マイナス一誠とシトリーさん   作:超人類DX

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超展開だ。

ちょ……それはねーよ(笑)だ。


不運かもしれないし、幸運かもしれない

 毎回毎回センパイと帰るのも悪いので、今日だけは独りで帰ると言って帰った。

 で、その途中、そういえば暫くいってなかったなぁとふと思い出したので、コンビニに寄ってキャットフードと牛乳を買って街外れにある割りと大きめの廃屋にやってきた。

 その理由は至って簡単で、何年も昔から廃屋になってるにも拘わらず、何故か取り壊しがされないこの場所に住み着いたにゃんこ達に会いに来たからだ。

 

 

「おお、次郎……お前子供できたのかぁ」

 

「にゃ~ん♪」

 

 

 人や大概の生物に嫌われる俺だが、何故か猫だけには嫌われず、こうして暫く会ってなかった真っ白猫である次郎も(雌の猫で俺が勝手に命名)俺を覚えてくれたのか、顔を見た途端に近づいてくれた……ちっさい次郎5匹程を従えて。

 

 

「おうおう、どいつもこいつも同じく白いな。

次郎のちっこい時にそっくりだ」

 

「みゃ~♪」

 

 

 だからというのも現金な話だが、俺は猫だけは胸張って好きだと言える。

 次郎が連れてきた子猫達もこうして俺に何の警戒も無くといった様子でスリスリしてくる。

 あぁ……心が浄化されるってのはこの事かしらね……どれもこれもカワユイぞ。

 ちなみにこれは関係ないが、個人的に猫耳コスプレとやらは嫌いだ。

 ちょっと前に街で頭に猫耳のカチューシャ付けた奴が『〇〇だにゃん』とか言ってたのを見たが、ナンセンスとしか思わん。

 猫は猫のままだからこそカワユイのだ。

 このカワユサを人間が猿真似? 殴るぞテメェである。

 

 

「独りで帰るのは正解だったね。

センパイには悪いけど……フフフ」

 

「にゃーん」

 

「おう、そうかそうか……。

お前も色々あったのかぁ……」

 

 

 本当に独りとなれるこの場所だけは悪いけどセンパイとて教えられない。

 別にこの廃屋の主でも何でも無いが、此処は俺だけの……俺しか知らない癒しのスポットなのだからな………くふふふふ。

 

 

「にっ!?」

 

「いたっ!?」

 

 

 しかしその幸せは長くは続かなかった。

 事の始まりは、それまで俺に抱かれても無抵抗で喉を鳴らしていた筈の次郎が突然暴れだし、俺の手を引っ掻いてから離れると子猫と共にポカンとしている俺を置いて一目散に逃げたのだ。

 まるで何かの気配を察知して逃げるかの様に……。

 

 

「ジ、ジロー?」

 

 

 今まで次郎にこんな事されたことが無く、ちょっとのショックを受けながらも探そうと立ち上がる。

 いやだってもし次郎の嫌がる事をしてたのなら、言葉は通じないけど謝って置きたい訳だし、何より次郎にだけは嫌われたく無いのだ。

 だから取り敢えず逃げて行った場所を追う……という予定だった俺の行動は叶わなかった。

 

 

 

 

 

 

「ほう、この場所に人間が一人で来るとは珍しいな……」

 

「っ!?」

 

 

 手の甲に残った引っ掻き傷が地味に痛いと感じながらも逃げた次郎を探そうと廃屋の奥に向かおうとしたまさにその時だ。

 突如後ろからとてつもなく低い声が聞こえ、まさか此処に誰かが居るだなんて思っても無かった俺は、心臓を大きく鼓動させながら恐る恐る後ろを向けば、俺を待っていたのは世紀の大発見だった。

 

 

「……………え、あ?」

 

 

 人生何が起こるか分からない。

 そんな言葉が似合うくらいに今俺は驚き通り越して訳が分からなくなった。

 背後から聞こえた声の主は、てっきり住み着いたホームレスか何かだと思ってた俺の予想を地球一周でも足りないくらいに越えていたからだ。

 

 

