―――科学省 祐一郎の研究室
フォルテから逃げることに成功したユーリ達一行は、科学省の祐一郎の研究室にて集まり、ブイモン達を回復させつつ今後の事について話し合いを行っていた。
「まさかフォルテがあそこまで強かったとはな・・・かなり強いと聞いていたが想像以上だったぜ。」
「パラレルモンを追い詰めたと思ったらフォルテが復活するなんて、想定外にも程があるわ。」
「俺の予想っすけど、フォルテの残留データを吸収した事で、内側から少しずつデータを書き換えて復活したんだと思うっす。しかも、パラレルモンが記録しているデジモンのデータを自分の力へと変換して、他のデジモンの技を使ったんだと思うっす。」
ユーリがフォルテの強さを思い返しながら拳を強く握り、ミカもフォルテの復活に驚きを顕にし、ユウヤもデジモン達のメンテナンスを行いながらフォルテが復活した理由を考察する。
「まさかフォルテが復活するなんて・・・あそこまで執念深いやつだったなんて思いもしなかったぜ。」
『でも僕達は、昔倒した筈のナビの残留データと戦った事があるから、フォルテの復活も有り得ない話じゃないと思う。』
熱斗もフォルテの復活に驚いていたが、ロックマンはフォルテが復活した事にそれ程驚いてはおらず、復活した理由については納得できるものを知っていたため、他と比べて驚きは少なかった。
「なら、フォルテも同じ理由で復活したって事か。でも、昔戦った残留データのナビははっきりとした意思は持ってなくて、ウィルスみたいに外敵を排除するみたいな感じで襲い掛かってきたじゃん?残留データとして復活したにしては意識とかはっきりしてたけどな。」
『色々理由が思い浮かぶけど、フォルテは高い学習能力を備えているのと、デジモンという未知の要素が加わったからイレギュラーな形で復活したんだと思う。しかも新しい力を身に着けて。』
「またフォルテと戦わなきゃいけないのか・・・今度も倒せるのかな?」
『倒さなくちゃいけないんだ。ここままにしておくと、フォルテはきっと電脳世界中で暴れ回って大きな被害を出してしまう。無関係な人やナビ達を巻き込まない為に、フォルテを倒そう。』
「・・・そうだな。弱音なんて吐いていられないよな。フォルテを倒して、平和を取り戻すんだ!」
『その意気だよ熱斗君!』
熱斗達が決意を固め、フォルテを倒す事を決める。
その様子を見ていたユーリ達は眩しいものを見るかのように熱斗達を見つめる。
「・・・眩しいな。あいつら。」
「ええ。折れかけていた私達の心を奮い立たせてくれるわね。」
「俺達も負けてられないっすね。今、俺達が使ってるプログラムのアップデートを行ってるっす。そうすれば、戦いの幅がもっと広がると思うっす。完成を急ぐんで、少し待っていて欲しいっす。」
「頼んだ。」
ユウヤはウェポンコマンドのプログラムをアップデートする為にパソコンと向き合い、フォルテに対抗する手段の幅を広げる為に完成を急ぐ。
「皆居るな?フォルテに関して情報が入った。」
その時、祐一郎が研究室に入って来ると同時に、フォルテに関する情報を得たと言い、部屋にいる全員が祐一郎に注目が集まる。
「まずはこれを見てくれ。」
祐一郎がパソコンを操作すると、部屋の巨大モニターにインターネットの様子が映し出される。
「これは・・・!」
ユーリは驚きの声を上げる。
インターネットの至る所にデジモンらしき生命体が溢れ出ており、デジモン達がインターネット中を攻撃しており、オフィシャルナビがその対応に当たっている様子が映し出されていた。
「あれが全部デジモンなのか?それがこんなにたくさん・・・!」
『もしかしなくても、これってフォルテの仕業だと思う。』
熱斗がインターネットで暴れているデジモン達を見て驚愕し、次々と破壊されていくエリアを見て困惑の表情を浮かべる。
