デジモンポリスメン   作:namco

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書くつもりがなかったのに書いちゃいました。
今回は残酷な描写ありです。
刑事ドラマのような展開で描いていますが、法律等は詳しくありませんが、そこら辺はご容赦ください。
話の展開も、自分で何度も見直しながら書いていますが、矛盾があったらすみません。


ではどうぞ。


この作品はフィクションです。実在する人物、地名、団体とは一切関係ありません。


デジモンポリスメン 第二話

 その身をキメラモンへと変身させた元監察官が逮捕もとい、警察病院に収容されてから二カ月の月日が流れた。

 問題児警官であるユーリは相変わらず犯罪者に対して容赦の無い日常を送っており、時には周りを巻き込んだり、企業ぐるみの犯罪組織を壊滅させたりなど慌ただしい日々を過ごしていた。

 そんなある日、ユーリは原田部長と共に星野署長から呼び出しを受け、ある事件の調査の協力を要請されるのであった。

 

 

 

―――DD本部 署長室

 

 

 

「ある事件の調査をして欲しいって?」

 

 署長室に呼び出されたユーリはそう聞き返した。

 

「ええ。ここ最近、不可解な事件が発生してるのよ。」

 

「それは具体的にどのような?」

 

 さらなる説明を求めて原田部長が聞き返す。

 

「こないだの元監察官によるキメラモン暴走事件は覚えてるかしら?」

 

「ああ、あのおっさんの。」

 

「それと似たような事件が別の地域で発生してね。こないだの横浜程の規模じゃないけど、デジモンが暴走する事件が起こったのよ。」

 

「え!?他の所でも起こってたのか!?」

 

「そこに居た警官やデジモン対策部隊の手によって鎮圧されたわ。死傷者こそ出てはいないけど、いずれも怪我人が出ているわ。」

 

「死人が出ていないのは不幸中の幸いと言っていいのか・・・。」

 

「で、本題はここから。そのデジモンを討伐したら、何と人間になったって言うのよ。」

 

「え?それって。」

 

「そう。元監察官のと同じ現象よ。」

 

「人間がデジモンに変身していたということですか?」

 

「あのキメラモンの事件と何か関連あるんじゃないかと思って、上層部は睨んで、元監察官の所へ足を運んだわ。」

 

「ですが、その人は今も眠っていると聞いていますが。」

 

「実は先日、昏睡状態から目が覚めてね。それであの事件の事で事情聴取したのよ。」

 

「で?何か分かったのですか?」

 

「実はあの元監察官、事件を起こす前に、ある男と出会って、USBメモリみたいなのを貰ったと供述してるのよ。」

 

「ある男、ですか?」

 

「元監察官が言うには、前進黒コートでフードを被っていたから顔はよく分からないですって。」

 

「よくそんな怪しい人物から怪しい物を受け取りましたな・・・。」

 

「で、そのUSBメモリっていうのは?」

 

「コレよ。」

 

 署長は一枚の写真を取り出して二人に見せる。

 

「真っ黒だな。」

 

 ユーリが見た感想を言う。

 

「そう。真っ黒よ。見た感じ何のラベルも張られてないし、何かしらのマークもされていない謎のメモリ。でも元監察官いわく、それを使って自分はキメラモンに変身したんだって供述してるわ。」

 

「にわかには信じがたいですな。」

 

「でも俺は実際に対峙したから、言ってる事は本当だと思うぜ?倒した時に、キメラモンからおっさんに戻るのこの目で見てるし。」

 

「もちろん、あなたの言葉を疑うわけじゃないわ。で、さらなる調査のためにこのUSBメモリを調べようとしたんだけど。」

 

「何か問題が起こったのですか?」

 

「問題も何も、調査出来なかったのよ。中身が全部消えてて、調べようがなかったわ。」

 

「何ですと?」

 

「もちろん、データのサルベージも試みたわ。けど、最初から中身が入ってなかったって言えるくらい、空っぽだったのよ。おそらくだけどこれを作った張本人が証拠を残したり、追跡されないように対策していたと思うのよ。」

 

「用意周到ですな。」

 

「そしてもう一枚あるのよ。」

 

 星野署長はもう一枚の写真を見せる。今度は真っ黒な物ではなく、デジモンの姿が写されたラベルが貼られた物だ。

 

「今度はラベルが貼られてるな。これは、デジモンか?」

 

「そう。これもその暴走したデジモンを鎮圧した時に出てきたのよ。」

 

「そうなのですか?」

 

「これほどの代物、素人がとても作れるものではないわ。コレを作るには相当な技術力と資金が必要だわ。そしてそれが量産されているとなれば、バックには巨大な組織がいるって事になるわ。このUSBがさらにバラ撒かれたら、国民達の安全が脅かされてしまうわ。それで上層部は、このUSBを作っている大元を調査することが決定したのよ。同様の事件がこれ以上起こらないようにするためにも、急いで見つける事が重要だってね。」

 

「それで、ユーリに声がかかったのですか?」

 

「ええ。先日のキメラモンの事件を解決した腕を見込んで、ユーリと原田君にはこのUSBの出処を探って欲しいのよ。今回は警視庁からこのDD本部に二人派遣されることになったわ。そしてその二人とチームを組んで、USBを売っている存在を追って欲しいの。」

 

「失礼ながら署長、私は反対ですぞ。確かにユーリは多くの事件を解決してはいますが、単独で行動して解決していることが多く、チームで動く事には向いていないと思います。ましてや、誰かの下について大人しく命令を聞き入れてくれるかどうか・・・。」

 

「大丈夫よ。この場合は、ユーリにリーダーになってもらって、そこから指揮を飛ばしたり、直接現場に向かって貰うとか、今までとそう変わらないわよ。」

 

「まあ、そういう事でしたら何とか・・・。」

 

「部長、そう言われると流石に傷付きますよ。流石の俺にだって自重するくらいは・・・。」

 

「何が自重するだ!お前の場合は派手に暴れ回って、被害を逆に拡大させているだろ!」

 

「それは相手が抵抗するからであって、不可抗力ですよ。」

 

「その結果が、病院送りと器物損壊とビルの破壊か!?それどころか、こないだ地下をアジトにしていた犯罪組織を、壊滅させるどころかアジトごと破壊して、その影響で地上の地面を陥没させたことを忘れたか!?」

 

「ああ〜、確か二週間くらい前の違法薬物の売買をしていた奴等でしたっけ?相手は銃やらナイフとか持ってましたし、用心棒としてデジモンとそのテイマーも雇ってましたし、仕方ないじゃないですか。」

 

「何でもかんでも仕方ないで済ませようとするな!陥没した所が広い空き地だから良かったものの、それが道路とかだったらどうするつもりだったんだ!?まったく、貴様という奴は〜!!」

 

「話を戻してもいいかしら?」

 

「はっ!申し訳ありません署長!お見苦しいところを!」

 

 星野署長は軽く咳払いをした後、こう言った。

 

「兎に角、改めて言わせてもらうわ。原田源一(はらだげんいち)デジモン対策課部長、そして神室悠里(かむろゆうり)捜査官。二人には、謎のUSBメモリを販売し、暴走デジモンを生み出している存在を追跡するチーム、「ヤマネコ隊」を立ち上げ、そのメンバーとなってもらいます。よろしいですね?」

 

「「了解。その命令、謹んでお受けします。」」

 

「よろしい。じゃあ、テロ対策チームの立ち上げに伴って、警視庁から派遣された新しいメンバーを紹介するわね。」

 

