オリ技あり。
今回ちょっと短いです。
「ユーリ!」
「ミカ、無事か?」
「ええ。」
「ボクもいるよ。」
「ナオヤも、無事だったか。」
ミカとナオヤがユーリの元に集い、互いに無事かどうか確認する。
「おう、ムシャムシャ、お前等も、ムシャムシャ、無事、ムシャムシャ、だったか!ムシャムシャ。」
ブイモンが二人を見かけると、口に物を詰めながら話す。
「ブイモン、喋るなら飲み込んでからにしろ。」
「悪い悪い。」
そう言ってブイモンは口の中の食べ物を一気に飲み込んで喋り始める。
「ふぅー、食った食った。腹いっぱいだ。よしユーリ!何時でも行けるぜ!」
腹一杯になったブイモンは飛び跳ねて自分の元気さをアピールする。
「お前ってホント燃費がいいな。どんだけ疲れてても飯食えばすぐ回復するんだからな。」
「人もデジモンも、食えば元気になるだろ?それとおんなじさ。」
「若干違うが、まあいいか。・・・さて、おしゃべりはここまでだ。」
先程までの砕けた雰囲気はなくなり、全員が目を鋭くしてパラレルモンがいる方向を睨みつける。
「ここまでデカい騒動を起こしてくれたんだ。その落とし前、キッチリ付けてもらうぜ!」
ユーリが拳を掌に打ち付けながら言った。
「これ以上、アタシ達の世界とこの世界を滅茶苦茶にされない為に!」
「パラレルモンはここで倒す!」
ミカとナオヤも決意を固め、スマホを握り締める。
「行くぞ!最後の決戦だ!!ブイモン、進化だ!」
「ああ!」
ユーリはスマホを操作して、ブイモンをアルフォースブイドラモンへと進化させ、その背に乗り、パラレルモンの元へと飛翔した。
「来たか・・・。」
軍団を失い、残り一人となった状況でも表情を変えることなくそこに佇むパラレルモン。
そこに現れるのは平行世界から自身を追ってきた三人のデジモンとそのテイマー達。
その中のリーダーであるユーリが前に出て言い放つ。
「今度こそ観念しな。パラレルモン。もう逃げ場はないぜ。」
「貴方を倒して、元の世界に帰らせて貰うわ。」
「帰りを待ってる人達の為にもね。」
ミカとナオヤもユーリに続くように言う。
「最早逃げられない、か・・・よかろう・・・!」
パラレルモンは一歩踏み出し、その瞬間目を怪しく光らせながら戦う体勢に入る。
「貴様等を喰らい、私が最強となる!!エンドレストランス!!」
パラレルモンは腕を伸ばして空間に穴を開け、三体の究極体デジモンの周囲にゲートを開き、そこから多数の腕を出現させて殴りかかる。
「はあっ!」
パラレルモンの腕が出現すると同時に、アルフォースブイドラモンが神速のスピードで動き、穴から出現したパラレルモンの腕を切り裂く。
「ちっ・・・!」
パラレルモンは腕を引っ込め、今度は目から光線を放って攻撃する。
「ホーリーフレイム!!」
「ギガブラスター!!」
パラレルモンの放った光線を、炎と電撃で相殺して爆発が起こる。
「ならば・・・!これならどうだ!!」
単眼から再び光線を放ち、アルフォースブイドラモン目掛けて飛んでいく。
「何度来ても同じだ!!」
そう言ってアルフォースブイドラモンは前方にシールドを張って攻撃を防ごうとする。
だが。
「ぐあっ!?」
シールドを張っている方向とは別の方向から攻撃を喰らい、アルフォースブイドラモンは吹っ飛ばされる。
「アルフォースブイドラモン!?」
「どういう事!?今真っ直ぐ向かってきたわよね!?」
ミカが今の現象について疑問をぶつける。そこに、ナオヤが考察を入れる。
「多分だけど、途中から空間を操作して、光線の出口をいじったんだと思う。さっきの技を応用してね。」
「なんて器用な奴だ!?」
ユーリがそう言うと同時に納得する。
光線がアルフォースブイドラモンのシールドに着弾する前に、エンドレストランスの攻撃方法を応用して空間に穴を空けて、出口をアルフォースブイドラモンの背後へと繋げたのだ。
