デジモンポリスメン   作:namco

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続いてしまった第三話。



デジモンポリスメン 第三話

―――浅草

 

 

 

「プラズマシュート!!」

 

『当たらないよ!!』

 

 マグナモンが放ったプラズマシュートをグランクワガーモンは最低限の動きで回避し、マグナモンに迫る。

 

『喰らえ!』

 

 巨大な前腕を振り下ろし、その爪で切り裂こうとする。

 

「ふっ!」

 

 だがマグナモンは、振り下ろされた腕を掴み、勢いを利用してグランクワガーモンを振り回し、地面に叩きつける。

 

『がはっ!?』

 

「プラズマ・・・!」

 

『何度も同じ技を!』

 

 マグナモンが技を放つ体勢に入ったのを見たグランクワガーモンは飛んで避けようとするが、マグナモンが予想外の行動に出た。

 

「パンチ!!」

 

 その手に生成した、プラズマボールを握り潰して腕に電撃を纏わせ、グランクワガーモン目掛けて勢い良く飛び出して殴り付けた。

 

『ガガ・・・ガ・・・!?』

 

 予想外の攻撃をされ、さらに電撃を纏ったパンチによって身体が痺れ、動きが鈍くなる。

 

「だぁららららーーー!!」

 

 動きが鈍くなった所をマグナモンは拳のラッシュを仕掛け、グランクワガーモンの甲殻にヒビを入れながらこれでもかと殴り付けていく。

 

「おりゃあっ!!」

 

 最後に踵落としを繰り出し、脳天に直撃させる。

 

『ぐあああっ!?』

 

 地面とクロンデジゾイド製のメタルブーツの間に挟まれた頭部は、潰れこそしなかったものの、甲殻にヒビが入り、最早鎧としての機能を果たせなくなってしまった。

 

『ぐっ・・・・何故だ・・・!僕は、力を手に入れた筈・・・なのに何故・・・こんな奴に・・・ボコボコにされるんだ・・・?』

 

「わからねえか?お前はただ力を手に入れただけで、ソイツの使い方っていうのをわかっちゃいねえからだ。なあ、マグナモン。」

 

 グランクワガーモンの言葉にユーリが返し、その答えをマグナモンが引き継いで言う。

 

「ああ。昔、仕事で別のグランクワガーモンと戦ったことがあるが、そいつと比べれば天と地の差がある。そいつは野生で自力で進化した、激戦を潜り抜けた本物の強さを持っていた。」

 

「つまりお前は、ゲームで言うチートを使って、プレイヤースキルを磨かねえで力でゴリ押しするだけの、チーターだってことさ。そんなヤツに、共に激戦を潜り抜けてきた俺達が負ける道理がねえんだよ。」

 

 ユーリが止めを刺すと、グランクワガーモンは頭に血が上って癇癪を起こす。

 

『うるさい、うるさい、うるさいうるさいうるさい!僕は、この力でイジメっ子共を消すんだーーー!!』

 

 グランクワガーモンが立ち上がり、必殺技の体制に入る。

 だがユーリは焦ることなく、マグナモンに指示を出す。

 

「マグナモン、奴の懐に入ってハサミを抑え込め。閉じる瞬間にな。」

 

「ああ、任せろ!」

 

 グランクワガーモンは最後の力を振り絞り、目の前の敵であるマグナモンをその大顎で切り裂こうとする。

 

『うおおお!!ディメンションシザー!!』

 

 グランクワガーモンの必殺技の射程圏内に入り、ハサミを閉じて切り裂こうとしたその瞬間。

 

 

 

―――ガシッ!!

 

 

 

『・・・はっ?』

 

 マグナモンが、ハサミが閉じられる前に、マグナモンはグランクワガーモンの大顎の先端を掴んで止めたのだった。

 

『な、なぜ!?』

 

「グランクワガーモンが必殺技を完全に発動するタイミングは、そのハサミが交差するそのタイミング。ならば、閉じられるその前に掴むなり何なり妨害さえすれば、こうして発動しない!!」

 

 

 

―――バキャッ!!

 

 

 

 マグナモンは掴んでいる腕に力を込めて、グランクワガーモンの大顎を両方へし折ったのだった。

 

『あ、ああ・・・!』

 

 戦う為の牙である大顎が折られてしまった為、最早成す術が無く、逃げるしかなくなった。

 だが、二人が逃げるのを許さない。

 

「マグナモン!トドメだ!」

 

「パワーフルチャージ!プラズマシュート!!」

 

 先程放ったものより、よりエネルギーを凝縮したプラズマシュートをグランクワガーモンに叩き付け、その体を電撃が焼いていく。

 

『うわあああ!?』

 

 ダメージの許容量を突破し、致命傷を負ったグランクワガーモンは、その身体を電子分解され、デジモンと融合していた人間と分離し、地面に倒れるのであった。

 

「他人の力じゃなく、自分を変えるための勇気を持てねえ奴は、最後には負けるんだよ。」

 

