DQ外伝─錬金術師と巫女の予言   作:Sephi&ロト

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第二幕、二節

硝子窓から漏れる夕日に少々やられた視界で王の背中を追い、

喧騒の去った広間を抜けて赤く敷かれた大階段の絨毯に一つ二つと足を掛ける。

 

ふと、左手の方から足を鳴らすのは、

布に覆われ僕を追い越してゆくアドリーの姿。

 

「ねえお父様、アタシ先に着替えてきても───わっ?!」

 

王が振り返りもせず放って渡した何かを、彼女はあたふたと手をはためかせつつ掴む。

 

「びっくりした、……これって踊り子の衣装?」

 

「神鳥の舞い衣だ。それならば火に焼けてしまうこともなかろう」

 

陽の光を反射してか、ぽかんと佇む彼女の両手から垂れる繊維は、

星の零れ落ちる夜空の様な紫紺に煌めいて見えた。

 

「素敵な衣装……!ありがとうお父様っ、大事に」

 

 

高く声を躍らせ、ぎゅむっと音を立てて踏み出した足は。

 

「あっ」

「…………え?!」

 

羽織った布を思い切り踏みつけ、

ひっくり返って宙に浮いたアドリーの黒髪はこちら目掛けて降って来る。

 

「お、おおおい待て急にどわぁっ?!!」

 

 

咄嗟に構えた両腕へと布の感触が綺麗に収まったと同時、

残念ながら落下の勢いは止まることなく抱えた少女もろとも階段の下へ転げ落ちる。

 

「いたた……高い所じゃなくてよかった。不幸中の幸いってやつかな」

 

「お前が言うな……早く離れろ。重い」

「冷たっ?!重くないもん!!」

 

決して重くはなかった。

唯一、受け止めるのが僕でさえなければ。

 

「……いいから早く着替えて来てくれ」

 

「よくない!!いくらアタシでも気にしてるん、だ……から……」

 

 

頑なに目を逸らす僕を見てようやく気づいたのか、

みるみる下向きに失速した声が言葉にならない焦りを漏らし始めた。

 

「ち、ちが、違うんだってば───ヘンタイ!!!」

 

 

…………

 

 

「災難であったな。座るが良い」

 

(…………)

 

紅葉の咲いた頬の痛みを両手の平で庇いつつ、

部屋の真ん中の椅子に手を掛ける。

 

事故とはいえ、あの責任転嫁には未だ少々不服ではあるが。

 

「御気遣いどうも、……ここは資料室か?」

 

 

見渡した部屋の中は、先程までのような物珍しさではなく、

むしろ見慣れた図書館を想起させるような本棚たちの並ぶ景色だった。

 

「今は要人の客間として使われておる。遠慮せず座ったらどうだ」

 

 

王の向ける杖に促されるまま、手を掛けた椅子に腰を休める。

 

着替えに行ったアドリーを待つ間、

彼と二人の空間で聞けることがあるかもしれない。

 

「集落を思い出しただけだ。確かにここなら落ち着いて話せそうだな」

 

「…………彼奴も本を好んでおったな。懐かしむには随分時が経ってしまったが」

 

「…………」

 

ロザリー様の話では、父と彼は二百年前よりの旧知であると聞いた。

 

人の身で存命ならばどんな老爺かと想像していたが、

王の佇まいは高く見積っても壮年ほどの人間に相違なく見える。

 

もっとも、その全容は紫黒の装束と石膏の面が覆い隠しているのだが。

 

「ボルダと言ったか。薄々勘付いておろうが……

今の我の素性など後々知れば良い事だ」

 

「ああ。問題は父と貴方の関係とこれからの事についてだ」

 

 

少しの静寂に息を整え、仮面の奥から低く放たれる声に耳を傾ける。

 

「錬金術師ベルンドは旅人であった。

四の厄災を追い、神器を手に其らを鎮める運命を負う者共の一人として」

 

「貴方も、その仲間であったと?」

 

「少し違うな。砂漠を治める王族は精霊の巫女とは本来無縁……

その半ばにして彼奴が息絶えるまで、道を共にすることは叶わなかった」

 

 

巫女と聞いて真っ先に思い浮かんだのは、言うまでもなく母様の姿。

 

「……父は、ジエラ様が精霊の巫女だと知っていたのだろう?

巫女と神器の使い手は共に国や集落を治めると、決まっていたわけじゃないのか?」

 

「間違ってはおらぬ。ただ、我が妻───

火の精霊の巫女が治めたのは人間ではなく火竜族の山里だ」

 

 

言い終えた王の言葉に、先程まで僕を振り回していた火竜の娘、

目の前の王を父と慕っていた彼女の名が浮かぶ。

 

「火の精霊の巫女、アドリーの母親のことか?