「新しいメンバー?」

 

 新しいメンバーが入ってくると聞いてユーリが聞き返した。 それと同時に、署長室のドアがノックされる。

 

「丁度来たわね。入っていいわよ。」

 

「「失礼します。」」

 

 部屋に入ってきたのは二人組の男女だ。

 見た目からして若く、ユーリとそれほど変わらないように見える。

 

「本日付で、このデジモン対策課に配属された「檜山翼(ひやまつばさ)」です。パートナーは「ヴォーボモン」です。よろしくお願いします。」

 

「よろしくだぜ。」

 

「同じく、このデジモン対策課に配属された「氷室昴(ひむろすばる)」です。パートナー「ブルコモン」です。よろしくお願いします。」

 

「よろしく〜。」

 

 

 

ヴォーボモン 

 

成長期 岩竜型 ウィルス 

 

必殺技 プチフレイム

 

・全身が硬く熱い鉱石でできている成長期の岩竜型デジモン。両腕に翼があり飛ぶことはできるが、それほど長く飛ぶことができない。情熱的な性格で興奮すればするほど、角や爪の熱が上がる。

必殺技は、口から小さくも高温な火炎を吐く「プチフレイム」。

 

 

 

ブルコモン

 

成長期 小竜型 データ

 

必殺技 ベビーヘイル アイスマッシュ

 

・氷に閉ざされた大地に棲息する小竜型デジモン。見た目の割に力持ちであり、自分の身体よりも大きなものを軽々と持ち上げる。 身体の大半が氷でできているため、熱いものや環境が苦手であり、気温が上がるとパワーが下がってしまう。友好的な性格で、誰とでも打ち解けられる。必殺技は口から冷気を放ち、無数の小さな氷を撃ち出す「ベビーヘイル」と、氷の外殻で連続攻撃する「アイスマッシュ」。

 

 

 

 男の方はツバサ、女の方はスバルと言うそうだ。

 

「あなた達二人は今日からチームリーダーであるユーリの指揮のもとに動いてもらうわ。分からないことは原田部長やユーリに聞きなさい。」

 

「「はい!」」

 

「それじゃ、早速情報共有のために作戦会議室へいきましょう。」

 

「・・・ところでヤマネコ隊って何だ?ばあちゃん。」

 

「あなた達のチーム名よ。何かしらのチーム名があった方が呼びやすいし、それに昔からよく言うじゃない。「ヤマネコは狙った獲物を逃さない」って。」

 

「あのステルスアクションゲームかよ。それだったらデ◯レンジャーのほうがよくねえか?警察つながりで。」

 

「あら、それならパ◯レンジャーでもいいんじゃないかしら。あれも警察だし。」

 

「俺はデ◯レンジャー派だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「受け取れ。約束のブツだ。」

 

「ありがとな。へへ、これで・・・ボクを虐めてた奴に復讐できる・・・!」

 

「ほら受け取りなさい。」

 

「ふふふ。これで、あたしから恋人を奪い、一緒に裏切ったあの二人に・・・!」

 

「ほれ、受け取れ。」

 

「これで、アタシに無茶な仕事を押しつけるあの野郎に・・・!」

 

「・・・受け取れ。」

 

「これで、ボクに濡れ衣を着せた奴らに・・・!」

 

「はい、受け取って、お兄さん♡」

 

「これで、俺の恋人を薬漬けにしておきながら無罪判決を受けた奴らを・・・!」

 

 RE:BIRTHのメンバーは、元監察官に渡していたUSBのようなものを各地にバラ撒いていた。

 

「コレで下準備が整った。後は・・・。」

 

 アジトに戻ったジョーカーがカクテルを飲みながら言う。

 

「渡した際に指定した場所と時間で、一斉に起動させる。」

 

 ジョーカーに寄りかかりながらダイヤが言った。

 

「始まるのじゃな。ワシらの第一歩が。」

 

 クラブも釣られるように呟く。

 

「・・・いよいよだ。」

 

 スペードもカクテルを味わいながら言う。

 

「フフフ・・・。」

 

 ハートも笑みを浮かべ、足をぶらつかせる。

 

「必ず、やり遂げる。」

 

 そう言って、ジョーカーはグラスの中のカクテルを飲み干した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――DD本部 デジモン対策課

 

 

 

「さて、こうしてチームを立ち上げたのはいいが、差し当たって何からすればいいやら。」

 

  何時もの一室にいるのは、追跡チーム「ヤマネコ隊」のリーダーとなったユーリと、そのメンバーである原田部長と、警視庁から派遣されてきた二人組の男女、ツバサとスバルだ。

 一室にあるテーブルの上には、とりあえず分かる所から情報を整理して、一つ一つ潰していこうという方針のもと、会議が始まった。

 

「最初の事件は、新宿で起きました。深夜あたりの歌舞伎町にて、突然デジモンが出現し、複数の民間人に暴行を加えるなどの被害を与えました。偶然にも、その場にいたデジモン対策部隊の隊員がいた為にすぐに鎮圧されました。」

 

 ツバサが手元の資料を見ながら、テーブルに広げられた地図にマークをつけながら最初に起こった事件のことを説明する。

 

「二度目の事件は、夕方あたりに秋葉原の路地裏で起きました。現れたデジモンは、そこにいた民間人に危害を加え、深い切り傷を負うなどの重傷を負わせました。このデジモンも、近くにいたデジモン対策部隊によって鎮圧されています。」

 

 今度はスバルが資料を取り出し、地図にマークをつけながら説明する。

 

「三度目は渋谷区の高校です。その高校の昼休みの時間帯に、そこでもデジモンが出現し、そこにいた生徒や教師に対して骨折等の重傷を負わせました。このデジモンも、高校に配備されていたデジモン対策部隊に鎮圧されています。」

 

 ツバサがまた別の資料を出して説明をする。

 

「最後に起こったのは、池袋です。被害者は夜中に襲われて体中に複数の打撲を負うなど怪我をしました。このデジモンも鎮圧されました。」

 

 最後の資料をスバルが出し、一通りの説明が終わった。

 

「うーん。こうして見ると、事件が発生した場所や被害者の特徴、日時もバラバラだな。」

 

 一通りの説明を受けたユーリは、事件が起こった共通点を探そうとするが、うまく繋げられず頭をボリボリ掻いた。

 

「この被害者達や、加害者達の共通点はないのかね?」

 

 原田部長が何か共通点がないかツバサとスバルに聞く。

 

「はい。事件が鎮圧され、デジモンが人間に戻った後の事情聴取をしたことで、被害者と加害者の関係性を纏めました。」

 

 事情聴取で聞き出せた情報は、以下の通りだ。

 

 

 

被害者 ― 加害者 その関係

 

佐藤ミツキ 女(20)、三浦ケント 男(21)、石川サブロウ 男(20) ― 植田ヨシト(20)

・被害者三人と加害者の関係は、幼少期から学生時代にかけて、被害者三人によってイジメ被害に遭っており、卒業したあとも加害者を定期的に呼び出しては暴行を加え、加害者から金品を巻き上げるなどをしていた。さらには加害者と交際していた女性を、被害者三人が性的暴行を加えたあとに殺害したため、その恨みで犯行に及んだという。

 

 

渡辺メグミ 女(24)― 上条マモル(21)

・被害者と加害者の関係は、幼少期から親しい関係にあり、将来結婚しようという口約束を交わしていたが、被害者が別の人物と結婚し、加害者がそれに気付かずに求婚したが、被害者は加害者の好意を利用して、言葉巧みに金銭を自身に貢がせ、何もかも搾り取った後に二度と近づくなと拒絶し、加害者が裏切られたと分かったために、犯行に及んだ。