 そう言ってユーリは、デジモンと融合していた人物に手錠を掛け、逮捕するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――豊洲

 

 

 

『喰らいなさい!』

 

 ヒュドラモンが毒液をヴォルケニックドラモンに目掛けて飛ばし、その攻撃をヴォルケニックドラモンは口から炎を吐いて毒液を焼き尽くす。

 

『ならコレはどうかしら!?』

 

 地面からツルを伸ばし、毒液を纏わせながら突き刺そうとする。

 だがそれすらもヴォルケニックドラモンは口から炎を放ち、伸ばしてきたツルを焼き尽くす。

 

「ヴォルケニックドラモン!このまま戦闘が長引くと周辺は毒だらけになる!早々にケリを着けるんだ!!」

 

「わかった!!」

 

『させないわよ!!』

 

 ヒュドラモンは先程より多くのツルを出現させ、さらに大量の毒液を纏わせながらヴォルケニックドラモンに向かって伸ばす。

 そして、ヴォルケニックドラモンを包み込む。

 

『このまま毒で苦しめて、溶かしてやるわ!!』

 

 そう言って伸ばしたツルを操り、毒を滲(にじ)ませながら強く締め付ける。

 だが。

 

「はあっ!!」

 

 内側から毒液ごと焼き尽くされ、ヴォルケニックドラモンは翼を羽ばたかせて空に浮かぶ。

 

『ば、バカなっ!!アレだけの毒液を喰らって平気でいるなんて!』

 

「当然だ。ヴォルケニックドラモンはマグマ並みの温度を持ってるんだ。毒を浴びせてもその熱で焼かれ、体内に入ったとしてもその熱で活力を失う。」

 

『そんな!?』

 

「自らの毒を過信しすぎたな。ヴォルケニックドラモン!!このまま一気に終わらせろ!!」

 

「おう!!」

 

 ツバサの指示を聞き、ヴォルケニックドラモンは全身にマグマをも超える灼熱の炎を吹き出させ、必殺技の体制に入る。

 

『な、何よ、その熱量は!?』

 

「俺のヴォルケニックドラモンは炎、そしてお前は草。属性の相性で考えればどっちが勝つかな?」

 

『あ、ああああ!!』

 

「行けっ!ヴォルケニックドラモン!!」

 

「グライドブレイズ!!」

 

『く、来るなあああ!!インテンスランテール!!』

 

 ヒュドラモンが三つの頭からビームを放つと、ヴォルケニックドラモンに向かっていくが、ヴォルケニックドラモンは灼熱の炎を纏いながらヒュドラモンに向かって体当たりを仕掛ける。ビームが体に当たるが、灼熱の炎がそれを打ち消し、攻撃が効かないという事実をヒュドラモンに絶望に突き落とす。

 

『あああああっ!!』

 

「焼き尽くしてやるぜえええーーーー!!!」

 

『いやああああ!!』

 

 灼熱の炎がヒュドラモンを飲み込むと、植物で出来た体は焼き尽くされ、あっという間に致死量のダメージを超えてその身を電子分解させる。

 そしてデジタマに戻り、デジモンと融合していた人間が分離されると、地面へと倒れ、気を失うのであった。

 

「殺人の容疑でアンタを逮捕する。」

 

 ツバサはこの事件を引き起こした女の腕に手錠を掛け、逮捕するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――西新宿

 

 

 

 西新宿の公園にて、デジモンが対峙していた。一方は灼熱の恐竜、もう一方は氷の魔術をマスターした魔法騎士。

 灼熱と極寒がぶつかり合い、局地的な異常気象を発生させていた。

 

『ダイナ・ブレス!!』

 

「氷壁展開!!」

 

 ダイナモンは灼熱のブレスを、ヘクセブラウモンは魔法陣を展開して氷の壁を発生させて炎を防ぐ。

 

『やるじゃない!少しは楽しめそうね!』

 

「こっちは楽しくないんだがな!」

 

『はあ!!』

 

 ダイナモンは炎を纏った爪を振り下ろし、ヘクセブラウモンは氷の槍で受け止める。

 炎の爪を受け止めたことによって氷の槍は溶けてなくなってしまい、ヘクセブラウモンはすぐに氷を操作し、今度は双剣を作り出してダイナモンに斬り掛かる。

 

「ふっ!!」

 

『無駄よ!!』

 

 ダイナモンは再び爪を振り下ろし、ヘクセブラウモンを引き裂こうとする。

 ヘクセブラウモンは前方に氷壁を展開してダイナモンの爪を反らし、そのまま双剣でダイナモンの肩を切り付ける。

 

「くそ!浅い!」

 

 武器が氷かつダイナモンの体表が物凄く熱いため、近付いた瞬間に氷が溶けてしまい、氷の刃は通らなかったのだ。

 

『ははは!自慢の氷も、アタシの熱の前じゃ無意味ね!』

 

「ならこれはどうだ?サモンフロスト!!」

 

 ヘクセブラウモンは周囲に冷気を発生させ、ダイナモンの表面温度を下げようとする。

 が、それを黙って受け入れるほどダイナモンは大人しくはない。

 