ロックマンもこの状況を誰が生み出したのか予想が付き、フォルテがやったのだと確信する。
「そして、フォルテは今ここに居る。」
祐一郎はパソコンを操作してフォルテがいるエリアを映し出す。インターネットのとある場所―――ウラインターネットの深部の一つであるシークレットエリアにフォルテが立っており、フォルテの視界の先には一人のナビが膝を付いていた。
『セレナード!』
「誰だ?」
ユーリが倒れているナビについてロックマンに質問する。
『ウラインターネット最強のナビで、ウラの王と呼ばれてる存在だよ。フォルテと同じくらいの強さを持ってるんだ。』
「マジ?」
「でもまさか、セレナードがあんなに苦戦するなんて・・・助けに行かなきゃ!セレナードがデリートされたら、ウラインターネットの秩序が滅茶苦茶になるぞ!!」
『熱斗君!急いでプラグインして!』
「わかった。ロックマン、フォルテは最後に戦った時よりもさらに強くなってる。もしかしたら今度こそデリートされるかもしれない。それでも、一緒に戦ってくれるか?」
『当然だよ熱斗君。僕達は何処までも一緒だよ。』
「よし!行くか!」
熱斗とロックマンは気合を入れ、プラグインする為に祐一郎のパソコンに向き合う。が、その前に祐一郎が待ったをかけた。
「熱斗、ロックマン。セレナードの所へ行く前に少し待ってくれないか?デジモンに対抗するプログラムが完成したからそれをロックマンにインストールしたい。」
「それって、フォルテに効くのか?」
「フォルテは、パラレルモンのデータを吸収したことによって半分デジモンのような存在になっているはずだ。だからこの対抗プログラムがフォルテに通用するかもしれない。」
『わかった。お願いパパ!』
熱斗はPETを祐一郎のパソコンに接続し、デジモンに対抗するためのプログラムをインストールしていく。
「インストール完了だ。調子はどうだ?ロックマン。」
『うん、特に違和感はないよ。』
「他にも、デジモンの技を再現したいくつかのバトルチップのデータもインストールした。有効に使ってくれ。」
祐一郎は熱斗のPETにインストールされたデジモンのチップデータを表示すると、熱斗とロックマンは新しい力に興味と期待を持ち、胸を躍らせる。
「凄い・・・どれも強力そうなものばかりだぜ!」
『これならフォルテに対抗できるかもしれない!』
「頑張ってくれ二人とも。電脳世界の未来を頼んだぞ!」
二人は頷き、熱斗はロックマンをそのままインターネットへとプラグインさせ、ウラインターネットの深部の一つであるシークレットエリアへと向かって行く。
「ユウヤ。サポートプログラムのアップデートは?」
「もうすぐ終わるっす・・・できたっす!今アニキ達のスマホにインストールするっす!」
ユウヤはパソコンを操作し、デジモンをサポートするためのプログラムをアップデートを完了させ、ユーリ達のスマホにインストールする。
「これで、他のデジモンの武器や技の使える種類が増えたっす。」
「ありがとよ。ブイモン、調子はどうだ?」
『バッチリ!いつでも行けるぜ!!』
「テイルモンは?」
『いつでもいいわ。』
「ナノモンもどうっすか?」
『ああ。お前のメンテナンスのおかげで調子がいい。いつでも行けるぞ。』
それぞれのパートナーが全快した事で準備が整い、ユーリ達はスマホを祐一郎のパソコンへと向ける。
「行くぜ!フォルテを止めるぞ!プラグイン!ブイモンEXE、トランスミッション!!」
スマホからデジモン達を転送し、ロックマンに続いてシークレットエリアへと向かうのであった。
―――ウラインターネット深部 シークレットエリア
「くっ・・・!」
「今度は俺の勝ちのようだな。セレナード。」
フォルテの目の前で膝を付いているのは、ウラインターネットの王であるナビ、「セレナード」だ。