 

 

中山タケシ 男(52) 中村ノゾミ 女(17) 藤村ユミコ 女(18) ― 姫路アリス 女(18)

・被害者の中山タケシは、加害者に対して睡眠薬を盛るなどをして、眠っている間に淫らな写真を撮ってそれを理由に肉体関係を強要し、中村ノゾミと藤村ユミコは加害者に対して日常的にイジメを行っており、教科書やノートを破る、水を掛けるなど、酷い時には階段から突き落とすなどの暴力を振るっていた。ここまでの被害を受けていながら問題が表沙汰にならなかったのは、中村ノゾミと藤村ユミコの親族がそれぞれ、その学校の理事長にして資金援助者であったために、権力を使ってその事件を揉み消していたためである。肉体的にも精神的にも追い詰められたことによって限界を迎え、このような犯行に及んだ。

 

 

千葉マコト 男(48) ― 津村シンジ 男(25)

・日頃から被害者からパワハラを受けており、ほぼ毎日のように呼び出されては説教を受け、勤務態度が悪い、仕事の出来が悪いなどと言われ、毎日夜遅くまでの残業を強要するなどの肉体的にも精神的にも疲弊を迎える。さらには社内で発生したミスをまともに調査することなく加害者がやったと決めつけ、挙句に弁明を聞くことなく解雇したために、今回の犯行に及んだ。

 

 

 

「・・・酷え内容だ。これだけ見れば報復されて当然だなって思えてくるような話だ。ま、似たようなことに対して復讐してた俺が言えたことじゃねえが。」

 

 嫌悪感を顕にしながらユーリは吐き捨てる。

 

「報復されるだけ理由があるとはいえ、暴力に訴えるのは間違っている。ただ一言、「助けてくれ」と声を上げる勇気さえあれば、その状況は変わったかもしれないのに・・・いや、今となっては言っても仕方ないことか。我々にできることは、被害者だろうと加害者だろうと、これ以上事件が広がらないよう一秒でも早く解決しなければならないことだ。」

 

 原田部長も事件の内容を見て、これ以上の事件が広まらないよう事件解決に努めることを決意するのであった。

 

「この事情聴取が終わった後、加害者達の証言の裏付けを取り、証拠を集めました。」

 

「いくら被害を受けた側であっても、同時に加害者であったことの事実を帳消しにする理由にはならないため、関係者全員をそれぞれの罪状で逮捕しました。」

 

 ツバサとスバルがそれらの事件の後のことも語ると、ユーリと原田部長は、しっかりと後腐れ無く解決したことに笑みを浮かべ、二人は安堵するのであった。

 

「さて、暗い話は終わりだ。この中からデジモンに変身するメモリ・・・長いな、仮称として「デジメモリ」と呼ぶか。とにかく、そのメモリの出処に繋がりそうなのを探すか。」

 

  ユーリの声掛けで暗い雰囲気が霧散し、目の前の事件に目を向けた。

 

「まず、この資料から分かる共通点からまとめるか。資料に記された被害者の共通点は、加害者に対して暴行やら結婚詐欺、パワハラを行っていた。対して、加害者の共通点は、被害者から暴行やイジメ、パワハラや詐欺を受けていて、その恨みで犯行に及んだこと、か。改めて見ると胸糞悪いな。」

 

「ユーリ、分かっていてもそれは言うもんじゃない。だが、今の所分かっているのはそのくらいか・・・。」

 

  ユーリと原田部長は資料を見ながら共通点を探すが、現時点では入手できる情報が限られている。

 

「被害者達の事情聴取は、警察病院に入院して治療中でしたが、意識がはっきりしているため事情聴取が出来ました。加害者の方も比較的軽症であったために同様です。」

 

「こちらが事情聴取した時の資料です。」

 

 ツバサが加害者から事情聴取が出来たと言い、スバルがその資料を提示する。

 

「・・・これを見る限り、全員が黒コートの人物から貰ったって書いてあるな。」

 

「メモリを受け取ったのは暗い時間帯か。まあ、目立たないようにするにはこの時間帯が都合がいいか。」

 

 渡された資料を見ながらユーリと原田部長が思ったことを言う。

 

「さらに聴取を行うと、加害者全員がある一点だけ違うことを供述していました。供述によるとメモリは男から貰った、女から貰ったとも供述をしています。」

 

 ツバサが聴取した内容を付け足す。

 

「どういう事だ?」

 

 ユーリが聞き返す。

 

「全員から聴取したところ、男性の三人は男からメモリを貰い、女性の場合は女からメモリを貰ったと供述しています。」

 

 スバルは、ツバサが聴取した内容を補足するように言った。

 

「と言うことは、そのメモリをバラ撒いている人間は複数いるということか。」

 

「それが巨大な組織なのか、規模の小さいグループがどうかは不明ですが。」

 

 原田部長の言葉にツバサが付け足す。

 

「・・・ここで考えても仕方ねえか。」

 

「どうした?ユーリ。何かいい案があるのか。」

 

 ユーリの呟きに原田部長が反応する。

 

「アイツを頼ります。」

 

「アイツって?」

 

「俺の不良時代のチームの、情報担当をね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、それで兄貴が俺を頼ってきたって訳っすか。」

 

「俺が知る限り、最高のパソコンの知識と技術を持っているのはお前しかいないんだ。俺達が今追っている事件を一秒でも早く解決したい。だから頼む。力を貸してくれ。」

 

「いいっすよ!他ならぬ兄貴の頼みっす!砂粒みたいな小さな証拠でも何でも見つけてやるっすよ!」

 

 ユーリが訪れたのは、不良時代に情報集めを担当をしていたハッカーであり、仲間であった男の自宅であった。

 名は「ユウヤ」。

 現在はコンピューター会社のシステムエンジニアを担当している。

 

「ありがとな。早速頼むぜユウヤ。」

 

『久し振りのデカい仕事だな。腕が鳴るな!』

 

 ユウヤのパソコンの画面に映っているのは、カプセルのような見た目で、電子頭脳が丸見えになっている機械のデジモン「ナノモン」だ。

 

 

 

ナノモン

 

完全体 マシーン型  ウィルス

 

必殺技  プラグボム

 

・ユウヤのパートナーである完全体のマシーン型デジモン。体は小柄だが、そのパワーはさすが完全体と言えるほどのものである。一度は頭脳を破壊されて、思考がバグった上に命を落としかけていたが、ユウヤの懸命な治療によって一命を取り留め、さらに高性能な頭脳へとアップグレードを果たした。 必殺技は、指先から小型のミサイルを発射する「プラグボム」だ。

 

 

 

「調べて欲しいのは、これらの資料に載ってる黒コートの奴等だな。」

 

 ユーリは持ってきた資料を見せながらユウヤに言う。

 

「どうやら複数人いるらしい。東京中のカメラを映し出して、奴等の足取りやら何やらを集めて欲しいんだ。もちろん、ここに来る前には上からの許可は取ってある。」

 

「警視庁公認か、そいつはいいっすね。遠慮なくやらせてもらうっすよ。ナノモン、頼むっす!」

 

『任せろ!ハック開始!』

 

 ナノモンが東京中の監視カメラをハッキングすると、ユウヤのパソコンの画面はカメラの映像で一杯になり、東京の様子が映し出される。

 

