デジモンポリスメン   作:namco

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結局最終回にいけなかった。

主人公側に強化
デジヴァイスにステータスアップのプログラムをインストール
ユーリの仲間が作った。
カードスラッシュのような機能をコマンド入力して戦闘のサポートを行う。


デジモンポリスメン 第四話

 東京各地でデジモンに変身するメモリを使用した人間達が暴れた事件の翌日、ユーリはデジモン対策課の自身の机にて、テロ組織の人物から座標が送られてくるのを待っていた。

 もちろん、ユーリはただ待っていた訳では無い。

 昨夜の内に、ユーリはユウヤにもう一度連絡を取って、自分のデジモンの戦闘をサポートするプログラムを作って欲しいと頼んだのだ。

 そのことを頼まれたユウヤはお安い御用だと引き受け、急ピッチでサポートプログラムを作り上げてくれたのだ。

 そのプログラムはユーリの知り合いやDD全体に渡るようにシステムを組み上げ、警察の戦力の底上げが出来るようにしてくれた。

 この事を星野署長にも話すと、よくやってくれたと称賛の声を上げ、ユーリの仲間達にもそのプログラムを渡し、テロ組織の連中が来ても対抗兼自衛ができるようにシステムに組み込んだのだ。

 その後、DDのメンバーにもそのプログラムを渡すつもりである。

 そのお陰で最低限の迎撃態勢が出来上がり、後は連中からの連絡を待つのみとなった。

 さらに、テロ組織を確実に潰すためにユーリは、昨夜の内に不良時代の仲間達に連絡を取り、テロ組織の動きに注意していつでも迎撃出来るようにと注意を呼びかけていた。

 連絡を終え、テロ組織を潰すために突入するメンバーと、DD本部や市民を守る為の防衛組の編成を終えて、一眠りしたあと、DDのデジモン対策課にて連絡を待っていた。

 

「悪いな。忙しいところ且つ、こんな危ない時に呼んで。」

 

「気にしないでユーリ。連中を放っておいたら、子供達にも被害が出ると思う。それに、この作戦に呼んでくれて感謝してるわ。」

 

「そうそう。僕はこの作戦で除け者にされるのが一番堪えるからね。むしろ呼んでくれなかったらこっちから殴り込んでたよ。」

 

「そうっすよ。今回、俺もこの事に腹を立ててるんすから。奴等に一泡吹かせなきゃ気が済まないっす。」

 

 不良時代から続く仲間であるミカ、ナオヤ、ユウヤが順番に言う。

 これから始まる世界の命運が決まる戦いに仲間を巻き込むのは心苦しいと言う気持ちもあるが、連中はどれだけの戦力と強さを保有しているか不明であったため、少しでも戦力が欲しかったために彼女達を呼んだのだ。

 

「ありがとよ。この事件を一刻も早く解決して、みんなで焼き肉行こうぜ。」

 

「「「ええ/うん/うっす!」」」

 

 そうして全員が気合を入れ始めたその時、ユーリのスマホが鳴った。

 

「っ!きっと奴だ・・・もしもし?」

 

『ご機嫌よう。ユーリ。昨日はよく眠れたかな?』

 

 電話の相手は黒コートの男だった。

 

「ああ。お陰様でな。今日が楽しみで仕方なかったぜ。」

 

『昨日言っていた通り、我々の本拠地である場所を教えよう。ただし、大勢で来ても来客用の席が一杯になってしまうため、君を含めて五人までなら来てもいい。』

 

「俺達がそれを無視して大勢で押し寄せたらどうなる?」

 

『いいや、君達は少人数で来る事しか出来ない。何故なら、東京に向けて大量のデジモン達を差し向けたからね。』

 

「何だと?」

 

『安心しろ、本物のデジモンは使ってない。使ったのは世の中の理不尽さを変えたいという意思を持った人間達だ。俺が変えたいのは人間の世界であって、デジモン達の世界を巻き込むつもりはないからね。これでも最低限の良心と言うものは残ってるものなんだよ。』