それによってアルフォースブイドラモンは吹っ飛ばされ、地面へと倒れたのだ。
「クソッ!」
「アブソーベント・バン!!」
パラレルモンが単眼から光線を発射し、空間を捻じ曲げて別の出口から光線がアルフォースブイドラモン達に向かって行く。
「くっ!」
「ふっ!」
「はっ!」
何処から来るか不明な光線が複数の出口から放たれ、三体の究極体達を追い詰めていく。
アルフォースブイドラモン達は培ってきた戦闘経験を元に発射される場所とルートを予測し、身を捻りながら回避していく。
「クソ!これじゃ反撃できない!!」
アルフォースブイドラモンが回避しながら隙を伺うが、周囲に発生している複数の出口から光線が絶え間なく放たれているため、中々反撃に移れない。
「アレだけの攻撃頻度じゃ、スピードアップやアジリティアップでも回避しきれそうにない・・・どうすれば・・・。」
ユーリが悩んでいると、その時ユーリの通信機に通信が入る。
「もしもし?」
『あ、ユーリさん!聞こえますか!?』
「その声、マコトか!?」
『ユーリさん、役に立てるかどうかわかりませんが、パラレルモンの弱点というか、エネルギーの集約点らしき場所がわかったのでそれを伝えます!』
「ホントか!?」
『ナイトキロプモンの集めた情報によると、パラレルモンは腹部の球体らしき部分にエネルギーが集中していて、そこから全身にエネルギーを行き渡らせています。何かしらの行動を取ったりすると、球体からエネルギーを引き出して技を放ったりしていると思います。ですので・・・!』
「いい情報ありがとよ!けど、ちょっと厳しいな。奴の攻撃が激し過ぎて、とてもじゃねえが上手く近付けねえ!」
『僕達が何とか隙を作ります。ですので、そこを叩いてください!』
「流石に無茶だ!奴の攻撃を喰らったら一発でアウトになるぞ!?」
『大丈夫です!隙を作ったら即座に離脱します!ですので、僕達を信じてください!』
「・・・わかった。けど約束しろ!絶対に無事でいろよ!お前達も、パートナー達もな!!」
『わかりました!では!』
通信が切れると、マコトの声が聞こえなくなった。
「アルフォースブイドラモン!奴の腹の球体を狙えるか!?」
「ちょっと難しいな!!」
「なら、信じて待とうぜ!皆もいいな!?」
「そうね!なら信じましょう、あの子達を!」
「それが今一番勝てる可能性のある方法だね!」
ユーリの言葉に全員が頷き、勝機が訪れるのを期待して耐える事を選んだ。
「・・・ということで皆さん、パラレルモンの気を引いて隙を作りましょう。」
マコトがそう言うと、グローイングドーンのメンバーは頷き、どのようにしてパラレルモンの隙を作るか作戦会議を開く。
「僕の考えたプランはこうです。遠距離攻撃でパラレルモンにぶつけてこちらに気を引かせます。パラレルモンには大したダメージにはならないでしょうが、コチラに注意が向くはずです。当然、戦いの邪魔をする僕達を排除しようと動く為、攻撃が当たったら即座に戦線から離脱します。皆さん、それでよろしいですか?」
「ああ!」
「ええ!」
「それで行こう!」
マコトの立てた作戦に全員が頷くと、それぞれのパートナーデジモンはエネルギーを体内に溜めて、一気に放つ。
「ニュートロンレイザー!!」
「ラピッドバースト!!」
「メズマバースト!!」
「豪ノ斬・叢時雨!!」
アルマリザモンが口からレーザーを放ち、ウルヴァモンは両腕のメタルアームからエネルギー弾を連射し、ナイトキロプモンは両手の指から敵を麻痺させる超音波を放ち、ムラサメモンは太刀を力一杯振り下ろして強力な斬撃波を放つ。
放たれたそれぞれの必殺技は、パラレルモン目掛けて飛んでいき、距離を縮め、そして当たる。
「ぐっ!?」