『甘いわよ!』

 

 体内の炎を操り、体表面に炎を噴き出させながら温度が下がらないようにする。

 

『どうかしら?アンタの氷の戦法は通じないわよ?』

 

「クソ!お互いの能力の相性故か、殆ど相殺される・・・!」

 

「このままじゃジリ貧ね・・・!」

 

 ヘクセブラウモンとスバルが

 局所的な吹雪と熱風が戦場となっている公園を支配し、その戦局が全く動かずジリ貧状態となっている。

 

『このダイナモンの持ってる莫大なエネルギー、たまらないわ〜!今まで溜まってたストレスがなくなっていくみたい!!』

 

 そう言いながら全身から炎を噴き出しつつも、ヘクセブラウモンに向けて灼熱のブレスを放つ。

 

「氷壁多重展開!!」

 

 氷の壁を前方へ多重に展開し、ブレス攻撃を防いで灼熱から身を守る。

 

『隙あり!バーニングエンド!!』

 

「ぐあああ!?」

 

「ヘクサブラウモン!?」

 

 炎を纏った爪が氷の壁を破壊し、ヘクサブラウモンの身体に傷を付ける。

 

『ホラホラホラホラーーー!!』

 

「ぐっ・・・!」

 

 連続で振るってくる爪を、ヘクサブラウモンは氷を操って瞬時に武器を作って逸らす。

 

「クソ!」

 

『ダイナブレス!!』

 

「がああああ!!?」

 

「ヘクサブラウモン!?」

 

 不意打ち気味に灼熱のブレスを浴び、ヘクセブラウモンの体のあちこちが焼け焦げる。

 灼熱の炎を浴びたヘクセブラウモンは倒れてしまい、その息を大きく荒げながら呼吸する。

 

『中々楽しかったわ。最後は最大火力で焼き殺してあげる。』

 

「ヘクセブラウモン!立って!!」

 

『無駄よ。その火傷だらけの体じゃ立ち上がれないわ。それじゃ、じっとしてなさい・・・!』

 

 ダイナモンは大きく息を吸い、腹の中で莫大なエネルギーと熱を溜め込む。

 

「ヘクセブラウモン・・・!」

 

「スバル・・・!」

 

「っ!」

 

「俺を信じろ・・・!」

 

「・・・うん!」

 

『終わりよ!ダイナブレス!!』

 

 エネルギーを限界まで溜め込み、大きく口を空けて吐き出そうとした瞬間。

 

「氷柱。」

 

 ヘクセブラウモンが指先を動かすと、ダイナモンの真下に魔法陣が展開され、巨大な氷柱が飛び出し、ダイナモンの顎とぶつかる。

 

 

 

―――ボン!!!

 

 

 

『ーーーーーーーっ!?』

 

 爆弾が爆発したのではと錯覚するくらいの衝撃が、ダイナモンの口の中で発生し、爆風は体内に押し戻され、体内で暴れ回る。

 

『ああああああ!?』

 

 内側から壊される痛みにダイナモンは身悶え、その場でうずくまる。

 

「獲物を前に舌舐めずりするからだ。」 

 

 ダメージが幾らか回復したのかヘクセブラウモンは立ち上がり、ダイナモンを見下ろす。

 

「最大火力で倒すのはいいが、タメが長かったり、隙のデカい技を使おうとすれば、当然その隙を突かれる。火力のデカい技を使うなら、相手が確実に動けなくなってからにしろ。」

 

『こ、こんな、バカ、な・・・!?』

 

「今度はこっちの番だ。ヘクトエッジブリザード!!」

 

 ヘクセブラウモンは氷を操り、無数の氷剣を作り出してダイナモンに目掛けて降らせる。

 

『ああああ!?』

 

 大量の氷の剣が突き刺さり、その痛みに悶える。

 

『トドメだ・・・アブソリュートブラスト!!』

 

 ヘクセブラウモンの左肩の竜の顎から絶対零度の波動が放たれ、瞬く間にダイナモンを氷漬けにしていく。

 

『あ、ああ、あ・・・。』

 

 全身が氷に覆われた時、ダイナモンのダメージは致死量を超えて電子分解されてデジタマに戻り、ダイナモンと融合していた人間も元に戻って、地面へと横たわった。

 

「あなたを殺人の容疑で逮捕するわ。」

 

 スバルは手錠を取り出し、女に手錠を掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――池袋

 

 

『グレネードストーム!!』

 

「ジェノサイドアタック!!」

 

 キャノンドラモンの胸部からはグレネード弾が乱射され、ムゲンドラモンの右腕からは大量のミサイルが放たれる。

 発射された弾がすべて相殺され、辺りは煙に包まれる。

 が、そんなのはお構いなしに両者は砲撃を放つ。

 

『ダイナ・キャノン!!』

 

「ギガデストロイヤー!!」

 

 キャノンドラモンは砲撃を、ムゲンドラモンは胸部のハッチから先程より強力なミサイルを放ち、相殺される。

 