 

「大量のデジモンだと?ダメ元で聞いてみるが、数はどのくらい差し向けた?」

 

『地上の蹂躙のためなら完全体や成熟期の軍団で十分だからね。ざっと数えて数百体くらいかな。』

 

「数百だと!?」

 

『苦労したよ。ここまでの数を揃えるのは。まあ、ソレは兎も角として、君達DDは襲い掛かってくるデジモンの迎撃と、俺達の本拠地を叩くための戦力を分けないといけない。君が来るのは確定だが、じっくり考えたまえ。本拠地で待ってるよ。』

 

 その会話を最後に、黒コートの男との会話が切れてしまった。

 そしてそのすぐ後にユーリのスマホに一つの座標のデータが送られてきた。

 

「場所は・・・太平洋のド真ん中!?」

 

「世界地図には載っていない秘密の島・・・それとも人工島?」

 

 テロ組織のアジトの場所が記されたデータが表示され、日本の外側の広い海のド真ん中にあることが判明した。

 この情報をすぐにDDと警視庁の情報部に送った。

 送ってからしばらくしない内にユーリのスマホに情報が送られ、全員に見せる。

 

「どうやら連中が作った人工島で、衛星からでも捉えられないようジャミングとか発せられてたみたい。」

 

 ミカが送られてきた情報を簡単に読み上げた。

 

「今のこの時代だよ。島の情報を隠したり、見つけられないようにするのはそう難しくはない。」

 

「きっと世界中の戦力と全面戦争になっても、勝てる自信があると思うからジャミングとかを解除したんだと思うっす。」

 

 ナオヤとユウヤが考察を述べ、今になって見つかった理由を話す。

 

「どの道、場所がわかれば乗り込むんだ。それが早くなっただけさ。」

 

 ユーリが拳を掌に打ち付けながら言った。

 

「皆、居るわね。」

 

「あ、ばあちゃん。」

 

 この時、対策課に入って来たのは星野署長だった。

 

「ちょうどよかったぜ。ついさっき、テロ組織の奴から連絡が来たんだ。奴等の本拠地と、こっちに差し向けてくるデジモンの数をな。」

 

「何ですって?」

 

「さっきの通話の記録を録音してあるんで、再生するっす。」

 

 ユウヤは先程の通話記録を再生する。

 

「・・・なるほど。有益な情報だわ。この情報をDD全員と警視庁に知らせて対策を練るべきね。すぐに会議を開くわ。全員来て。それとユウヤ君、会議の時の補佐をお願い。情報通のあなたが居てくれると説得力が上がるわ。」

 

「了解っす。」

 

 星野署長がそう伝えると、対策課を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――会議室

 

 

 

「全員揃ったわね。では改めて、テロ組織の壊滅作戦を説明します。」

 

 DDメンバーと、警視庁から派遣されたメンバーの全員が揃ったのを確認すると、会議を始めるのだった。

 

「ここに来るつい先程、テロ組織のメンバーから自身の本拠地を知らせる電話が来ました。その情報に嘘がないか調べた所、それは事実であることを確認し、さらには日本に向けて大量のデジモン―――デジメモリで変身した者達が仕向けられている事も判明しました。」

 

「そのデジモンの数はどのくらいですか?」

 

 会議に参加していたメンバーの一人が質問する。

 

「すべてを鵜呑みにする訳ではないですが、少なくとも数百体以上は居るとのことです。」

 

「数百―――!?」

 

 その数に驚愕し、会議室にいるメンバーに動揺が走る。

 

「しかもテロ組織は、ユーリ達と戦う事を指名しており、本拠地に乗り込んでもよいとのことらしいです。ですので、突入メンバーはユーリを中心に組み、他のメンバーはこちらに向かって来るデジモン達の迎撃をお願いします。」

 

「この場にいる人達全員に、これから来る大量のデジモン達と戦う為のサポートプログラムを作ってきたっす。それをデジヴァイスにインストールすれば戦いやすくかつ戦略の幅が広がると思うっすから、是非役立てて欲しいっす。」

