努力しない禪院、だが、最強   作:禅院炉

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問題児、三人、だが最強

「しんど……かったぁ」

 

全身が鉛のように重い。服は血でべとべとで気持ち悪いし、頭は痛いなんてもんじゃない。さっきまではガンガンだったけど今はジュウジュウって焼けとる感じや。

たぶん、()()()()()()()で無茶なことしたせいで物理的にも焼けとるんやと思う。ボクやなかったら痛すぎて発狂してるんやないかな?

 

一応反転使ってるんやが、熱がこもっとるからまた焼ける。治して、焼けてのいたちごっこや。

 

あ~頭を割って冷水ぶっかけたい。もしくは氷風呂やな。そこに頭を突っ込みたくて仕方ない。

 

「ま、まこと!」

 

あん?何や虎杖悠仁。宿儺が引っ込んで踞っとると思ったら起きとったんか。入れ替わりで気を失わないとか便利やね。宿儺と呪力を共有しとらんみたいやし、ナルトのクラマみたいに仲良く出来たら連戦出来るやん。

 

「大丈夫か、その肩とか、足とか」

 

もう反転術式で治したから大丈夫よ。でも上着貸してくれん?べちょべちょで気持ち悪いねん

 

「分かった。じゃあこれを着てくれ」

 

あんがと。うわー、何気に初めてやな。学ランとか。ちょっとサイズが小さいけど生地はしっかり……ん?立ち上がってどうしたん?

 

「俺は行くよ。皆を助けないと」

 

そんな、急がんでもええやろ。ちょっと待ってくれたらボクも一緒に付いていくから。ほら、こんなこともあろうかと茶菓子、影の中にいれてんねん。ちょっと休憩しよ。

 

「俺は人をいっぱい殺した。だからその分、人を助けないと」

 

目の奥が暗い、罪人みたいな目やった。

何でそないな目を?どういうことや?人を?呪詛師でもやったん?気にすることないと思うで。あれは人やない。害虫や。

 

「……ありがとう。でも俺のせいで、みんな死んだんだ。俺が生きてたから宿儺が渋谷にいる人を大勢!真がいなかったらもっとたくさん死んでいたかもしれない!!!!」

 

 

…………ん?

 

過去の経験でPTSDにでもなってるかと思ったが、話が違うようやな。

 

え?まさか『このボク』がいて、宿儺との戦いに非術師が巻き込まれたとでも思っとる?

そりゃ、怪我人は出たやろう。このボクが証人や。けど、肩や足に切り傷が出来た程度で人は死なん。放っておいたら分からんけど、この帳を解除したら、ボク管轄の大病院と救急救命士達が駆け込んでくる手筈や。だから誰も死なんよ。他は分からんけど少なくとも宿儺は誰も殺せてない。

 

「え?」

 

どうせ宿儺視点での記憶があるとかそういうのやろ?

ボクの領域は殺傷能力が低く、必中効果を省く代わりに燃費がええねん。だから宿儺の領域よりも広かった。

あとはボクが宿儺の斬撃を避ける為にやっていたことを、領域内の全ての人間に適用させた。

宿儺も途中からボクに的を絞っとったし、最後の炎はちいとばかしヤバかったが、炎だったお陰で影が伸びたからな。普通に影へ回収した。

 

「じゃ、じゃあ。誰も死んでない?助かるのか!?」

 

うん。結界の起点の場所も六眼で分かっとるから、魔虚羅特攻させてそれでしまいや。

 

「ありがとう!本当にありがとう!!!」

 

おっと。抱きつくなや。そういうのは女の子にやってもらってこそやねん。野郎に抱きつかれ、て……

 

 

は?

 

 

 

ボクの六眼はその時、ありえへん物を見た。

 

 

 

まだ所々、パズルみたいにピースが抜けているが、虎杖悠仁に宿儺の術式が刻まれていた。

 

……指を取り込んだことによる副作用?それとも器としての強度が弱くて、侵食されとる?

 

そんな憶測を六眼が否定する。

 

……ちゃう。器としての強度は未だ健在。けれど宿儺に影響されて術式が刻まれたんや。

 

ということはつまり?虎杖悠仁は近い内に宿儺の術式が使えることになるってこと?

