虹ノ魂 〜未来の歌姫たちと伝説の英雄たち〜   作:MLBU

1 / 27




一度銀魂✕虹ヶ咲学園のクロスオーバー書きましたが、納得いかなかったので再度書き直し、もう一度投稿することにしました!
pixivでも投稿してます!




日常篇
1話 天然パーマはロリコンではない


 

 

 

 

─────『侍の国』。

 

僕らの国がそう呼ばれていたのは、遥か昔の話。

 

 

 

 

かつて侍達が仰ぎ、夢を馳せた現代の東京の空には、今は異郷の船が飛び交い、

 

かつて侍達が肩で風を切り歩いた現代の東京の街には、今は異人がふんぞり返り歩く。

 

 

 

 

これは、十二人と一人の女子高生達と、かつて《英雄》と呼ばれていた大人達四人を中心に、東京全体を巻き込んだドタバタギャグ、そして─────時に魂をぶつける物語であった。

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

─────抜けるような青空が広がるお台場。

潮風が心地よく吹き抜ける公園のベンチで、虹ヶ咲学園に通う女子高生・上原歩夢(うえはらあゆむ)は一人、静かに俯いていた。

 

─────虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会。

そこでの活動は充実している。

仲間も増えた。

けれど、時折どうしようもない不安が彼女の胸を支配する。

一歩踏み出す勇気、自分を変えたいという願い。

それらが重荷に感じる昼下がり、彼女は逃げ込むようにベンチに腰を下ろしていた。

 

平和な、あまりにも平和な日常。

この国がかつて異星人《天人(あまんと)》に敗北した歴史も、今なお影で蠢く不穏な情勢も、この街の眩しさがすべて塗りつぶしている。

歩夢たちのような学生にとって、《攘夷戦争(じょういせんそう)》なんて言葉は教科書の片隅にある古臭い単語に過ぎなかった。

 

カサリ、と隣で紙が擦れる音がした。

 

何時の間にか、誰かが隣に座っていた。

歩夢は軽く会釈をしようと顔を上げたが、その人物の姿に思わず言葉を失った。

 

そこにいたのは、燃えるような紅い瞳に、天然パーマの銀髪。

黒い衣類の上に、波模様が描かれた白い着物を片脱ぎで羽織った男だった。腰には《洞爺湖(とうやこ)》と彫られた木刀を差している。

 

男は歩夢に視線すら向けず、一心不乱に一冊の本をめくっていた。

それは何処にでもある《週刊少年ジャンプ》だった。

 

 

歩夢「・・・あの、すみません」

 

 

歩夢はたまらず声をかけた。

その男から漂う空気があまりに異質だったからだ。

のんびりと雑誌を読んでいるようでありながら、その背中には、この平和な公園にはそぐわない、ひりつくような『鉄と血』の匂いが染み付いている気がした。

 

 

銀時「─────ん? ああ、悪い。此処、特等席だったか?」

 

 

男・坂田銀時(さかたぎんとき)は、ジャンプから目を離さずに気怠げな声を出す。

その声は低く、どこか遠くを見ているような響きがあった。

 

 

歩夢「いえ、そういうわけじゃ・・・ただ、なんだかすごく、お疲れのように見えたので・・・」

 

 

歩夢の言葉に、銀時はようやくページをめくる手を止めた。

彼はゆっくりと顔を上げ、死んだ魚のような目で歩夢を見やる。

 

 

銀時「疲れ? ああ・・・そうだな。世の中ってのは、真っ直ぐ歩いてるつもりでも、いつの間にか泥まみれになってるもんだ。特にジャンプの発売日がズレたりすると、もう生きてる心地がしねーよ」

 

歩夢「ジャンプ・・・ですか?」

 

銀時「そうだ。嬢ちゃん、知ってるか? 糖分とジャンプがなきゃ、人間は三日で干物になるんだぜ。特に二十代後半、肩こりと将来への不安に挟まれた男にとってはな」

 

 

銀時は鼻をほじりながら、自嘲気味に笑った。

その瞬間、歩夢は彼の瞳の奥に言葉とは裏腹の深い闇と、それを包み込むような温かさを見た。

彼が何者なのか、歩夢には知る由もない。

かつて白夜叉と恐れられ、国を背負って戦い、そして恩師と共に生き残る道を選んだ伝説の侍だとは、夢にも思わなかった。

 