だとすれば彼女も僕と同じように、人間と火竜族の」

 

 

言いかけた途端、床を突く杖の一喝でその続きを制される。

 

「控えよ。踏み入り過ぎだ」

「…………」

 

 

顔色の見えない仮面の奥から響いた声は低く淀んで聞こえた。

 

そうだ、考えてみれば当然だ。

身内の生い立ちを無闇に探られて良い気のする者は、僕を含めてそう居ないだろう。

 

「聞く必要もない事だったな。僕が悪かった」

 

何より、こんな事で警戒されてしまっては元も子も無い。

 

「構わん。話の腰を折ったようだが……

我は神器の使い手ではなく、巫女と同じ国を治める立場でも無かった」

 

 

詳細については察する他無いが、

どうやら王と火竜族の巫女はそれぞれに違う民の地を治めていたらしい。

 

「『風の導き手』ベルンドは旅の最中にこの国を訪ねた。

其方と同様、風の巫女の御使いとして……エルフと人間の和平を持ち掛けてきたのだ」

 

「父がそんな事を、……受け入れたのか?」

 

王は静かに首を横に振った後、真っ直ぐに僕とその目を合わせる。

 

 

「無論、疑いも無く呑む訳にはいかんでな……

古くより埋めようもない程に、エルフと人間の間には因縁の溝が深かった」

 

「っ、…………」

 

深く耳を刺すような一言だった。

 

集落に逃げ込んだ僕も同じく、言葉以上に、

今を生きる僕達が否定しようもない歴史の一端に触れた一人だからだ。

 

「それでも、全ての人間が金に目が眩んだ強欲の徒で無い事は知っている。

ジエラ様が父との過去を教えてくださった」

 

「……そうか。其方には辛い話やもしれんが」

 

「それについては今更だ。正しく歴史を知る事もなく憎悪を向けていた過去とは違う」

 

 

僕は向き合わなければならない。

 

両親の遺した旅の続きを、無益な戦で終わらせる訳には行かないのだから。

 

「ボルダ……其方の勇気を信じ伝えよう。

ベルンドの受けた予言が如何なる未来を告げていたか」

 

 

王は改めて語り始める。

正真正銘、僕の知らない遠い過去を。

 

「当時の我にとっての誤算は、彼奴が錬金術を継承する唯一の生き残りであった事だ。

四大精霊の祝福とともに生きる種族を予言の未来より護るただ一つの希望でもあった」

 

「……火竜族も同じだったのか」

 

「察しの良い事だ。その時点で我は弱味に付け込まれていたのやも知れんな」

 

 

エルフ、ドワーフ、火竜族、水竜族───

「大魔王の呪い」の予言において闇と相対するとされた精霊の四種族。

 

その純血を精霊の器とする巫女は、その運命に抗えず大戦の要として組み込まれる。

 

 

「予言の示した名は『進化の秘法』の存在。

錬金術師が最も忌むべき太古の歴史に刻まれた禁呪の名だと彼奴は語った」

 

「確かに、ロザリー様……集落の守護者から聞いた話と同じだ。

その先にある厄災の権化、『地獄の帝王』の存在も」

 

 

しかし先に言った通り、それだけでは王が父の予言を信じるに値する証左が無い。

 

「疑わなかったのか?進化の秘法は少なくとも……

『黄金の腕輪』は火の中に跡形もなく消えたと、歴史の中で抹消された闇だったはずだ」

 

「歴史の中では、な。ここからは其方の疑問に答えよう」

 

 

徐に杖を付いて腰を上げ、王は本棚の一角から一冊の書を取り出し、

赤い付箋の貼られたページを開いて卓に置いて見せる。

 

歴史書でも、学術書でも無くありふれた書物のようだった。

 

 

「これは……?」

 

「ある商人の著書だ。『エルフの涙』について記されている」

 

「!───」

 

 

意識が追い付く暇も無く、衝動が僕の身体を動かしていた。

 

身を乗り出し、ページに綴られた文字を追い掛け、

挿絵付きで語られる自らの種族についての記述を読み漁った。

 

(なん、だ……これ……)

 

宝石として売られた涙を巡る取引の記録、

エルフそのものに掛けられた懸賞金や捕獲者への多額の報酬。

 

 

そのどれもが、人間の呼ぶ「金」によって測られた価値に基づくもの。

 

「〜〜〜〜ッ、───!!!」

 

 

応接間に響く、乱暴な音。

それが机を叩いた自分自身の手だと気付き、僕はようやく我に返る。

 

「はぁ、…………はぁ……っ」

 

顔を上げると、変わらず表情の読めない王の仮面がこちらを覗く。

 

冷え始めた頭で部屋を見渡すと、

先程まで別の机に整頓されていた書類が散乱し、花瓶の破片が散っている。

 

「…………取り乱して、すまない」

 