 

 ユウヤは手元のパソコンを操作して、DDのデジヴァイスに作り上げたプログラムをインストールする。

 インストールが完了し、全員がデジヴァイスを起動して追加された機能を確認する。

 

「使い方は簡単です。私も教えてもらいましたが、大きな説明は不要です。デジヴァイスに追加された項目をタッチ。さらにそこから攻撃、防御等のステータス上昇、回復の項目のいずれかを選んでタッチ。それでコマンドの選択が完了よ。そうすれば自分のデジモン達を一時的に強化する事が出来るわ。状況に合わせて使ってください。それでは次にメンバー編成に移ります。メンバーは・・・。」

 

 そうして会議は進んで行き、テロ組織討伐へと乗り込むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――太平洋の人工島 RE:BIRTH 本拠地

 

 

 

「さて、向こうもそろそろ待ちくたびれているだろうし、宣戦布告とさせてもらおうか。」

 

 ジョーカーはパソコンを操作し、世界中の画面に向けて宣戦布告をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――会議室

 

 

 

「では、メンバーを伝えます。突入班はユーリ、ミカ、ナオヤ、ユウヤ、原田君の五名。残りは迎撃の為にここに残ってください。」

 

 部隊の編成を星野署長が伝えると、ユーリは気合を入れるように掌に拳を打ち付ける。

 

「よし!じゃあ早速乗り込んで・・・!」

 

 

 

―――ビー!ビー!ビー!

 

 

 

 突如としてサイレンが鳴り、会議室に動揺が走る。

 

「な、何だ!?」

 

「っ!?テロ組織からの映像っす!!」

 

 ユウヤはパソコンに映った映像をスクリーンに映し出し、全員に見えるようにする。

 

『全世界に存在する善良な方々及び社会のクズの皆々様。ご機嫌よう。俺は世界に変革を齎す組織『RE:BIRTH』の首領、「ジョーカー」こと「火ノ宮勝也(ひのみやかつや)」だ。』

 

「火ノ宮勝也・・・コイツが俺達が追ってるテロ組織の首領・・・!」

 

 ユーリが素顔を晒した首領の姿をその目に焼き付ける。

 

「どうやら世界中のテレビ局や動画サイトをジャックして放送してるみたいっす。」

 

『これまでのデジモンテロ事件、如何(いかが)だったかな?我々はこの世界における、人間のクズと言える奴等によって理不尽な目に遭い、幸せとなる未来を壊された人間達に素晴らしい力を与えた。それがデジモンに変身することが出来るメモリ―――デジメモリだ。何故我々がこんな事をしたかって?考えたことはないか?幸せな日常を身勝手な理由で壊され、人間のクズどものおもちゃにされる事を。タダ真面目に生きていた、真っ直ぐ生きていたのに、くだらない理由で壊され、連中に幸せを奪われる事を。そんな現状を俺は変えたい、変えなければならないと思った。だが世界は、正当な方法では変わらない。正当な方法で変えようとしてもそれを認めない連中が現れる。自分達の苦しみを訴えても、無視される、隠される、嘘にされる。こんなのは間違っていると。だから俺は考えた。そして答えを出した。この世界を、一度壊してしまえばいいと。そして作り直せばいいと。そうすれば、俺達が味わってきた痛みと苦しみは消えて、新しい秩序の下に人々は幸せになると。約束しよう。俺は、嫌俺達は、この世から人間のクズどもを一掃し、正しい人間だけが生きれる世界を作ると!この思想に賛同するものは、俺達が渡したメモリを起動しろ!!そして、自分達を苦しめた人間のクズをその手で始末し、自身の未来を勝ち取れ!!己の人生の舵を、他人に取らせるな!!立ち上がれ!!自分の未来は、自分で掴むのだ!!』

 

 

 

―――ビー!ビー!ビー!