「ジガストーム!!」

 

『うわあああ!?』

 

 続けて胸部の発射口からエネルギー波を放ち、キャノンドラモンを吹っ飛ばす。

 

「いいっすよムゲンドラモン!押してるっす!!このまま押し切るっす!!」

 

「ガトリングミサイル!!」

 

 再び胸部の発射口からミサイルが放たれる。しかし、それはただのミサイルではない。ガトリングガンを内包したミサイルであり、弾を目標に向けてバラ撒きながら追尾する恐ろしいミサイルである。

 

『ダイナ・キャノン!!』

 

 吹っ飛ばされたキャノンドラモンは、向かってくるミサイルを認識した瞬間、すぐに立ち上がって砲撃を放つ。

 放たれた砲弾はミサイルに直撃し、爆発する。

 

『さっきから可笑しいぞ!そのムゲンドラモンが使ってる技、本来の他のデジモンが使う技だろ!?なのに何故!?』

 

 キャノンドラモンが疑問に思った事をユウヤにぶつける。

 その疑問に対してユウヤは答えた。

 

「そんなの単純すよ。俺が改造したからっすよ。」

 

『何・・・?』

 

「俺は機械工学やプログラム関係が大得意なんすよ。俺のナノモンがムゲンドラモンに進化した時、体を構成している機械パーツの元となったデジモンの技を使えるようにプログラミングしたっす!」

 

『バカな・・・そんな事が・・・!』

 

「単純に言えば、ムゲンドラモンがかっこよくて、そいつをさらにかっこよく出来ないかなって、メンテナンスも兼ねて実験していたら出来たんすよ。ムゲンドラモンは、男のロマンの塊っす!!」

 

『ロマンだと?そんなの無意味で無駄だ。』

 

「いいや!決して無駄なんかじゃないっす!ロマンを求める事は即ち、明日への自分の活動力そのものっす!ロマンを無駄だと切り捨てるような奴は、自分の未来を見ていないと同じっす!!」

 

『ボクが未来を見ていないだと?いいや見ているさ!ボクがヒーローとなり、世界から悪を消している姿がね!』

 

「どうしてアンタは、ヒーローとなって悪を消すことにこだわるんすか?」

 

『そんなの当然だ!ヒーローとは、人を傷つける奴を倒し、世界に平和をもたらす者。ボクに無実の罪を着せて、偽のヒーローとなった不良は即ち悪。悪を始末すれば二度と悪さすることなく人を傷つけない。だからボクはヒーローとなって、この世から悪が全て無くなるまで悪を倒し続けるんだ!!』

 

「その理屈で言ったら、その不良を殺したアンタ自身も悪ってことになるっすよ。それはわかってるんすか?」

 

『何を言う!?悪を始末する事のどこが悪いと言うんだ!?悪を始末しているボクが、悪なわけがない!!』

 

「いいや。立派な悪っす。確かに、世の中にはどうしようもない悪党がいるのは事実っす。アンタの言う不良だったり、人を騙して金を巻き上げたり、人をイジメて楽しんだりする奴・・・数え上げたらキリがないっす。けど、そういう奴らに対して、自分を地獄に叩き落としたからって、殺人で手を下しちゃいけないんすよ。そんな事をしたら、アンタに冤罪を掛けた奴以上の悪となって、色んな人から批判を買うことになるっす。」

 

『黙れ!そんなもの、正義を理解していない連中の浅はかな思考に過ぎない!寧ろ、悪を放置する奴らの方がボクには理解できない!裁くべき悪を裁かないなら、ボクが裁くしかない!そして、ボクが新たなる正義となるんだ!』

 

「ならその正義を認めないと言う人が現れたらどうすると言うんすか?」

 

『そんなに決まっている!ボクの正義を認めない者は悪!悪は裁かねばならない!悪こそが、人々を苦しめる絶対的な存在!悪など、この世から完全に消え去ればいいんだーーー!!』

 

「・・・ユウヤ。最早これ以上の問答は無用だ。奴は自分の正義に固執しすぎて、周りへの影響を全く考えていない。」

 

「そうっすねムゲンドラモン。例えアイツの言う悪を全て消したんだとしても、そこからまた新たな悪が生まれ出て、極端な話、最終的には全ての人間達を始末する羽目になるっすよ。人間、誰しも悪になる可能性を秘めているっすから。」

 

「絶対的な正義など、この世の何処にも存在しない。正義と悪の価値観など、その時その時でいくらでも変化するからな。」

 

「奴の言う事が正しかったのだとしても、奴の独善的な正義を許すわけにはいかないっす!」

 

「倒そう、ユウヤ。その結果を全部背負って!」

 

「うっす!」

 

『何をゴチャゴチャと言っている!!』

 

「お前を倒す。それだけのことっす。」

 

「ヒーロータイムは終わりだ。ここから先は、俺達の時間だ。」

 

『何だと!?ヒーローに終わりはない!終わるのは、お前達の方だ!!』

 

