一度銀魂✕虹ヶ咲学園のクロスオーバー書きましたが、納得いかなかったので再度書き直し、もう一度投稿することにしました!
pixivでも投稿してます!
1話 天然パーマはロリコンではない
─────『侍の国』。
僕らの国がそう呼ばれていたのは、遥か昔の話。
かつて侍達が仰ぎ、夢を馳せた現代の東京の空には、今は異郷の船が飛び交い、
かつて侍達が肩で風を切り歩いた現代の東京の街には、今は異人がふんぞり返り歩く。
これは、十二人と一人の女子高生達と、かつて《英雄》と呼ばれていた大人達四人を中心に、東京全体を巻き込んだドタバタギャグ、そして─────時に魂をぶつける物語であった。
─────抜けるような青空が広がるお台場。
潮風が心地よく吹き抜ける公園のベンチで、虹ヶ咲学園に通う女子高生・
─────虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会。
そこでの活動は充実している。
仲間も増えた。
けれど、時折どうしようもない不安が彼女の胸を支配する。
一歩踏み出す勇気、自分を変えたいという願い。
それらが重荷に感じる昼下がり、彼女は逃げ込むようにベンチに腰を下ろしていた。
平和な、あまりにも平和な日常。
この国がかつて異星人《
歩夢たちのような学生にとって、《
カサリ、と隣で紙が擦れる音がした。
何時の間にか、誰かが隣に座っていた。
歩夢は軽く会釈をしようと顔を上げたが、その人物の姿に思わず言葉を失った。
そこにいたのは、燃えるような紅い瞳に、天然パーマの銀髪。
黒い衣類の上に、波模様が描かれた白い着物を片脱ぎで羽織った男だった。腰には《
男は歩夢に視線すら向けず、一心不乱に一冊の本をめくっていた。
それは何処にでもある《週刊少年ジャンプ》だった。
歩夢「・・・あの、すみません」
歩夢はたまらず声をかけた。
その男から漂う空気があまりに異質だったからだ。
のんびりと雑誌を読んでいるようでありながら、その背中には、この平和な公園にはそぐわない、ひりつくような『鉄と血』の匂いが染み付いている気がした。
銀時「─────ん? ああ、悪い。此処、特等席だったか?」
男・
その声は低く、どこか遠くを見ているような響きがあった。
歩夢「いえ、そういうわけじゃ・・・ただ、なんだかすごく、お疲れのように見えたので・・・」
歩夢の言葉に、銀時はようやくページをめくる手を止めた。
彼はゆっくりと顔を上げ、死んだ魚のような目で歩夢を見やる。
銀時「疲れ? ああ・・・そうだな。世の中ってのは、真っ直ぐ歩いてるつもりでも、いつの間にか泥まみれになってるもんだ。特にジャンプの発売日がズレたりすると、もう生きてる心地がしねーよ」
歩夢「ジャンプ・・・ですか?」
銀時「そうだ。嬢ちゃん、知ってるか? 糖分とジャンプがなきゃ、人間は三日で干物になるんだぜ。特に二十代後半、肩こりと将来への不安に挟まれた男にとってはな」
銀時は鼻をほじりながら、自嘲気味に笑った。
その瞬間、歩夢は彼の瞳の奥に言葉とは裏腹の深い闇と、それを包み込むような温かさを見た。
彼が何者なのか、歩夢には知る由もない。
かつて白夜叉と恐れられ、国を背負って戦い、そして恩師と共に生き残る道を選んだ伝説の侍だとは、夢にも思わなかった。
歩夢「─────私、やりたいことがあるんです。でも、今のままじゃダメだって、怖くなることがあって・・・あなたは、迷ったりしないんですか?」
シリアスな問いかけ。
歩夢の真剣な眼差しを受け、銀時はジャンプを閉じると、少しだけ表情を和らげた。
銀時「迷わねぇ奴なんていねーよ。だがな、嬢ちゃん。立ち止まってベンチで休むのも、ジャンプ読むのも、別に間違いじゃねー・・・大事なのは、その後でまたその重い腰を上げられるかどうかだ─────ま、俺の場合は家賃の督促が来るから強制的に立ち上がるんだけどな」
銀時がニカッと笑った。
その明るさに、歩夢の心は少しだけ軽くなる。
銀時「もし気になるなら此処に来てくれ」
銀時は歩夢に名刺を渡した。
《万事屋銀ちゃん》─────そこには《坂田銀時》と書かれている。
歩夢「ありがとうございます。坂田銀時さん・・・と仰るんですね。私、少し、元気が出まし─────」
???「銀ちゃあァァァァァァん!!! 何してんのヨ、こんなところで油売ってないで早く依頼こなすアル!!!酢昆布が切れて死にそうネ!!!」
感動の余韻を切り裂くような絶叫。
ベンチの背後から、チャイナ服を着た少女が弾丸のような速さで飛び出してきた。
その後ろからは、眼鏡をかけた平凡そうな青年が血相を変えて、走ってくる。
青年「神楽ちゃん、待って! 銀さんも銀さんですよ! 公園で女子高生ナンパして何やってるんですか!このロリコン侍! 天然パーマにロリコン属性まで追加されたらもう救いようがないですよ!」
銀時「誰がナンパだ!!!誰がロリコンだ!!!失礼なこと言うな新八!!!俺は今、この嬢ちゃんの人生相談に乗ってやってたんだよ!!!」
新八「嘘つけ!!! 鼻ほじりながらジャンプ読んでただけだろ!!! 見ればわかるよ!!!」
神楽「うるさいアル!!!銀ちゃん、この女からお礼にパフェ奢ってもらう約束したネ?!!そうアルな?!!」
神楽と呼ばれた少女が歩夢の肩を激しく揺さぶる。
歩夢「えっ、えぇ!? あの、パフェ・・・?」
新八「ほら見ろ!!!怯えてるじゃないですか!!!すみませんお姉さん、この銀髪は放っておいていいですから!!!ほら、行くよ二人とも!!!」
銀時「離せ新八!!!俺のジャンプが・・・今いいところなんだよ!!!伝説の師匠が田舎で塾開いてスローライフ送ってる裏で、教え子がこんなに苦労してるって知ったら松陽が泣くぞ!!!」
新八「あんたの苦労は大体自業自得でしょうが!!!」
嵐のような騒ぎを引き連れて、銀時たちはドタバタと去っていく。
歩夢は一人、呆然とその背中を見送った。
歩夢「・・・ふふ」
気づけば、笑いがこぼれていた。
攘夷四天王だの、国を揺るがす大事件だの、そんなことは今の彼女には分からない。
けれど、あの銀時が言った「また腰を上げられるかどうか」という言葉だけは、歩夢の胸に確かに残っていた。
歩夢「─────さあ、帰らなきゃ。みんなが待ってる」
歩夢は立ち上がり、自分の足で一歩を踏み出した。
彼女は知らない─────彼女だけではなく、仲間達もそれぞれ《変な大人達》と出会うことを・・・・・・
次回へ続く・・・・・・
十話辺りまでオムニバス形式で、それぞれ銀魂キャラと虹ヶ咲キャラが邂逅します!
今回は万事屋✕歩夢の邂逅で、次回は攘夷志士✕彼方回となります!