フォルテはこの世界で初めて、自立稼働できるネットナビとして誕生し、最初は人間の為に働いていた。
敵意や悪意は無かったものの、乱暴なやり方でプログラムの不備やネットワーク内の警備体制の穴等を指摘し、破壊している内に、人間や他のネットナビから反感を買い、人間達によって拘束部屋に閉じ込められた。
拘束されている中でも、自身の生みの親であるコサック博士は時々様子を見に来てくれていた。
フォルテに拘束プログラムを施したのもコサック博士であったが、フォルテは拘束されたことに関して何も不満なことはなかった。
普通だったら乱暴な性格の持ち主とはまともに関わりたくない筈だが、コサック博士だけはフォルテを息子のように接し、フォルテもまたコサック博士を父親のように慕っていた。
『こうして閉じ込めることでしかお前を守ってやれなくて、すまない・・・。』
そう言ってくれたコサック博士の申し訳無いという気持ちを、フォルテは感じ取っていた。確かに、多少窮屈さはあるが、コサック博士と話ができるだけでもフォルテは安らぎと幸せを感じていた。
だがある日、フォルテにとって幸せだった日々が唐突に終わりを告げた。
『科学省のシステムに異常発生!!各システム、ダウン!!』
『急いで原因を究明するんだ!!このままでは科学省が機能不能になってしまう!!』
科学省内の各システムに異常が発生するという前代未聞の事態が発生し、科学省は大混乱に陥った。
その影響はフォルテを拘束していたエリアにも及ぼし、フォルテは外で何が起きているのか確かめる為、拘束部屋から抜け出したのだ。
『フォルテ!!この騒動はお前の仕業か!!』
『違う!!俺はこんな事態を引き起こしてない!!』
フォルテが拘束部屋から抜け出した事によって、科学省が大混乱に陥ったのはフォルテの仕業だと、科学省の警備隊長ナビから疑われ、フォルテは警備隊達と戦う羽目になったのだ。
『コサック博士・・・なぜ姿を現さない・・・!』
警備隊達と戦いながら、姿を現さないコサック博士に対して疑問を抱いていた。
『コサック博士・・・まさか、この騒動は俺がやった事だって疑ってるのか!?』
迫りくる警備隊達を倒しながら、コサック博士に対して疑いの心が芽生えていく。
『違う!!博士、貴方ならわかってくれるはずだ!俺の仕業じゃないって!!』
身体能力を抑えられた状態で戦い続けていると、疲労が溜まり、やがて大きな隙を見せることとなる。
『喰らえ!!』
『ぐああああっ!?』
隊長ナビがフォルテの体を切り裂き、フォルテは体とナビマークに大きな斜め線の傷が刻まれる事となる。
『どうだ!俺のヒートブレードの味は!』
『はあ、はぁ、はぁ・・・!』
致命傷こそ避けられたが、デリート寸前まで追い詰められたフォルテは地に倒れ、無防備な姿を晒す。
『博士・・・なぜ・・・?』
『トドメだ!』
隊長ナビがトドメを刺そうとした瞬間、戦闘が行われていたエリアが大きな音を立てながら崩壊していく現象に見舞われる。
『何だと!?』
突如起こった事態に隊長ナビが戦いを止め、上層部から通信が入り、この騒動はフォルテの仕業ではないと知る。
残ったナビ達はデリートを免れるためにプラグアウトするが、隊長ナビだけは残った。
フォルテをデリートするために隊長は再びヒートブレードを構える。
『貴様の疑いは晴れたが、デリートしろという命令は撤回されていない。今までの恨み、ここで晴らさせて貰う!消えろ!フォルテ!!』
隊長ナビがヒートブレードを振り下ろした瞬間、フォルテは突如として立ち上がり、腕を刃状に変化させて隊長ナビを切り裂いた。
『ば、馬鹿な・・・俺のヒートブレードを、何故お前が・・・?』
フォルテは憎しみの籠もった目を隊長ナビに向けながらもう一度振り下ろし、隊長ナビをデリートする。
『・・・・・・。』
ついさっきまで隊長ナビが立っていた場所を見つめながら、フォルテは胸に広がる憎しみに心を支配されていた。
実はフォルテに施されたプログラムは、拘束プログラムではなかったのだ。
フォルテが施された本当のプログラムは、自身が戦闘で経験したデータを学習し、自分の力へと変換し、昇華するゲットアビリティプログラムであり、戦えば戦う程無限に強くなっていく、強力なプログラムであったのだ。