予想外の方向から攻撃を喰らい、パラレルモンはよろけて攻撃を中断した。大したダメージではなかったが、攻撃してきた本人を探す為にアルフォースブイドラモン達から目を逸らした。
だが、その行動こそが自らの首を絞める結果となる。
「うおおおお!!」
パラレルモンの視線が外れ、攻撃が途切れた事によってアルフォースブイドラモン達は自由に動けるようになり、反撃を開始する。
「サポートコマンド、パワーアップ!スピードアップ!」
「アルフォースセイバー!!」
「がっ・・・!」
ただでさえ速いアルフォースブイドラモンが、残像を残す程のスピードで移動し、切れ味を増したビームソードでパラレルモンの腹部の球体に深い傷を残していく。
「お、おのれ・・・!」
力の集約点である球体を傷付けられたことによって、傷口からこれまで奪って来たエネルギーが漏れ出て、戦闘の続行が困難になる。
「はあっ!」
アルフォースブイドラモンと入れ替わるように、ヘラクルカブテリモンが前に出てパラレルモンを三本角で挟み込んで持ち上げる。
「サポートコマンド、パワーアップ!」
「直接流し込んだるわ!ギガブラスター!!」
「があっ、ああ・・・あ・・・!」
頭部の角に威力を増大させた強烈な電撃を流し、角を通じてパラレルモンの全身を電熱で焼いていく。
「頼んますわ!ホーリードラモンはん!!」
「わかったわ!!」
ヘラクルカブテリモンが上空へとパラレルモンを放り投げると、ホーリードラモンが上空で待機しており、口の中に炎を溜め込んでおり今にも爆発しそうな熱量を持っている。
「サポートコマンド、パワーアップ!」
「喰らいなさい!ジオグレイモンの技を参考にした私なりの新技!ホーリーバースト!!」
口から太陽が吐き出されたのではと錯覚する程の眩しい光がホーリードラモンから放たれ、パラレルモンへと向かって行く。
ヘラクルカブテリモンの攻撃によって全身が麻痺しており、マトモに体を動かすことが出来なくなったパラレルモンはそのまま聖なる炎をその身に浴びて灼熱の光に焼かれていく。
「がああああ!!?」
鎧が砕け、腕や足の生身の部分は炭になる程焼け焦げ、重なったダメージによって地面へと倒れてしまう。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・!」
立ち上がろうとするが、受けたダメージによって全身に力が入らない状態だ。逃げようにも空間転移も使えない程弱っているパラレルモンは、最早辿る道は一つしか無かった。
「トドメを頼むわ!アルフォースブイドラモン!!」
「任せろ!!」
ホーリードラモンからバトンを渡されたアルフォースブイドラモンは、体内でエネルギーを溜め、そして練り上げて技を放つ体勢に入る。
「今度こそ、これで終わりだ・・・!」
「最早・・・これまでか・・・。」
パラレルモンは己の運命を受け入れ、静かに脱力する。そして、単眼でアルフォースブイドラモンの姿を捕らえながら最期の言葉を残す。
「私を倒しても・・・また別の私が・・・お前達の・・・前に・・・。」
「出力最大!シャイニングVフォース!!」
アルフォースブイドラモンの鎧からV字型の光線が放たれ、パラレルモンを飲み込むと、体の端から電子分解して行き、塵へと変わっていく。
やがて体の全てが電子分解されると、そこにはパラレルモンの姿はなく、かわりに一つのデジタマが存在していた。
「パラレルモン、討伐完了!」
―――グローイングドーン アジト
「もう行くのか?」
グローイングドーンのアジトの入り口でトモロウ達が、ユーリ達を見送ろうとしていた。
「ああ。パラレルモンも討伐したし、ここに居る理由がもう無いからな。」
パラレルモンのデジタマを抱えながら答えるユーリ。討伐目標であるパラレルモンを倒し、グローイングドーンにこれ以上いる理由が無くなった為にこの場所を去ることになったのだ。
