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「エトワール。お前最近やけに
「いけないよゼーリエ。食事の時は魔法の話はダメだと言っただろう?」
ここ50年で私達は家のルールと言うものを作った。当初ゼーリエはそんな物要らないだろうと言っていたが、ルールはあった方が良いだろう。
そしてその中の一つに、食事の際に魔法研究の話をしてはいけないと言うモノがある。これは純粋に食事を楽しもうと言う
とは言え魔法以外に私達が話す事は大してないのだがね。
「そうは言うがな、ここ最近お前は食事を取っていないだろ?その時点でお前はルールを破ってる」
「…それを言われては
「またくだらない魔法か。それにしてもそれほど時間が掛かるものか?」
「あぁ、今回の魔法は少々複雑でね。しかしもう完成する」
今私の研究し制作している魔法は錬金術を組み込んだ半魔法半魔導具型だ。
別の言い方をするのならばこれは──“魔術”…と呼ぶべきものだろう。
だが魔法と錬金術では掛け離れた箇所が多すぎる。一を重ねれば二の問題が出てくる、その
しかし今はそれらの問題も既に解消出来ている。後は永久機構を組み込めば問題無く発動する筈だ。
だが魔術は魔法と大きく違い複雑な箇所しかない。きっとゼーリエであれば、何故こうも面倒な工程を含んでまで作るのかが理解出来ないと怒るだろう
第一に、錬金術を熟知していなければ使う事すら出来ないが。
「それで、君はなんの魔法を研究しているんだい?」
「…内緒だ」
「それは残念。完成したら是非とも見せて欲しいね」
▼
──
以前言っていた魔法が今日完成した。
制作を始めて九十年の時が経過してしまったが、発動に問題が出ることは無いだろう。
主軸となる魔法式、それに複雑に組み込まれた錬金術式、一つのズレでゼロへと帰してしまう
魔法名は──
──《
基礎は水を生み出す魔法。
そこに形を変える魔法を使い生き物の形へと変換。
その後錬金術と《偽物の命を与える魔法》によって生み出した
大きさによって変わりはするものの、最低でも一匹に必要な核の数は12個ほど。
今回生み出す生き物の種類は数十種類に昇、数は数百匹。その全ては海に生きる生き物たちだ。
空を泳ぐ数多の生き物たち、それを指揮するのは巨大な
彼らは私の組み込んだ式の中にある防御魔法・防御結界によって常に守られている。それに対して反撃するかは、意思ある彼ら次第だ。
生死に関して述べ
彼らは今の私と同じ、賢者の石を取り込んだような状態で生まれてくる。
完全な命という訳では無いが、永続的に生き続けられる生命体を私は無から生み出すことが出来た。
これは私にとって大きな一歩となるだろう。それこそ、角付きや魔物についてより深く研究し理解することができる。
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私はゼーリエと博士を連れ、魔法を使用する為に暫く離れた場所へと来ている。
被害を
「では始めようか…《
魔法の名を口ずさむ。
地面に巨大な陣が浮き上がる。
何重にも重なったその光景は、正しく神秘と呼ぶに相応しいものだろう。
小さく始まった地響きが少しづつ大きくなって行く。段々と、段々と大きくなって行く。
次の瞬間、地響きと共に巨大な陣から天に届きうる程の水柱が上がる。そしてその柱から飛び出てくるのは海に生きる無数の生き物たち。
小さな魚、大きな魚、ペンギンやシャチまでもが溢れ出てくる。
そして最後に飛び出て来たのはこの子達のリーダーとなる存在、最も大きな体を持ち、子供たちを守る親。鯨の形を模した魔力生物だ。
「素晴らしい…実に素晴らしい。これこそが私の求めていた第三の魔法。誰もが目にする事の出来る神秘の存在を生み出す魔法」
生前において誰一人として神秘を信じていなかった。だがこれ程の神秘を目にすれば、どの様な者であろうとそれを信じる。