「いや、終わるっす。俺達のコンビネーションで!」

 

 ユウヤはスマホを操作し、デジヴァイスに登録している一つのプログラムを起動する。

 

「ムゲンドラモン!アップグレードっす!!」

 

「ムゲンドラモン!アップグレード進化!!」

 

 ムゲンドラモンの鋼鉄の身体に変化が起きる。

 姿はそれほど大きく変わらないが、頭部はより竜に近い顔つきになり、ボディもより洗練された形になる。

 鈍い銀色のボディは真っ赤に変化し、色が変わっただけではなく、その装甲は超金属クロンデジゾイドの中でも希少かつ最も硬度が高く、重量がある「レッドデジゾイド」へと変化し、最高の防御性能を誇るボディへと変化したのだ。

 アップグレードが完了すると、大地を砕いて踏みしめ、咆哮を上げながらその名を名乗る。

 

「カオスドラモン!!」

 

 

 

カオスドラモン

 

究極体 マシーン型 ウィルス

 

必殺技 ハイパームゲンキャノン デストロイドハーケン

 

・ムゲンドラモンがアップグレードした姿であるマシーン型デジモン。全ての性能においてムゲンドラモンを上回っており、その戦闘能力は計り知れない。攻撃力は格段に上昇しており、防御力もレッドデジゾイドの装甲によってあらゆる攻撃を跳ね返すほどの性能を持つ。

必殺技は、背中の二つの砲台からムゲンキャノンを上回る威力の砲撃を放つ「ハイパームゲンキャノン」と、右腕のクローからロケットアンカーを射出して相手を捕え、傷口をこじ開けながら体内に直接ウィルスを注入して破壊する「デストロイドハーケン」だ。

 

 

 

『な、何だ?その姿は・・・!』

 

 キャノンドラモンは、カオスドラモンを見ながら後退(あとずさ)った。

 

「コレが、アンタのように凝り固まった正義を打ち砕き、平和をもたらす俺達のロマンの結晶、カオスドラモンっす!!」

 

「覚悟しろ!エセヒーロー!!」

 

『黙れ!!いくら姿が変わろうと、ボクの正義の前ではゴミクズ同然だ!!グレネードストーム!!』

 

 キャノンドラモンがグレネードを、煙を発生させながらも連続でカオスドラモンに向かって放つ。

 

『どうだ!』

 

 大量のグレネードによる爆発を受けて無事ではいられまいと思ったキャノンドラモンは、グレネードを放つのをやめて倒れているであろうカオスドラモンを拝むために様子を見る。

 しかし―――。

 

「・・・。」

 

『何だと!?』

 

 全くの無傷であった。

 

『なら、これはどうだ!ダイナ・キャノン!!』

 

 自身の最大の必殺技であるダイナ・キャノンを放ち、カオスドラモンに直撃させる。

 

『これなら!』

 

 高威力の砲撃を受けたカオスドラモンは、今度こそ倒れているであろうと、その様子を見るべくキャノンドラモンは煙が晴れるのを待つ。

 

「ふん!」

 

 しかしそこにいたのは、左腕のアームで煙を払いながら全くの無傷でいたカオスドラモンであった。

 

『な、何なんだよ・・・!究極体であるキャノンドラモンの攻撃だぞ・・・!なのに、何で無傷なんだ・・・!』

 

「当然っす。カオスドラモンの体は「レッドデジゾイド」と呼ばれるレアメタルで出来てるっす。クロンデジゾイドの中でも最も硬度に優れた金属であるっすから、そう簡単には傷は付かないっす。」

 

『ふざけるな・・・ふざけるなふざけるなふざけるな!!何だよそんなチート能力!!そんなのヒーローの専売特許だろ!?なのに何でお前みたいな奴がそんな能力持ってるんだよ!?』

 

「そんなの当然っす。それが、俺達が追い求めたロマンすから。」

 

『はぁ!?ロマンだと!?訳わかんねえよ!!』

 

「わからなくて結構っす。このロマンは、俺達にしかわからないっすから、俺達だけわかっていれば十分っす。」

 

『認めるものか・・・そんな訳のわからないものに、僕の正義が破れるなんて、あってたまるものかーーー!!』

 

「カオスドラモン!!」

 

「デストロイドハーケン!!」

 

 キャノンドラモンが再び攻撃体制を取ると、カオスドラモンは右腕のクローからロケットアンカーを発射し、キャノンドラモンの身体に突き刺す。

 

『ぐっ!?』

 

 ロケットアンカーに取り付けられたドリルでキャノンドラモンの体に穴を開けながら、そこにウィルスを流し込み、キャノンドラモンの体にバグを発生させる。

 

『か、体が・・・動かない・・・!何をした・・・!』

 

「デジモンの体の機能を狂わせるコンピューターウィルスを流したんすよ。アンタの体はマトモに動かないはずっす。」

 

『ふざ・・・けるな・・・!ボクは・・・まだ・・・!』

 

「これで終わりにするっす。カオスドラモン。トドメをっす。」

 