「其方が謝る事では無い。欲に穢れた人間の悪に他ならぬ……

問題はなぜ其方等の涙が宝石として高値で取引されるかだ」

 

 

なぜ彼が今、僕にこの事実を伝えたか、概ね予想は付いている。

 

「『魔族に売り渡す人間の強欲』……母様は手紙の中でそう、言った」

 

 

完全な進化の秘法に要する素材は、黄金の腕輪だけでは無い。

 

「『若く清き乙女の魂』……純血のエルフが流す紅玉の涙───

取引の最終的な行先は、何処かで秘法完成のため手を引いた者の手中だ」

 

 

ようやく、腑に落ちる結論が見えた。

 

「……だからか」

 

両親を襲った人間の賊共の、そしてその強欲を利用した者の、

理解しようとすればする程に吐き気を催す心根が。

 

「だから、貴方は父を信じたのか」

「…………」

 

人間の国の王である彼ならば、商売に裏がある事も想像に難くなかったはずだ。

 

そして黄金の腕輪の復活、地獄の帝王の再臨、

大戦で起きたそれら全てに間違いなくこの件が関わってくるだろう。

 

 

「彼奴とその仲間は暫しの滞在を経てこの国に知識と守りと力を伝えた。

我が国の今誇れる軍事力も、信頼に余りある彼奴等の支えあって成ったものだ」

 

「……そうか。僕の父は偉大だったんだな」

 

少しやるせなさそうに深く頷き、王は書物を取る自らの手を見つめ仮面を揺らす。

 

「彼奴の死は……二百年の時を経ても取り返す事は叶わぬ。

一国の王としてではなく、我は一人の友として彼奴に何を返せたものか」

 

 

きっと、そうでは無い。

重くなりかけた沈黙の中、僕の心はもう会えない父の想いを探していた。

 

「それはきっと違う。貴方はあくまで王として父を受け入れて、

二百年もの間父の友としてその死を想った……それで十分じゃないか」

 

綺麗事かもしれない、それでも───

この気持ちを捨ててしまえば、僕は僕を許せなくなる。

 

「ふ、……やはり似ておる。為政者たる者が其方のような小童に諭されるとは」

 

「馬鹿にするな。僕だって二百年間心を持って生きたんだ」

 

 

再び棚へと本を戻し、王はその場で呼吸を整え、

振り向くこともせず宙へ言葉を紡ぎ始めた。

 

「虚実(ゲブラ)の使徒……彼の魔人は本来王墓の秘宝を守る存在。

儀式の間に具わる二つの祭具が其の闇を打ち消す標となろう」

 

「…………!」

 

 

言い終えて初めて僕を見た仮面の奥の表情は、

やはり相変わらず読めないままだった。

 

「独り言だ。墓荒らしを唆すなど先祖に示しが付かんでな」

 

けれど確かに、一人の人間としての彼と対話が出来たように感じた。

 

「……そういう事にしておくよ。

どの道ここから先は僕が勝手にやる事だ」

 

 

意志を新たに席を立ち、ふと周囲の物音が耳に届き始める。

 

「?」

部屋の外、応接間の扉の前だろうか。

 

「いつまで盗み聞いておる。話は終わったぞ」

 

がたんと揺れた扉の音で、隠れていた者の正体が暴かれる。

 

「う、えへへ……バレちゃった」

 

 

ひょこっと顔だけ覗かせて口角を上げ、黒髪を透かしぱちぱちと見開く赤い瞳。

 

「……なんだ。もう戻ってたなら入って来ればいいだろ」

 

「ごめんごめん。驚かせようと思ったんだけど……

アタシが居ないうちになんだか二人とも仲良くお喋りしてたみたいだもん」

 

どこを切り取ってそう思ったのか知らないが、頂けない奴だ。

 

 

「して、衣の着勝手はどうだ。生憎だが替えは無いぞ」

 

「ぴったりだよ!サイズまで全部、

アタシに合わせたんじゃないかって思うくらい」

 

扉を開け、無邪気にぴょんと跳ねて出た彼女は先程の布ではなく───

 

(…………!)

 

 

ご機嫌に回って見せるアドリーの動きに合わせ、

向日葵のような黄の布地の袖にひらひらと舞う紫紺が煌めいていた。

 

「へへっ。こんなに綺麗な衣装なら国のみんなも喜んでくれるよね」

「ああ、……そうだろうな。気に入ったようで何よりだ」

 

(壊れないプレゼント、……か)

 

 

そっと触れたロザリオの木は、今も暖かく胸に揺れている。

僕の心はここにあると、思い出させてくれる。

 

「日は落ちておろうが、其方もそろそろ気を休めるといい。

一緒に夜の風でも浴びて来たらどうだ」

 

「え、いいのお父様……?いつもは夜更かししちゃダメって言うのに」

 

「元気が余っている様だしな。遅くなるでないぞ」

 

 

部屋の外へ杖を付く王のいつになく柔らかな口調で、ふと先刻の会話を思い出す。

 

(そういえばそうだ。アドリーの件は触れられずじまいだったが……

本人から直接聞けって事か?)