隊長ナビと戦っている最中に解放されたこのプログラムを使ってヒートブレードを学習し、隊長ナビを切り裂いたのだ。
『俺はもう・・・誰も信じない・・・!』
科学省の人間から疑いをかけられ、見捨てられ、誰よりも慕っていたコサック博士が姿を見せなかったことにフォルテは絶望し、科学省から去ったのであった。
それからのフォルテは、強者を求めて電脳世界を徘徊し、戦いを通じて自身を強くしていった。
そんな中、フォルテはあるネットナビと出会う。
名をロックマン。
最初こそは弱い存在であったが、何度も戦いを重ねるにつれて強くなっていき、やがて多くの力を取り込んだフォルテすらも倒す存在へと成長していった。
強いだけならまだいい。だが、フォルテにとってどうしても気に食わない存在がもう一人いた。
光熱斗。ロックマンのオペレーターだ。
人間に裏切られ、人間に対して強い憎しみを抱いているフォルテからすれば、人間とネットナビが力を合わせるなど吐き気を催すほどに気に食わない在り方であった。
他者を信頼し、その背中を人間に預ける。
その姿はかつて、自分が捨てたコサック博士に抱いていた信頼を見せつけられているようで気に食わなかったのだ。
自分の力だけで最強になる。だがその為には、人間と信頼関係を築いているロックマンを倒す必要がある。自らの信じるものを証明するために、幾度となくロックマンとぶつかり合った。
ある事件がきっかけで記憶をなくしても、ロックマンに対する執着は消えなかった。出会う度にロックマンに戦いを挑み、その度に負けた。
誰よりも強くなった筈なのに、世界を破壊してしまう程の強い力をも取り込んだというのに、それでも勝てなかった。
そして電脳獣の力を取り込んで最後の戦いに挑み、ロックマンを追い詰めるも、激戦の果てにデリートされた。
デリートされて、残留思念となって電脳世界を彷徨っていたところをパラレルモンに吸収され、パラレルモンの体内で体を少しずつ再構築していった。パラレルモンを通じてデジモンの知識を蓄えながら。
そして、マグナモン達との戦闘でデリート寸前まで追い詰められた所を好機と見てパルレルモンの体を乗っ取り、この世界に復活を果たしたのだ。
究極体の力をその身に宿して。
「この力、素晴らしいとしか言いようがない・・・こんな力が異世界に存在していたとは・・・。感謝するぞ。俺が復活する機会を与えてくれただけではなく、新たな力を得る機会も与えてくれたこともな。」
フォルテが両手を何度か握って、力の馴染み具合を確かめながら笑みを浮かべる。
「フォルテ・・・お前はかつて、ロックマンにデリートされたと聞いている。そんなお前が、何故?」
マグナモンがフォルテに問いを投げる。
「さあな。一つ言えることは、俺はこうして地獄から舞い戻ってきたということだ。」
フォルテは一呼吸置いてマグナモンに言う。
フォルテは全身にエネルギーを生き渡らせると、両腕に闇のエネルギーを纏わせながら鋭い眼光をマグナモン達に向ける。
「新しい力を試すいい機会だ。試運転に付き合ってもらうぞ!!」
「全員構えろ!来るぞ!!」
「俺を楽しませろ!!」
フォルテが地を強く蹴り出し、マグナモン達はフォルテを迎撃すべく激突した。
「ダークアームブレード!!」
フォルテは両手から闇のエネルギーで出来た刃を出現させ、マグナモンに切り掛かる。
『ウェポンコマンド、ホーリーロッド!!』
ユーリがデジヴァイスを操作して、エンジェモンの武器である黄金のロッドの絵柄をタッチしてデータを転送し、マグナモンにロッドを持たせると、フォルテの闇の刃とぶつかり合い、火花を散らしながらフォルテの斬撃を受け流す。
「ふっ!はっ!」
「せいっ!はっ!」
フォルテの双剣とマグナモンのホーリーロッドが、ぶつかり合うたびに飛び散る火花を散らしながら切り結ばれる。
「援護するぞマグナモン!ユウヤ!!」
『サポートコマンド、ロックオン!!ウェポンコマンド、トライデントリボルバー!!』