「まず、最初の事件を起こした奴がメモリを受け取ったっていう場所と時間帯を映すっす。」

 

 ユウヤは映し出された映像の一つを拡大すると、最初の事件を起こした加害者の犯行前の様子を映し出す。

 

「足取りが覚束ないな。常日頃から暴行を受けていたっていうのは本当みたいだな。」

 

「話を聞く限り、胸糞悪いっすね。どうして人を痛め付けることに快楽を覚えるのやら。ましてや、それらが犯罪だと分かっていながらっすから、余計に質が悪いっすね。ま、似たようなことをやってた俺等が言えたことじゃないっすけど。」

 

「だが、俺達が踏みとどまれたのは、部長のおかげだ。あの人には感謝してもしきれねえよ。だからこそ、俺達は本当の意味で正義の味方になろうって決めたんだろ?」

 

「そうっすね。あ、出たっす。メモリを受け取る瞬間っす。」

 

 画面に映ったのは、最初の加害者である植田ヨシトが、黒コートの人物からメモリを受け取った瞬間だ。

 受け取った瞬間ヨシトはその場を離れ、黒コートの人物は暗い路地裏へと踵を返していった。

 

「う〜ん、全身が黒い上に、フードを深く被っているからか、顔がわからないっすね。」

 

「受け取ったやつが言うには男らしいが・・・次を頼む。」

 

 ユーリは次の映像を求めるが、どれもこれも先程の映像と同じようにハッキリと顔が映っていないため、捜査が難航した。

 

「ドイツもコイツも用心深いな。顔が全くわからん。」

 

「でも、ここで諦めたら凄腕ハッカーの名が泣くっす。何としても情報を・・・あっ、兄貴、コレを!」

 

 最後の映像を見ると、この時強い風が吹いたのか、フードが脱げた。

 さらに路地裏に差し込まれた月明かりが黒コートの人物の顔を映し出す。

 

「よっしゃ!顔がわかった!」

 

「コイツはデカい一歩っす!よし、さらに解析を進めて・・・!」

 

 さらなる解析を進めようとしたその時。

 

 

 

―――ドドーーーン!!

 

 

 

「な、何だ!?」

 

 突如として巨大な地震が起きてユウヤの自宅を揺らした。

 

「何が起こったっすか!?」

 

『ユウヤ!この映像を見てみろ!』

 

 そう言ってナノモンは複数の映像を見せる。それぞれの映像には大型のデジモンが街の中に出現し、破壊活動を行っている様子だった。

 全部で5体。

 

「おいおいおいおいおい!?こいつら全部究極体じゃねえか!?」

 

 一つ目の映像には、真っ赤に燃える体に、両腕が炎に覆われたティラノサウルスのようなデジモン「ダイナモン」。

 二つ目は、背中に砲台を背負った四足歩行の竜の姿をしたデジモン「キャノンドラモン」。

 三つ目は、黒い甲殻に覆われた巨大なクワガタムシの姿をしたデジモン「グランクワガーモン」。

 四つ目は、植物の体と三つの頭部を持ち、身体から毒々しい液体を流しているデジモン「ヒュドラモン」。

 そして五つ目は、紫の体毛に覆われた熊のようなデジモンで、右腕には大型の砲台が取り付けられたデジモン「カリスモン」。

 それらのデジモンが東京中で暴れ回っていた。

 

 

 

ダイナモン

 

究極体 恐竜型 ワクチン

 

必殺技 バーニングエンド ダイナブレス

 

・恐竜型デジモンが長き戦いの末にたどり着く姿の一つである究極体デジモン。莫大な熱量とエネルギーが体中を駆け巡っており、それが体の表層に表れマグマのような鱗を形成している。驚異的なスタミナとパワーを持ち、ダイナモンが本気で戦えば周囲一帯を焼き尽くし、炭と溶岩に覆われた大地が形成される。

必殺技は、炎を纏った爪で敵を消し炭にする「バーニングエンド」と、背びれと体表を発光させながら莫大な熱量で敵を焼き尽くすブレスを放つ「ダイナブレス」だ。

 

 

 

キャノンドラモン

 

究極体 サイボーグ型 データ

 

必殺技 ダイナ・キャノン グレネードストーム

 

・背中に長距離用のキャノン砲を装備した四足歩行の竜の姿をしたサイボーグ型デジモン。硬い装甲を持ち、近付けば尻尾の一撃をお見舞いされる。

必殺技は、胸部の射出口からグレネードを乱射する「グレネードストーム」と、背中のキャノン砲から放たれる砲撃「ダイナ・キャノン」だ。

 

 

 

グランクワガーモン

 

究極体 昆虫型 ウィルスorフリー

 

必殺技 ディメンションシザー

 

・クワガーモン系デジモンの究極の形態であるデジモン。昆虫型デジモンの中でもとりわけ邪悪な存在であり、グランクワガーモンに出会ってしまったものは自らの運命を呪うしかない。ヘラクルカブテリモンとは最大のライバルであり、いつ終わるかわからない戦いに身を投じている。

必殺技は、周囲の空間ごとその大顎のハサミで敵を切り裂く「ディメンションシザー」。この技の前に、いかなる防御も無意味である。

 

 

 

ヒュドラモン

 

究極体 植物型 ウィルス

 

必殺技 バイオトキシン インテンスランテール ディビジョンブレイク

 

・三つの頭を持ち、全身が緑の植物で出来た究極体デジモン。全身から猛毒液を分泌しており、近付くだけでも危険なデジモン。触れたものを容赦なく溶かして捕食する。また、腹の口から大量の猛毒液を吐き出し、大地を溶かして自らの巣を広げる習性を持つ。異常成長した禍々しい草花を見つけたら出没の注意だ。

必殺技は、腹の口から猛毒液と同じ成分の毒ガスを吐き出す「バイオトキシン」と、三つの頭部の口からビームを乱射する「インテンスランテール」、地中へ這わせたツタを激しく動かし、地割れを起こして大地もろとも破壊する「ディビジョンブレイク」だ。

 

 

 

カリスモン

 

究極体 魔獣型 ウィルス

 

必殺技 ディープフォレスト ロデオバレット

 

・熊に似た姿を持つ魔獣型デジモン。グリズモン系統のデジモンが突然変異を起こして進化したと言われているが、その真偽は定かではない。巨大に発達した両腕と武装により戦闘能力が非常に高く、敵対した相手には容赦ない攻撃を浴びせ、確実に仕留めるまで止めない凶暴性の持ち主だ。

必殺技は、データ分解を引き起こす程の、両腕の凶悪な爪で切り裂く「ディープフォレスト」と、右腕の三つの砲身から追尾性能のある弾丸を放つ「ロデオバレット」だ。

 

 

 

「まさか、これも全部、デジモン暴走事件と同じ奴の仕業なのか?」

 

「可能性としては高いと思うっす。」

 

 この時、ユーリのスマホに電話がはいる。

 

「もしもし?」

 

『ユーリか!?大変だ!!町中でデジモンが現れて暴れている!!しかも同時に五体もだ!!』

 

「俺の方でも確認できました。各地で暴れているようです。暴れているデジモンはそれぞれどこにいますか?」

 

『秋葉原にカリスモン、豊洲にヒュドラモン、西新宿にダイナモン、浅草にグランクワガーモン、池袋にキャノンドラモンだ!このままでは東京そのものが滅茶苦茶になってしまう!ユーリ、チームリーダーはお前だ。誰をどこに向かわせるか決めてくれ!』

 

