努力しない禪院、だが、最強 作:禅院炉
禪院真の子供は現在、六人いる。
死んだ長男を含めれば七人だが、その誰もが術式を持ち、そして父親譲りの高い呪力量と呪力出力を誇っていた。
「そういうわけ、で!真様に手も足も出ず!おめおめと逃げ帰ったサルが次に狙うとすれば真様のお子である皆様の可能性が一番!であるからして!この私が手ずから、お稽古をつけてあげようというのです!」
「……いや、皆様って。ボク達まだ赤ん坊と、幼児だけなんだけど、ケホッ」
禪院久々津(ぜんいん くぐり) 六歳
真依と真の子供であり、術式は傀儡操術。事実上の長男であり、血が濃すぎる故か咳が絶えない。
この年齢で既に才能の片鱗を見せているものの未だ予断を許せない病弱な子である。
彼は真依譲りのツンとした瞳を尖らせ、不服そうに目の前の女へと訴える。
「ハァ……これだけ噛み砕いて説明してやってるのにまだ理解出来ないの?何もサルを相手にしろって言ってるんじゃないの。私がやるからその間だけでも最低限自衛出来るだけの力をつけろってこと。呪力を扱えるようになるって、呪術師としては必須科目よ。それをこの私が教えてやろうって話」
「だからだよ。ボクや結実(五歳の妹)はともかく、それより下の子は自我の芽生えすらハッキリしてない。結実だって、術式に目覚めただけで、まるっきり中身は子供だ」
久々津は自分が同世代の子より、精神的な意味でも秀でているのを自覚していた。
いつ死んでもおかしくないという虚弱体質がそうさせているのか、自分で言うのもなんだが少し達観しているように思える。
「そもそもことの発端はアンタが
「だって真が喜んでくれると思ったんですもの」
まるで悪びれる様子もなく、その女、万は蠱惑的な笑みを浮かべていた。
「ウソだね。お父さんの正妻であるお母さんが邪魔だったんでしょ?お母さんが消えれば繰り上げ式でアンタが正妻だ」
「結果的にそうなっただけで私は手足を用意した以外は何もしてないわよ?」
彼女は伏黒津美紀に埋め込まれていた呪物を真が摘出し、適当な呪詛師に飲ませて無理やり受肉させられたことで今こうして顕現している。
受肉体のアドバンテージがある為、顔は生前に戻しているが、顔が良くても性格がこれなので久々津達からは普通に嫌われていた。
「そして、お父さん以外はどうでもいいアンタが僕達の面倒を見ようって……焦ってるでしょ?まだ子を産んでないから」
「あ?殺すぞガキが」
万は受肉体だが、子供は孕める。それで子供がいないのは、単に真が『そういう気分の日』になっていないので、ゴムをされているだけだ。
過去に何度もゴムに穴を開けたり、液体金属で溶かしたり、出来る限りの抵抗をしたが、結果は虚しく終わっている。
それで焦っているのだろうと指摘する久々津の推理は的を得ていた。
相手が六歳の子供であることも忘れ、掴みかかろうとする彼女の腕を久々津の側に控えさせていた呪骸が押えつける。
外郭は金にものを言わせて外注したが、中身は彼が独自にシステムを組み込んだ、推定準一級相当の呪骸である。
「このっ!離せ!」
「こんな所で術式を使おうとか考えないでよ?屋敷が壊れたら、アンタがやったってお父さんにチクるから」
「あの人は私の夫よ!私の言葉を信じるに決まってる!!!」
「それはないと思うよ。お父さんは血の繋がりを何よりも重視するもん。子供と嫁じゃ、優先するのは目に見えてる……まぁ、だからお母さんに他の嫁さん達は太刀打ち出来なかったわけだけど、ケホッ」
万は平安の猛者達と肩を並べる猛者であるが、真が招いた女達も癖のあるもの達ばかりだ。
これまでは形式とはいえど真依が正妻だったので、纏まっていたが、彼女が死んだ今、禪院家は大いに荒れるだろう。
本当に頭が痛い。
これは病か精神的なものか。
……どっちも影響しているような気がした。
「お父さんは呪術界のことで手一杯だろうし、弟達のことは僕がなんとかしないと……はぁ。仕方がないよな。だって、僕、お兄ちゃんだもん」
ぶっちゃけ母親である真依と顔を合わせたのは片手で数えられる程度だった為、死んでもそれほど悲しみはない。
だが、こうなるぐらいだったらさっさと海外にでも行って、正妻の席を曖昧にしてくれよと呪ってやりたい気分だった。
○禪院真の子供達
禪院久々津
術式 傀儡操術
母親 禪院真依
呪力量 準一級クラス(成長期)
呪力出力 一級クラス(才能)
天与呪縛 免疫の低下
次男でもあり、長男でもある男。
脹相並みに兄妹に対する愛が深い。
父親の影響でアニメが好きで、特にNARUTOがお気に入り。最近は人傀儡を再現出来ないかと日々試行している。
教師候補であったメカ丸が死んだので本編よりは成長出来ない。
禪院結実
術式 真言(呪言の亜種)
母親 禪院家分家
呪力量 二級クラス(成長期)
呪力出力 安定せず(成長期)
天与呪縛 なし
長女。術式の効果は『ある一定時間、言ったことを本当だと思わせる』詐欺師向きの術式。
極めると、嘘を現実に出来るかもしれない。
まだ呪力制御もままならないので、術式の効果を押さえる呪具のマスクをしている。
禪院ケンタロス
術式 金剛力道(身体能力の向上系)
母親 留学時代の同級生
呪力量 三級クラス(成長期)
呪力出力 安定せず(成長期)
天与呪縛 なし
三男。禪院家には珍しいハーフであり、将来はごりマッチョが確約されている。
父親の影響でアニメが好きで、特にヒロアカがお気に入り。
オールマイト(主人公の師匠)に憧れたが、術式はどちらかと言うとマスキュラー(敵役)ぽい。
禪院雅彦
術式 式神操術
母親 高専に属さない元野良の術師
呪力量 安定せず(成長期)
呪力出力 安定せず(成長期)
天与呪縛 片目の視力の喪失
四男。まぁまぁ当たりな術式持ち。将来的には百の式神を従え、特殊な義眼ビームでカッコ良く決める、中二病を拗らせた一級術師(問題児)になる予定。
禪院千里
術式 千里眼
母親 高専に属さない元野良の術師
呪力量 安定せず(成長期)
呪力出力 安定せず(成長期)
天与呪縛 近眼
五男。千里を見通せる、まぁ言ってしまえばそれだけの術式。禪院真の子供達の中で一番頭脳に長けており(将来的に)、話術や事前に仕込んだ罠で巧みに立ち回る。
本気を出せば少し先の未来まで見通せるらしい。
禪院貞夫
術式 呪いのビデオ(DVD Blu-rayも可)
母親 ■■
呪力量 未知数(成長期)
呪力出力 未知数(成長期)
天与呪縛 呪いの映像を観せた相手ではないと干渉出来ない
六男。たぶん、というか後々は一番強くなる。
そう、あの有名な■■さんは特級仮想呪霊ではなく、超強力な呪詛師が呪いに転じた姿だったのだ。(実際には元ネタと似た境遇の人)
彼女は色々と特殊過ぎて呪霊になったあとも、人と呪いの境界を行ったり来たりでき、その時に真が口説いた。
子供を真に託し、現在は行方をくらませている。
実はアップロードされた動画を観ただけでも干渉出来るようになるが、貞夫はまだそこまで術式を拡張してきれていない。