今回のサブタイトルの由来はRIZEの楽曲及び、銀魂《烙陽決戦篇》のEDにもなった曲、《SILVER》からとりました!
この曲はまさしく、《攘夷四天王》のテーマに相応しい楽曲でしたのでその意味も込めて命名しました!
─────夕闇に包まれたお台場は、もはやスクールアイドルたちの夢を語る場所ではなかった。
街灯が明滅し、三百人の《奈落》が包囲する並木道。
その中心で、坂田銀時の木刀が空気を切り裂いた。
銀時「─────どけと言ったはずだ」
銀時が地を蹴った瞬間、歩夢たちの視界から彼の姿が消えた。
次の瞬間、最前列にいた奈落の数人が、受けに回した錫杖ごと吹き飛ばされていた。
愛「な、何・・・? 速すぎて、見えない・・・!」
運動神経に絶対の自信を持つ宮下愛が、目を見開いて絶句した。
愛「愛さんだって、ダンスやスポーツには自信あるけど・・・あんなの、次元が違うよ・・・!」
ランジュ「信じられないわ・・・人の域を超えているランジュ」
香港での過酷なトレーニングを積んできたランジュでさえ、その動きに圧倒されていた。
ランジュが《超人》であるなら、今の銀時は《天災》そのものだった。
銀時の振るう木刀《
重戦車のような重みと、カミソリのような鋭さを併せ持ち、奈落の急所を的確に、そして無慈悲に穿っていく。
一人、また一人と沈んでいく漆黒の兵士たち。
だが、敵は三百─────倒しても倒しても、影の中から新たな刺客が湧き出してくる。
歩夢「銀時さん!逃げて、もういいから!」
歩夢の叫びは、剣戟の音にかき消された。
銀時は返り血を浴び、白い着物を紅く染めながら、一歩も退かない。
その瞳に宿る《夜叉》の光は、暗闇を切り裂く雷光のように鋭く、奈落たちの恐怖を煽る。
かつての戦場を白銀に染め上げた怪物が、今、少女たちの日常を守るためだけに、再びその牙を研ぎ澄ましていた。
─────同じ頃、お台場の各地で、三人の男たちが同時に空を見上げていた。
湾岸沿いのとあるホテルの屋上。
夜風に長い髪をなびかせ、一人の男が立っていた。
傍らに置かれた『夜明け』のプラカードは、今や冷たく重い抜刀の準備へと変わっている。
小太郎「ふむ─────不吉な烏の鳴き声が聞こえるな。江戸の夜を汚す羽音だ」
桂小太郎は、腰に差した真剣の柄に、静かに、けれど確実に指をかけた。
小太郎「─────銀時貴様一人に、美味しいところを持って行かせるわけにはいかん。我らも《侍》の誇りを、お台場の夜に刻む時だ」
─────街外れの廃墟と化した倉庫街。
月明かりに照らされた紫の着物が、風に揺れている。
高杉晋助は、煙管の煙をゆっくりと夜空に吐き出した。
晋助「・・・クククッ・・・匂うぜ・・・腐った公方の飼い烏どもの、不快な匂いだ・・・」
晋助の左目が、怪しく光る。
かつて世界を壊すと誓った男の手に、一振りの漆黒の刀が握られた。
晋助「壊すのは、あの男の平穏か、それとも、あの男の平穏を邪魔するゴミ烏どもか─────何方にせよ、俺の宴を邪魔する奴は、一匹残らず地獄へ送ってやる」
─────宇宙港を臨む港湾施設のコンテナの上。
坂本辰馬は、それまでのヘラヘラとした笑みを消し、鋭い龍のような目で戦場の方向を見据えていた。
辰馬「アハハ・・・なんとも騒々しい夜ぜよ。銀時、おまんはまた一人で貧乏くじを引いておるのか」
辰馬は懐から、一丁の銃を取り出した。
かつて宇宙を救い、星々を繋いだ龍が今、友の背中を守るためにその銃口を闇に向ける。