「そういえば、部長と二人のデジモンがどこまで進化出来るかまだ聞いてなかったな。部長、そしてツバサとスバルはデジモンをどこまで進化させることが可能ですか?」

 

『ああ、先程お前が出掛けた後少し話したが、いずれも究極体に進化できるようだ。』

 

「ソイツは言い知らせですね。で?部長は?」

 

『当然、究極体に進化できる。』

 

「分かりました。では豊洲にツバサを、西新宿にスバルを、部長は秋葉原に向かってください。残りは俺と協力者であるユウヤが向かいます。」

 

『わかった。二人にはそう伝えよう。』

 

「じゃあ三人はそれぞれ指定した場所に向かって下さい。そして、暴れているデジモンを鎮圧して下さい!」

 

『わかった!そっちは頼んだぞリーダー!』

 

 その通話を最後に、部長との電話が終わった。

 

「て訳だ。悪いが、最後まで付き合ってくれるか?」

 

「当然っすよ!ここで逃げたら自分が許せないっすよ!」

 

「俺は浅草に向かう。ユウヤは池袋に向かってくれ。」

 

「わかったっす!ご武運をっす!」

 

 ユーリはそれぞれのメンバーに指示を出したあと、自身も目標へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――浅草

 

 

 

「やめろ・・・やめてくれ・・・!」

 

『うるさい・・・僕の事を玩具にして虐めやがって・・・コレは当然の報いなんだ・・・!』

 

「わ、悪かった!出来心なんだ!もう二度としないから!助けてくれ!」

 

『お前はその言葉を、僕から何度聞いた?お前みたいな奴は、ここで死ね!』

 

「や、やめてくれーーー!!」

 

『ディメンションシザー!!』

 

「ぎゃああああああ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――豊洲

 

 

 

「や、やめて!殺さないで!」

 

「そ、そうだ!こんなことして何になるっていうんだ!」

 

『何になるって?あたしから恋人を奪った女と、あたしを裏切ってその女についていった男に復讐出来るのよ。』

 

「ま、まさかあなた、エミ!?」

 

「な、何だって!?」

 

『よくもあたしから幸せを奪って、あたしを裏切ったわね!その罪、アンタ達の命で償ってもらうわ!!』

 

「わ、わかったわよ!返すから!もう二度とアンタ達に関わらないから!!」

 

「はあ!?お前、自分だけ助かるつもりかよ!!」

 

「アンタなんて所詮、アタシが優越感に浸るだけの人形に過ぎないわよ!!」

 

「ふざけんな!!それじゃ俺はどんな思いしてアイツを振ったか!!」

 

『見苦しいわね・・・消えなさい!!』

 

「い、いやーーーー!!」

 

「やめてくれーーー!!」

 

『苦しめ!バイオトキシン!!』

 

「うっ!ゲホ、ゲホッ!?」

 

「ゲホッ、ゲホッ・・・ガハッ!?」

 

『毒の霧の中で苦しんで死ね!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――西新宿

 

 

 

「な、何なんだよ、お前は!?」

 

『よくもアタシに仕事を押し付けた挙句、アタシの評判を下げてクビにしてくれたわね・・・!』

 

「はあっ!?何のことだよ!?」

 

『とぼけるな!!それとも自分がやった事を忘れたのかしら!?』

 

「まさか、お前は・・・同じオフィスにいた・・・!?」

 

『人に仕事を押し付けては自分だけ楽して、さらには自分は遊び呆けて、ことが済めば、さも自分が作りましたみたいな顔を平気でして手柄を奪うアンタが気に食わなかったのよ。アンタは会社の、いや、社会のゴミよ!ここで処分してやるわ!!』

 

「う、うるせぇ!!俺は社長の息子だぞ!?俺に手を出したらお前はただじゃ済まねえぞ!?わかったならさっさと降ろしやがれ!」

 

『・・・クズはやはりクズか。なら遠慮は要らないな。』

 

「な、何をする気だ!?」

 

『消えろ!ダイナブレス!!』

 

「ああああ・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――池袋

 

 

 

「が・・・この野郎・・・!」

 

『君達みたいな不良がさ、何で悪いことしておきながら裁かれないのか疑問に思ってたんだよね?本当なら君達が裁かれなきゃいけないのに、何でボクが裁かれなきゃいけないのかってね?』

 

「てめ・・・調子に乗るのもいい加減にがはっ!?」

 

『ボクに濡れ衣を着せたその罪、きっちり裁かれてもらうよ。』

 

「や、やめてくれ!頼む!何でもするから!!」

 

『何でも?そう言うならさ、死んで?』

 

「や、やめろーーー!?」

 

『グレネードストーム!!』

 

「ぎゃあ、ああ、あ・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――秋葉原

 

 

 

「頼む・・・助けてくれ・・・命だけは・・・!」

 

『何故警察や国は、こんな奴らを野放しにしてるんだ・・・?コイツ等のせいで、俺の恋人は薬漬けにされた挙句に死んで、お前らは無罪放免・・・こんなの納得がいく訳がない!!何故だ!!何故コイツ等が裁かれないんだ!!』

 

「知るかよ!それが国が出した答えだからだろうが!!なら、俺達は善良な市民って事になるぜ!?俺達は、無罪だ!!」

 

『もういい。もうわかった。貴様らは、正真正銘のゴミだって事がな!!』

 

「ひいっ!?逃げろ!!」

 

『絶対逃さん!!ロデオバレット!!』

 

「がぁっ!?」

 

「ぎゃあっ!?」

 

「ぎぃっ!?」

 

『アイツが味わった苦しみ・・・お前も味わえ・・・!』

 

「や、やめてくれ!!もうこんなことしねえから!!命だけは助けてくれ!!」

 

『特に主犯たる貴様は・・・念入りに殺してやる!!ディープフォレスト!!』

 

「ぎゃあああ・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――浅草

 

 

 

「クソ!既に被害が出ちまったか!!」

 

 ライドラモンに乗って浅草に到着したユーリは、辺りの惨状に目を向ける。土産屋は破壊され、浅草のシンボルマークの巨大な提灯は崩れ落ち、瓦礫の山が出来上がっていた。

 

『あれ?まだいたんだ?もう誰もいないと思ってたよ。』

 

 この時、上空から降りてきたのはグランクワガーモンだった。

 

「あぁ?お前か!こんなことしたのは!!何が目的だ」

 

『何って、僕の事をイジメてた奴に制裁を加えてたんだよ。そうすれば僕の事をイジメる奴は居なくなるし、僕に平和が訪れる。いい事尽くめだと言うのに、みんな僕の事を止めようとしたんだ。イジメっ子は悪い奴なのに、どうしてそいつを庇うんだ?訳がわからなかったよ。だから、イジメっ子も、邪魔するヤツも、みんな僕が制裁を加えた。だからこれからは、何が正しくて何が間違っているのかを僕が決めることにしたのさ。そうすれば、この世からイジメっ子なんてなくなるんだ!!』

 

「ふざけんな!!何が正しさだ!!テメーのやってる事は、テメーの事をイジメてたイジメっ子と変わんねーよ!!力尽くで何かを成し遂げようなんて考えは、いずれ潰される!そうなれば、テメーはもっと惨めな思いをするんだよ!!悪いことは言わねえ!!今すぐ自首して、罪を償え!!」

 

『もういいや。僕の崇高な考えが分からないなら、ここで始末してあげる。結局は、世界なんて、僕のようなイジメられっ子の事なんて気にしないんだ。こんな間違った世界、僕が壊してやるよ!!』