ユウヤがデジヴァイスを操作して、ライズグレイモンの左腕の大砲のデータを転送すると、ムゲンドラモンの左腕のトライデントアームが外され、トライデントリボルバーに換装される。
「ポジトロンブラスター!!トライデントリボルバー!!」
ムゲンドラモンの両腕からそれぞれ砲撃が放たれ、フォルテに向かって飛んでいく。
「燐火斬!!」
マグナモンの双剣を捌きながら炎を纏った斬撃波を放ち、フォルテに向かってくる砲撃を相殺する。
「何だと!?」
「何という器用さ!!」
マグナモンの攻撃を捌きながらムゲンドラモンの攻撃を打ち消すという、神業を披露したフォルテに対して驚愕の表情を浮かべる二体。そしてその隙を逃さないフォルテではない。
「トイワンダネス!!」
「ぐああっ!?」
『マグナモン!?』
フォルテの掌から衝撃波が撃ち出され、その衝撃によってマグナモンは吹っ飛ばされる。
「暫く眠ってろ!カスタムボルト!ホワイトカプセル!」
広範囲に電撃を放つバトルチップ、「カスタムボルト」がフォルテのバスターから放たれてマグナモンに命中し、ホワイトカプセルの追加効果によって麻痺して行動出来なくなってしまう。
『マグナモン!!』
「次は貴様だ!ヘルズローリング!!」
フォルテが闇の円刃を幾つも生み出して投げ付け、ホーリードラモンを切り裂こうとする。
「ミカ!サポートお願い!!」
『ウェポンコマンド、ナイトシールド!!』
ミカがデジヴァイスを操作して、データを転送すると、ホーリードラモンの手にはナイトモンが使用する巨大な盾が出現し、前方に構えて迫る円刃を防ぐ。
「なんて威力・・・!」
ヘルズローリングを防いだ盾は無数のヒビが入り、最早使い物にならなくなってしまった。
「ガイアフォース!!」
負の念が集まった巨大な闇のエネルギー球を生み出し、ホーリードラモンに向かって投げ付ける。
「ホーリーフレイム!!」
迫り来る闇の力に、光の力で対抗しようと白銀の炎を吐き出して相殺しようする。
光の炎と闇の球体が衝突し、僅かな拮抗の後爆発する。
「センシャホウ!!」
「きゃあああ!?」
『ホーリードラモン!?』
センシャホウの高威力の砲弾が煙幕を切り裂きながらホーリードラモンに着弾する。
爆発によって生まれた煙幕を影にしてセンシャホウを展開し、視界が見えない状態にも関わらず、フォルテの培ってきた戦闘経験に相手がどの位置にいるのか予測し、ホーリードラモンにピンポイントで命中させたのだ。
「ぐぅぅ・・・!」
「貴様の力、貰うぞ・・・ん?」
フォルテがゲットアビリティプログラムによってホーリードラモンのデータを吸収しようとした時、別方向からエネルギー弾が飛んできたためフォルテは即座に回避する。
『これ以上は好きにさせないっす!』
「ユウヤ!出し惜しみ無しで行くぞ!!」
カオスドラモンにアップグレードしたムゲンドラモンが、背中の砲門をフォルテに向けて砲撃を放ってホーリードラモンから離したのだ。
「ほう?貴様も中々強そうだな。その力も、俺の物にしてやる。」
『俺達が積み上げてきたものを渡すものっすか!!カオスドラモン!!』
「デストロイドハーケン!!」
カオスドラモンが右腕からロケットアンカーを発射してフォルテを捕らえようとするが、フォルテはそれを闇の刃で切り裂いて破壊し、標的をカオスドラモンに変更する。
「いいだろう。少しだけ遊んでやる。」
「うおおお!」
フォルテは闇の刃を伸ばしながらカオスドラモンへと近付き、その刃で切り裂こうとする。その刃の攻撃をカオスドラモンは左腕のメタルアームで防ぎつつ、右腕を突き出してフォルテを捉えようとする。
「甘い!ゴーレムパンチ!!」
「ぐっ!」
岩石の拳をその身に受けるが、ほぼ無傷であり、拳を受けた衝撃によってカオスドラモンは後ろへ僅(わず)かに下がる。
「ほう?なかなか頑丈だな?」
「ユウヤ!」
『サポートコマンド、スピードアップ!アジリティアップ!』
移動スピードが上がったカオスドラモンは、再度フォルテに向かって突撃していく。
「何度来ても無駄だ!ヘルズバーナー!!」
目の前に迫って来るカオスドラモンを、腕を火炎放射器に変形させ、火炎を放って焼き尽くそうとする。
火炎が放たれ、炎がカオスドラモンを飲み込もうとしたその時。