「そうですか・・・寂しくなりますね。」
「しょうがないさ。彼等にも帰るべき場所がある。引き留めることは出来ないさ。」
寂しさを顕にするマコトに対してキョウがなだめる。
「確かに、寂しくなるわね。」
「レーナ・・・。」
寂しげに言うレーナを見て、プリスティモンはどう声をかければいいのかわからずにいた。
「あたし等の懐が。」
「そっち!?」
予想外の返答に驚くプリスティモン。レーナからすれば大金を運んでくるコウノトリそのものであったので、明日からまた資金調達に頭を悩ませる日々が始まるのだ。
「そろそろ行こう。ゲートを開くぞ。」
クロノモンが時空ゲートを開き、ユーリ達の背後に出現させる。
「名残惜しいけど、元いた世界の職場の子供達が心配しちゃうから、早く帰らなきゃね。」
「ボクの方も、早く職場に復帰しなきゃだしね。溜まってる仕事を片付けないと。」
「俺も、警官としての仕事があるからな。」
ミカ、ナオヤ、ユーリの順で、自分の成すべき事を告げてゲートに入ろうとする。
「あ、そうだ。トモロウ。」
ユーリが突如として足を止めて、トモロウの所に歩いて行く。
「ん?何だ?」
「いや、特にこれと言って大きな用はないが、一応言っておこうと思ってな。」
ユーリはトモロウと目を合わせて、真剣な表情で伝える。
「お前、デジモンの事をどう思ってる?」
「どうしてそんな事を聞くんだ?」
「いいから答えてくれないか?」
「ん~・・・ユーリ達と会う少し前までは苦手な存在だったけど、今は大事な家族みたいなものだって思ってる。」
「家族?」
「俺、デジモンの事件に巻き込まれて、兄さんがコールドハート状態になった事がきっかけで、ゲッコーモンと出会って、兄さんを元に戻す為にクリーナーになったんだけど、色々といざこざを起こしてな。」
「ふむ・・・。」
「けど、ゲッコーモンと腹を割って話して、それがきっかけでゲッコーモンが進化することが出来たんだ。それからなんだ。ゲッコーモンを家族の一員として迎え入れようって。」
「成る程。喧嘩して仲直りして信じられるようになったって事か。」
「けど、どうしてそんな事を聞くんだ?」
「いや、特に深い意味はないんだが、一人のデジモンテイマーの先輩として、一言言っておきたかった事があってな。」
「何なんだ?」
「世界が違えば、デジモンとの付き合い方や進化方法も違う。そう言うのをわかった上で言わせて貰う。これから先、お前等には様々な困難が待ち受けてるだろうよ。けど―――。」
ユーリがひと息ついて言う。
「自分のパートナーデジモンを強く信じてみな。お前とゲッコーモンの心の波長が一つに重なった時、デカい困難を乗り越える事ができると思うぜ?」
「それって、究極体になる為の秘訣?」
「そんなところだ。お前の目的を果たす為には、パートナーとの心の波長を完全にシンクロさせる必要があるだろうよ。それが出来た時、お前の目的は叶うと思うぜ。」
「心の波長の、シンクロ・・・。」
「・・・長い話をしたな。まぁとにかく、お前のデジモン、ゲッコーモンともっと話をしてみな。そうすれば、完全体を超えた究極体にも進化できるだろうよ。」
「ああ。ありがとう。」
「礼には及ばねえよ。」
そう言ってユーリはゲートに入りもう一度グローイングドーンの方へと振り返る。
「じゃあな!世話になったぜ!」
「さよなら。」
「そっちの仕事、頑張ってね。」
ユーリ、ミカ、ナオヤの順に言うと、扉は閉じてユーリ達はこの世界から去ったのであった。
「行っちゃったな。」
「ああ。スゲー奴らだったってな。」
トモロウが呟くと、ゲッコーモンも釣られて呟く。
「色々と凄い人達でしたね。」
「確かに・・・凄かった。」
マコトとキロプモンもユーリ達の存在感に凄いとしか言わなくなる。