 

「ライドラモン!行くぞ!!」

 

「おう!」

 

 ライドラモンは一度退化し、ユーリはデジヴァイスを操作してブイモンに向ける。

 

「デジメンタルアーップ!!」

 

「ブイモン!アーマー進化ー!!」

 

 ブイモンに奇跡のデジメンタルのデータが転送され、進化が完了する。

 

「奇跡の輝き!マグナモン!!」

 

『僕に歯向かったこと、後悔するんだね!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――豊洲

 

 

 

「うっ・・・酷い匂いだ。防毒マスクを着けてきてよかった。」

 

 豊洲に到着ツバサは、辺りが物凄い悪臭に包まれていることに表情を歪ませ、嫌悪感を露わにする。

 

「む、アレは?」

 

 この時、道端に何かが転がっているのを見つける。

 

「コレは、死体か?しかも二人。」

 

 手袋をし、スマホで写真を撮りながら死体の様子を観察する。

 

「・・・息がない。脈も無い。身体に外傷は無い。目は瞳孔が開いている。辺りには大量に吐血した跡・・・死因は毒性のガスを吸ったことによって体内で異常を起こし、大量に吐血したことか。」

 

「こりゃもしかすると、ヒュドラモンの毒かもしれないぜ」

 

 二人の死因をヴォーボモンが推測する。

 

「だとすると、あのデジモンによる毒殺か。」

 

『あら、お客さん?』

 

 その時声が聞こえた。聞こえたと同時に地面がひび割れ、そこからヒュドラモンが出現する。

 

『こんな毒ガスまみれのところに来るなんて、変わった人ね。』

 

「お前がこの二人を殺した犯人か・・・なぜこんな事をした!?」

 

『何故って?そいつ等はアタシの幸せを壊したのよ。本来だったらそこの男と結婚するはずだったのよ。にもかかわらず、そこの女が横取りした挙句に、その男もアタシを裏切ったのよ。だからその報いとして殺したのよ。アタシから幸せを奪い、そして壊した奴らをね!』

 

「痴情のもつれ合いか・・・だからといって、殺す必要はなかっただろ!?それこそ、警察やら弁護士やら、最終手段としてそいつらの親等に言えばよかったじゃないか!!」

 

『無駄だったわよ。話を通した警察や弁護士はまともに聞き入れてくれず、そいつらの両親はまるでアタシを悪者のように扱って一切信じちゃくれなかったわ。だから、アタシを裏切った奴等には、アタシが落とし前をつけるしかなかったのよ!悔しい気持ちのまま泣き寝入りなんて真っ平ごめんだわ!!』

 

「それでも、殺人という手段に走ってはダメだ!それをやってしまったら、君が殺したそいつ等にちゃんとした罰を与えられなくなってしまう!だから!殺人に走ったらダメなんだ!!」

 

『うるさい!うるさい!!アタシに偉そうに言うな!!話をまともに聞かず、何もしてくれなかったくせに!!』

 

「ツバサ。コイツはもう説得は無理だ。力尽くで止めるしかないぜ。」

 

「・・・そうだな。やるせないな。」

 

「これ以上被害を広めないためにも、やろうぜ!!」

 

「ああ・・・ヴォーボモン!進化だ!!」

 

「おう!!」

 

 ツバサはスマホを操作し、デジヴァイスを起動する。進化段階を設定した後、ヴォーボモンに向けて光を放つ。

 

「ヴォーボモン進化!!」

 

 デジヴァイスから放たれた光を浴びると、ヴォーボモンはその体を大きく変化させていく。

 身体はより大きく、翼は大きく広がり、全身が溶岩に包まれたような体表が形成され、尻尾も長くなる。

 進化が完了すると、その大きな翼を広げながら高らかに自らの名を叫ぶ。

 その名は。

 

「ヴォルケニックドラモン!!」

 

 

 

ヴォルケニックドラモン

 

究極体 地竜型 ウィルス

 

必殺技 ヴォルケニック・フレア グライドブレイズ

 

・ヴォーボモンが進化した、マグマの中を泳ぐ竜と言われている地竜型の究極体デジモン。その体内に流れる熱量とエネルギーはまさにマグマとも言えるほどだ。ヴォルケニックドラモンに焼かれた土地は決してよみがえらず、永遠に生物の住むことのできない不毛の地となる。

必殺技は、口から灼熱の炎を吐く「ヴォルケニック・フレア」と、全身からマグマも超える灼熱の炎を噴き出しながら敵に体当たりする『グライドブレイズ』だ。

 

 

 

「頼んだぞ!ヴォルケニックドラモン!!」

 

「アンタを止める・・・そして罪を償うんだ!!」

 

『アタシの毒で、お前達も苦しめてやる!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――西新宿

 

 

 

「酷い有様・・・辺り一帯が真っ黒焦げだわ。」

 

「熱くて体溶けそ〜。」

 

 スバルが事件の発生源である西新宿の公園に到着すると、周辺の様子に顔をしかめる。

 辺りは焼け焦げており、場所によっては燃えていたり、マグマの状態になっていた。

 

「コレだけの熱量を発生させるなんて、さすがはダイナモンと言ったところかしら。」

 

『あら、まだ人がいたの?』

 

 スバルが声が聞こえた方向に振り返ると、そこには大きな足音を立て、地面を陥没させながらこちらに向かってくるダイナモンがいた。

 

「あなたがやったのね?」

 

『そうよ。それが何?』

 

「何が目的でこんなことをするの?」

 

『する、と言うより、した、が正しいかな。』

 

「どういうこと?」

 

『アタシに仕事を押し付けておきながら、最後には手柄を掻っ攫うような社会のゴミを片付けてやったのよ。』

 

「・・・殺したってこと?」

 

『そうよ。だいたいソイツは、アタシより後に入ったくせに仕事はサボるわ、押し付けるわ、仕事が溜まってるのに目もくれずに遊び呆けるわ、挙句の果てには他人に尻拭いさせておきながら、さも自分がやりましたみたいな面をしていたのが気に食わなかったのよ!しかも、後から聞いたことだけどソイツ、社長の息子でコネで入社したって話じゃない!!アタシは新人であるソイツの教育係に指名されたけど、全く言う事を聞かないどころか、アタシのことを悪く言って社内での印象を悪くしたのよ!!そのせいで社長からクビを言い渡されて仕事をなくしたのよ!!こんな理不尽、絶対に許せない!!だからアタシが裁きを与えてやったのよ!!あんなヤツこそが、会社と社会のゴミだってね!!清々したわ!!』

 

「なら、気は済んだでしょ?理由はどうあれ、殺人は立派な犯罪よ。大人しく武装を解除して投降して・・・。」

 

『断るわ。』

 

「何ですって?」

 

『だってアタシ、今がすっごい楽しいのよ。子供の頃から色んなもの我慢させられて、そのストレスが一気に解放できるんだもの。今まで何かと理由を付けられて我慢させられた分、好きに遊べなかった分、思いっ切り暴れてやるんだってね!!』

 

「だからと言って、人殺しをしていい理由にはならないわ。これ以上暴れたら、あなたの罪は重くなって、あなたの望んでる自由がどんどんなくなるのよ?大人しく投降して、罪を償って・・・!」

 

『うるさい!!アタシに説教するなーーーー!!!』

 

「スバル。あれはもう言葉じゃ止まらないよ。」

 

「そのようね。まあ、その辺は期待してなかったけど。」

 

「なら倒そう。これ以上被害が広まらないうちに。」

 