「人間よ。私の姿を見たからには生かしては置けぬ。

せめてもの慈悲だ…………苦しまずに一瞬で喰らってやろう。キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!」

 

 

 人の足? いや違う、アレはどちらかと言えば獣を彷彿とさせる四本足で、無意識に目線を上に向ければ、女の上半身と獣が合成したキメラ生物だった。

 

 

「ど、どちら……さま……?」

 

 

 こんな生物は見たことが無い。

 いやこんなUMAもビックリな生物が居てたまるかと、パニックで発狂してもおかしくない筈なのに、何故だかこの時は冷静に、俺はこの訳の分からない生物が何者かを知るために聞いてみたが、答えの代わりは酷いものだった。

 

 

「ご…………がっ………!?」

 

 

 何があったのか、未確認生物の腕っぽい箇所がユラリと揺れた次の瞬間、俺の身体を何かが貫いた。

 

 

「これから私に喰われて死ぬ下等生物に知る必要があるとでも? クククク!」

 

 

 謎の生物さんはどうやら意地悪な性格らしく、教えてくれないどころか、下等生物呼ばわりしながら見ただけでハッキリと分かる鋭利そうな右腕で俺の腹部を貫き、そのまま吊し上げた。

 

 

「ぁ………ぇ……」

 

 

 痛――くは無く、下半身の感覚が消えていく。

 予想するまでも無く、腹はエグい事になっているだろうけど、目も首も上手く動かないので見ることが出来ずに視界だけが段々と霞んでいく。

 そんな俺の様子が楽しくて仕方無いのか、謎の生物は愉快愉快と嘲笑う。

 

 

「少し肉身は少なそうだが、無いよりはマシか……キッヒヒヒ! 貴様の下半身からまずは喰らってやる」

 

「……」

 

 

 喰う……ああ、俺喰われちゃうのね……。

 口の中が鉄っぽい味に支配され、最後に聞こえた謎の生物の声は此処までで、俺は腹から下に変な喪失感を感じながら意識が…………多分だけど死んだ。

 

 

 

 

 

 駒王学園生徒会長である支取蒼那は、普段の冷静沈着な表情を一変させ、間に合えと心の中で何度も繰り返しながら日が暮れ掛けた街中を外に向かって走っていた。

 

 

「どうして……くっ……! 嫌われても良いから一誠くんを縛り付ければ良かった……!」

 

 

『すいません、どうしても独りになりたいんで今日はこのまま帰ります』

 

 

 ある日を境にほぼ毎日を一緒に帰る事になれた相手である一誠の言葉を、たまには良いかと軽く考えて頷いてしまった数時間前の自分を殴りたい。

 蒼那は自分自身に憤慨しながら、背に人ならざる者の証である翼を広げて飛び立つ。

 見ていた人が居たかもしれないが、今の彼女にそんな事を考える余裕なんてもの無い。

 あるのはただ……。

 

 

「い、一誠くんの生命力が弱っている……? は、早く……もっと速く……もっと!!!!」

 

 

 感じている一誠の生命反応が弱まり、まさに風前の灯火である事に、蒼那は叫びながら限界を越えた音速で街外れの廃屋目掛けて飛翔する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 此処はどこだ?

 俺は確かあの化け物に食われて――あ、そうか。

 俺は死んだんだな。

 あっちゃあ……人間一人死ぬってのも案外呆気ないもんなんだなぁ。

 まあでも仕方ないか……あんな訳のわからん未確認生物相手じゃあそんなもんだよね。

 ククク……結局俺はあの日を境に惨めに死ぬ運命って奴だったのかねぇ。

 運が悪すぎだぜ俺は…………。

 

 

「………………」

 

 

 にしても死後は天国か地獄に行くと聞いてたが、一向にその場所に行く気配がしないな。

 何にも見えないし……というか自分の身体があるって感覚もしないし。

 あぁ、もしかしてこれが死後の世界って奴かな?

 何も無い……ただただ黒いだけの世界で今ある意識が完全に消えるまで漂うだけ……みたいな?