 

 

 

 テロ組織の首領―――ジョーカーことカツヤの演説が終わると再びサイレンが鳴り、ユウヤのパソコンや、会議室に置かれたパソコンからも音が鳴る。

 

「世界中で、一斉にデジモン反応!物凄い数です!!」

 

「反応の大きさから見ると、殆どが完全体と成熟期。全てここを目指しています!!」

 

「陸海空いずれかからも来ています!」

 

「警視庁に連絡して応援要請を!」

 

「それが、警視庁の方でもデジモンが大量発生して、その対処に追われて応援を出すことが出来ないとのことです!」

 

「なんてこと・・・!」

 

「現存する戦力ではとても持ちこたえられません!!」

 

 会議室や司令室で混乱の声が上がっており、コレから来る戦力に対して対抗する戦力が不足している。

 このままではテロ組織のアジトを叩いてもDD本部が壊滅してしまう。それだけは何としても回避しなければならない。

 だが迎撃に回すための戦力が足りない。

 そんな絶望的な状況に皆が絶望しかけていたその時。

 

「すうぅぅぅ・・・静まれえええええ!!!!」

 

 会議室どころかDD全体に響く音量で叫んだ男がいた。

 

「全員、よく聞いてくれ。今の現状を纏めよう。」

 

 ユーリだった。

 

「敵は数百体、あらゆる方向から攻めてくる。なら単純だ。全部纏めて叩き潰せばいい。」

 

「叩き潰せばいいって、敵は数百、ここにいる戦力ではとてもではないが足りない!」

 

 ユーリの言葉を聞いた隊員の一人が言い返した。

 だが、ユーリは冷静に返した。

 

「確かに、ここにいる全員じゃ足りない。だけどな、数の問題なら何とかなる。」

 

「え?」

 

「実は昨日、昔の俺の仲間に連絡を取ったんだ。こういう時の為に力を貸してくれってな。」

 

「い、一体何人だ?」

 

「五人だ。」

 

「ご、五人!?たったそれだけか!?無理だ!たったそれだけの人数では戦力の差は埋まらない!!」

 

「いいや、埋められるぜ。何せそいつ等は・・・。」

 

「っ!?報告します!!こちらに向かってくるデジモン達の数が減っています!!」

 

「何だと!?」

 

「早速行ってくれたみたいだな。アイツ等・・・!」

 

 その時、ユーリのスマホに電話が入り、ユーリはスピーカーモードにして出る。

 

『兄貴!こっちは俺とヴァイクモンで抑えます!兄貴はテロリストの殲滅に向かってください!』

 

『ようユーリ!アタシの方もメタルシードラモンが抑えてる!こっちは心配すんな!』

 

『ボス!こっちはボクとゼファーガモンが何とかするよ!だから行って!!』

 

『ユーリさん!私とジャンボガメモンで敵を食い止めます!!だから行ってください!!』

 

『ユーリ!雑魚共の相手は任せろ!オレとガイオウモンが斬り伏せる!!だから行け!!』

 

「ありがとよ皆!!お前等に伝える命令は一つ!全員、生きて帰ってこい!!破ったら俺のゲンコツだ!!」

 

『『『『『おう!!』』』』』

 

 その言葉を最後に通話が切れ、その様子を聞いていたDDのメンバー全員に言う。

 

「てな訳だ。全員が究極体な上に一騎当千級の強さを持ってる。コレなら数の心配はない。」

 

「あ、ああ。」

 

「ツバサ、スバル。ここの守りは任せたぜ。俺達は本体を直接叩いてくる。」

 

「わかりました。ご武運を!」

 

「ここの守りは任せてください。」

 

「と言う訳で署長。ちょっくら行ってくる。」

 

「行ってらっしゃい。晩ご飯まで帰ってきなさい。」

 

「行くぞ!お前ら!!俺に続け!!」

 

『おう!!』

 

 こうしてそれぞれが自らの役目を果たすべく動くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――太平洋 RE:BIRTHアジト

 

 

 