 

「ふふっ、じゃあ着いてきてボルダくん!

アドリーさんがお父様の国を案内してあげる」

 

「お前元気だな……」

 

 

部屋を出る直前、もう一度見渡した本棚の景色。

 

(…………?)

特に変わった書物は無い、ように見えるが───

 

「ボルダくんーっ?真っ暗になったら案内出来なくなっちゃうよ」

 

(……気のせいか)

 

僅かな思考の靄を振り払い、

意気込んで手を振るアドリーの方へと改めて足を向ける。

 

唯一あった本棚の空白は、借りた誰かの返却のし忘れだろうか。

 

 

♢ 砂の王国:居住区

「ねえボルダくん、アタシが来る前はどんなお喋りしてたの?」

 

「んー。怖い話かな」

「ひぃっ……な、ならやっぱ聞かないどこうかな」

 

答えにくい質問へ適当に返し、真に受ける反応を少々楽しみつつ、

無事に門を抜けた先で心地の良い涼風に出迎えられる。

 

 

大きく伸びをするアドリーの影は明るい夜の色に溶け込み、

砂岩造りの家々からは窓明かりが漏れ、それぞれの一日の終わりを映し出していた。

 

「う〜ん……!やっぱり戦いのない国が一番綺麗だね」

 

「ああ。こうして見ると住みやすそうな街だな」

 

これもまた幸い、宮殿の出口を塞ぐ衛兵の姿は無かった。

 

あれから出くわしてはいないが、

彼らからはきっと目の敵にされているに違いない───

 

「「け、敬礼ッ!!」」

 

「…………考えてたそばから……」

 

 

掛け声とともに横一列に整然と並び、

つい先刻の宮殿で見たのと同じような鎧達が行く手を阻む。

 

「連行でもされると面倒だ、逃げるぞ」

「え、でもボルダくん……なんだか凄いビビられてるよ?」

 

「ボルダ様と仰るのですね!お目にかかれて光栄であります!!」

 

 

「…………は?」

 

「至極当然であります!『目にも止まらぬ早業』で近衛兵を一蹴したと……

貴殿のお力は団長のお墨付きであります!!」

 

「「…………」」

 

アドリーと真ん丸な目を見合わせ、

ひとまず無事を確保出来た事に胸を撫で下ろす。

 

何か勘違いされている気がするが、そのままの方が都合が良さそうだ。

というか存外、悪い気はしない。

 

 

「ふ、ふん、そうか……衛兵諸君、お勤め御苦労である。

万が一魔物の襲撃があれば存分に僕を頼ってくるがいい」

 

「「はっ!!」」

 

 

行く道を開けて再度こちらに爪先を揃え、びしっと敬礼を送る衛兵達。

なるほど存外、忠誠心を向けられるのも非常に悪くないものだ。

 

「行くぞアドリー、次は酒場だったな───どうした?」

 

ぽかんと棒立ちのまま、数秒遅れてようやく彼女は呼び掛けに反応する。

 

「あ、うん……急にめちゃくちゃ威張り始めたからびっくりして」

 

 

二つ誤算だったのは、それが図星であった事と、

目の前の明るい少女の顔が堂々と心を抉ってきた事だ。

 

「いいだろ別にっ。誤解しててくれた方が都合が良いんだから」

 

「演技だったの?あははっ、それにしては下手くそだったなあ」

 

「やかましい!置いてくぞ!!」

 

 

ベラと違って、これが恐らく純粋なのだから余計に油断ならない。

 

「というか、敬礼されたのは僕だけじゃないか?なんで巫女のお前には何も」

 

「わ、わっ、ちょっと声落として……!」

「?」

 

突然慌てたかと思うと何やらこそこそとした様子で、小声で耳打ちしてくる。

 

「巫女だってみんなには言ってないの、知ってる人は居るけど、

とにかく隠してて!わかった?」

 

「あ、ああ分かった、あと近い!余計目立つだろ」

 

「え?!たっ確かに…………気をつけます」

 

 

驚いて、笑って、慌てて───

コロコロと変わる表情を見て毎度思うが、疲れないんだろうか。

 

「……僕は退屈しなくて良いけどな」

 

「?ボルダくん、いま何か」

「ああ別に。案内してくれるんだろ?」

 

「ふふん、もちろん!任せときなさい」

 

見るからに緩んだ頬と浮いた足で、アドリーはずんずんと居住区を突き進む。

 

お前も威張り散らかしてるじゃないか。

 

 

(……なんだか、リリやメロを見てるみたいだ)

 