 ふむ、だとするならこのまま寝てしまおうか? 死んだ後に眠れるのかは知らないけどさ。

 よくある悪霊みたいに生前やり残した事があって成仏できないなんて事も俺には無いし、どうせ俺が死んでも誰も悲しまんさ。

 テキトーな葬式をテキトーに両親がやってそれで終わり……それが俺なんだもの……。

 うん……そう考えると死んだ方が気が楽な気がしてきたぞ。

 誰にも邪魔されず、嫌いな奴等の顔も見なくて済むし、寧ろ此処が俺にとっての天国か――――

 

 

「何時までアホで恥ずかしい自己回想してるんだお前は。早く起きろ」

 

「あ?」

 

 

 な?

 

 

「あら?」

 

 

 真っ暗だった筈の視界に突如光が射すと共に、俺は聞いたことの無い声にたたき起こされた。

 

 

「………………………はい?」

 

 

 意識? が覚醒した俺は混乱した。

 あの変な化け物にムシャムシャ喰われた筈なのに、俺はちゃんと自分の身体があり、そして何故か学校の教室と思わしき場所の真ん中の席に座っていたからだ。

 

 

「あ? あ?? あれ??? 俺は確か…………」

 

 

 そう……間違いなく死んだ筈だ。

 にゃんこに餌やってほっこりしてたら変な化け物が現れ、訳のわからん事言われた後に比喩無しで………。

 

 

「というかココ何処だ?」

 

 

 いや、そんな事よりも第一にココは何処なのかと辺りを見渡してみる。

 真正面に教卓と黒板があり、今座っている場所の周りには同じ机が幾つもあって真ん中に座る俺以外誰も居ない。

 …………うん、変だわ。

 いやだってそうだろ、俺はさっき化け物に食い殺されたんだぞ? それが何で学校の――しかもよーく観察すれば駒王の教室じゃねぇ場所に座ってるんだっつー話よ。

 着ている服装も駒王じゃない学ランだし。

 

 

「死後の世界、なのか?」

 

 

 もしそうなら、昔に絵本とかで読んだのとは随分とイメージが違うなぁ。

 なんというか……やけに現実的というか細やかな夢をぶち壊されたというか……。

 

 

「死後の世界なんてあるわけ――いや、あの世界なら存在したっけか? まあ、教室が眠気地獄の場所という意味でなら同意するが、此処は死後の世界じゃあ無いよ。

普通の人間は死んだらそれで終わりなんだから」

 

「!?」

 

 

 考えても答えが見付からないそのタイミングを見計らったかの様な声が背後から聞こえ、俺はドキッとしながら咄嗟に背後を向く。

 

 

「……………」

 

「………………ど、どちらさま?」

 

 

 さっきまでそこに居なかった筈のソレは、人が分からない俺でも分かる程の『魅力的な笑みを見せる女が』ロッカーの上に座っていた。

 勿論死ぬ前に会った事なんて無い……初めて見る顔なので、殺される前にあの化け物に向かって言った時と同じ様な感じで誰かと問うてみる。

 すると女は一つニコリと笑顔を見せながら『よっと……』とロッカーから降りて床に立つと、誰だか分からずに動揺する俺にテクテクと近付いてくる。

 

 

「僕の名前は……いや、今は名乗る必要は無いかな。

まだキミは完全に目覚めて無いからね」

 

「は?」

 

 

 女の癖に一人称が僕とは珍しいと思った矢先に名乗る必要が無いと宣う謎のセーラー服女に俺は怪訝そうな顔になる。

 

 

「そんなことよりやっと僕の声が届いたみたいでホッとしてるよ、兵藤一誠くん?」

 

「俺の名前――っ!?」

 

「あぁ、知ってるよ。

というより、皮肉な事にキミを誰よりも解ってるというべきかな僕は」

 

 

 なーんか妙に耳に残る声を持つ女はズイっと怪しむ俺の顔すれすれに己の顔を接近させながら、意味深な事を言う。

 

 

「ココが何処かなんてこの際横に置いてだ、キミは先程はぐれ悪魔に食い殺された――此処までは覚えているかい?」

 

「あ、はい……」

 