「殺人を犯した時点で出れるかどうかわからんが、牢屋に入って出直すんだな。」

 

『ま、待て・・・やめろ・・・!』

 

「終わりだ。ハイパームゲンキャノン!!」

 

『うわあああ・・・!』

 

 カオスドラモンの背中の砲台から放たれた砲撃が、キャノンドラモンを飲み込み、致死量を超えるダメージを受けたことによって電子分解しデジタマに戻り、キャノンドラモンと融合していた人間も、元に戻って地面へと横たわる。

 

「俺は警察じゃないから手錠は持ってないっすけど、お縄に付いてもらうっす。」

 

 ユウヤは近くに落ちていた縄で縛り上げると、近くの電柱に結び付けて拘束した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――秋葉原

 

 

 

『ふん!』

 

「はあっ!」

 

 カリスモンの爪とクレニアムモンの槍がぶつかり合い、火花を散らす。

 このやり取りは先程から何百回と繰り返している。

 

『ロデオバレット!!』

 

「エンド・ワルツ!!」

 

 カリスモンが右腕の砲台から弾丸を放つと、クレニアムモンはクラウ・ソラスを高速回転させて竜巻を発生させる。

 カリスモンの放った弾丸は音速の竜巻の中に巻き込まれると、クレニアムモンの頭上で爆発し、何事もなかったかのように二人は激突する。

 

『ディープフォレスト!!』

 

「ゴッドブレス!!」

 

 カリスモンが両腕の爪を振り翳すと、クレニアムモンはアヴァロンを構え、全方位にバリアを発生させる。

 

『ぐっ!?』

 

「はぁ!」

 

 カリスモンの爪がバリアに弾かれると同時にバリアが解け、攻撃を弾かれて隙を晒したカリスモンに強力な刺突攻撃を繰り出す。

 

『うおっ!?』

 

 既(すんで)の所でカリスモンは回避し、クレニアムモンから距離を取った。

 

『やるな、お前。』

 

「それはコチラのセリフだ。」

 

『だがその程度では俺の怒りは止まらん!』

 

「止めて見せる!我々が!」

 

『やれるものなら・・・やってみろ!!』

 

 二人は再び激突すると、その衝撃で辺りの地形を変えながらも爪と槍の応酬をする。

 

『うおおおお!!』

 

「はああああ!!」

 

 カリスモンが右腕から砲撃を放ち、クレニアムモンが盾や槍で弾丸を弾きながらカリスモンに近付いて槍を繰り出す。

 その繰り出された槍を爪で弾きながらカリスモンはその剛腕でクレニアムモンに殴りかかる。

 さらにその振り翳してきた剛腕を盾で防ぎながら再び槍を繰り出す。

 そしてその槍を回避し、クレニアムモンから距離を取って砲撃を放つ。

 先程からこれの繰り返しだ。このままでは決着が着かない。

 このやり取りが永遠に繰り返されると思ったその時。

 

「うおおおおお!!」

 

『がはっ!?』

 

 突如としてカリスモンが吹き飛び、その勢いで地面を転がる。

 

「何だ・・・?」

 

 カリスモンを吹っ飛ばした者の正体を確かめようと辺りを見渡すと、それは丁度ほぼ正面に立っていた。

 見た目としては骨だけになった馬のような姿をしたデジモンであり、脚から不気味な青い炎を揺らめかせていた。

 

「よう騎士のあんさん?俺の力が必要でないかい?」

 

「お前は?」

 

 クレニアムモンが正体を聞こうとすると、原田部長が代わって答える。

 

「お前はまさか、「アンヴァルモン」か?」

 

「そうだぜ?久しぶりでんなぁ、原田のおっちゃん?」

 

 

 

アンヴァルモン

 

完全体 アンデッド型 データ

 

必殺技 ディスレンジホーン ヴェインアンサー

 

・骸骨の馬のような姿をしたアンデッド型デジモン。陸海空を問わずに自由に駆けることが出来る。自身に乗る者に対して「決して死なない」と言う強力な加護が与えられるが、アンヴァルモンが主と認めた者しか乗ることが出来ないと言われている。アンヴァルモンが最高速に達した時に生まれる衝撃波は、駆け抜けた周囲に強烈なダメージを与える。

必殺技は、空を駆け相手の死角を突くように突進する「ディスレンジホーン」と、相手の攻撃に合わせて後ろ足で蹴り上げる強烈カウンターを放つ「ヴェインアンサー」だ。

 

 

 

「お前はなぜこんな所に?」

 

 原田部長が質問するとアンヴァルモンは答える。

 

「実はこの地区の自治体が俺の相棒の会社に依頼してきてな。逃げ遅れた住民やデジモン達を助けてくれって。それでだいたい救助が完了して相棒ん所に帰ろうとしたら、見知った顔がエライもんとぶつかっとるやないか。ココは一つ、手を組まへんか?あの熊みたいなデジモンを倒さんと、この騒動は収まりが着かへんやろ?」

 

「それは助かるが、お前のパートナーに話は通してあるのか?」

 