故に、私が最も求めていた最高の魔法。神秘をこの世へと固定顕現させられる唯一無二の魔法──
──魔術。
「どうだい?二人とも?美しいとは思わないかい?」
「…これは危険な魔法だ」
ゼーリエの口から出た言葉は、この魔法に対する賛美では無く、何処か
しかし私はそれを否定するつもりは無い。彼女の言う通り、この魔法はとても危険なものだ。それこそ、第一の魔法と第二の魔法よりも明確に世界を壊せる魔法だ。
戦いを好み求める彼女だが、何も世界を壊そうとは考えていない。寧ろ世界が壊れてしまえば戦える相手が居なくなってしまう、それを
「…そうだね。君の言う通り、この魔法は危険な代物だ。だが、それは使い手による。安心すると良い。私は世界を壊そう等とは思っていないよ」
「どうだかな」
「これは手厳しいものだ。これでも私は、この世界を愛しているのだがね」
「私はお前の言葉に感情を感じられない。だからそれを信じようとは思えん」
「それはなんとも残念なことだ。では、信じて貰えるよう頑張るしかないな」
どうやら彼女からすれば私に感情が無い様に思えるらしい。
私がこの世界を愛しているのは紛れも無い事実なのだが、信じて貰えないのは残念この上ない。私の求めていたモノが拡がる世界を、壊す事は無いと言うのに。
「それで?アレはなんだ?魚の大きさじゃないぞ」
「おや、鯨を知らないのかい?それは勿体ない。鯨とは遥か昔から生きる海の生き物でね。今は海に生きる生物だが、最初は陸に生きていたんだ。それが段々と海で過ごし始めて、周りに適合した結果あの姿へと変わった。これを
「そうか、よく解らんな」
「解らなくても構わないさ。しかし、この収斂進化は角付きと重なる部分があるのかも知れない。だから案外、馬鹿には出来ない」
今の私の考えでは、角付きとは私たち人間やその他二種族に適応しようと進化した姿だと考えている。
ただその過程で起きたエラー、もしくは仕組まれた構築によって本来進化すべき道とは違う道に進んでしまったのではとも考えている。
そもそもの前提として、魔物からの進化では無く空気中にある魔力が自己進化をし、獣の姿から人型の魔物へと変容しただけかもしれない。
最も低い可能性として、角付きが人工的に生み出されたという可能性だ。正直な所、最近まではゼロに近い可能性だと考えていた。
しかし、今こうして私は人工生命体を生み出しせてしまった。となれば、私以外にも自らの手で生命体を生み出せる者が居てもおかしくは無い。
もしそうなのであれば非常に興味深い。是非とも見せてもらいたいものだ。
ひとまずは、捕まえなければ解らない事だらけだがね。
「エトワール。この魔法は広めるなよ」
「最初からそのつもりさ」
この魔法は第一魔法や第二魔法よりも厳重に…私の記憶に
だが、たとえ広まったとしても使える者は居ないだろうがね。
「おや、彼らはもう行ってしまうようだ」
「…はあ。世界が混乱の渦になりそうだな」
「それは大変だ。巻き込まれないように気を付けなければ」
「お前はそういう所を直せ…」
「?…努力はしよう」
▼
──???年後。
遥か未来。
少し平和になった世界で、とある場所を目指し旅をする三人組の冒険者がいた。
エルフの魔法使い。
人間の魔法使い。
斧を背負った人間の戦士。
その中の一人…人間の魔法使いである少女が、空を見上げてその目に映った
「フリーレン様。アレはなんでしょうか?」
「ん?あぁ、アレは
「えぇぇ…勇者パーティでも無理なのかよぉぉ〜…」
三人の中で最も強いであろう彼女の言葉を聞いた男の子は、軽く体を震わせた。
「でも手を出さなきゃ襲っては来ないよ。それに空鯨を見れたのは奇跡だ。私も数回しか見た事無いからね」
「それ程珍しいのですか?」
「珍しいよ。むふー、今日はいい事がありそうだね」
これはずっと先のお話。
空鯨と呼ばれる彼は、幸運を呼ぶ鯨として、一部の者たちの間で広まる事となる。