 

 近い……俺が今最も思う事がそれで、女が何か言っているのが全く耳に入らな―――――って、ちょっと待て。

 今サラリと聞き慣れん単語が出たぞオイ。

 

 

「ま、待った。アンタが誰でココが何処かなんてのは横に置くが、今言ったはぐれ悪魔ってのはなんだよ? てか顔が近い」

 

「っとと……か弱い乙女の顔を乱暴に押し退けないでくれないか?」

 

 

 女の顔を掴んで押し出す俺に軽口を叩いているが、そこまで気にした様子は見えない。

 寧ろ何処か楽しそうに見える。

 

 

「はぐれ悪魔は――その説明もキミが現実に戻った時にサービスで頭の中に叩き込んであげるから説明はしないよ。

とにかくキミはあの化け物に腹部から下を喰われ、めでたく死んだ……これはわかるね?」

 

「あ、あぁ……」

 

 

 顔に似合わずハッキリと俺は死んでると宣言しちゃうことに少し狼狽えるが、女はそれを知ってか知らずかのガン無視で話を進める。

 

 

「しかし、この後……キミの死後そのはぐれ悪魔は後にやってきた他の悪魔に始末されたんだけど……」

 

「は、はぁ……ほかのあくま……」

 

 

 さっぱり何を言ってるのか理解できない。

 てか悪魔ってなんだし……いや確かにあの風貌はまさしく悪魔って感じしたけど、そんなもんが現実に居る訳ねーっつーか……。

 

 

「居るよ。キミにとっては残念かもだけど悪魔は存在する。

ついでに言えば堕天使だとか天使だとか神だとか妖怪だとか……まあ何でもござれで存在するよ」

 

「…………まじすか?」

 

「まじっすよ」

 

 

 信じてないと顔に出てたのを読まれたのか、セーラー服女は釘を刺すかの様にして悪魔とその他は存在するとハッキリ言った。

 御丁寧に二度もな。

 

 

「ついでに言えばキミと仲良しだったあの女の子……ええっとソーナ・シトリーさん――いやキミに分かる通りだと支取蒼那さんも悪魔さ」

 

「……………は?」

 

 

 悪魔云々ですら信じられん話で上手く飲み込めないってのに、やはりこのセーラー服女は人のペースを配慮しない性格をしてるのか、次々と俺にとっては衝撃的過ぎる事実を話す。

 その中でもやはり驚いたのは、あのセンパイが俺を食い殺した悪魔とやらと同じ存在だったという事だ。

 

 

「センパイが……あくま?」

 

「そう。ついでに言うとキミの双子の兄もそうさ。

まあ、彼はソーナ・シトリーさんとリアス・グレモリーさんの純血悪魔二人とは違って、人から悪魔に転生した者だけどね」

 

「…………」

 

 

 ペラペラと飲み込めないのにも関わらず話を続ける女の声はまた耳に入らなくなり、先程さらっと言っていた言葉が俺の頭の中をグルグルと回り続ける。

 こんな今会った女の言うことを鵜呑みにする理由なんて無いが、俺は確かに食い殺される直前に見たあの未確認生物な化け物が悪魔だと言われりゃあ何となく納得してしまう。

 どう見ても人間じゃないのに人と同じ言葉を発し、知能もあった様に見えた。

 それが悪魔と言われりゃあ信じてしまうには材料が多すぎる。

 そんな化け物とセンパイが同種の存在……………。

 

 

「俺は……化け物と一緒に居たのか……?