「それは大丈夫や。相棒いわく「あの時助けてくれた恩を返すために力を貸してやってくれ」と言われとんのでなぁ。心配あらへん。」

 

「ああ、お前のパートナーの不良時代の時の・・・。」

 

「見た感じ、騎士のあんさんとあの熊のデジモンと戦闘力は互角。でも騎士のあんさんが俺の背に乗るんやったら、俺のスピードで奴(やっこ)さんを倒す事が出来るかもしれへんで?」

 

「いいのか?私はこの見た目通りかなり重いぞ?」

 

「大丈夫や。俺は普段の仕事でかなり重いもん運んどるんや。あんさんがどれだけ重くても俺は大丈夫やし、それに俺はアンデッド故に疲れ知らずや。何も気にする必要あらへんで。」

 

「ならば頼む。この事件を早急に解決するために、力を貸してくれ!」

 

「了解や。早速乗ってくんなはれ!」

 

 クレニアムモンがアンヴァルモンの背に乗ると、アンヴァルモンから不思議なオーラが溢れ出てクレニアムモンを包み込む。

 

「このオーラは?」

 

「コレが俺の強みや。俺に乗ったもんは「決して死なない」加護を与えるんや。」

 

「何と・・・!」

 

「さあ、奴さんも待ちくたびれとるみたいやで?気張って行くで!!」

 

「ああ!」

 

『ぐっ・・・貴様、不意討ちとは卑怯な!』

 

「ソイツはえろうすんまへん。せやけど、この辺りを滅茶苦茶にしてくれた落とし前はきっちり付けて貰うで!」

 

『俺は止まらん・・・俺が殺した奴等のような人間のクズ共を世界から一掃するまで、止まるわけにはいかないんだ!!』

 

「なら、俺等があんさんを止めるさかい。行くで騎士のあんさん!俺等のコンビネーション、見せつけてやるさかい!!」

 

「ああ!行くぞアンヴァルモン!!」

 

 強力な味方を得たクレニアムモンは、手綱を握ってアンヴァルモンの背を叩き、速いスピードで戦場を駆け抜けていく。

 クレニアムモン+アンヴァルモンとなった二人は、カリスモンに向かって駆けていき、クレニアムモンがクラウ・ソラスを突き出してカリスモンを攻撃していく。

 

『ぐっ!?速い!』

 

「ドンドン行くで!!」

 

「図に乗るな!ロデオバレット!!」

 

 右腕の砲門から放たれた弾丸は、クレニアムモン+アンヴァルモンに向かって行くが、クレニアムモンがアヴァロンを突き出して防御する。

 

「ゴッドブレス!!」

 

 その瞬間、クレニアムモン+アンヴァルモンの周囲にバリアが発生し、放たれた弾丸を防御する。

 

「すごいな・・・このゴッドブレス、何時までも切れる気がしない。」

 

「俺の加護の影響やな。自分で言うのも何やけど、末恐ろしいな。」 

 

「だが、そのお陰で戦略の幅が広がった!このまま一気に決めるぞ!!」

 

「了解や!振り落とされんように気い付けや!」

 

 アンヴァルモンがそう言うと、カリスモン目掛けて一気に駆け出し、あっと言う間に最高速度へと達する。

 

「熊のあんさんには悪いが、ココで決めさせてもらうで!!」

 

『舐めるな!ディープフォレスト!!』

 

「「ルースレスチャージ!!」」

 

 力強く振り下ろされる爪と、クレニアムモン+アンヴァルモンの最高速度から繰り出されるクラウ・ソラスの刺突攻撃。

 槍と爪がぶつかり合った瞬間、一瞬の拮抗の後、爪の方が砕け散った。

 

『ば、バカな・・・!』

 

「終わりだ!」

 

 クレニアムモンがさらに槍を押し込むと、刃がカリスモンを貫き、致命傷を受けた事によって電子分解され、デジタマとカリスモンと人間に別れて元の姿に戻っていった。

 倒れた人間の元へと駆け付けた原田部長は手錠を取り出し、カリスモンと融合していた人間に掛けた。

 

「器物損壊と殺人の容疑で逮捕する。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――DD本部 デジモン対策課 作戦会議室

 

 

 

「全員集まったな。」

 

 それぞれの地区でデジモンを倒した後、全員が会議室に集まり、ユーリが周囲を見渡しながら、この場にいるチーム全員に言い、その言葉に全員が頷いた。

 ちなみにユウヤはキャノンドラモンと融合していた人間を警察に引き渡した後、自宅へと帰って行った。

 原田部長の方も、アンヴァルモンはカリスモンを倒した後、パートナーのもとへと帰って行った。

 

「ツバサ、スバル。逮捕した奴から情報は引き出せたか?」

 

「はい。取り調べの結果、全員がデジモンに変身するデジメモリを黒コートの人物から貰ったと供述しています。」

 

「五人ともそれぞれ違う人物から貰ったようで、証言を統合すると、少なくともメモリを渡した人物は五人居ると思われます。」

 