「わかったわ。ブルコモン、行くわよ!」

 

「合点承知〜!」

 

 スバルはスマホを取り出し、デジヴァイスを操作して、進化段階を設定し、スマホをブルコモンに向けて光を放つ。

 

「ブルコモン進化ー!!」

 

 ブルコモンは光に包まれ、その身を大きく変化させる。

 身体は大きく成長し、蒼い鎧に身を包み、左肩には竜の頭部を思わせるショルダーアーマー。

 背中には氷でできた翼が広げられ、見た者は竜騎士を連想させる。

 進化が完了すると、その手に氷で出来た長槍が握りながら自らの名を高らかに宣言する。

 その名は。

 

「ヘクセブラウモン!!」

 

 

 

ヘクセブラウモン

 

究極体 魔法騎士型 データ

 

必殺技 サモンフロスト ヘクトエッジブリザード アブソリュートブラスト

 

・ブルコモンが進化した、氷の魔術(高級プログラム言語)をマスターした者だけが進化できるとされる伝説の魔法騎士型デジモン。冷気を操る術に長け、氷で様々なものを作り出す。剣や槌などの武器に始まり、敵の動きを拘束する枷などの道具の他、攻撃から身を守るための結界を張ることもできる、まさに氷のプロフェッショナルである。

必殺技は、広範囲に冷気を張り巡らせ近付く者すべてを一瞬で氷像に変える「サモンフロスト」と、吹雪のごとく無数の氷剣を降らせる「ヘクトエッジブリザード」。そして、左肩の竜の顎から絶対零度の波動を放ち全てを砕く最終奥義「アブソリュートブラスト」だ。

 

 

 

「ミッションスタートよ!ヘクセブラウモン!!」

 

「我が氷の魔術にて、貴様を止める!!」

 

『邪魔するならアンタ達も焼き尽くしてやる!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――池袋

 

 

 

「うわ~。コレは酷い荒れ様っすね。」

 

 池袋に到着したユウヤは、辺りの惨状に表情を曇らせながら見渡す。

 

「まるで爆弾が落ちて来たような惨状だな。」

 

 ナノモンもユウヤのパソコンから出て来て共に辺りを見渡す。道路は抉れ、周囲の建物は、倒壊している物もあればそうでないものもあり、比較的無事な物はガラスが割れて地面に散乱している。

 

「これをやった犯人は一体何処にいるんすかね?」

 

『ボクの事呼んだ?』

 

 ユウヤの言葉に反応するように現れたのは、倒壊した建物の上を踏みつけながら歩くキャノンドラモンであった。

 

「コレはアンタがやったんすか?」

 

『そうだよ。チョロチョロ逃げ回るもんだから、ここまでやるハメになっちゃったんだ。』

 

「チョロチョロ?何かと戦ってたんすか?」

 

『うん。この社会における害悪、不良どもだよ。』

 

「え?」

 

『ボクね、その不良達に冤罪をかけられてね。そのせいで通ってた学校を退学になったんだ。ボクはやってないって教師や周りに言っても誰も信じてくれず、不良達が出した嘘の証拠を信じたんだよ。ボクは絶望したよ。何故ボクの本当を信じてくれない?何故嘘の方を信じるんだ?って。家も追い出されて、フラフラと辺りを彷徨っていたら、そこでボクに力を授けてくれた人が現れたんだ。コレで正しい事を成せって。だからボクは復讐をした。ボクに嘘の罪を着せて、偽のヒーローになった不良共を裁いてやったんだ!!』

 

「裁いた・・・つまり、殺したってことっすか?」

 

『当たり前だろ?アイツ等は冤罪という立派な悪事をやったんだ。その報復として裁いてやったのさ。奴等みたいな不良は、ただそこにいるだけで悪。人に害しか与えない何の役にも立たない真の巨悪。だからボクは、この世からそう言った不良共を片っ端から片付けて真の平和を取り戻す、正義のヒーローになるんだ!!』

 

「ふざけるなっす!どれだけ同情できるような事情があったとしても、殺人という手段を取った時点で、それはもうヒーローのやることじゃないっす!!お前の嫌っていた不良共とやってる事が同じっす!殺人という犯罪を犯したお前もまた、立派な悪党になったんすよ!!」

 

『ボクが悪、だと?不良という悪を始末しているボクが、悪、だって・・・?』

 

「俺も不良だった時代があったっすが、決して殺人にまで手を染めなかったっす!!その一線を超えたら、俺達は後戻りできなくなるってわかってたっすから!!だから俺は、自分の持っている力を、スキルを、正しいことの為に使おうって、仲間と誓ったっす!そんなお前を、正義を履き違えたお前を、俺は認めないっす!!」

 

『ボクは悪じゃない・・・ボクは正義の為にやってるんだ・・・ボクはヒーローとして当たり前のことをしてるんだ・・・悪を片付けるのは当然の事・・・すなわち、ボクの正義の行いを否定するお前は・・・悪!!』

 

 キャノンドラモンは跳躍し、ユウヤの目の前まで降りてくる。

 

『お前は元不良だと言ったな。ならお前も、ボクが倒すべき悪!ボクの正義を否定するものは、ボクが倒してやる!!覚悟しろ!!この世の悪め!!』

 

「ユウヤ・・・アイツは自身の復讐心とヒーロー願望がごちゃ混ぜになって、言動が滅茶苦茶になっている。一度破壊されて、思考がバグった事のある私だからわかる。」

 

「でもナノモン、人間は機械と違って一度狂(バグ)ったらそう簡単には治らないっす。そういう時は・・・。」

 

「原始的な方法だが、叩いて直すしかないな!」

 

「そうっすね。行くっすよナノモン!あの勘違いしたヒーロー擬きを止めるっすよ!!」

 

「ああ!」

 

 ユウヤはスマホを操作してデジヴァイスを起動し、進化段階を設定してナノモンに向けて光を放つ。

 

「行くっすよナノモン!進化っす!!」

 

「ナノモン進化!!」

 

 その時ナノモンに変化が訪れる。

 手足を引っ込めて自身の体を起点として、様々な機械パーツが取り付けられていく。

 己の体を頭脳とし、竜のような頭部と恐竜のような大きな機械の体。そして、背中と両腕には強力な武装が取り付けられる。

 進化が完了すると、その姿の名を高らかに宣言する。

 その名は。

 

「ムゲンドラモン!!」

 

 

 

ムゲンドラモン

 

究極体 マシーン型 ウィルス

 

必殺技 ∞キャノン

 

・ユウヤのナノモンが進化したマシーン型の究極体デジモン。様々なサイボーグ型デジモンの機械パーツを組み合わせて作られた、全身フルメタル製デジモンである。桁違いのパワーと処理能力を持ち、全身には無限のエネルギーが供給されている。

必殺技は、背中の二つの砲台から放たれる超弩級のエネルギー波「∞キャノン」。他にも基となったデジモンの技を使うことも出来る。

 

 

 

「ムゲンドラモン!正義の味方っていうのは何なのか、それを教えてやろうっす!」

 

「上等だ、任せろ!!」

 

『ボクの正義の踏み台になれ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――秋葉原

 

 

「これは酷い有様だな・・・。」

 

「死体も大量にある・・・血の匂いで鼻が曲がりそうだ。」

 

 秋葉原に到着した原田部長とそのパートナーデジモン「ナイトモン」は、現場の様子に顔をしかめる。

 死体があちこちに散乱しており、血の匂いが辺りに充満している。

 

 

 

