虹ノ魂 〜未来の歌姫たちと伝説の英雄たち〜   作:MLBU

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11話 伝説というのは肩書きだけでその中身はただの馬鹿

 

 

 

 

秋の陽光が燦々と降り注ぐお台場のメインストリート。

数日前、それぞれが《奇妙な大人たち》と遭遇した虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の面々は、偶然にも全員で下校の途についていた。

 

 

歩夢「ねぇ、聞いてよ侑ちゃん。この前公園で、すごく不思議な人に出会ったの」

 

 

上原歩夢が、まだ少し困惑の残る笑顔で切り出した。

それに続くように、他のメンバーたちも口々に自分の体験を語り始める。

 

 

彼方「彼方ちゃんも、すっごく大きいペンギン連れた綺麗な髪の人に会ったよ。ロリコンじゃないって叫んでた・・・」

 

せつ菜「私が出会った方は、もっと熱い魂を持っていました! 壊すとか何とか仰ってて、眼帯がすごくクールで!」

 

ランジュ「ランジュなんて、宇宙船に乗らないかって誘われたわよ。アハハハって、うるさいくらいの大男にね!」

 

 

侑、かすみ、しずく、愛、果林、エマ、璃奈、栞子、ミア。

話を聞いているメンバーたちは、「何その変な人たち」「事案じゃない?」と呆れ顔だ。

しかし、当の本人たちは、何処かその不思議な大人たちに毒気を抜かれたような、奇妙な親近感すら抱いていた。

 

だが、その時だった。

歩道の向こう側から、平和なお台場の空気を根底から叩き壊すような、爆音の笑い声が響いてきた。

 

 

???「アハハハハハ!!!久しぶりじゃのぉ、金時ィ!相変わらずその頭、かりんとうみたいで美味そうぜよ!」

 

 

声の主は、真っ赤なコートをなびかせた大男、坂本辰馬だ。

彼が全力で駆け寄り、ドゴォォン! と体当たり気味に抱きついた相手は、死んだ魚の目をした天然パーマの男。

 

 

銀時「おふぉっ?!テメェは辰馬ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!久しぶりに会った第一声がそれか!!!誰がかりんとうだ、これ天然パーマっつー最新のヘアーデザインなんだよ!!!あと金時じゃねぇ銀時だっつってんだろボケェ!!!」

 

 

坂田銀時が、辰馬の顔面を全力で押し返しながら怒鳴り散らす。

十年以上の歳月を経て、かつて戦場を共にした『伝説の四人』が、奇跡か呪いか、この路上で再会を果たした瞬間だった。

 

 

???「騒がしいぞ・・・路上での乱闘は公序良俗に反する─────って、銀時と坂本ではないか!」

 

 

どこからともなく、長い黒髪をなびかせた男がスッと現れた。

その隣には、相変わらず無表情で「再会したな」と書かれたプラカードを持つエリザベス。

 

 

銀時「ヅラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ??!!!!何でテメェが此処にいんだよ!!!しかも何その不審な白い塊!!!邪魔だよ、歩道の道幅を考えろよ!!!」

 

小太郎「ヅラじゃない、桂だ!銀時、貴様は再会してもそうやって俺のあだ名を呼ぶのか!このお台場という新天地において、俺は新たな夜明けを─────」

 

???「ククク・・・どいつもこいつも相変わらずだな。反吐が出るぜ」

 

 

冷ややかな、けれど強烈な存在感を放つ声が混ざる。

紫の着物を着た高杉晋助が、煙管をくゆらせながら壁にもたれかかっていた。

 

 

銀時「高杉ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!テメェまでいんのかよ!!!つーかその眼帯、また新調したのか?!!何処の中二病サイトで買ったんだよ、その包帯!!!」

 

晋助「うるせぇ、銀時。テメェのその薄汚ねぇ魂も、少しは洗濯してやろうか・・・?」

 

