努力しない禪院、だが、最強   作:禅院炉

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羂索VS禪院真 上

禪院真希へのケジメを終えてから暫く、ボクはこれからどうしたもんかと考えていた。

 

…戦力は充実してるし、もうこっちから攻めこむか?いや、でも乙骨君は使い物になるか分からんもんな~

 

「乙骨憂太はまだ暫くはこの件を引きずるだろうね」

 

そうやな~。まぁ彼もガキやないし、理解はしとると思うんやけど、嫁さんが殺されたみたいなもんや。飲み込むには時間がかかるやろう。

 

「もし離反するつもりなら、あの赤子を九十九に預けたままにはしないさ。私にはお前への怒りより、禪院真希をそのまま一人で本家に向かわせてしまった己を悔いているように見えるね」

 

ずずずっとお茶を飲みながらの見慣れない美人さん。

彼女はボクが真依お姉ちゃん経由で貰った亡き長男の術式『無為転変』で肉体を若返らせた天元様である。

そんなわけで現在、ボクがいるのは高専にある天元様の結界の中だ。

 

何でバタバタしとるこの時期に実家を離れてここにいるのは理由が二つ。

 

一つは、読みが正しければ加茂憲倫、天元様が言うには羂索っちゅう死滅回遊を企んだ男がぼちぼち天元様を狙おて襲撃をかけてくるやろから。

今の天元様は呪霊操術の操作対象にはなれへんし、九十九と膨脹が護衛として付き添おとる。そんで御三家のパワーバランスを崩して漁夫の利を得る為にあえて開放しとれへんだけで、いざとなれば獄門疆の裏と天逆鉾をつこて五条悟を開放することも出来る。

せやさかい大事あれへんとは思うが、用心に越したことあれへん。

 

二つめは、万っちゅう嫁さんが原因や。

ごく最近、その日がきて孕ませた嫁さんやが、あんまりにも仕込みが気持ち良かったんか完全にブレーキが壊れてしもうた。

ただでさえ孕んだ直後は流れやすいっちゅうのに、隙あらば行為に及ぼうとしよるさけ、現在は距離をおいとる。

 

つまり護衛を駄賃にセーフティハウスとして利用さしてもぉてるんや。流石の万も天元様の結界内には侵入出来んからな。

 

「私としては今、こうして動けるのは有難いが、お前の影にしまわれていた方が安全ではないのかい?」

 

影の中は安全やけど、生物は強制休眠状態になってしまう。

法陣の適応にも限界はあるんや。多分、十種影法術の範疇を越えているということやろう。

 

天元様はボクらの頭なんやし、こんだけ守りが鉄壁ならわざわざ情報戦で不利になるように立ち回ってもしゃあない。

不服やけど、千年生きた呪詛師が本気で仕込んだ今回の事件。ボクらは出し抜かれてばっかや。

渋谷に始まり、死滅回遊、既に呪術社会を取り締まる者としては完敗したと言うてええ。

せやから同じく千年のノウハウを持ち、今の呪術体系を築き上げた天元様は頼りにしてんやで。

 

「お前はあれだね。強者としての誇りはあれど傲りというものがない」

 

蟻やノミならまだしも強いやつに舐めプするバカはいらんやろ?

多分、直接戦うならそれほど苦労せず倒せる相手でも、条件を整えられると厄介になる相手や。

脳をとっかえひっかえする術式ってのも気になる。仮に過去の呪術師の肉体を何らかの方法でストックしててんとしたら、御三家の術式や最悪六眼を持っていてもケッタイない。

 

「六眼は体質だが、同じ時代に六眼持ちが複数発生することはないよ。仮に過去の六眼持ちの体を羂索が保管していたとしても、五条悟がいる限り、その瞳に宿ることはない」

 

そか。なら少なくともジェネリック五条悟が敵になる可能性はなくなったな。

でも初見殺しの術式なんてごまんとあるし、油断するには早計か。

 

……そういや、九十九達はどこ行った?

 

どうにも今朝方から姿が見えない。結界内にバーを作ったり、プールを作ったりと自由で騒がしい連中にしては静かすぎた。

 

「西○屋だね。高専に育児用品の備蓄はない。ベットは作れないこともないが、カビ臭いババアのお下がりはごめんらしい」

 

そか……。

いや、二人して行くことないやろ。何やねんあの二人。赤ん坊連れて西○屋とか仲良いいとかのレベルやない。出来てるんか?