彼はこのシークレットエリアにフォルテが侵入したのを感知し迎撃に向かったのだが、以前戦った時よりも遥かに強くなっており、圧倒的な戦闘力の前に膝を付いている状態なのだ。
「フォルテ・・・いつの間にこれ程の力を・・・!」
「グレイブヤードで強大な力を腹一杯吸収したんでな。今の俺なら、現実世界に飛び出すことも可能だ。だが、それは電脳世界でやり残した事を片付けてからだ。」
「ならば尚更、負ける訳にはいきませんね。私の敗北はウラの秩序が崩壊するだけでなく、オモテの秩序の崩壊にも繋がります。フォルテ、あなたの様な危険な存在を野放しにするわけにはいきません!ここでデリートさせて貰います!!」
「やってみろ。無駄に終わるだろうがな。」
「喰らいなさい!!」
セレナードは立ち上がり、フォルテに向けて光球を放つが、フォルテはその手にダークアームブレードを出現させ、向かってくる光球を叩き落とす。
「はぁ!」
セレナードはフォルテの背後に移動し、エネルギーを凝縮した光球をフォルテにぶつける。
光球がぶつかった瞬間大爆発が起きるが、フォルテは平然としており、首を背後のセレナードへと向ける。
「かゆいな・・・。」
「まだです!ホーリーショッ・・・!」
「遅い!コキュートスブレス!!」
「うあああ!!」
フォルテは腕を機械の狼の頭部に変化させると、セレナードに向けて強烈な冷気を放ち、あっという間に氷漬けにする。
「あ・・・ああ・・・。」
氷漬けにされたセレナードは身動きが取れず、その場で動けなくなってしまう。
「続けて喰らえ!獅子獣破斬!!」
腕に集めたエネルギーを螺旋状に回転させ、回転速度が最高潮に達した瞬間に氷漬けのセレナードを殴り付け、氷ごと粉砕しながらセレナードを殴り飛ばす。
「が、ああ・・・!!」
口からデータ粒子を吐き出し、エリアに建っているいくつもの柱を壊しながら減速していき、速度が落ちると同時に地面へと転がる。
「無様だな。ウラの王がこんな醜態を晒すとは。」
「フォ、ル・・・テ・・・!」
「せめてもの慈悲だ。一撃で葬ってやろう。」
フォルテは空高く飛翔し、両腕を前方へと掲げ、手の間に膨大な量のエネルギーを収束させる。
「トドメだ・・・ダークネスオーバーロード!!」
収束されたエネルギーが解放され、極太の光線となってセレナードへと向かっていき、セレナードを飲み込まんとする。
「ここまでですか・・・最期は呆気ないものですね。」
自らの死を悟り、デリートを受け入れるべく目を閉じる。
『バトルチップ!ブレイブシールド!!』
「ブレイブシールド!!」
突如としてセレナードの前に何者かが立ち、巨大な黄金の盾を前方に構えて光線を防ぐ。
「貴方は・・・?」
「間に合ってよかった・・・大丈夫?セレナード。」
「ロックマン・・・久しぶりですね。」
「やはり来たか。ロックマン。」
フォルテは地上に降りてロックマンと対峙する。
「来たのは僕だけじゃないよ。」
「ほう?」
ロックマンの背後にいくつかの閃光が降り注ぐと、そこにはマグナモン達が立っていた。
「すまない。少し遅刻した。」
「準備に少し時間がかかってしまったわ。ごめんなさい。」
「遅れた分、存分に力を振るう。大船に乗ったつもりでいてくれ。」
マグナモン、ホーリードラモン、カオスドラモンが足並みを揃えてフォルテと対峙し、ロックマンと共に並び立った。
「皆・・・ありがとう。」
ロックマンは三体のデジモンに礼を言い、フォルテと改めて対峙する。
「面白い。俺も暴れ足りなかった所だ。ロックマン、今度こそ貴様と決着を付けてやる!」
フォルテは全身にエネルギーを巡らせ、戦闘態勢に入る。
「セレナードは下がってて!フォルテは僕達が倒す!」
「そうですね・・・後は頼みます。」
そう言ってセレナードはエリアから離脱し、ロックマンに後を託すのであった。
『行くぜロックマン!バトルオペレーション、セット!』
「イン!」