 

歩夢「─────私、やりたいことがあるんです。でも、今のままじゃダメだって、怖くなることがあって・・・あなたは、迷ったりしないんですか?」

 

 

シリアスな問いかけ。

歩夢の真剣な眼差しを受け、銀時はジャンプを閉じると、少しだけ表情を和らげた。

 

 

銀時「迷わねぇ奴なんていねーよ。だがな、嬢ちゃん。立ち止まってベンチで休むのも、ジャンプ読むのも、別に間違いじゃねー・・・大事なのは、その後でまたその重い腰を上げられるかどうかだ─────ま、俺の場合は家賃の督促が来るから強制的に立ち上がるんだけどな」

 

 

銀時がニカッと笑った。

その明るさに、歩夢の心は少しだけ軽くなる。

 

 

銀時「もし気になるなら此処に来てくれ」

 

 

銀時は歩夢に名刺を渡した。

《万事屋銀ちゃん》─────そこには《坂田銀時》と書かれている。

 

 

歩夢「ありがとうございます。坂田銀時さん・・・と仰るんですね。私、少し、元気が出まし─────」

 

???「銀ちゃあァァァァァァん!!! 何してんのヨ、こんなところで油売ってないで早く依頼こなすアル!!!酢昆布が切れて死にそうネ!!!」

 

 

感動の余韻を切り裂くような絶叫。

 

ベンチの背後から、チャイナ服を着た少女が弾丸のような速さで飛び出してきた。

その後ろからは、眼鏡をかけた平凡そうな青年が血相を変えて、走ってくる。

 

 

青年「神楽ちゃん、待って! 銀さんも銀さんですよ! 公園で女子高生ナンパして何やってるんですか!このロリコン侍! 天然パーマにロリコン属性まで追加されたらもう救いようがないですよ!」

 

銀時「誰がナンパだ!!!誰がロリコンだ!!!失礼なこと言うな新八!!!俺は今、この嬢ちゃんの人生相談に乗ってやってたんだよ!!!」

 

新八「嘘つけ!!! 鼻ほじりながらジャンプ読んでただけだろ!!! 見ればわかるよ!!!」

 

神楽「うるさいアル!!!銀ちゃん、この女からお礼にパフェ奢ってもらう約束したネ?!!そうアルな?!!」

 

 

神楽と呼ばれた少女が歩夢の肩を激しく揺さぶる。

 

 

歩夢「えっ、えぇ!? あの、パフェ・・・?」

 

新八「ほら見ろ!!!怯えてるじゃないですか!!!すみませんお姉さん、この銀髪は放っておいていいですから!!!ほら、行くよ二人とも!!!」

 

銀時「離せ新八!!!俺のジャンプが・・・今いいところなんだよ!!!伝説の師匠が田舎で塾開いてスローライフ送ってる裏で、教え子がこんなに苦労してるって知ったら松陽が泣くぞ!!!」

 

新八「あんたの苦労は大体自業自得でしょうが!!!」

 

 

嵐のような騒ぎを引き連れて、銀時たちはドタバタと去っていく。

歩夢は一人、呆然とその背中を見送った。

 

 

歩夢「・・・ふふ」

 

 

気づけば、笑いがこぼれていた。

 

攘夷四天王だの、国を揺るがす大事件だの、そんなことは今の彼女には分からない。

けれど、あの銀時が言った「また腰を上げられるかどうか」という言葉だけは、歩夢の胸に確かに残っていた。

 

 

歩夢「─────さあ、帰らなきゃ。みんなが待ってる」

 

 

歩夢は立ち上がり、自分の足で一歩を踏み出した。

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

彼女は知らない─────彼女だけではなく、仲間達もそれぞれ《変な大人達》と出会うことを・・・・・・

 

 

 

 

次回へ続く・・・・・・

 

 

 

 





十話辺りまでオムニバス形式で、それぞれ銀魂キャラと虹ヶ咲キャラが邂逅します!
今回は万事屋✕歩夢の邂逅で、次回は攘夷志士✕彼方回となります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。