銀時「やかましいわチビ!!!魂洗濯する前にテメェのそのポエム癖を洗濯してこい!!!」

 

 

銀時のツッコミが炸裂する。

再会の感動など微塵もない。

そこに展開されているのは、ただの『やかましい大人たちの罵り合い』だった。

小太郎が『夜明け』について演説し、辰馬が「アハハハ」と笑いながら銀時の肩を叩き、晋助が壁際でかっこつけ、銀時がその全員に拳を振るう。

 

その光景を、道路の反対側で見ていた虹ヶ咲のメンバーたちは、一斉に石化した。

 

 

銀時「え・・・? あ、あの銀髪の人、私が会った・・・」

 

 

歩夢が指をさす。

 

 

彼方「あ、あのペンギンの・・・桂さん・・・?」

 

 

彼方が目を丸くする。

 

 

せつ菜「高杉さん・・・?!鬼兵隊の皆さんはどうしたんですか?!」

 

 

せつ菜が叫びそうになる。

 

 

ランジュ「あの大男!また女を追いかけ回してるのね!」

 

 

ランジュが呆れ顔で呟く。

 

お互いの顔を見合わせ、一同は驚愕に包まれた。

 

 

歩夢「え・・・えぇ?!嵐珠ちゃんの言ってた社長って、あの変な笑い声の人?!」

 

せつ菜「彼方さんの言ってたロリコン・・・じゃなくて、ヅラ・・・じゃなくて、桂さんってあの人なんですか?!」

 

ランジュ「せつ菜の言ってた『熱い魂』の人って、あの眼帯の人なの?!」

 

彼方「・・・歩夢ちゃんの言ってたジャンプの人もいる・・・」

 

 

侑が一番大きな声を上げた。

 

 

侑「歩夢も・・・彼方さんも・・・せつ菜ちゃんも・・・嵐珠ちゃんも・・・それぞれ会った大人が、全員友達だったの?!」

 

歩夢「・・・『類は友を呼ぶ』って、こういうことなんだね・・・全員、変な人すぎるよ・・・」

 

 

歩夢が、深い悟りを開いたような顔で呟く。

 

 

せつ菜「皆さん・・・友達関係だったんですね・・・あんなに物騒な会話をしながら、なんだか楽しそうで・・・」

 

 

せつ菜が、謎の感動に包まれながらメモを取ろうとする。

 

 

ランジュ「信じられないわ・・・ランジュの認めるクイーンの資質があるかと思ったら、あんな天然パーマや中二病とつるんでるなんて!」

 

 

ランジュがぷんぷんと怒っているが、その瞳は釘付けだ。

 

平和ボケ、と言ってしまえばそれまでだ。

彼女たちは知らない。

目の前でギャグ漫画のようなドタバタを繰り広げている四人が、かつてこの国の運命を背負って戦った《攘夷四天王(じょういしてんのう)》であることを。

血を流し、泥を啜り、それでも護るべきもののために刀を振るった伝説の侍たちであることを。

 

今の彼女たちの目に見えているのは、ただの『やけに賑やかで、どこか放っておけない、ダメな大人たち』の姿だった。

銀時たちはまだ、道路の向こう側で見守る少女たちの視線に気づいていない。

 

 

銀時「おい、辰馬!!!叩くなっつってんだろ!!!肩外れるわ!!!」

 

辰馬「アハハハ!金時は相変わらず堅いこと言うのう!」

 

小太郎「銀時、それよりこのお台場のショッピングモールについてだが――」

 

銀時「ヅラ、テメェは一生ショッピングモールの中で迷子になってろ!!!」

 

 

お台場の平和な午後は、伝説の再会によって、かつてないカオスへと突き進んでいく─────

 

 

 

 

次回へ続く・・・・・・

 

 

 

 





いよいよ攘夷四天王が集結となりました!(早?!)
此処からが攘夷四天王と歩夢たち同好会を中心にドタバタギャグ劇を広げます!
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