「最強は・・・俺だ!!」
先に仕掛けたのはフォルテだ。地面を踏み砕きながら高速でロックマンの目の前に移動し、その手に闇の刃を出現させながら斬り掛かる。
『バトルチップ、エリアスチール!!』
「ロックバスター!!」
切られる瞬間に、ロックマンは別の場所に瞬間移動をし、腕をバスターに変換させてエネルギー弾を放つ。
「ふん!」
フォルテは闇の刃でエネルギー弾を斬り落とし、ロックマンに視線を向ける。
「俺達も居ることを忘れるな!プラズマシュート!!」
マグナモンはいくつものプラズマ弾をフォルテに向かって投げ付け、攻撃を与えようとする。
「燐火斬!」
炎を纏ったX状の斬撃を放ってマグナモンの攻撃を斬り裂き、マグナモンに向かって腕を向ける。
「シューティングバスター!!」
「ライトオーラバリア!!」
フォルテの腕から放たれたエネルギー弾がマグナモンに向かっていくが、マグナモンが張ったバリアによって防がれる。
「ホーリーフレイム!!」
ホーリードラモンの白銀の炎がフォルテに向かって放たれ、焼き尽くさんとする。
「ダークネスオーラ!!」
闇のオーラがフォルテを包み、迫ってくる炎を防ぐ。防ぐと同時にオーラは消滅した。
「ハイパームゲンキャノン!!」
「アースブレイカー!!」
カオスドラモンの砲台から放たれた砲撃を、フォルテは地面にエネルギーを叩き付け、その衝撃で地面を捲り上げて壁を作り出して防ぐ。
『やっぱり強いっすね!けど、俺達も黙ってやられるような木偶の坊(でくのぼう)じゃないっす!』
『バージョンアップしたプログラム、早速試させてもらうぜ!アタックコマンド!ロゼモン!ソーンウィップ!!』
「ソーンウィップ!!」
ユーリがスマホを操作締してロゼモンのデータをマグナモンに転送すると、マグナモンの手に電撃を帯びた茨の鞭が出現し、フォルテに向かって振るわれる。
「ほう?前とは違う戦法か。だが甘い!」
フォルテは闇の刃を振るって鞭を切り裂き、マグナモンに向かって高密度の闇のエネルギー弾を投げ付ける。
『アタックコマンド!シリウスモン、プラネイトナックル!!』
「プラネイトナックル!!」
エネルギーが凝縮された拳を向かってくるエネルギー弾に向けて振るい、ぶつかった瞬間、衝撃を周囲に発生させながら爆発する。
「成る程、少しはやるようだな。だが、それは俺も使えるぞ!!トランプソード!!」
闇の刃がテレポートしながらマグナモンに襲い掛かるが、マグナモンはこれまでの戦闘で培ってきた経験による勘で攻撃先を予測して闇の刃を弾き飛ばす。
「アタシがいることも忘れないで!ミカ!」
『ウェポンコマンド!オウリュウモン、鎧龍左大刃!右大刃!』
ミカがスマホを操作し、ホーリードラモンに武器を持たせる。その両手に持つのはオウリュウモンが愛用する青龍刀のような刀、「鎧龍左大刃(がいりゅうさだいじん)」と「鎧龍右大刃(がいりゅううだいじん)」だ。
『さらにアタックコマンド!オウリュウモン、永世竜王刃(えいせいりゅうおうじん)!!』
「永世竜王刃!!」
ホーリードラモンはその手に持った双剣を振るい、強烈な斬撃波をフォルテに向かって放つ。
「ぬるい!ダークドリル!!」
闇の力が込められたドリルアームを腕に装備し、向かってくる斬撃波に向かって突き出し、斬撃波がドリルとぶつかった瞬間、斬撃波が霧散する。
『まだよ!アタックコマンド!オウリュウモン、黄鎧(おうがい)!!』
「黄鎧!!」
ホーリードラモンが体を竜巻のように回転させ、周囲のパネルを大河の土砂流のように巻き上げながらフォルテに向かって突撃していく。
「鬱陶しい!ヘルズローリング!!」
フォルテはいくつもの闇のリングをその手に形成してホーリードラモンに向けて投げ付ける。
しかし、土砂流の勢いが強いのか、ホーリードラモンは闇のリングをものともせず粉砕しながら突撃して行く。