 港から船を出し、太平洋のド真ん中にある人工島に着き、その海岸に立って島のド真ん中に建っている要塞のような建物を見つめる五人のテロリスト殲滅部隊。

 掌に拳を打ち付けながらユーリは言う。

 

「行くぜ!奴等をとっ捕まえて、テロ計画を阻止するぞ!!」

 

『おう!!』

 

「全員進化だ!!」

 

 全員がデジヴァイスを取り出し、パートナーデジモンをリアライズさせる。

 そしてデジヴァイスを操作して進化段階を設定し、スマホからパートナーデジモンに向けて放つ。

 

「ブイモン進化ー!!」

 

 ブイモンは光を浴び、その身体に変化が起きる。

 何時ものアーマー進化ではなく、身体が大きく成長し、全身に青い鎧が装着され、背中にはマント状の大きな翼が広げられる。

 進化が完了すると、ガントレットに装着されたブレスレットからビームソードを出現させながらその名を名乗る。

 

「アルフォースブイドラモン!!」

 

 

 

アルフォースブイドラモン

 

究極体 聖騎士型 ワクチン

 

必殺技 アルフォースセイバー シャイニングVフォース

 

・ブイモンが究極進化した聖騎士型デジモン。アルフォースブイドラモンは全てのデジモンの中でも神速のスピードを持ち、その動きを追える存在は皆無である。クロンデジゾイドの中でも軽さに優れたブルーデジゾイド製の聖鎧に身を包み、空を裂き、大地を割る。両腕に装備されたVブレスレットからビームソードを出現させたり、シールドを展開する。

必殺技は、胸のV字型アーマーから光線を放つ「シャイニングVフォース」と、神速のスピードで敵を切り裂く「アルフォースセイバー」だ。

 

 

 

「テイルモン進化ー!!」

 

 テイルモンの身体が大きく変化し、その姿を龍の姿へとかえ、神聖なオーラを撒き散らしながら天へと昇る。

 進化が完了すると、その名を強く名乗る。

 

「ホーリードラモン!!」

 

「テントモン進化ー!!」

 

 

 

テントモン

 

成長期 昆虫型 ワクチン

 

必殺技 プチサンダー

 

・テントウムシのような姿をした成長期の昆虫型デジモン。のんびりとした性格で、よく昼寝をしたりする。

必殺技は、羽を震わせて増幅させた静電気を飛ばす「プチサンダー」だ。

 

 ナオヤのパートナーデジモン、テントウムシのようなデジモンである「テントモン」が身体を黄金に輝かせながら巨大なコーカサスオオカブトのような姿へと変化させる。

 進化が完了すると、その名を告げる。

 

「ヘラクルカブテリモン!!」

 

「ナノモン進化ー!!」

 

 ユウヤのナノモンが、その身を起点として様々な機械パーツが取り付けられていく。

 機械パーツの取り付けが完了すると同時に進化も完了する。

 そしてその名を名乗る。

 

「ムゲンドラモン!!」

 

「ナイトモン進化ー!!」

 

 原田部長のナイトモンの鎧がより重厚な物に変化し、その背に背負った盾も黒く変化して左腕に装着される。

 進化が完了すると、魔槍クラウ・ソラスを地に突き立てながら名を名乗る。

 

「クレニアムモン!!」

 

 全員が究極体へと進化が完了すると、一斉に進み出し、テロリストの殲滅作戦を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――ドゴーン!!ガラガラッ!!

 

 

 

「おら!どこだテロリストども!!」

 

「ユーリ、お前、犯罪者組織を相手するときこんな調子なのか?」

 

「だいたいこんな感じですけど?」

 

「いくら敵地とはいえもう少し静かに入らんか。」

 

「部長。言わせてもらいますが、個々の連中は俺達が来るのを分かってるんですよ?だったら物音立てて入ろうが静かに入ろうがおんなじ事ですよ。それに・・・。」

 

「それに?何だ?」

 