思った事をすぐ口にできたり、ここまで自分に裏表が無いのは、

悔しいけれども正直羨ましいとすら思ってしまった。

 

「あんまり走るなよ、またコケるぞ」

「分かってるってば───あ、ほら見えて来たよ!」

 

気付けば無意識に緩んだ口元は、直さずそのままにしておいた。

 

お互い良き親に育てて貰えたのだろうなと、

心の中でまで要らぬ世話を焼く自分に少しの呆れを感じながら。

 

 

♢ 砂の王国:酒場

外までがやがやと飛び交う喧騒の前に立ち、

僕たち二人で押戸の鈴を鳴らすなりこちらに、特に少女の方へと注目が集まる。

 

「あれま、綺麗なねーちゃんだと思ったら踊り子さんじゃねーか!」

 

「アドリーさん!無事だったのね、旦那も心配してたのよ」

 

「こんばんは、お疲れさま!みんな無事みたいで安心したよ……

魔物が来た時はどうなる事かと思っちゃった」

 

 

カウンターに並ぶやら、テーブルを囲むやら、

彼女を中心としてわいわいとした人の賑わいが一層視線と熱を帯び始める。

 

「おうよ!オレたちの王国をナメんじゃねえってんだ」

「あれ?そういえば避難してた時、見かけなかったような───」

 

「え?!ああっと、アタシも避難してたんだけど……

あ、そうそう!衛兵さん達が安全なところに送ってくれたの」

 

 

なるほど、外ではあくまで踊り子として振る舞っているらしい。

 

(……確かに、公に巫女だと名乗っていたなら、

住民と距離が出来てしまうのも無理はないか)

 

「隣のにーちゃんは初めてかい?

ちょうどオレたち飲み比べやってんだ、あんたらも混ざって一緒にやろーぜ!」

 

 

カウンターから豪壮な体つきの男数人がこちらへ絡んで来る。

 

「酒か、飲んだ事は無いが。

受けてみるのも面白そうじゃないか?」

 

「あー……えへへ、アタシは遠慮しとこうかな?

お酒飲んだらすぐ眠っちゃうらしくて」

 

 

そう言って重ねた両手を頬に当てて、ちらりと僕に目配せをして来る。

 

「……ふーむ。同じ歳でもお子さまには変わりないのか」

「なっ、───!?」

 

まさかここで煽られるとは思わなかったのか、

突如として余裕の無くなったアドリーの両目に思わずにやける。

 

確かに丁度いい、先程痛い目に遭った仕返しでもしてやろうか。

 

「さては度胸試しが怖いんだろ。それとも苦くて飲めないだけか?」

 

「そ、そんな事言ってないもん!

冷たいんじゃなくてそれはただの意地悪じゃん!?」

 

 

不毛な言い争い見たさか、やいやいと周囲から好奇の目が集まる。

 

「おお、いいぞにーちゃん!煽ってなんぼだぜ!!」

 

「頑張ってアドリーさん、負けちゃダメよ〜!」

 

「え、ちょ、ちょっと?盛り上がってるけど止めてくれる人いないの?

あと何でボルダくんそんなに乗り気なの!?」

 

 

騒がしい連中だが、混ざってみると案外楽しいものだ。

もう少し闘争心に火をつけてやろうか。

 

「ふっ、悔しいなら言い返してみろ!

───ああでも、悪口は苦手だったか。かわいそうに」

 

「ぐ、ぬぬ……!お子さまでも酒場は楽しめるの!

お酒で度胸試しなんてバカみたい!バカ!!」

 

「「お、オレたちにまで飛び火してきたぞ?!」」

 

まずい、周りにまで喧嘩を売り始めると収拾がつかない気がするが。

 

 

「だ、大体ボルダくん、痛いとこばっかり突いてきてさ!

キミの弱点見つけたら全力でやり返すから覚悟してよ?!」

 

冗談じゃない、さっきから十分やられてるだろ。

元々非力な僕にとって物理攻撃以上の弱点があるか。

 

「はっ、よく言うな、僕が人に轢かれた時には思い切り笑ってきたくせに。

さっき引っぱたかれた仕返しだと思えば軽いじゃないか」

 

「な、なにそれ……あれはしょうがないじゃん!

アタシだってハダカ見られたの恥ずかしかったんだもん!!」

 

 

「「…………?!」」

 

思えば軽率な言葉だったと、後悔が押し寄せた時には遅く、

アドリーは目に涙を溜めて次の口撃を準備している。

 

「ちょ、ちょっと待て、落ち着───」

 

「え、痛いとこ突くってそういう……え?」

「意地悪ってまさか……」

 

 

「それにっ、アタシもあのとき痛かったもん……!!