「ちっ!」
ヘルズローリングが効かないとわかると、フォルテは戦法を変えるためにその場から退こうとするが、別の方向から飛んできたワイヤーらしき何かを身体に巻き付けられ、一瞬だけ動きを止めてしまう。
「何!?」
「エレメンタルボルト!!」
「ぐあああ!!」
巻き付かれたワイヤーから強烈な電撃が流れ、フォルテの動きが麻痺して行動不能になる。
「喰らいなさい!!」
「があああ!!」
動きが止まっているところにホーリードラモンがものすごい勢いで突撃してきており、フォルテはホーリードラモンの攻撃をモロに受けて大ダメージを負いながら吹っ飛ばされる。
『やったっす!上手く行ったっす!』
「ああ。まさかここまで綺麗に決まるとは思わなかったぞ。」
ユウヤの歓喜の声を聞きながらカオスドラモンは、右腕の砲口から伸びているワイヤーを回収しながらフォルテに目を向ける。
実は先程のワイヤーの正体は、ユウヤがカオスドラモンにパイルドラモンのデータを転送して、指先からワイヤーを飛ばして電撃を流す「エレメンタルボルト」という技だったのだ。
「味な真似を・・・!」
『まだまだ行くっすよ!アタックコマンド!メタルガルルモン、ガルルトマホーク!!』
「ガルルトマホーク!!」
カオスドラモンの右腕からミサイルが発射されると、フォルテに向かって飛んでいく。
「舐めるな!センシャホウ!!」
フォルテは巨大な大砲を肩に担ぎ、強烈な砲弾をミサイルに向かって放つ。
ミサイルに砲弾が着弾すると、爆発と同時に冷気が周囲に漂い、白い煙が辺りを包む。
「ちっ!視界が・・・!」
『今っす!熱斗君!!ロックマン!!』
ユウヤが熱斗に向けて声を掛けると、熱斗はバトルチップをPETに装填してロックマンに転送する。
『スプレッドガン!トリプルスロットイン!さらにホワイトカプセル!』
「ハイパーバースト!!」
『ぐあああ!!』
視界不良の中、フォルテの目の前にロックマンが飛び出し、前方に大量の玉をばら撒くプログラムアドバンス「ハイパーバースト」がフォルテに放つ。攻撃が当たった瞬間、フォルテの周囲が何度も爆発し、更に麻痺効果が追加されているためまともに動けなくなってしまう。
「熱斗君、チップを!!」
『バトルチップ!ガイアフォース、スロットイン!!』
熱斗がチップを転送すると、ロックマンの頭上に巨大なエネルギー球が出現し、フォルテに狙いを定める。
「ガイアフォース!!」
ロックマンは巨大なエネルギー球をフォルテに向かって投げ付けた。
「舐めるなーーー!!」
当たる寸前のところで麻痺が解けたフォルテは、瞬時に攻撃の体制を取り、迫ってくるエネルギー球に向けてダークネスオーバーロードを放つ。
エネルギー球と闇の光線がぶつかり合った瞬間、一瞬の拮抗の後に爆発を起こし、互いに吹っ飛ぶ。
『バトルチップ、リカバリー300!』
熱斗はロックマンにリカバリーのチップを転送して修復させ、耐性を立て直す。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・!」
フォルテは痛みを堪え、ロックマン達を睨みつけながら立ち上がる。
「俺が・・・俺こそが最強だ・・・!」
自分が自分たらしめる言葉を呟きながらフォルテは全身に力を入れつつロックマン達と向き合う。
『どんだけタフネスなんだコイツ。』
「下手すれば俺より頑丈かもな。」
ユーリとマグナモンがフォルテの頑丈さに呆れつつも警戒を解くことなくフォルテから目を離さない。
「認めるものか・・・人間と力を合わせた強さなど・・・まやかしだ・・・俺は人間を信じない・・・自ら手に入れた力こそが・・・絶対的な強さ・・・それが超えられるなど・・・あってたまるか・・・!」
激しい戦闘の影響でデータ崩壊を起こしていながらも戦おうとするのを辞めないフォルテ。