「細かいこと考えないで最初から派手にぶっ壊しながら行った方が連中に対する威嚇にも繋がりますし、ましてやテロリスト相手なら自分達の基地をぶっ壊される事も想定しているでしょうからどっちにしろ変わりませんよ。それに、最終的にこの基地もぶっ壊しますから、今やるか後でやるかの違いでしかありませんよ。」

 

「ああ、そうだったな。お前はそういうヤツだった・・・。」

 

「部長さん。後で胃薬あげましょうか?アタシの知り合いに腕のいい薬剤師がいるんで、その人から貰いましょうか?」

 

「いや、気持ちだけ貰っておこう。最近短い間隔で飲み過ぎたせいか、あまり効かなくなってきているんだ・・・。」

 

「こういう事しか言えんが、元気出してくれマスター。」

 

「ありがとうクレニアムモン。お前のその気持ちが嬉しくて堪らないよ。」

 

 要塞の壁をぶち破りながらユーリ達は内部に侵入し、やがて中心と思わしき広いホールへと出る。

 

『ようこそ。我々の本拠地である名も無き孤島へ。』

 

 突如としてテロ組織の首領であるジョーカーの声が響き渡る。

 

「その声・・・ジョーカーか!それとも火ノ宮勝也と言った方がいいか!?」

 

『どっちでもいいが、ここではジョーカーと呼んでくれ。俺はこの組織のボスとして動いているんでね。』

 

「そうか。まどろっこしいことは言わねえで単刀直入に言うぞ。おとなしく投降しろ。そうすりゃ手荒な真似はしないでおいてやる。」

 

『月並みなセリフで悪いが、断ると言ったら?』

 

「ぶん殴って引きずってでも牢屋にぶち込む。それだけだ。」

 

『ふはははは!いやぁ、こうして話していると、気持ちのいいやつだ。会話っていうのは余計な建前は立てないで話すのが一番だね。』

 

「お前と雑談するために来たわけじゃねえんだ。もう一度言うぞ。大人しく投降しろ。さもなければ実力行使だ。」

 

『まあ待て。せっかく来てくれたのだ。歓迎の持て成しをさせてくれ。こちらの作戦の最終調整があと少しで終わるのでね。その間の話し相手になってくれないか?』

 

「話し相手だぁ?」

 

『そもそも、なぜ俺が、嫌俺達が組織を立ち上げる事になったのか、そこを話そうか。そう、アレは十年前。俺がまだ学生だった頃の話だ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――十年前

 

 

 

 俺は、世間一般で言う正義が絶対に正しいと思っていた。

 

「こら、何をしている。」

 

  当時の俺は風紀委員を務めていて、通っていた学校の風紀や悪事を取り締まる仕事をしていた。

 

「この事は教師に報告させてもらう。」

 

 目の前の悪事は絶対に許さない。 その思いが、当時の俺の絶対的な正義であった。

 

「すごいな。また学年首位か!」

 

当然、成績も上位に食い込んでいた。 学校内にて、誰よりも正しく、誰よりも優秀でなければ正義は貫けない。 そんな思いで俺は風紀を取り締まっていた。

  だが、そんなある日。

 

「君には失望した。よって、ここを出て行ってもらう。」

 

  校長室に呼ばれ、俺は無実の罪を突きつけられ、学校を退学させられた。

 

 俺は風紀委員の立場を利用して、女子生徒に乱暴を働いたという偽の罪が広まっていた。

 

 どれだけ違うと言っても誰も信じてくれず、噂ばかり信じてろくな調査もせず、嘘を信じた教師達によって退学させられたんだ。

 さらに、当時付き合っていた恋人もその嘘を信じて一方的に別れを告げられ、俺を愛してくれた両親や兄弟も嘘を信じて、俺は家から追い出された。

  なぜこんな事になったのか俺は独自に調査を開始した。 そして調査の結果、俺に無実の罪を着せたのは、同じクラスに通っていた強い権力を持った金持ちの息子だった。

  俺はそいつの、裏でやっていた悪事を取り締まったことがあった。 奴が自身の後ろにいる権力者の名を利用して、好き勝手悪事を行っていたことを告発したことによって俺に恨みを抱き、あらゆる手を使って俺に罪を被せたのだ。

 その結果、俺は大悪党になり、俺に濡れ衣を着せた奴は偽りのヒーローとなった。

 俺は怒りを抱いた。俺は正しい事をしていた筈なのに、何故嘘の罪を着せられる?