受け止めてくれた時だって『重い』とか言っ」

 

「お、おおお前やめろ、やめてくれ!!僕が悪かった!!」

 

 

♢ 砂の王国:隊商地区

度胸比べに興じる酒場の喧騒を何とか抜け出し、

一難を逃れなお空気を求めて上下する肺がまた一難を訴える。

 

「ぜぇっ……はーっ」

「…………」

 

そんな僕の傍らに目を閉じて黙ったまま、

アドリーはぺしぺしと路傍の砂を蹴り続けている。

 

「悪かったって……仕返しにしても、やり過ぎた」

 

 

真っ赤に膨れた頬の上、先程のような闘争心こそ感じなかったが、

少し恨めしそうながらも腫れた瞼をようやっと開く。

 

「こういう時はもっと、素直にごめんなさいするの」

 

復讐は何も生まないと、息も絶え絶えに訓戒を胸に刻む。

 

「ご、ごめんなさい。反省してます」

 

「もう。さっきまで不毛なテキタイはダメだとか言ってたくせに」

 

喧嘩を売った手前プライドも何も無いが、僕の負けだ。

 

あのまま泣き出して暴走されれば───

少なくとも僕の尊厳は塵も残らず死んでいた。

 

「……そういえばアドリー、何で酒場に行こうとしたんだ?

酒が苦手なのはホントなんだろ」

 

何の気なく尋ねつつ見上げてみると、肩が小さく揺れて見えた。

 

「そ、それはほら、避難してたみんなが心配で」

 

 

納得しかけたのも束の間、

ぐうう、と大きな空洞音が眼下から耳を響かせる。

 

「ああ、……んんー、ん?」

 

「…………」

 

街灯に照った前髪の影に隠れて見えにくいものの、

声色に伴い萎んだ頬をいじる指の上で赤い瞳が泳いでいる。

 

お前、もしかしてそれで怒ってたのか。

 

「……えぇと、隊商地区だよな。

この辺りなら何かあるんじゃないか?」

 

尖った耳の先までぼふんと湯気を立てた後、アドリーは小さく頷いた。

 

 

ふと、図書館から旅立つ際に駄賃と言って頂いた小銭袋を思い出し、

腰に巻いた鞄から金属音を探り当てて取り出してみる。

 

軽食程度なら買い物に困ることはないだろう。

 

「!」

蝶々結びの紙を解くと、端に見切れて何やら文字が書かれてあった。

 

ロザリー様からだろうか。

長旅を思ってか、きっと道標になる何か───

 

『お土産買ってきてね!ベラより』

 

 

早々に紙を細く折り畳み、再び袋を封じる。

 

「あ、あれごめん、

アタシ部屋から何も持ってきてないかも」

 

「いや心配するな。好きなのを選ぶといい」

 

 

街灯の暖色に導かれ、灯りの付いた隊商宿のテントに歩み寄る。

 

「ノラおじ様、ごめんくださーいっ」

 

中に人気はあるが、夜間は簾を下げているのか、

アドリーの掛け声に応じ初めて店主らしき影が顔を出す。

 

「おう嬢ちゃん、今日は珍しく夜更かしかい?」

 

「夕方まで避難してたからさ。夜ご飯まだだったんだよ」

 

彼女に続き薄布の簾を上げると、

熱気とともにふわりと香ばしい匂いが解き放たれる。

 

(油、か?それに獣のような……)

 

「おんや、お前さんエルフかい?

嬢ちゃんもこれまた珍しいお客を連れて来たもんだ」

 

隠すつもりもなかったが、相手が人間という事もあり、

不意に種族の名で呼ばれ少々身構えてしまう。

 

「……どうも。アドリーはここいらじゃ有名人なのか?」

 

「有名も何も、この子の踊りはこの国で一二を争う娯楽だよ。

特に老い先短いワシらにとっちゃあ、太陽みてえに明るく見えんのさ」

 

「そんなそんな、おじ様達のおかげで頑張れるんだよ。

いつも美味しいご飯を作ってくれるから、アタシも衛兵さんたちも」

 

 

羽振りの良さげな口髭の店主、その手に持った鉄網に垂らす油を見て、

先程からの香りの源がそこにある事を理解した。

 

「おいおい、ジジイを煽ててもまけてやらねえからな?

お前さんもここ座んな。今日は大嘴の揚げ串が入ってるよ」

 

「揚げ、……料理に油を使うのか?」

 

「かかかっ!そこからかい?火い通すだけじゃ魔物の肉は食えねえぞ。

それに鳥は油揚げにして食やいい肴になるんだよ」

 

なるほど、森の恵みで暮らすエルフの食性とは随分違うらしい。

 

それにしても油、塗料や燃料以外の発想はなかったが、

こうして料理の香りとなるとなかなか食欲を───

 

「…………待て、魔物って言ったか?!」

 

 

思わず椅子を倒して警戒し始めた僕にも構わず、

早々に座っていたアドリーはうずうずと肉を見つめている。

 