そんな様子を見ていたロックマンは熱斗に向かって言う。
「・・・熱斗君。」
『何だ?』
「こんな時だけど、僕のワガママ聞いてくれる?」
「・・・いいぜ。」
熱斗の了承を得たロックマンはマグナモン達に向かって言う。
「みんな。勝手で悪いんだけど、ここから先は、僕達だけで戦わせて欲しい。」
「・・・いいのか?」
ロックマンの言葉にマグナモンが聞き返す。
「うん。ここからは、僕達がやった方がいいと思うんだ。フォルテが人間とネットナビの絆を否定するなら、その絆を築き上げてきた僕達が、人間との絆は素晴らしいものだって証明をしなくちゃいけないんだって思うから。」
『・・・勝算がある上で言ってるのか?』
ユーリがロックマンに向けて聞いた。
「正直言うと微妙かな?けど。」
『俺達はこの程度の困難、いつでも乗り越えてきたんだ。こんども乗り越えてやるさ。』
熱斗がロックマンの言葉に便乗するように言う。
それを聞いたユーリは少し考えた後、熱斗達の提案を了承する。
「わかった。ただし、言ったからには最後までやり遂げろ。」
『ありがとう。ユーリさん。』
『いいの?ユーリ。』
ミカがユーリに聞く。
『あそこまで俺に啖呵を切ったんだ。信じようぜ。』
『わかったわ。けど、失敗したときのことも考えてね。』
『わかってるよ。マグナモン、下がってくれ。』
「ああ。」
『ホーリードラモンも。』
「ええ。」
『カオスドラモン。』
「わかった。」
デジモン達が全員下がると、ロックマンは改めてフォルテと向き合い、戦闘態勢に入る。
「待たせたねフォルテ。」
「どういうつもりだ・・・全員でかかってくれば勝率が上がるだろうに。自ら勝ちを捨てたか?」
「いや、勝つつもりさ。けど。」
『絆を否定してるお前には、俺達の絆を見せた上で勝たなきゃ意味がないんだ。』
「くだらん・・・そんなものの為に勝つチャンスを捨てるとは・・・絆だの、友情だの綺麗事をほざいているような奴らは、俺は認めん!!今度こそ、そんな減らず口が叩けんようにしてやる!!」
「君が認めようと認めまいと、僕達は僕達のやり方で前に進む!!進んでいくよ!!何処までも!!」
「ならば証明してみろ!!貴様らの言う絆とやらをな!!」
「熱斗君!!」
『ああ!わかったぜロックマン!改めて行くぞ!!バトルオペレーション、セット!』
「イン!!」
「塵も残さず消し炭にしてくれる!!」
ロックマンとフォルテとの対決が始まり、双方の信念がぶつかり合う。
「シューティングバスター!!」
バスターへと変形させたフォルテの腕から周囲を埋め尽くすほどの砲撃が放たれ、ロックマンの逃げ道をなくす。
「ロックバスター!!」
ロックマンは慌てることなく、自信に当たりそうなものは体の位置を少しずらして避けたり、撃ち落としたりなどをしてフォルテの攻撃を冷静に対処していく。
「ならばこれならどうだ!!ヘルズグレネード!!」
右腕から圧縮されたエネルギー弾を連続で放ち、ロックマンに向かって跳んで行く。
『バトルチップ、ブレイブシールド!』
ロックマンの目の前に黄金の盾が出現し、着弾した瞬間に爆発を起こしながらフォルテの砲撃を防ぐ。
『さらにバトルチップ、サンダーバーニア!』
「はああっ!」
ロックマンの両肩に赤い砲台が取り付けられ、砲台を後ろに向けて砲撃を放ち、その推進力でフォルテに急接近する。
「馬鹿め、血迷ったか!!」
急接近してくるロックマンを迎撃する為に腕を巨大なパイルバンカーに変化させ、クロスカウンターの要領で殴り付けて貫こうとする。
「ソニックエクスカベーター!!」
『バトルチップ、トールハンマー!!』
「トールハンマー!!」
ロックマンの腕にクロンデジゾイド製の巨大なハンマーが出現し、それを両手に持ちながら肩のバーニアの出力を調整して回転しつつ向かってくるパイルバンカーの側面を殴り付ける。
―――ガァン!!!