 何故、嘘をついた奴を信じるんだ?

 何故、俺の事をよく知っているはずの恋人や家族までも嘘を信じるんだ?

 俺は復讐を誓い、あらゆる手を使って証拠を集めた。そして、マスコミや様々な情報サイトにバラ撒いた。

 その結果、俺が通っていた高校は大騒ぎになった。教師は教育委員会から処罰を受け、俺に罪を着せた金持ちの息子は嘘がバレてその影響で親の仕事は無くなり、学校は評判がガタ落ちし、今では不良共の巣窟となった。

 そして両親は世間から叩かれて無職になり、兄弟や元恋人も別の学校に通うも、前の学校での評判もあって悲惨な目に遭い、周りから迫害されて孤独な学生生活を過ごし、その果てに行方不明になった。

 

『その後、自由の身となった俺は色んな場所を歩いたよ。』

 

 背負うものや掲げるものがなくなった俺は、新しい何かを探すために世界中を歩いた。

 そして目にしたのは・・・嘘で塗り固められた現実だった。

 遠目から見た学校や会社、そして他所の家の中。表向きはいい顔をしても、裏の顔はそうじゃなかった。

 学校内でのイジメ、会社でのパワハラや裏取引、家庭内での虐待や暴力による支配、他にも裏からの情報操作や弱みを握っての脅迫、金を握らせての同意の強要・・・数え上げればキリがなかった。

 正しい心を持った者が間違った心を持った人間に淘汰(とうた)され、嘘の事実が真実と認識させられる。

 そして、誰もがその間違った事実を受け入れる。

 俺は憤ったよ。何故、世界はこんな間違ったことを人々は受け入れるのか。何故、誰も助けないのと助けを求めないのか。何故、誰も立ち上がらないのか・・・長い間旅をして、俺はずっと悩んだ。

 そして悩んだ果てに、俺は答えを出した。

 

『この世界を壊して作り直せばいいのだと。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『だから俺は本当の意味での正しい世界を、悪意のない優しい世界を作りたいと思った。俺や、俺の仲間が味わってきた苦しみを世界から無くすために。俺の仲間もそれぞれ、世界から理不尽な理由で悪意をぶつけられ、居場所を失くし、無実の罪を着せられ、闇市場に売られたりした。俺はそういう人間達が本当の意味で幸せを掴んでもいいんだという世界を作り上げるために、この組織を立ち上げた。』

 

「それで、こんなテロ計画を企てたっていうのか?自分を地獄に叩き落とした世界に復讐するために!」

 

 ジョーカーの身の上を聞いて、ユーリは言う。だが、ジョーカーはそれを鼻で笑いながら返す。

 

『ハッハッハッハ!復讐なんかじゃないさ。俺達が理不尽な目に遭っている人間達のために幸せな世界を築いてやろうと言ってるんだ。』

 

「仮にこの計画が成功したとして、お前の言う悪意のある人間達はどうなるというのだ?」

 

 原田部長が聞き返す。そして答えが返ってくる。

 

『当然、皆殺しだ。』

 

「!?」

 

『当たり前だろう?俺の思い描く理想世界に、悪意を持つ人間などいらない。悪意ある人間が居なくなれば、この世から自然と悪が無くなり、世界には優しさと正しさで回るようになる。後は俺達がその世界の秩序が乱れないように管理し、維持する。そうすれば、世界に恒久的平和が約束されるんだ。』

 

「ふざけんな!お前やろうとしている事はただ力で押さえ付ける恐怖政治だろうが!仮にそんなもんが出来たとしても、必ず何処かで破綻する!現在の悪を駆逐したとしても、新しく作り上げた秩序の中でまた新たな悪が生まれる!結局はそういうことの繰り返しになって、最終的には何もかも消さなきゃならなくなるぞ!」