「かっかっかっ!旅人さん、相当箱入りで育ったらしいな。

嬢ちゃんもお待ちかねだ、害はねえから冷めねえうちに食いな」

 

確かに、この程度の未知で恐慄いていては名が廃る。

「うぐ、……分かった、頂こうか」

 

 

数度躊躇いながらも、そっと舌を付けて確かめようとした。

 

「熱ぁっ?!!」

「ええっ?の、ノラおじ様?!」

 

「おおっと、言い忘れてたわ───

常連のアドリー嬢ちゃん向けに熱々でお届けしたもんでな」

 

 

くっくっと腹を抱え笑いを堪える店主。

辛うじて串を持つ指は離さなかったが、未だに舌が痺れる。

 

「だだ大丈夫ボルダくん?ごめんね、アタシのせいで」

 

「ちょ、ちょっと冷まさせてくれ、先に食ってていいから……」

 

「あー笑った、勿論わざとじゃねえぞ?

毎度毎度お客を揶揄ってちゃ誰も寄ってこねえからな」

 

びっと親指を立てて、店主の満足そうな笑みがこちらに向く。

ここまで開き直られるともはや怒りも湧かない。

 

体勢を立て直して板皿に串を置く僕の左隣、

彼女はまさに夢中な様子でぱりぱりと揚げ鳥を頬張っている。

 

「丁度いいや、冷ますついでに聞かせてくれよ。

嬢ちゃんとはどんな馴れ初めなんだい?」

 

短い窒息音とともに黒髪が揺れ、頬張る口を急停止させた。

 

「だから揶揄うな、旅の途中で王を訪ねて来ただけだよ。

アドリーとは……えぇと」

 

「お?やっぱりやましい事でもあんのかい」

「違うわ!なんだその、……言いづらいというか」

 

ちらりと隣に目をやると、まだ僅かに咳き込みつつ、

特に焦る様子もなくきょとんと瞳を見開いていた。

 

「ああ、なんだ───旅人さんも知ってるなら心配ねえな」

「?」

 

 

もくもくと上がる湯気の蓋を閉め、

店主の表情が笑顔から途端に神妙な静けさに変わる。

 

「なあアドリー嬢ちゃん。夢中なとこ悪いが話しちまってもいいかい?」

 

「あ、うん!ノラおじ様なら大丈夫だよ。

ボルダくんも、この人にはアタシの事隠さなくていいから」

 

「……なるほどな」

 

 

何人か素性を知る者がいるとは聞いたが、

店主は彼女が信頼を置く内の一人らしい。

 

「王の身を案じて衛兵のガキ共が走ってくのは見えた。

宮殿に黒煙が見えた時ゃ火事かと思ったが……そんな訳もねえしな」

 

「……霧の正体を知っていたのか?」

 

エルバ=メヘトの「独り言」によれば、

使徒の黒い霧は王墓にある祭具のものだと考えられるが。

 

「それもあるが、建物が燃えるわけがねえんだ。

火の結界で護られてたこの国に火災は起きねえからな」

 

(…………)

 

衛兵と馴染み深い口ぶりもそうだが、

隊商宿の店主がここまで知り得るものだろうか。

 

 

「ボルダ、くん……?」

 

「女の前で怖い顔してんな、旅人さん。

ワシは知ってる事を話してるだけだぜ」

 

気にはなるが、本題はそこじゃない。

 

「もう少し自己紹介をしておきたい。

お察しの通り『エルフ』だが、僕も当てなく旅をしてる訳じゃない」

 

 

時折僕の背に向けられる彼の視線、

恐らくこの人は何か察した上でそれを聞かずにいる。

 

「アドリーの言葉を鵜呑みにする訳じゃないが、

迷惑でなければ話を聞きたい。貴方なら信用できそうだしな」

 

「……ほお、こんなジジイ口説いて何の得になるのか知らねえぞ?」

 

何にせよ、思わぬ筋で収穫が見込めそうだ。

 

「ノラさん、改めて知恵を貸してほしい。

正直僕一人では飢餓に立ち向かえないんだ」

 

 

…………

 

 

「ほお、するとギーメルが言ってたのは

───かかかっ!確かに悪りい目ツキしてると思ったわ」

 

「あ、あの女……国中で変な噂立ててるんじゃないだろうな」

「うーん。アタシはそんな事ないと思うけどなあ」

 

ひと通り来国以後の顛末を伝えたところ、

先程の不自然な衛兵達の態度に合点がいった。

 

「いやいや、大慌てでワシん所へ報告に来たんだ。

青い顔して騒ぎ立てるもんだからさすがに笑っちまった」

 

 

どうやら例の人騒がせな団長を含め、

現在の近衛団はかつての彼の教え子なのだという。

 

「ギーメルさん、ボルダくんと居た時は怖かったなあ……

色々バレちゃったけど、アタシとはすぐお友達になってくれたのに」

 