 

「波長が合うのだろうよ。お互いに恋愛感情はないが、既に肉親のように思っている」

 

ふぅむ。ならそっちの感情に目覚めるのも時間の問題と。二人とも有能な呪術師やし……いっそのことボクが間を取り持ったるのもありやな。

禪院家には取り込めそうにない二人やが、その子供が将来的に禪院家に加わる可能性もある。特級に一級相当の受肉体、先行投資にしては中々に期待出来る組み合わせや。

 

「…………はぁ。どちらにしろ、羂索の野望を止めるのが先だがね」

 

それや。ほんまどないしよ?

両面宿儺を計画の要にしているのは間違いないし、虎杖悠仁を殺す?それともNASAのロケットに残りの指積めんで宇宙におさらばでもする?

 

「おや?虎杖悠仁には目をかけていたと思ったが」

 

虎杖悠仁ゆう呪術師は買ぉてるで。でも宿儺の器として見たら0を振り切って−100点や。

なんか理由が分からんけど耐えられとる現状に皆は満足しとるようやけど、もし羂索とかが檻としての強度を破いわする手段を用意しとったらどないするん?

聞ぃた話だと虎杖悠仁の出生に関わってるんやろ?

もし、虎杖悠仁が呪術師として成長するのを待っとった→虎杖悠仁が呪術師として完成したタイミングで両面宿儺にその器を渡す計画とかやったらどうすん。

 

ここまで用意周到な相手や。むしろそう言われた方が納得出来る。

 

伏黒君の友達やさかい、出来れば殺さない方向に持っていきたいけど、殺さない理由としては弱いからな。

 

最低でも、頭か心臓に爆弾つけて、成り代わったタイミングで爆破出来るようにでもするべきやと思うんよ。

 

「過剰……とは言えないね。むしろそれが自然ですらある。総監部はそれを思い付かなかったのか?……それとも思い付いたが、実行出来なかった理由があるのか」  

 

その時、二人の脳内に浮かび上がったのは

 

『ウェーイ!』

 

目隠しバカであった。

 

……ほんま、あのバカ。クソ単細胞。

 

「まぁ、悪いことばかりではない。五条悟が宿儺の器としてではなく、虎杖悠仁として高専に迎え入れたことで、彼は呪術師として心身ともに理想的な成長を遂げた。初めから腫れ物のように扱っては、それこそ反意を翻されても文句は言えないからね」

 

 

まぁな。打算あってそうしたのかは分からんけど、成功例にケチをつけるほど狭い心の持ち主やあらへん。

 

「そして今さらそれをしても、高専は貴重な戦力を一つ、いや伏黒恵や五条悟の門下生達が反意を翻す理由になるかもしれない。ただでさえ禪院真希の一件で、お前の評価は揺れている。あまり大胆な作は自粛するべきではないかな?」

 

うーん。ぐうの音も出えへん。なら、残りの指を宇宙におさらばの方向で行くか。……また借金増えてまうけど、今回ばかりはボク個人のお買い物やないからな。高専にも出して貰うで。  

 

 

「普通。そんな簡単に積み荷を増やしたりは出来ない筈なんだけどね。前々から禪院真は多額の借金を背負っていると噂があったが、宇宙事業に金を出していたのか。

先日の月から現れた魔虚羅といい、お前は宇宙で何をしようとしているんだい?」

 

それは秘密や。もうちぃっとだけ仲良くなったら教えたるな。

 

よし!ボクのコネでロケットに両面宿儺を指を積み込む。解決にはならんけど、嫌がらせとしては最上級やろう。

さっそく二人が帰ってきたら準備を…。

 

「それは困るな」

 

天元の結界が破られる。

 

現れたのは虎杖悠仁と瓜二つの外見をした額に縫い目のある男、

 

 

 

「「まじか!?」バカな!?」

 

 

ではなく。

 

 

蒼い目をした白髪の女。まるで五条悟を女にしたらこうなるだろうという法衣を纏った女。

 

 

彼女は小さく口ずさむ。

 

 

「領域展開『無量空処』」

 

天元が獄門疆裏を、そして禪院真が天逆鉾を影から取り出すよりも早く、最強の領域が二人を包み込んだ。

 


 

天元「五条悟がいる限り、六眼使いが新たに出現することはない(断言)」

羂索「だから五条悟は封印されてるって言ってんじゃん(笑)」

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