小太郎「─────いいか、皆。作戦を伝える。大人組と子ども組の二手に分かれよう。銀時、高杉、坂本、そして俺の《大人組》、そして歩夢殿たち《子ども組》だ」
─────小太郎が真剣な面持ちで、公園の砂場を指揮所に、木の枝で地面に地図を描きながら宣言した。
これは、『迷子の猫探し』という実に平和な依頼を受け、本来は銀時が経営している《万事屋》が動くはずだが、何故か小太郎たちも自ら動き出し、更にはスクールアイドル同好会まで巻き込んだ。
なので、今日は新八と神楽はお休みである。
小太郎「スクールアイドルたちよ。貴殿らは、俺たち大人の背中を見て、真の探索術というものを学べばいい。大人の経験値というものを見せてやろう」
かすみ「嫌です!頼まれてもこんな大人になりたくありません!」
かすみが即座に拒絶反応を示し、歩夢も引きつった笑顔で、遠い目をしながら言う。
歩夢「・・・銀さん、私たち、こんな大人になるなら一生高校生のままでいいかも・・・留年してもいいですか?」
将来への不安を募らせていた。
銀時は頭を抱える。
銀時「おいヅラ、お前その《大人》の定義に自分を含めてんじゃねーよ。お前のは単なる『経年劣化した馬鹿』だろーが!」
銀時のツッコミを無視し、大人組(という名の馬鹿一行)の捜索が始まった。
捜索開始から数分。
住宅街の路地裏で、突然小太郎が立ち止まり、朗々とした声で歌い出した。
小太郎「♪迷子の迷子の子猫さん〜あなたのお家はどこですか〜」
銀時「何歌ってんだよ!!!路上ライブのオーディションじゃねーんだよ!!!」
小太郎「♪お家を聞いても『分からない』〜」
銀時「そりゃ猫だからな!!!」
小太郎「名前を聞いても『分からない』〜」
銀時「名札ついてねーんだよ!!!」
小太郎はさらにエスカレートし、サビの部分でキレッキレのダンスを披露し始めた。
小太郎「♪ニャンニャンニャニャ〜ン!ニャンニャンニャニャ〜ン!」
銀時「踊るなァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!鳴き声の部分でキレッキレなダンスをすんじゃねーよ!!!何処のディスコだよ?!!」
晋助「・・・ククク・・・悪くねぇリズムだ・・・」
隣で晋助が、腕を組みながら極めてシリアスな顔で「フン、フン」と鼻歌に合わせて首を振っている。
銀時「テメェも乗ってんじゃねェよ
辰馬「アハハハ!銀時、おまんも歌えばええき!ワンワンワワ〜ン!」
辰馬まで加わり、もはや現場は『狂人の合唱コンクール』と化していた。
小太郎「♪犬のお巡りさん〜困ってしまってワンワンワワ〜ン!ワンワンワワ〜ン!」
銀時「お前らが一番困る存在なんだよ!!!警察呼ぶぞコノヤロー!!!」
大人組は完全なる《動物園》と化していた。
─────数時間後。
公園の集合場所に、歩夢たち子ども組が、無事に迷子の黒猫を抱えて戻ってきた。
歩夢「銀さん!猫ちゃん、エマさんの膝の上で寝てました!」
エマ「よかった・・・本当に見つかって」
歩夢たちが安堵の表情を見せる中、そこにいたのは肩で息をする銀時ただ一人だった。
果林「・・・あれ? 銀さん、桂さんたちは・・・?」
果林が不思議そうに、周囲を見渡す。
銀時は死んだ魚のような目をさらに虚無にし、スマホを片手に震えていた。
─────どうやら迷子らしい。
銀時「・・・もしもし、警察ですか? はい、迷子です。人数は三人・・・え?いや、子どもじゃないです!見た目は立派な大人、中身はただの馬鹿です!そう!『見た目は大人、頭脳は狂人』っていう、あの名探偵コ
歩夢「銀さん、警察になんて電話してるんですか?!」
歩夢たちが驚愕する中、銀時の通報は止まらない。
銀時「一人は指名手配級の爆弾魔、一人は世界を壊すとか言ってる重度の中二病、一人は女子高生を見たら突進する宇宙規模のロリコンです!!!バカロリコントリオです!!!早くそいつらを保護─────いや、社会の為に今すぐ逮捕、いや、殺処分をしてください!!!お願いします!!!」
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会「ひどい言い草!!!」
歩夢たちが思わずツッコんでしまう。
どうやら、猫を探している最中に小太郎が「猫になりきる」と言って屋根に登り、辰馬が「わしも猫になるぜよ!」と高架下へ消え、晋助が「・・・俺は、猫のいないこの世界を壊す」と路地裏の闇に消えていったらしい。
銀時「あー・・・もう無理・・・もう限界・・・俺、今日からあいつらと他人になるわ・・・」
銀時はスマホを投げ捨て、夕陽に向かって全力で叫んだ。
銀時「二度とこいつらと組むかバカヤローォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
お台場の平和な空に、銀時の魂の叫びが木霊する。
猫は無事に見つかったが、大人たちの尊厳は完全に迷子になったまま、『迷子の猫探し』の幕を閉じるのであった。
愛「・・・愛さん、何か、銀さんが一番可哀想に見えてきたよ・・・」
璃奈「・・・うん・・・銀さん・・・どんまい・・・璃奈ちゃんボード『なでなで』」
次回へ続く・・・・・・