだろ?」

 

「……………」

 

 

 アホらしいとばかりにアザゼルは返す。

 いくらアザゼルとて、分類上は無関係のイッセーにこんな話をしても無意味なのは分かってるので言うわけが無いのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――と、いう訳でオーディンが来るぜ」

 

「いや誰ですか?」

 

「北欧神話の主神クラスの一人よ」

 

「ふーん?」

 

 

 そう、イッセーにでは無くソーナには言うが。

 そして常に一緒のイッセーの耳に入るのは事故みたいなものであり、嘘は言ってないのだ。

 

 

「噂だと結構な好色ジジィらしいわねオーディンって」

 

「ご名答。良い言い方をすると結構軽い性格してるともいえるな」

 

 

 朱乃と小猫をリアスに任せ、イッセーの教室へと来たアザゼルは、当然の様に居たソーナにリアスにした話と同じ内容の話をする。

 横で聞いていたイッセーはオーディンという者が何なのかすら知らない様だったが、ソーナ、イリナ、ゼノヴィアの三人は裏の顔も持っていたので知ってはいる様子。

 

 

「でよ、一応護衛の手伝いをリアス達に頼んだ訳だが……」

 

「えー? そんな事をする暇があるならイッセーとダラダラしてたいから嫌だわ」

 

 

 とはいえ、ソーナには最早使命感だの責任感だのというモノが完全に消え失せてしまっており、リアス達が頑張るなら自分はやらないと、珍しくソーナの方がイッセーに膝枕されながら、ニートみたいな台詞を吐いている。

 

 

「だろうな。別に俺も堕天使としてやらなきゃなんねー事であって悪平等(ぼく)としては正直蚤程にどうでも良いと思ってるからな」

 

「第一そのオーディンってスケベなんでしょう? 変な事されたら嫌だわ」

 

 

 反対側の膝で膝枕をされてるイリナのやる気もへったくれもない言い方に、アザゼルも堕天使として仕方なくやってる感はあると同意する。

 そのすぐ後ろでゼノヴィアがイッセーに膝枕をされてる二人を親指をしゃぶりながら羨ましそうに眺めてるのだが、アザゼルは――敢えて黙っていた。

 

 

「一応こんな事があるんだって話だけをしとこうと思ってただけだから気にすんな。

つーか下手にイッセーが関わるだけで兵藤誠八の精神が笑えるくらいおかしくなるしな?」

 

「言われなくてもそんな小難しそうな事に首なんて突っ込みたくはないっすよ。

頼りになるお兄ちゃまがどうせ頑張るだろーし」

 

「そうそう、最近上層部から無能シトリーと呼ばれてる私よりもしっかりものであるリアスが頑張るでしょうし?」

 

「もう私は教会とも天界陣営とも関係ないし?」

 

「良いなぁ……私も加わりたい……」

 

「くくく! すっかりマイナス化しちまったなお前らも」

 

 

 若手の中でもぶっちぎりの評判の悪さを誇るソーナの堕落っぷり―――というか、隠してきた本質の凶悪すぎるマイナスっぷりにアザゼルは思わず笑ってしまう。

 いや、その本質を100%引き出させてるイッセーの他人を堕落させる性質の凶悪さともいうべきなのか……。

 

 朱乃と小猫もその一端に触れただけでああも魅入られてる辺り、闇を抱える者にとってのある意味救世主なのかもしれない。

 もっとも本人にその自覚はまったく無く、友人と楽しく生きられればそれで良しとしか思ってない様だが。

 

 

「そういやお前に婚約話があったって聞いたんだが……」

 

「何時の話をしてるのよ? そんなものとっくに消えて無くなったに決まってるでしょう? 全身の皮を剥いで、『この姿でも愛してくれるなら考えてやらないこともない』って言ったら吐きながら逃げたわ。

ふふ、やっぱりイッセーだけよ、そうなっても私を愛してくれるのは」

 

「逆もまた然りですけどね」

 

「うーん、狂ってて最低だなお前ら!」

 

 

 ある意味今の悪魔達よりも悪魔らしい本質を持つ人間。

 それが兵藤イッセーなのかもしれないと、逆にオーディンや日本神話の連中に会わせてリアクションが見たくなるアザゼルなのだった。

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 ちょっとした実験だよ実験!