ほんの少しでも信じようとか思ってたのか?」

 

 

 あの化け物は俺を食った。

 て、事は……もしかしてセンパイが俺に構ってた理由は油断させたところを食い殺すつもりだったのだろうか。

 だとすれば今まで俺に良くしてくれた理由にも納得行く……行ってしまう……。

 

 

「う、はは…………そうかぁ……そうだったんだね。

少しだけセンパイを信じたいと思ってたのは馬鹿だったのかぁ………」

 

 

 悪魔が人食家だったのは身をもって知った今となっては妥当過ぎる理由を獲てしまい、俺は何が何だか分からずにヘナヘナと椅子に座って俯いてしまう。

 あんだけいい人だったのも全部が全部演技だったと思うと…………うわぁ、あの男が現れて両親を取られた時以来の苦しみが胸を襲撃してらぁ……あは、あはは。

 

 

「あらら、キミの被害妄想(マイナス)も此処まで来ると清々しいな。

誰がお前を騙す為に彼女が近付いただなんて言った?」

 

「今アンタが言っただろ……センパイが悪魔だって」

 

「言ったよ? だが、彼女がキミを食い殺す為に近付いただなんて一言も言ってねーだろうが」

 

 

 時々口調が荒くなる女は、心底呆れたといった声だ。

 

 

「ハァ……別のベクトルでキミは面倒な男だな。

まあ、生きた経歴から察すれば分からなくもないが、僕からすればある日兄を名乗る自分そっくりの男が現れて人生がねじ曲がってしまっただなんて話もどうでも良いし、一々その程度のくだらねー事でうじうじすんなと思うわけ」

 

「…………………何で知ってる……とはもう聞かねぇ」

 

 

 不思議な事に、この女は何でも知ってて当たり前だと俺は何故か認識してしまってるので、あの男の話を出されても疑問にすら思わなかった。

 

 

「キミの被害妄想(マイナス)にこれ以上付き合う気は無いから話を進めるぞ。

キミは確かに現実世界では死んだが、今からまた生き返って貰うよ」

 

「……どうやって?」

 

 

 荒唐無稽すぎる話をまた『なんてことない』って顔で軽く言っちゃう女に突っ込む元気が無い俺は、力無く座りながらその手段を問う。

 この時点で俺はもう何か色々とどうでも良くなっていた。

 

 

「キミの持つ過負荷(マイナス)を、僕の力で完全に目覚めさせ、そのスキルの力でキミは神に嘯いて貰うってだけさ」

 

「マイ……ナス……?」

 

「そ……人の持つ特技を突き詰め過ぎた結果である異常(アブノーマル)とは反対に、人の持つ欠点を突き詰めた結果である過負荷(マイナス)……。

まあ、僕にとってはそのどちらも腐る程持ってるから、キミがあの世界で初の過負荷となろうがどうでも良いけど、ふふ……キミは過負荷の割りには運に恵まれてると言えるな。

この僕に目を付けられたんだからね」

 

「そうは思えないが……」

 

 

 訳のわからん場所で訳のわからん存在に目を付けられたとか言われてる時点で、とてもじゃ無いけど運が良いとは思えねぇ。

 ましてや…………うぁ?

 

 

「さて、そろそろ時間だ。

今回は僕がキミの意識を元の世界に戻すのと、サービスで向こうに放置してある身体を違和感が無い程度に戻してあげるけど、次は無いからな?

じゃ精々頑張りたまえよ……この世界で最初の過負荷(マイナス)くん?」

 

「あ、あぁ?」

 

 

 な、なんだ? 急に目の前がグニャっとす……る……?

 

 

「あ、そうだ。気が変わったから名前を教えてあげる。 僕の名前は――――」

 

 

 グルグルと回る景色と遠退く意識の中、今になって気紛れでも起こした女がニコリと微笑みながら名前を言おうとする所で、俺の意識が完全に消えた。

 

 

 

 そして……次に意識が覚醒した時に俺の目に映るのは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「い……っせい……くん……?」

「……………センパイ……?」

 

 

 死んだ時に居た元の廃屋の中で、目を真っ赤にしながら今さっきまで下半身の消えた亡骸だった筈の俺の身体を抱き抱えているセンパイだった。

 そしてその瞬間……俺の頭の中に全ての答えが入る。

 悪魔のこと……自分の持つ過負荷(マイナス)の事全てが……。




補足

一誠の下半身バリバリ食べた悪魔たんは眼鏡っ娘にガチパワーでバラバラにされました。

え、グレモリーさん達は眼鏡っ娘さんが一誠をお姫様抱っこしてお持ち帰りした後に来ましたよ。
誰も居なかったというオチの下

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