 

この戦いが終わったら、器の強度とか関係なしに虎杖悠仁は宿儺が顕現したことを理由にして秘匿死刑を履行させようと思ってたけど、宿儺の術式が使えるなら話が変わる。

 

それ即ち、虎杖悠仁の子供は宿儺の術式(才能)を継ぐ可能性があった。

 

 

 

なぁ、虎杖悠仁。君って今回のことでボクに一生の借りが出来たよな?

 

 

「あぁ!何でも言ってくれ。真のパシりでも、死ねと言われても俺は従うよ」

 

そか。ならさ……ボクの養子にならん?

 

「はい?」

 

ハトが豆鉄砲を食らったみたいな顔をしとる。

いや、急にそんなこと言われて戸惑う気持ちも分かるよ?でも、君って所謂天涯孤独やろ?

今は五条悟が身の安全を保証してくれてるって話でも、別に五条悟が死んだら五条家が庇ってくれるってわけやないし、後ろ楯は必要やん?

 

ボクの養子になれば、最悪ボクが死ぬような事態になっても、禪院家が守ってくれる。

術式あって、男。そして体術も一級相当なら、あのゴミカスどもも仲間として扱ってくれるやろう。

 

だからボクの子供にならん?

それか、将来的にボクの子と結婚してくれへん?最悪、種だけでも提供してくれたらありがたいんやけど?

 

「いや、何でそんなことに!?」

 

「ブラザー。その提案は意外と悪くないかもしれないぞ」

 

「東堂!!?」

 

おっ。東堂か。あっちに飛ばしたけど、非術師達の様子はどうだった?

 

「トリアージで言えば2。何もしなくとも1日は持つ」

 

さんきゅー。なら、余裕で全員助かるな。

 

東堂は虎杖悠仁に向き直り、説得する。

 

「ブラザー。俺たちの弟分に六眼が宿っていることから察しているかもしれないが、五条悟は現在、表舞台から姿を消している。それが死亡なのか、封印されているかは分からないが、宿儺が顕現してしまった以上、総監部はお前の執行猶予を直ぐ様取り消そうと動くだろう。そんな時、後ろ楯は必要だ。特にブラザー(真)は御三家の当主。五条悟とは違い、総監部からの覚えもいい。口約束でも、禪院家に入るのは現状ではベストな選択だと俺は思う」

 

そやねん。ボクは五条悟みたいな、あえて敬語使って煽るような真似はへえせん。

無能なクズどもや。いずれ全員ぶっ殺してやろうとは思ってるけど、従順なふりをしてるから、アイツらはボクが庇うなら文句はいわへん。

 

今回で宿儺を完封出来るって証明も出来たしな。

 

まさか東堂が助け船を出してくれるとは思ってなかったけど、どう?かなり良い条件だと思うけどな?

 

「いや、そんなこと急に言われても困るよ。急に家族になれって……悪い気はしないけどさ」

 

確かに急過ぎたな。

じゃあこの戦いが終わったら考えて欲しい。是非とも前向きに、末長い付き合いを期待したい。

 

 

……よし。じゃあ話もまとまったところで、乾杯しようや。酒は戦闘中やからお茶やけど、ボク達のより良い未来を願って!

 

 

「義兄弟の誓いか……ふっ。そう言えば昔、給食で残した牛乳で同じことをしたな。あの頃から俺たち三人はいつも一緒で」

 

はい、そこー勝手に記憶を捏造しない。

でも義兄弟の誓いってのはわるうないな。

 

 

「それぐらいなら、まぁ」

「ならば決まりだ!」

 

ボクらは三人で、呪術界を変えていくで!

 

 

「「「おう!!!」」」

 

 

それから数十年後、宇宙(そら)より異星の者が現れり。

 

宿儺級案件。その対処に当たったのは乙骨兄妹ではなく、御廚子使いの青年と、不義遊戯使いの少女だったらしい。

 

その父である禪院家当主『十種影法術』の呪術師は異星の者との代表と決闘をすることになったんだとか、何だとか。

 

 

 

「真人には悪いけど、回収やな」

 

盃を交わし、笑い合う。

その時、禪院真は氷漬けになった。

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