『跳ぶっす!カオスドラモン!!』
「おおおお!!」
背中に背負った砲台から放たれたエネルギー波をブースター代わりに使用し、フォルテの頭上を取った。
「何!?」
『サポートコマンド、パワーアップ!ロックオン!』
「ハイパームゲンキャノン!!」
背中の砲台をフォルテに向けて砲撃を放ち、怒涛のエネルギー波がフォルテを飲み込み、着弾と同時に大爆発を起こす。
『やったっすか!?』
「バカ!それはフラグだ!!」
カオスドラモンがそう言った瞬間、大爆発によって発生した煙を切り裂きながらフォルテが飛び出し、カオスドラモンに向けて拳を突き出した。
「獣王拳!!」
獅子の闘気を乗せた拳はカオスドラモンの胴体を捕らえ、その衝撃によってカオスドラモンは吹っ飛ばされる。
「ぐおおっ・・・!」
レッドデジゾイドのボディを持ってしても響いてきた衝撃にカオスドラモンは顔を歪ませ、その苦痛に膝を付いた。
「何という強さ・・・これがフォルテの力・・・!」
『しかもパラレルモンの力も取り込んでるっすから、さらにパワーが倍増してるっす!』
「大分力が馴染んできたな。そろそろ終わらせてやろう。」
フォルテはそう言うと、カオスドラモンに一気に近付き、重さなど感じさせない動作で持ち上げて未だに倒れているマグナモンに向けて投げ付け、続いてホーリードラモンにも近付いて二体のデジモンに向かって投げ付ける。
『何とするつもりだ!?』
行動の意図が読めないユーリがフォルテに問い掛ける。
「貴様らの力を纏めて取り込んでやる・・・。」
フォルテが腕を突き出すと、見覚えのある姿に変化する。
『ソイツは!?』
変化した腕はパラレルモンの頭部であり、ギョロギョロとその単眼を動かす。
「お前達が狙っていたパラレルモンの力だ。コイツの力で貴様らを纏めて食い尽くしてやる。」
パラレルモンの頭へと変化したフォルテの腕に、禍々しいエネルギーが集っていく。
『マグナモン!起きろ!奴に食われちまうぞ!!』
「うう・・・!」
『サポートコマンド、リカバリー!』
「ぐっ・・・うああ・・・!」
ユーリがマグナモンにサポートプログラムを転送するが、回復することなく逆にダメージを負ってしまう。
『何故だ!?何で回復しない!?』
「さっき貴様にカスタムボルトを撃ち込んだ時、その後回復されないように「バッドメディスン」を使ったのさ。そのせいで回復せずに逆にダメージになるのさ。」
『何だと!?』
「中々楽しめた。最後はコレで果てろ!!」
腕にエネルギーが限界までチャージされ、フォルテはマグナモン達に狙いを定めて一気に放とうとする。
「終わりだ!!アブソーベント・バン!!」
パラレルモンの頭部から極太の光線が放たれ、マグナモン達を飲み込もうとしたその瞬間。
『バトルチップ、リフレクメット!!』
マグナモン達に光線が当たる直前に何かが割り込み、巨大な青いシールドが展開されて光線を受け止め、そして反射されてフォルテへと向かって行った。
「ぐああっ!?」
予想外の攻撃の反射によってフォルテは真正面からダメージを負い、膝を付いた。
「皆、大丈夫!?」
『間に合ってよかったぜ!!』
「お前は・・・!」
マグナモン達のピンチを救った者の正体がハッキリしてくると、マグナモンが声を上げる。
『「ロックマン!!」』
ユーリとマグナモンが自分達を助けてくれた事に驚き、その表情を驚愕に染める。
『お前等、何でここに!?』
「話は後だよ!今はココから脱出しよう!!」
「ロックマン・・・!またしても俺の前に立ちはだかるか!!」
「フォルテ・・・君との戦いはまた今度だ。皆、急いでプラグアウトを!」
『ああ!!』
ロックマンの指示に従うと、ユーリ達はそれぞれのパートナーデジモンをプラグアウトさせ、グレイブヤードから脱出するのであった。
「おのれ・・・ロックマン!次に会った時には必ずデリートしてくれる!!」
獲物を仕留める直前に逃げられた事実を前に、フォルテはその悔しさに拳を強く握り締め、再び対峙した時にデリートすることを誓うのであった。
ビートブレイク編、ちょっと修整しようか悩み中。全体で見るとちょっと雑な部分があるのを感じる。