辰馬「─────わしら四人が揃って、ただで済むと思うな。お台場の夜明けは、わしらがこの手で引き寄せてやるきに・・・!」
─────再び、お台場の戦場。
銀時の周囲には、すでに百人近い奈落の死体が積み上がっていた。
だが、残る二百五十人の包囲網は未だ厚く、銀時の息も荒くなり始めていた。
《白夜叉》と呼ばれた少年時代とは打って変わり、流石の彼も大人になってからは体力が退化していた。
銀時「・・・はぁ、はぁ・・・しつけーんだよ、お前ら・・・そんなに俺の首が欲しいかよ・・・」
奈落の指揮官が、冷酷に錫杖を掲げる。
男「終わりだ、白夜叉─────貴様一人の力で、この五百を凌ぎ切ることはできん。そこにいる少女たちの目の前で、その銀髪を真っ黒に染めてやる」
─────だが。
その瞬間、銀時の口角が不敵に吊り上がった。
彼は木刀を地面に突き立て─────三つの異なる方向から迫り来る、凄まじい『侍の気配』を敏感に察知していた。
銀時「・・・へっ・・・残念だったな、糞烏ども」
銀時は、額から流れる血を乱暴に拭い、奈落の軍勢を正面から見据えて笑った。
その笑みは、かつての戦場で敵陣を蹂躙した、最凶の《夜叉》のそれだった。
銀時「─────テメェらの命運は、今日で終わりみてぇだ。今、この街で一番厄介な『亡霊ども』が、お目覚めだぜ?」
その時─────
ドオォォォォォォォォォン!!!!!!
お台場の夜を切り裂く轟音。
それは並木道を揺らす爆風となり、取り囲んでいた奈落の兵士たちを木の葉のように吹き飛ばした。
???「─────喧しいぜ。壊すとか壊さないとか、四の五の抜かしてんじゃねぇよ」
爆煙の中から現れたのは、蝶の模様がある紫の着物を纏った男。
鬼兵隊総督─────高杉晋助。
その手にはすでに抜き放たれた真剣が、月光を反射して冷たく光っている。
せつ菜「高杉さん・・・!」
せつ菜が、震える声でその名を呼んだ。
目の前にいるのは、《中二病》ではない。
一国を震撼させる、本物の革命家の覇気だった。
男「貴様・・・鬼兵隊総督!!!何故此処に!!!」
驚愕する敵の指揮官を無視し、晋助は銀時の隣に歩み寄る。
晋助「おい銀時、テメェ一人でダンスパーティーか?相変わらず趣味が悪いぜ」
銀時「あぁん?見りゃわかんだろ、これからストーカー共の去勢手術を始めるところなんだよ。テメェこそ、その中二病全開の眼帯で見えもしねー夜景でも拝みに来たのか?」
晋助「─────斬るぞ、腐れ天パ」
銀時「─────やってみろよ、チビ」
二人は互いに悪態をつきながらも、背中合わせになった瞬間に流れる空気は、言葉とは裏腹に完璧な信頼で満ちていた。
晋助の剣が踊るたび、奈落の兵士が鮮血を撒き散らして地に伏す。
愛「すごっ・・・喧嘩してるのに、二人とも全然当たらない・・・!」
愛が、瞬きも忘れてその光景を焼き付ける。
そこへ、頭上から地響きのような怒鳴り声が降ってきた。
辰馬「コラァ!!!喧嘩をするのはよさんか!!!喧嘩を止めるわしの身にもなれぇぇぇぇぇぇ!!!」
どがぁぁぁん!!!と、コンテナを蹴散らして降り立ったのは、桂浜の龍─────坂本辰馬。
ランジュ「坂本・・・辰馬も・・・!」
ランジュが、その圧倒的な存在感に息を呑んだ。
更にその直後、別の方向から、ドガァァァン!!!と爆破で奈落が数十人吹き飛んだと共に、一人の男が優雅に着地する。
それは、狂乱の貴公子─────桂小太郎。