「何!?」
重厚な音が響き渡ると同時にフォルテの攻撃が横に逸れ、フォルテは隙を大きく晒してしまう。
『バトルチップ、プラズマステーク!!』
「プラズマステーク!!」
ロックマンの両腕に真っ赤な電流火器に変化し、フォルテの身体に押し当てると同時に強力な電流を流し、フォルテの全身に電気が流れてその身を焼く。
「ぐあああっ!?」
『効いてるぜロックマン!!』
「でも油断は出来ない!気を抜かないで!!」
「調子に乗るな!!アルティメットストリーム!!」
右腕をメタルシードラモンの頭部へと変化させ、その鼻先から放たれた光線がロックマンに向かって行く。
『バトルチップ、ドラモンキラー!ブレイブトルネード!!』
「ブレイブトルネード!!」
ロックマンの両腕に3本の刀状の鉤爪が付いた黄金の籠手、ドラモンキラーが装備され、それを頭上で重ね合わせて自らの体を竜巻のように高速回転させて、迫ってくる光線を蹴散らしながらフォルテに向かって突撃して行く。
「そんなもの喰らわん!ダムダムアッパー!!」
今度は左腕をガトリングアームへと変化させて、ロックマンにアッパー攻撃を行い、ロックマンの進行方向を上へと変化させる。
「くっ!?」
「ダークソード!!」
「ぐあああっ!?」
フォルテによって作らされた隙を突かれ、ロックマンは闇の刃で切り裂かれ大ダメージを負う。
『ロックマン!?大丈夫か!?』
「はぁ、はぁ、はぁ・・・何とか。」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・しぶとい奴め・・・!」
双方の激しい応酬で体力は削られ、戦闘能力の差はあれど二人の体力は限界に近い状態であった。
「認めん・・・認めるものか・・・!俺に濡れ衣を着せた挙句に、俺を見捨てた人間のナビ共の絆なぞ・・・・!」
「さっきも言ったけど、君が認めようと認めまいと、僕達は此処に立っている!どれだけ君が絆を否定しても、僕と熱斗君との絆は本物なんだ!」
『まあでも、たまにロックマンとケンカしたり、お互いに悪口を言ったりするけど、その度に仲直りしてお互いの事をもっと理解したり、信じる気持ちがもっと強くなるんだ!!』
「君も知っている筈だよ。君のことを何よりも心配していたコサック博士がそうだったように!」
「ふざけるな!!俺に人との繋がりを説いておきながら、俺を見捨てたコサックとの間に絆があったとでも言うのか!!」
「そうでなかったら、ワイリー基地でコサック博士の事をとっくに消し去っていたはずだよ!あの時が、君がコサック博士を消すことが出来る絶好のチャンスだったんだ!!」
「そんな筈あるものか!!くだらん御託を並べるのもいい加減にしろ!!俺こそが最強!誰にも頼らず、自分だけの力で最強に成り上がる!!それ以上の強さなどあるものか!!」
「誰も信じず、自分の事しか信じる事が出来ない君に、僕らは負けない!だから!!」
『俺達は!!』
『「今度もお前に勝つ!!」』
熱斗とロックマンの心が一つに重なり、人間とナビの精神がシンクロする現象、「フルシンクロ」が発動し、ロックマンのステータスが著しく上昇する。
『行くぜロックマン!!プログラムアドバンス!!』
「これが最後だ!フォルテ!!」
『メガキャノン!トリプルスロットイン!!』
「最後だと?それは俺のセリフだ!!」
双方が両腕にエネルギーを集中させ、トドメを刺すべく発動するタイミングを見計らう。