「あたし等も負けてられないわね。あの人達みたいに、もっと強くならなくちゃ。」
「レーナ・・・そうね。」
レーナの決意表明に、プリスティモンも同意する。
「クーガモン。何だか久々に、色々と気分が燃えてきた感じだ。」
「キョウ?」
「俺達も目指してみるか、究極体に。ファミリーを守る為に、一緒に来てくれるか?」
「当然だろう。また、上を目指そう。」
キョウもまた決意を新たにし、クーガモンもそれに同意する。
「これから先、もっと厳しい戦いが待ち受けてる。ゲッコーモン。これからも一緒に戦ってくれるか?」
「もちろんだってな!」
「よし!兄さんを元に戻す為にも、頑張るか!」
トモロウとゲッコーモンも決意を固め、苦難と挫折が待ち受けている未来を見据えるのであった。
―――DD本部 入口
「ただいま帰りました。部長、署長。」
「お帰りなさい、ユーリ!」
「ユーリ!そして二人も、よくぞ無事だった!」
ゲートを潜り抜けた先で待ち受けていたのは、原田部長と星野署長だった。
「ただいま帰還致しました。パラレルモンの討伐は完了し、デジタマも回収しました。」
「確かに回収したわ。皆、お疲れ様。」
星野署長がユーリからパラレルモンのデジタマを受け取ると、帰還してきた全員に労りの言葉をかけた。
「それとユーリ。帰って来て早々だが、お前にお客さんだ。」
原田部長がユーリに向かって言うと、ユーリは首を傾げる。
「俺に客ですか?」
「ああ。帰って来たら教えてくれと言って、応接室で待っている。早く行った方がいい。」
「俺を名指しで?誰ですか?」
「わからない。とにかく、お前を名指しで待っている。」
「わかりました。そういう訳だから二人共、ちょっと行ってくる。」
「わかった。いってらっしゃいユーリ。」
「僕達はここで待ってる。」
ユーリはミカとナオヤに一言言ってその場を離れ、応接室へと向かうのであった。
―――応接室
「お帰りなさい。待ってたわ。」
「アンタは?」
応接室の扉を開け、来客用のソファに座っていたのは、紫の髪をした眼鏡を掛けた女性だった。
ユーリはその女性に何者かを問うた。
「私は「御神楽ミレイ」。肩書は幾つかあるけど、イグドラシルの協力者と名乗らせてもらうわ。」
「イグドラシルの?」
女性―――ミレイは自身の身分を明かすと、ユーリはオウム返しに聞き返す。
「話に入る前に、言わせてもらうわ。パラレルモン討伐、お疲れ様。」
「あ、ああ。」
「パラレルモンを討伐した貴方達の腕を見込んで、私から貴方達に協力をお願いしたいの。」
「お願い?」
「単刀直入に言うわ。貴方達にはこれから幾つかの平行世界を移動して、他のパラレルモンの討伐をお願いしたいの。」
「え?他のって、アイツ等複数も居たのか!?」
「正確には、貴方達が倒したパラレルモンから生み出された分身体。つまり、この世界へ来る途中までに、本体から生み出された分身体を退治して欲しいの。」
「全部で何体いるんだ?」
「幸いにも、数はそこまでじゃないわ。全部で五体。貴方達が倒した本体から生まれた分身達は、平行世界へ移動する能力は持ってはいないから、その世界に留まったままよ。けれど、分身と言えど強力なデジモンである事に間違いはないから、パラレルモンへの対抗手段を持たないその世界はあっという間に蹂躙されるでしょうね。」
「それで、パラレルモンを倒した実績を持つ俺達に協力を求めたって訳か。」
「その通りよ。帰って来て早々悪いと思ってるけど、協力してくれるかしら?もちろん、全力でサポートはするわ。」
「そこまで規模が広がってるとはな・・・流石にコイツは一人で決められねえから、ばあちゃんや部長、ミカ達も呼んでいいか?」
「ええ。構わないわ。」
ミレイとの会話はそこで一度打ち切り、この依頼の情報を共有する為に全員を呼び出すのであった。
―――会議室
