ゾンビランドサガ~生きがいを求める元男はゾンビとなる 作:武藤 桜
篠崎視点
リリィのライブから数日。俺は新しい曲のレコーディングに勤しんでいた。
巽から楽器を借り一人曲のパートを演奏していると、
「うがぁ」
ふいにたえが部屋に訪れた。
「何か用か?」
「がぁ!!あぁ!!」
相変わらずゾンビ丸出し状態のたえはドラムセットを指さしている。
「もしかしてアレやりたいのか?」
「うがぁ!!」
「いいけどお前演奏できるのか?」
俺が心配そうにしている顔を他所にドラムセットの椅子に座ると、
ドドドドドッドドドド!!!!
プロ顔負けの軽快なリズムでドラムを叩いていた。
「すげぇじゃねぇか!!なぁ、レコーディング手伝ってくれねぇか?」
「あぅあ!!」
笑顔で返事したたえと共に俺はレコーディング作業を続ける。
桜視点
「たえちゃ~ん!!どこ~!!」
ダンスレッスンが終わった後たえちゃんがいなくなっているのに気づいた私は皆と手分けして屋敷中を探している。
「たえさんどこにいるんでしょうね…?」
「もし屋敷の外に出てたら不味いわよ」
一緒に探してくれている愛ちゃんと純子ちゃんも心配そうにしている。
更に探していると奥の部屋に電気のついている部屋があった。
「いいぞたえ。もうすぐで完了だ」
「あうぁ!!」
覗いてみると竜輝さんとたえちゃんが楽器を持って演奏していたのだ。
「あぁ!!たえちゃん!!」
「こんなところにいたのね」
「安心しましたよ…」
「お前ら。なんか用か?」
「たえちゃんいつの間にかいなくなってて皆で探し回ってたの」
「そうだったのか。たえには今新曲のレコーディングを手伝ってもらってるんだ」
「えぇ!?たえちゃん楽器演奏できるの!?」
「あぁ。ドラム演奏もう玄人級だ。今桜にぴったりの曲をレコーディングしてたところだ」
「え?」
竜輝さんのその言葉に私は驚いた。
「もしかしてソロ曲ってことですか?」
「あぁ。最初のころは曲を知ってる俺のソロ曲ばっかだったけどこれからはメンバーそれぞれにあったソロ曲を出していこうと思う」
「いいわねそれ」
「これが歌詞だ。ちょっと練習したら一度通して見よう」
「できるかなぁ?」
「大丈夫さ。お前ならできる」
「…。うん!!やってみる!!!」
それから数日。皆とのダンスレッスンの合間を縫って自身初のソロ曲の歌詞を覚えた。
竜輝さんもたえちゃんと一緒に曲を完成させたようで一度通すことになった。
「それじゃぁ行くぞ」
「うん!!」
竜輝さんがレコーディングした曲を再生した。
「未来のわたしにはどんな色が似合う?
カラフルにきめて一緒に食べよワン・ツー・スリー
夜空の流れ星 願いをさがすけど迷ってるうちに どこかへ消えてくの
でもね やっと見つけたんだ本当のわたしが胸につむじ風を起こす
ドリドリドリームパワー!DreamDream(ドリドリ)パワー!!わたしたち=奇跡のチカラ
ドリームパワー!DreamDream(ドリドリ)パワー!!夢見たときから始まるの
笑顔だって涙だって 明日にデコレーション!サンキュ!キミとふたり
進め!あたらしい「大好き」を追いかけて!!」
歌詞を始めてみた時まるで私のことを描いているかのような気分だった。自分が生前何者で何をしていたのかも分からない。それでも、アイドルが好きという気持ちだけは本当だと確信して今こうして歌っている。
「女の子は何で出来てるの?知ってる??無敵のほほ笑み+無限のときめきかな
「知りたい」の中とか「くだらない」のとなりに愛と宝石は隠れてるみたい
今日もドキドキがいっぱいまたつぎの楽しいこと キミと探しに行こう
ドリドリドリームパワー!DreamDream(ドリドリ)パワー!!わたしたち諦めないよ
ドリームパワー!DreamDream(ドリドリ)パワー!!夢中になって無茶しよう
だから 不安なんて加速Gで吹き飛ばしてしまえオーイエス!キミがいれば
いそげ!信じあうきもち 味方につけて」
アイドルを始めて。うまくいかないことも多かった。何も知らず周りともかみ合わずトラブルの連続。でも、お客さんの楽しんでいる姿を見たいから諦めずに頑張れた。
「期待はずれな毎日だって 自由度100%で塗り替えていけるんだ広いこの世界で キミとめぐり逢えた言葉よりもっと強く結ばれている一人よりふたり」
こんなところで終われない。自分が誰なのかは今も分からない。でも、こんなところで終わりたくないのは確かだから。
「ドリドリドリームパワー!DreamDream(ドリドリ)パワー!!わたしたち=奇跡のチカラ
ドリームパワー!DreamDream(ドリドリ)パワー!!夢見たときから始まるの
笑顔だって涙だって 明日にデコレーション!
サンキュ!キミとふたり進め!あたらしい「大好き」を追いかけて」
心の丈を歌にのせて歌いきった。
息も絶え絶えで周りを見ると皆が驚いている顔をしていた。
「凄いじゃない!!」
「素晴らしい歌でありんした」