そして、エネルギーが限界へと臨界点へと達したとき、充填されたエネルギーが一気に放たれる。
『「ギガキャノン!!」』
「ダークネスオーバーロード!!」
ロックマンからは巨大な大砲へと変化した両腕から高威力の砲撃が放たれ、フォルテからは両腕から極太の闇の光線が放たれる。
双方の砲撃が放たれ、砲撃同士がぶつかり合うと激しい閃光を撒き散らしながら拮抗する。
『「「うおおおおおお!!!」」』
拮抗している力を押し破ろうと、互いが放つ砲撃にエネルギーを送り込む。
「―――たまるか・・・!」
フォルテは歯を食いしばり、全身に力を入れて残っているエネルギーを砲撃に回してロックマンの方へと押し込む。
「負けてたまるかーーーー!!!」
フォルテの勝利への執念が砲撃の威力を底上げし、ロックマンの方へと砲撃を押し返していく。
「ぐ、ううっ・・・押し込まれる・・・!」
『頑張れロックマン!!お前には俺がついてる!!俺達は負けない!!絶対に勝つんだ!!』
「そうだ・・・僕には熱斗君がついてる・・・熱斗君がいるから、僕は何処までも強くなれる・・・僕達だから、二人で何処までも強くなれる・・・だからこそ・・・!」
『俺達は・・・!』
『「お前に勝つ!!」』
ロックマンの砲撃にさらなるエネルギーが込められ、フォルテの砲撃を徐々に押し返していく。
「何だと・・・!」
自分の砲撃が徐々に押し返されてきた事に驚いたフォルテは、砲撃が押し返されていくと同時に自身の体も押し込まれていく。
『「行っけえええええ!!!」』
「そんな・・・そんなバカな!?この俺が、また・・・!」
とうとう力の拮抗が崩れ去り、ロックマンの砲撃がフォルテの砲撃を飲み込み、フォルテもまた押し返された砲撃ごと、ロックマンの放った砲撃に飲み込まれて行ったのであった。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」
激しい戦闘の末に、ロックマンは膝を付き、息を荒く吐きながらフォルテがいるその場所へ目を向ける。
疲労によって落ちかけている意識を繋ぎ止めながら、フォルテのもとへと歩いていく。
やがて辿り着くと、ロックマンの視界に入ったのは、体のあちこちが崩壊し始めている、地に倒れ伏すフォルテであった。
「俺は・・・負けたのか・・・また・・・。」
「ああ。今度も僕達の勝ちだ。」
「・・・不思議なものだ。アレだけ最強の名を得る事に拘っていたというのに、いざ終わるとなれば、全てがどうでもよくなるのだな・・・。」
「それはきっと、フォルテの溜まっていた思いを全部吐き出したからだよ。どう?吐き出してスッキリした?」
「・・・ああ。もう気が済んだ。人間への憎しみが消えた訳ではないがな。」
「・・・そっか。」
「認めよう。お前達は俺より強い・・・だが忘れるな。俺は機会があれば何度でも復活する。復活する度に、お前に挑んでやる。」
『上等だ。何度でも挑んでくるといいさ。だけど。』
「その度に僕達が勝つ。それだけさ。」
「・・・ふっ。最後まで口が減らない奴等だ。」
こうして会話しているうちに、フォルテの体の殆ど崩壊していき、崩壊していく箇所がとうとう頭部にまで到達する。
「じゃあな。せいぜいくたばるなよ。」
その言葉を最後にフォルテは完全にデータ粒子へと分解され、この世を去ったのであった。
『終わったな。ロックマン。』
「うん・・・。」
次回はお別れ回です。