「・・・成る程。話は大体わかったわ。」
星野署長がミレイと向き合って、先程の平行世界に散らばっているパラレルモンの分身体の討伐依頼について思考を巡らせる。
「非常に危険な依頼だって言うのはわかってるわ。けど、貴方達以外に頼める人がいないの。サポートはもちろん、報酬も充分に用意するわ。」
「ロイヤルナイツやオリンポス達は動けないの?」
「彼等は現在別件で出払ってて、こちらに残ってる戦力は全て防衛に回されてるの。故に、彼等に引けを取らないくらいの戦力を持つ貴方達にしか他に頼れるのがいないの。それに、このまま放って置けば、パラレルモンによってその世界が滅茶苦茶にされるかも知れないし、いずれ他の平行世界へと渡る力を身に付けるかも知れない。そうなる前に、全てのパラレルモンを討伐して欲しいの。」
「事情はわかったわ。この依頼を引き受けるわ。」
「ありがとう。引き受けてくれると信じていたわ。」
「ただし、条件があるわ。」
「条件?報酬なら充分に支払うし、サポートだって・・・。」
「そうじゃないわ。」
「?」
「この依頼を引き受ける前に、この子達の意思を聞いて欲しいの。」
「意思を?」
「デジモン事件を解決するのは私達DDの仕事ではあるけど、それはこの子達の意思を聞いてからよ。いくらデジモン事件を解決するのが使命だからって、この子達の意思を抑え込んでまで命令するのは不本意な事よ。ましてや、下手をすれば命を落とす危険や二度と戻ってこれなくなる可能性を度外視してまでこの子達に仕事を押し付けたくないのよ。だから、この子達の意思をはっきりと聞いて、この子達の覚悟を見た上で、お願いして欲しいの。その上で、この子達が依頼を受け入れても断られても素直に聞く事。それが条件よ。」
「署長さん・・・わかったわ。事件解決を優先するあまり、事を急ぎすぎたみたいだわ。」
ミレイは署長から視線を外し、ユーリ達に目を向ける。
「私からの依頼はとても危険な事よ。その上で、各世界に散らばっているパラレルモンを討伐して欲しいの。だから、お願い、お願いします。」
そう言ってミレイはユーリ達に頭を下げる。
「・・・・・・。」
沈黙が室内を支配する。そして破られる。
「顔を上げてくれ。」
ユーリがミレイに向かって言う。
「その依頼、引き受けるぜ。」
その言葉にミレイは顔を上げる。
「いいの?さっきも言ったけど、とても危険な事よ?」
「いいも何も、まだパラレルモンの件が完全に終わったわけじゃないんだろ?パラレルモンが他の世界で迷惑掛けてるなら、それを解決するのが俺達警察であり、DDとしての使命だ。それに。」
ユーリが一拍置いて言う。
「ちょっと不完全燃焼だったんだ。再戦できるって言うならその話乗るぜ。」
「・・・ありがとう。感謝するわ。」
「お前等もそれでいいか?」
「ええ。いいわよ。」
「この話を聞いた以上、放っては置けないよ。」
ユーリがミカとナオヤに話を振ると、二人は同意し、協力する事を約束する。
「いま、私のパートナーがパラレルモンの行方を追っているわ。居場所がわかったら知らせるわ。」
「わかった。」
その言葉を最後に、ミレイとの打ち合わせは解散し、各々が帰路に着くのであった。
パラレルモンの騒動がきっかけで、新たな事件に巻き込まれたユーリ。
解決したかと思いきやさらなる騒動に発展し、次の平行世界へと赴く事となった。
デジモン事件を解決する警察として、立ち止まっている暇はない。
平行世界でパラレルモンの事件を解決するために、ユーリはミレイの協力を取り付け、新たなる戦いに身を投じるのであった。
〜パラレルモン大騒動 ビートブレイク編 完〜
今回で、ビートブレイク編は完結です
次は何とクロスさせましょうか。
次回はいつ投稿するか不明です。
ホーリーバーストは今作のオリジナル技です。