 

 等と、横暴だけど小心者などこぞのディレクターみたいな事を思ったアザゼルは、まず試しにほんの一瞬オーディンとマイナス三人とオマケを会わせてみた結果。

 

 

「アレヤバくね? 悪魔もそうじゃけど、あの人間ヤバくね? 儂初めて人間怖いって思ったわ」

 

 

 神相手にすら潜在的な恐怖を植え付けられる程、イッセー達マイナス組のマイナスは退化の一途を辿っている様だった。

 どうやら突き詰めればマイナスは神にとっての天敵にすらなりえる――という研究結果を得たアザゼルは少し満足したのだが……。

 

 

「センパイ、あの人がこっち見てきます 一人置いてきぼりくらってる女の人がこっちをガン見してきます」

 

「放っておきましょう。

リアス達がなんとかするでしょうし、早く帰ってご飯食べましょう?」

 

「そうね、余計な女は邪魔にしかならないわ」

 

「……」

 

 

 そこで少しだけ予定外な事が発生してしまう。

 何が理由なのか、突然リストラをくらったとあるヴァルキリーがリアス眷属に―――

 

 

「リストラされました、路頭に迷いました、お腹空きました……ご飯ください」

 

 

 じゃなく、ほんの少しだけしか顔を合わせてないどころか話もしてないマイナス組に飯の催促をしてくるのだ。

 

 

「いやこっち来ないで貰えます? うちのお兄ちゃまの所行けば飯だろうがなんだろうが貰えるでしょうし」

 

「リアスに連絡しておきますから、ね?」

 

「帰れ」

 

「そ、そうだそうだ!」

 

 

 何でこんなほぼ知らんヴァルキリーに寄られるのかマイナス組には自覚が無い。

 何故なら彼女はリストラ前までリアス眷属達……特に誠八と何やら楽しげにしてたように見えたのだ。

 特にゼノヴィアは、この女がもし自分みたいにこっちに来たら追い出されてしまうかもしれないと必死にヴァルキリー――つまりロスヴァイセに帰れと連呼する。

 

 

「な、何でですか!? 優しくしてくれたじゃないですか! 特にそこの赤龍帝の弟さんは優しく微笑んでくれたのに!」

 

 

 だがロスヴァイセは帰ろうとしないばかりか、イッセーを指差しながら優しくしてくれた人と―――

 

 

「優しくって何よ?」

 

「オーディンってのにリストラ食らったって一人ショック受けてる顔が面白くてつい笑ってただけなんだけど、それを勘違いしてるみたい……この人」

 

「………。ゼノヴィアみたいな人ね」

 

「! わ、私とあの女が被るとするなら、やはり私はあの女を懐に入れるのは反対だ! じゃ、じゃないとキャラが被って私が捨てられてしまうだろう!?」

 

「心配しなくても君を今更見捨てる気はないから安心しろよゼノヴィアさん?」

 

 

 この時点で特にゼノヴィアはロスヴァイセを敵視し始める。

 

 

「彼氏もできない、リストラされる……く、くふふ……私が生きてる意味なんて……」

 

「じゃあ養ってくれそうな男の人でも探したら良いでしょうに。

夜中のホテル街に行けば金だけは持ってる変態なおっさんにご飯食べさせて貰えるでしょうしね」

 

「そうよ。

変態プレイさえ我慢すれば、見てくれは良いんだし食いっぱぐれる事なんて無いわよ?」

 

「もしくは兵藤君に胸でもさわらせて懐柔させるとか」

 

「私はそんな安い女じゃないです!! 何ですか皆してニヤニヤと人の不幸が楽しいみたいな顔で!!」

 

「………………」

 

 

 どう見ても自分に対してやってた事をこのロスヴァイセに向け始め、何だかんだで勝手に押し入ってくる彼女にご飯を食べさせてる。

 

 

「………………おい」

 

「なんですか! アナタも私を馬鹿に―――っ!?」

 

 

 だからゼノヴィアは、生まれて初めて感じたドス黒い気持ちを包み隠さずに解放した。

 

 

「私から三人を奪うようなら……どんな手を使ってでもお前を殺してやる……!!」

 

「う……」

 

 

 嫉妬――というには余りにも凶悪すぎる殺意。

 

 

「ゼノヴィアさんがいつになく怖い顔してる。似合ってねーけど」

 

「妙に声も低いわね。似合ってないけど」

 

「泣き虫が何を急にかっこつけてるのよ? 似合ってないわよ?」

 

「何時も泣き虫な訳じゃないぞ私は! ……………ふ、ふふふ♪」

 

(馬鹿にされてるのに心底嬉しそうにわらってる……)

 

 

 三人の前では泣き虫ゼノちゃんだけど、その三人を自分から奪うと認識した者には殺戮ゼノヴィアちゃんに変貌する。

 彼女も割りとマイナス組らしくなっているのかもしれない。

 

 

「私にはこの三人しか居ない。

三人が居なかったら生きている意味なんて無い……だからお前が私から奪うのなら……お前のせいで三人に捨てられてしまうのなら私はお前を絶対に許さない……!」

 

 

キャラかぶり同士の戦い……始まらない




補足

色々知ってるアザゼルさん的には、別に兄貴が何してようが良いんじゃねとおもってるだけらしい。


その2
朱乃さんと小猫たんは顔パス感覚でマイナス組に行ってるアザゼルさんが怨めしく、行ってきたぜと空気を読まないで話すアザゼルさんに詰め寄り、兄貴はイライラするという空気感。


その3
最後のオマケはほぼ嘘です。
ほぼロスヴァイセさんに絡むなんて無いですし、まず機会が無さすぎる。

何故なら基本的にイッセーはソーたん達と楽しく遊んでるだけなんで。

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