 

「その通りだ!そうなってしまったら、お前の言う秩序維持の名の下に、全ての人間達を殺さなければならなくなる!そうやって悪意ある人間達を片っ端から殺してしまえば、最終的に全ての人間を殺さざるを得なくなる!そうなれば、お前の掲げる秩序など意味をなさなくなるぞ!」

 

 ジョーカーの返答にユーリと原田部長が言い返す。

 

『いいや、消えないさ。確かに、片っ端から悪を殺せば悪意は消える。それと同時に地球上の人間の数も減っていき、理想を叶える頃には大分数が減っているだろう。けど、俺にはそうなっても人類が存続出来るようプランが頭の中で組み上がってる。』

 

「プラン?」

 

 ユーリが聞き返した。

 

『俺が組み上げた教育プログラムを赤ん坊のうちから受けさせて、悪意の芽が生まれないようにする。そして生まれから終わりまでのすべてを俺達が管理し、人類を繁殖させる。そうすれば悪意は生まれず、犯罪も生まれず、平和で何にも怯える必要のない幸せな世界が誕生するんだ。どうだ?これなら文句はないだろう?』 

 

「文句有り有りだ馬鹿野郎が!そんな堅っ苦しい世界、誰が受け入れるってんだ!息が詰まる!!」

 

『残念だ。君は受け入れてくれないんだね。この作戦の前に君の事を調べて、俺とほぼ同じ境遇を味わった君なら理解してくれると思ってたんだけどね・・・最後の作戦の準備完了までもう少しかかる。止めたければこの施設の最上階まで来るがいい。ただし、幹部全員を倒してから来るがいい。それぞれの部屋に1人ずつ待機させてある。ホールの奥にあるエレベーターは、全員が一つずつ鍵を持っていて、4人同時に差し込まないと開かない仕組みだ。全員強いからそう簡単には倒せないよ。頑張り給え。』

 

 その言葉を最後に声は聞こえなくなり、ホールにある4つ扉が開く。

 

「行こうぜ。このままだと奴の計画が発動しちまう。」

 

 ユーリがメンバーを見渡しながら言った。

 

「そうだな。早く行かねば。」

 

 原田部長もそれに同意する。

 

「こんな間違った事、絶対に止めなきゃ。」

 

 ミカも決意する。

 

「例え奴の言う通り、理想的な社会が待っているのだとしても・・・。」

 

「それによって犠牲となる人達が出るのを黙って見ているわけには行かないっす。」

 

 ナオヤとユウヤも決意を固め、止めることを誓う。

 

「さっさと幹部とやらを倒して、上に行くぞ!俺とミカが一番の部屋に、ナオヤは二番、ユウヤは三番、部長は四番の部屋に。幹部の連中がどのくらいの強さかわからねえが、かなりの強さだと思う。気を引き締めてくれ。そして全員、生きて帰るぞ!」

 

『おう!!』

 

「よし、行くぞ!!」

 

 ユーリの号令を聞いたメンバー全員は、それぞれの部屋へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、受け入れてくれるとは最初から思ってはなかったけど、いざ断られると悲しいね。」

 

『それで?あいつ等を足止めと言うより遊んでやればいいのね?』

 

「そうだよダイヤ。ダイヤだけじゃない。他のみんなもね。」

 

『ワシ等がうっかり倒しても文句言うんじゃないぞ?』

 

「構わないよクラブ。そこで倒されるなら奴等はその程度だったって事さ。」

 

『・・・。』

 

「スペードも、本気かつ全力で戦ってくれ。」

 

『じゃあボクも、全力でやっちゃうよ?』

 

「当然。頑張ってねハート。これより、計画の最終段階「ラグナロク作戦」を開始する。各員、奮闘せよ。」

 

『『『『了解!』』』』




次こそ最終回。
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