小太郎「ならば一層、俺たちも喧嘩に参加すればいい!!!」
彼方「桂さんも・・・!」
彼方が、驚きで眠気を完全に飛ばして叫ぶ。
男「何だと・・・?!!『桂浜の龍』に、『狂乱の貴公子』まで・・・!!!」
奈落の指揮官の顔が、恐怖で引き攣る。
かつて伝説の戦場に君臨した《攘夷四天王》が今、この狭いお台場の地に、全盛期の殺気をそのままに集結してしまったのだ。
辰馬「それは名案ぜよ!!!さあ銀時、高杉、遠慮は要らんきに!!!」
辰馬が笑いながら銃を連射し、敵の包囲網を力尽くでこじ開ける。
小太郎「銀時、高杉、そして坂本─────戦場で、四人が揃うのは何時以来か・・・」
小太郎が、鋭い剣閃で敵の錫杖を両断しながら、凛とした声で告げた。
小太郎「今宵は最高の祭りになりそうだな─────我ら四人の再会を祝う、血の花火といこうではないか!!!」
四人の間に張り詰めた殺気が一点に集束していく。
その姿は、歩夢たちがこれまで見てきた『だらしない大人』ではなく、文字通り一国を背負い、世界と戦い抜いた『英雄』そのものだった。
果林「・・・信じられない。あの人たちが、本当に・・・」
果林が震える声で漏らす。
その瞳には、恐怖を通り越した圧倒的な畏敬の念が宿っていた。
四人はそれぞれ、互いの背中を預けるように円陣を組んだ。
晋助「ククク・・・結局、この馬鹿げた場所に最後まで付き合うのは、馬鹿だけということか・・・」
晋助が口角を上げ、血に濡れた刀を振り払う。
小太郎「それでいい。馬鹿をしながら戦争をするのが俺たちの役目ではないか─────違うか、銀時」
小太郎が静かに、けれど熱く問いかける。
銀時「ハッ・・・ほざきやがれ、ヅラ・・・おい、辰馬。お前、さっきから笑いすぎなんだよ。ま、今回ばかりは笑いたくなるの仕方ねぇけどよ」
銀時が木刀を構え直し、鋭い目で敵を見据える。
辰馬「アハハ!!!相変わらずじゃのぉ、おまんらは!!!」
辰馬の豪快な笑い声、それは何時ものような間抜けたものではなく、龍の咆哮であり、絶望的な包囲網の中で唯一の《希望》のように響き渡る。
歩夢たちは、言葉を失っていた。
自分たちが知っていた『面白いおじさん』たちの仮面が完全に剥がれ、そこには剥き出しの『侍』がいた。
仲間を想い、国を憂い、そして今は目の前の少女たちを守る為に、地獄の底から這い上がってきた亡霊たち。
侑「─────かっこいい」
侑の瞳が、熱く潤む。
これまで見てきたどんなライブよりも、その背中は眩しく、そして力強かった。
だが、敵も引かない。
闇の奥からさらに数百の増援が現れ、お台場は完全に奈落の漆黒に塗り潰されようとしていた。
男「白夜叉ァ!!!貴様ら攘夷四天王、ここで終わりだ!!!」
奈落の叫びに、銀時は微動だにせず、ただ不敵な、そして最凶の笑みを浮かべた。
銀時「終わり?ハッ、笑わせんなよ・・・お前らガキども、よーく見とけ」
銀時が、一歩前に出る。
その瞳には、かつての戦場で天人たちが《死》を予感した、あの血のように紅い閃光が宿っていた。
銀時「─────
その言葉と共に、四人の殺気が爆発的に膨れ上がった。
歩夢たちは、呼吸をすることさえ忘れるほどのプレッシャーに圧倒されながら、伝説が再び動き出す瞬間をただ立ち尽くして見つめていた。
お台場の夜は、まだ明けない。
銀色の牙が、漆黒の闇を喰らい尽くすための、真の戦いが今、幕を開けた─────
次回へ続く・・・・・・