ナイトモン

 

完全体 戦士型 データ

 

必殺技 ベルセルクソード

 

・大きな剣を持ち、大きな盾を背負った西洋騎士のような姿をした戦士型デジモン。マスターに忠実に仕えるデジモンであり、信義に厚い性格である。重厚な鎧を身に纏いながらもその巨大な剣を軽々と扱うパワーの持ち主であり、ナイトモンと真正面から戦って勝てるデジモンは少ないだろう。

必殺技は、その身の丈程もある大剣で敵を一刀両断する「ベルセルクソード」だ。

 

 

 

「む?この死体達、よく見たら不良グループの「薬師寺」か?警視庁からマークされている不良達が何故?」

 

『何だ?まだ居たのか?残党が。』

 

 死体を調べていたところ、原田部長の後ろにカリスモンが歩いて来た。

 

『うん?よく見たら警察か?なら違うか。』

 

「この惨状を引き起こしたのはお前か!!」

 

『この惨状?ああ、このクズ共のことか。』

 

「やはりか。なぜこんな事をした!?」

 

『なぜかって?そいつ等は、俺の恋人を薬漬けにして殺したからだよ。』

 

「何?」

 

『俺達は至って普通の恋人同士だった。近々結婚も控えていて、幸せな毎日を送っていた。だがある日、薬師寺って男とその仲間が、俺の恋人を酒で酔わせて誘拐して、薬物を使って性的暴行を行ったんだよ。恋人が行方不明になってから俺は、何日も探したよ。警察にも頼んで探してもらったよ。そんなある日、恋人が見つかったって知らせが入ったんだ。俺が恋人が入院している病院に駆けつけた時には、すでに死んでいたのさ。医者や警察が言うには、酷い薬物反応が恋人の体から検出されて、薬物によって死亡したってな。それで俺は、主犯である薬師寺達を起訴して裁判で裁いてもらうように警察や弁護士に依頼したよ。はっきりとした証拠もあるし、確実に勝てるはずだった。だが結果は無罪。どんな手を使ったのかわからないが、薬師寺達がやったんじゃない、無関係だと、薬師寺達側の弁護士がそう主張して、偽の証拠を使って裁判で無罪を勝ち取りやがったんだ。ふざけるなと思いながら、裁判が終わったあとの薬師寺達の顔を見たよ。思いっきり顔を歪ませて笑っているところをな。』

 

「ああ。その話はワシも聞いたことがある。とてつもなくふざけた裁判だったとな。」

 

『俺の恋人を誘拐して!薬漬けにして!奴等のオモチャにされて!そして殺された!にも関わらず、奴等が無罪を勝ち取ったことが気に食わなかった!!だから俺は復讐を誓った!!必ず奴等に報いを受けさせてやると!!そんな時だ。俺にこの力をくれた奴がいた。コレで正しき報復をするんだってな。』

 

「それでコイツ等を殺したのか。お前の復讐の為に。」

 

『ああそうだ!こいつ等は死んで当然のクズ!!だから俺が下してやったのさ。正しき制裁を。正しき報復を!!』

 

「お前の気持ちも、恋人を殺された怒りもよくわかる。だが、だからと言って個人の感覚で善悪を決めて、法律を度外視して、人が人を裁いていい筈がないんだ!!」

 

『何だと!?ならば、俺の恋人を殺した薬師寺達は、その法律のもとに許されるべき存在だったっていうのか!?今の法律は、いつから犯罪者に優しい都合のいいものになったんだ!?俺の恋人は、奴らに殺されてよかったっていうのか!?』

 

「そうは言わない!確かに法律は、悪の存在を許さない。人間が犯罪を犯せば、法律と証拠を照らし合わせて、有罪か無罪かを決める。その結果に納得いかなければ何度か裁判が行われる。それの結果、どれだけ納得いかなくとも、それが結果なら受け入れるしかないんだ。だが、どれだけ納得のいかない結果であったとしても、法律を破っていい理由にはならないし、ましてや、やり返しで人を殺していい理由にはならないんだ!!」

 

『じゃあ、俺はどうすればよかった!?俺の恋人を殺された悲しみは!!あのふざけた裁判で犯罪者が無罪になった怒りは!!何処へぶつければ良かったんだ!!』

 

「それこそ、こう言うしかないんだ。未来を変える。あのふざけた裁判が二度と行われないように、その怒りを胸に抱きながらも飲み込んで、そんな未来を作れるように、前に進むしかないんだ。」

 

『そのその未来が来るまで、薬師寺達のような奴等が出続けるのだとしてもか?』

 

「無論、我々も手を拱(こまね)いているつもりはない。悪事は悪事として受け止めて、そいつ等も捕まえていく。」

 

『アンタの熱意はわかった。オレが見てきた警察達の中ではまともだと思うほどにな。』

 

「なら、おとなしく投稿して、罪を償うんだ。」

 

『だが断る!』

 

「なっ!?」

 

『アンタが言いたいことはわかるし、ある程度の理解はした。だがな、それで納得するかどうかは話は別だ。理屈では分かっていても、感情は納得しないんだよ。そいつ等を潰さなければ、俺の気が収まりようがない。それに、俺は人を殺した。もう引き返せない。ならば、俺のこの怒りが沈むまで、悪党共を裁き続ける。一度やった以上、もう止まれないんだ!!』

 

「退くつもりはないんだな?」

 

『今更退けん。』

 

「そうか・・・ナイトモン。」

 

「ああ、マスター。止めよう。」

 

「これ以上、犠牲者を出すわけにはいかん。ならば、力尽くでも止めよう。」

 

 原田部長はスマホを操作してデジヴァイスを起動し、進化段階を設定してナイトモンに光を放つ。

 

「ナイトモン、進化だ!」

 

「ナイトモン進化!!」

 

 その時、ナイトモンの身体に変化が訪れる。

 白銀の鎧は青紫の鎧へと変化し、兜は骸骨を模したものに変化する。

 背負っていた盾は黒く変色し、ドクロ模様が刻まれて左腕に装備され、右手に持っていた大剣は双刃状の巨大な槍へと変化する。

 進化が完了すると、その姿の名を高らかに宣言する。

 その名は。

 

「クレニアムモン!」

 

 

 

クレニアムモン

 

究極体 聖騎士型 ワクチン

 

必殺技 エンド・ワルツ ゴッド・ブレス

 

・原田部長のナイトモンが進化した聖騎士型の究極体デジモン。ロイヤルナイツに所属しているクレニアムモンとは別個体である。見た目からしてウィルス種を連想させるが、れっきとしたワクチン種であり、礼節を弁えたデジモンである。その性格は完璧主義者であり、与えられた任務の達成率は一、二を争うほどである。戦う時は一騎打ちで戦うことを好み、相手が強ければ強いほど、勝った時の喜びは大きいのだ。

必殺技は、双刃状の槍「魔槍クラウ・ソラス」を高速回転させ、超音速の衝撃波(ソニック・ウェーブ)を放つ「エンド・ワルツ」と、「魔盾アヴァロン」から、全方位に向けてどんな攻撃も三秒間だけ遮断するバリアを発生させる「ゴッド・ブレス」だ。

 

 

 

「お前を止める・・・これ以上、お前に罪を重ねさせないために!」

 

「その苦しみ、私達が断ち切ってやる!!」

 

『うおおおおおお!!』

 

 こうして、東京各地にて、様々な感情が渦巻く戦いが、始まったのだ。




このペースできっちり完結までいくならあと二〜三話は必要かも。
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