努力しない禪院、だが、最強   作:禅院炉

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禪院家最強

ボクは禪院家では特別なんやって。

 

相伝の術式に、一級術師20人分の呪力。そんで生まれ持った呪力操作の才能に、黒閃?とか言うのに愛されとる。

 

手加減して甚ぶってた呪霊がたまに消し飛ぶことがあったけど、あれはボクが力加減を見誤ったわけじゃなくて、黒閃による2乗バフ攻撃なんやって。普通の術師は一生に一度あるかないかの偶然による産物らしいけど、ボクなら百回に一回ぐらいの確率で発動しとる。

術師としての才能もあるのに、運もええんや。

 

だからボクは禪院家で特別なんや。

 

みんな褒めとる。ボクは天才や。

 

努力なんてしたことないけど、生まれながらに最強だった。直哉君が言う『あっち側』ってやつや。

 

「ふざけろや!お前なんかが甚爾君と同じなわけないやろ!!」

 

目の下。這いつくばって血反吐吐きながらまた文句を垂れる直哉君。

 

「呪力でゴリ押ししてるだけのカスが見下すなや!!」

 

直哉君はボクほどではないけど才能はあるし、努力家や。ボクほどではないけど顔もいいし、体格もがっしりしてタッパもある。

けど、性格が駄目やね。そんなんだから良い歳して嫁の一つも貰えんねん。

 

禪院家は男尊女卑が激しいけど、だからって女を道具のように扱ったらいかん。性欲処理とかもっての他や。

 

ボクはスパダリ……確かスーパーダーリンの略やったか?それだから女の方から寄ってくる。当然、全員嫁にして養っとるで。

身体だけの関係なんかで済ませたら、甲斐性なしと思われるからな。

 

「時代錯誤のドブカスがぁ。禪院家本家に大奥なんて酔狂なもんを建ておってからに!お前のせいで禪院家は無茶苦茶じゃ!!!」

 

べつに歴史ある本家を魔改造してるわけやないからええやん。

ちょっと裏の土地を買収して、嫁達が不自由なく暮らせるよう、本家よりも大きい屋敷を建てただけやろ?

 

そうそう……大奥と言えば、今度6人目の子供が生まれるねん。6人目となると名前を考えるのも大変でな~考えるの手伝ってくれへん?

 

「だれが!」

 

じゃあ名前貸してくれや。直哉って良い響きだと前から思ってたんや。

ボクの子供やし、運が良ければ相伝や。そうなれば次期当主は確実やろ?

よかったやん。直哉君は当主にはなれへんけど、あっちの直哉君は成れるかもしれないんやから。

 

「殺す!!!!」

 

もう呪力も底を突きかけて限界も近いだろうに、なけなしの呪力で術式を発動させる直哉君。

 

ほんま。直哉君の執念には毎度のこと驚かされるわ。

 

でもな。どれだけやっても無駄なんや。

 

 

直哉君の投射呪法は速いだけ。火力はないし、どれだけ速くなっても空気を蹴って空を飛んだりは出来ないし、音速の壁を乗り越えたりは出来ん。

前から思ってたけど、物理限界のある人間には不向きの術式や。

直哉君が呪霊だったら、全身がドスみたいに鋭利で空も飛べて音速の壁を越えられる変幻自在のツヨツヨ術式になるかもしれんけど、今のままじゃ力の持ち腐れもいいところや。

 

それにな。こっちに顔を出すたび毎度のこと勝負を挑んでくる直哉君のこと、いい加減うざいと思ってるねん。

 

同郷のよしみで相手してやってるけど、どうせ勝てもしないのにバカ正直に付き合ってやってるボクのことを少しは考えて欲しいわ。

 

ガコンっ

 

ボクの真上にある法陣が回る。

……あぁやってしもうた。

 

()()()()調()()()()時に、法陣だけ取り出して自身にも適応の術式を付与することが出来るようになったこれ。

あまりにも無法すぎるし、何より可哀想だから直哉君には使わないようにしてたんやけど、うっかり適応してしまったわ。

 

直哉君の渾身の一撃……お、何気に黒閃やん。惜しかったなぁ。適応してなかったら、打撲ぐらいはしてたかもしれん。

 

「悪いなぁ」

「死ねや」

 

よし。黒閃出たってことは、反転術式を獲得するチャンスやろ。ここで死の縁に瀕すれば獲得出来るかもしれん。

 

 

えっと……遠征に駆り出してないやつって誰が残ってたってけ?

 

玉犬は京都の依頼に出したし、鵺は鹿児島やろ?

大蛇は広島で、脱兎は福岡、虎葬と貫牛は青森、円鹿は高専だから……残ってるのは魔虚羅と満象か。

 

魔虚羅は流石に死ぬやろうし、満象でいいやろ。

 

呪力を全力で籠めると、ミンチになってしまうから、適度な大きさになるように調整した満象で直哉君を押し潰す。

 

「ガアッ!?」

 

凄い反り返ってるけど、もしかして背骨折れた?

背骨って折れたら死ぬんやっけ?

 

……まぁええか。

 

ボクに歯向かってくるのは一向にかまへんけど、これで死ぬならその程度だったってことや。

 

禪院扇(お父さん)と同じ、ただのモブだったってこと。

 

もう適応してしまったから、投射呪法だけじゃ傷一つつけることも出来ひん。ここで反転術式を覚えるか、特級呪具でも持ってくるんだと、適当に煽っておく。

 

直哉君がモブじゃなければまたボクの前に現れるやろう。

 

「生きてたらまたやろうや」

 

 

 

 

 

そう言って、顎を蹴り飛ばし、踵を返す。

 

 

彼の名を禪院真(ぜんいん まこと)

 

 

わずか15にして禪院家27代目当主として呪術世界に混沌を招く五条悟とは全く異なるケースの時代の麒麟児である。

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