 ツバサが取り調べ内容をユーリに伝え、補足するようにスバルが付け足す。

 

「組織的な犯行なのか半グレの集団なのかは不明だが、その人物とやらを突き止めねばまた同じ事が起きてしまう・・・!」

 

「何とかしてそいつ等の尻尾を掴みてえな。」

 

 そんな会議を繰り広げていると、突然会議室にあるテレビが映り出す。

 

『ご機嫌よう、DDの諸君。』

 

 テレビに映ったのは黒コートの格好の人物だった。

 

「何だ?誰だお前は!」

 

 テレビに映った人物に対してユーリは言った。

 

『俺の名はジョーカー。俺達からのプレゼントは気に入ってくれたかな?』

 

「プレゼントだ?まさか、あのデジモンは!」

 

『お察しの通り、あのデジモンに変身するメモリを渡したのは俺達だ。いやはや、最初のキメラモンの時もそうだったが、中々の実力をお持ちで。』

 

「キメラモン!?まさかあの事件もお前の仕業だったのか!!」

 

『そうさ。俺達の計画を成功させる為の実験として、試作品のメモリを渡したのさ。予想以上の結果を出してくれたから、最終調整として今回の事件を引き起こしたのさ。』

 

「てめえ!キメラモンの事件と今回の事件で、どれだけの民間人が犠牲になったと思ってんだ!」

 

『民間人ね・・・今回犠牲になった人間達は果たして民間人と言えるのかな?』

 

「何だと?」

 

『今回の事件で殺された人間は、世間一般的には人間のクズとも言える悪党共だ。法律に引っ掛からない方法で罪を逃れ、罪を犯したとしても逃れるだけの手段と権力を持った奴等だ。そいつ等がどれだけ死のうと社会に対する影響などそれ程ないだろう?故に感謝して欲しいものだな。社会のゴミ共を俺が始末してやったのだから。』

 

「ふざけんな!てめえのやってる事はただのテロ行為じゃねえか!そんな奴に誰が感謝するってんだ!お前は、嫌、お前等は俺が必ず取っ捕まえてやる!!」

 

『フフフ、噂通りの熱血漢だな。それでこそ俺達の最後の敵に相応しい。』

 

「何?」

 

『俺の計画は既に最終段階に入っている。コレが実行されれば、世界は大混乱に陥るだろう。だがそう嘆くことはない。その混乱が収まれば、世界は新たなる時代を迎え、世界から悪という悪がなくなる。そうすれば、人々が悲しみと苦しみから解放される、正しい世界が待っている。』

 

「それはお前等にとって都合のいい世界だろ!?そんな世界、俺が認めねえよ!」

 

『俺達を止めたければ、ココに来い。後で君のデジヴァイスに座標を贈ろう。俺達の計画の一番の障害となるのは、ユーリ、君だ。君を排除しなければ、本当の意味で計画は完遂しない。君を倒して、新時代の夜明けを迎えてやる。待ってるよ。』

 

 その言葉を最後に、テレビの画面は砂嵐へと移り変わり、映像が切れてしまった。

 

「待て!」

 

「逆探知しようとしましたが、強力なジャミングがかかっていたせいか、場所を特定できませんでした。すみません。」

 

 ツバサが手元に置いてあったパソコンを使って逆探知しようとしたが、特定できなかったようだ。

 

「くそ!アイツ等、ふざけやがって!」

 

「だが、奴等の言う通りなら、ユーリのスマホに座標が送られてくるはずだ。その時を待とう。」

 

「だけど、アイツ等の言う事が嘘という可能性も!」

 

「確かに、その可能性もゼロではない。だが、わざわざこうして接触してきたということは、相応の準備が出来ているということだ。今すぐ行っても逆にこちらが返り討ちにされてしまう。奴等を確実に捕らえるためにも、今は身を休めることと、準備を整える事に専念するんだ。いいな?ユーリ。」

 

「・・・はい。」

 

「では、二人も何時でも出撃できるように準備を整えておくんだ。いいな?」

 

「「はい。」」

 

 その会話を最後に今日の活動は終わり、ジョーカー達との戦いに備えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――RE:BIRTHアジト

 

 

 

「これで、最後の準備が整った。」

 

 ジョーカーがパソコンから手を離し、次に実行する最後の作戦に頭を回転させる。

 

「ジョーカー。言われた通りメモリをバラ撒いてきたわ。コレで、最後の下準備は完了ね。」

 

 ダイヤが部屋に入ると同時に、他のメンバーも全員入ってくる。

 

「いよいよじゃな。」

 

 クラブが。

 

「・・・待ちわびた。」

 

 スペードが。

 

「ふふふ。」

 

 ハートが。

 

「明日が決戦だ。全員、体を休めておけ。俺は最終調整をしてから寝る。」

 

「ええ/うむ/ああ/うん!」

 

「世界よ・・・覚悟しておけ・・・明日が、旧時代の最後だ。」

 

 最終決戦は近い。




次回、最終回(予定)。
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