「かっかっ!随分歳の離れたお友達だがな」

「うぐ…………言わないでよ!」

 

加えて火の精霊の巫女であるアドリーの件は、

当然と言えば当然だが、元々近衛団の上層部のみが知り得た情報らしい。

 

「そういえば確かに、宮殿でも『巫女様』って呼んでたな」

 

「いやまあ、踊り子って事までバラすつもりはなかったんだが。

あいつに名前だけは教えちまっててよ、わりいわりい」

 

「ううん、ノラおじ様は悪くないよ。アタシの方から名乗っちゃったし」

 

 

僕がここへ来る前、集落と時を同じくして起きた襲撃の最中、

彼女が門の魔物を炎で殲滅した際の事だろう。

 

(……というか今更だが、アドリーもちゃんと戦闘は出来るんだな)

 

実戦向きの魔力、加護を重んじていたジエラ様とはまた別物だろうか。

 

「結界が機能しなくなった事についてだが、

原因は分かっている。僕の故郷でも同じような事が起きたんだ」

 

「と、───逸れちまってたがようやく本題だな。

王の張っていた『祝福』がどうたらって話だったか」

 

 

精霊の祝福が呪戒へと転じ、集落と同様であれば、

結界はあの使徒の手に渡っているはずだ。

 

「襲撃が止んだかと思えば、空から不気味な声が響いてよ……

お前さんがブチのめした使徒ってのは、あのドス黒い雲の事だよな?」

 

「そう、ボルダくんカッコよかったんだよ!弓矢と雷でドカーンって」

 

(興奮は伝わるが説明が適当だな……)

 

 

身振り手振りではしゃいでいるアドリーには悪いが、

あいにく使徒の脅威が去った訳ではない。

 

「僕がしたのはあくまで撃退で、……現に王国の結界は復活していない。

属性の異なる祝福の光で無理やり追い払っただけだからな」

 

「いんや、十分すぎる活躍じゃねえか!

アドリー嬢ちゃんが誘拐でもされたらこの国は終わっちまうんだ」

 

 

(…………)

 

『手段を選んではいられませんね……人間の国は飢餓に見舞われる

───毎晩悪夢に苦しめた末、儀式の生贄にでもしましょうかねェ』

 

状況から見ても、使徒の残した言葉に恐らく偽りは無い。

 

今すぐに厄災が王国を滅ぼすことは無いにせよ、

巫女の身柄如何に関わらず、使徒はどこかでその実現を目論んでいる。

 

(それが王墓、……王の言っていた二つの祭具だろうか)

 

「そうさなぁ。アテがねえならギーメルにも聞いて来たらどうだ?」

「「!」」

 

 

一瞬、吹き飛ばされた痛みの記憶が後頭部によぎる。

 

「…………彼女に、この時間にか?」

「かっかっ!そう嫌な顔してやるなよ、悪りい奴じゃあねえんだ」

 

正直出来れば会いたくは無いが、そうも言っていられない。

 

「ああそうだ、あいつぁ負けず嫌いだからよ……

万が一喧嘩売られても買うんじゃねえぞ?可哀想だから」

 

「うーん、その時はその時───痛ててて?!」

 

 

不意に左耳をつねられ、薄目に頬を膨らしたアドリーの顔が映る。

 

「ケンカはダメなの!さっき反省したでしょ」

「わ、分かってるって、だからもうちょっと力加減をっ……!」

 

「……おんや?さてはこりゃ何かあったな」

 

 

さっと手を離し、頬を赤らめ素知らぬ顔の彼女を睨みつつ、

未だひりひりとする耳にノラさんの笑いが響く。

 

「気絶とはいえ全滅だしなあ、相手がお前さんだったのは気の毒だが……

まああいつにとっちゃ負けは負けだ。根に持っててもおかしくねえな」

 

 

話を聞く前から薄々その気は感じていたが、

相当にプライドの高い人物には間違いなさそうだ。

 

「アタシもいるから大丈夫だよ。会ったらちゃんと謝れる?」

 

「え、僕何も悪くな…………いや、うん、そうする」

 

「ちょうど部下とも解散してるはずだ。

いつもなら一人で北の地下闘技場に行ってる頃だろうよ」

 

つねる指を構えていたアドリーと僕二人分の串を板皿にまとめ、

封を解いた小銭袋から小さな銀貨二枚を差し出す。

 

「恩に着る、あと……ご馳走様でした。思ってたより美味かったよ」

 

 

「かかかっ!気難しい坊主の割にカワイイとこあんじゃあねえの」

 

テントの簾を除けた僕達を見送る彼に、アドリーがひらひらと手を振り返す。

 

「ありがとねノラおじ様!行ってきます」

「…………待て、さらっと酷い悪口言われなかったか?」

 

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