「最強の格闘者はありふれた職業になっても世界最強」   作:武藤 桜

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第十四話「ハジメの手紙と勇者の再始動」

ハジメと香織が奈落の底に落ちた後、残されたクラスメイト達は騎士団の力もあって何と

か迷宮を脱出できた。

 

二人の訃報はすぐに王宮内に知れ渡ったが、国の重鎮達は全員。

 

『あのような異質な存在が勇者の替わりに死んで良かった』

『治癒師を失うのは痛手だがあの怪物と仲が良かったあたりもしもほおっておけば第二の怪物になってたかもしれないと考えると死んで良かった』

 

などと、あまりにもひどすぎる発言を繰り返し、天乃河や畑山先生の怒りの声で考えや発言を改めると言い謝罪もした。本気で悪かったとは誰も思ってはいなかったが…。

 

「皆さん…。これを読んでください」

 

「愛ちゃん先生。この手紙は?」

 

「南雲君が皆が迷宮から帰ってきたら渡してほしいと私に預けていたものです」

 

「南雲が!?」

 

「彼のことを思うならしっかりと読んであげてください…」

 

それぞれが自身の部屋に戻り手紙を開けた。

 

『園部へ

これを読んでいるなら生きて帰ってこれたのだろう。そして、俺はその場にはいないのだろう。俺は実は迷宮に入る前から万が一の事態が起きるのではと考えてこの手紙を残すことにした。

俺からお前たち全員に残せる言葉は少し限られてるがこれだけは伝えたいと思う。

「諦めるな!!」

きっとこの世界の神はちょっとやそっとのことで俺らを家に帰しちゃくれないだろう。

だから、自分のやり方でもいいから抗ってくれ。

神にすがったって神はお前らの願いを一つ一つ叶えてはくれないし、与えられることにならればただの操り人形になる。

自分の意志で決め、自分の歩みで力で未来を掴んでくれ。

皆のこれからが自由な意思の名のもとにあらんことを切に願う

                                  南雲より』

 

『天乃河へ

これを読んでいるなら生きて帰ってこれたのだろう。そして、俺はその場にはいないのだろう。俺は実は迷宮に入る前から万が一の事態が起きるのではと考えてこの手紙を残すことにした。

俺からお前たち全員に残せる言葉は少し限られてるがこれだけは伝えたいと思う。

「迷い悩め!!」

人は何時だって自分の中にある正義を背負って戦うがそれが他人にとっての悪かもしれない。それを忘れるな!!この世は十人十色。人の数だけ正義も正しさも存在する。だから、時には立ち止まって自分が掲げる正しさが間違ってるのか?と問いかけてくれ。

皆のこれからが自由な意思の名のもとにあらんことを切に願う

                                  南雲より』

 

「八重樫へ

これを読んでいるなら生きて帰ってこれたのだろう。そして、俺はその場にはいないのだろう。俺は実は迷宮に入る前から万が一の事態が起きるのではと考えてこの手紙を残すことにした。

俺からお前たち全員に残せる言葉は少し限られてるがこれだけは伝えたいと思う。

「皆を頼む!!」

お前は何時も人一倍みんなのことを見ているし、理解して支えようと努力してきた。だから、俺がいない分お前が皆を支えてくれ。生き残るために何時か一線を越えなくちゃいけない時が必ず来るかもしれない。でも、この世界に来て自身の欲に溺れて一線を越えようとする奴も現れるかもしれない。だから、そうならないように皆を導いてくれ。

皆のこれからが自由な意思の名のもとにあらんことを切に願う

                                  南雲より』

 

「清水へ

これを読んでいるなら生きて帰ってこれたのだろう。そして、俺はその場にはいないのだろう。俺は実は迷宮に入る前から万が一の事態が起きるのではと考えてこの手紙を残すことにした。

俺からお前たち全員に残せる言葉は少し限られてるがこれだけは伝えたいと思う。

「仲間を頼れ!!」

お前はきっとこの世界に来て一番大はしゃぎしてたと思う。世界を救ってみたいと誰よりも特別な存在になりたいと。そんな当たり前に持ちそうな感情を持つのはいいことだと思う。でも、そのためのやり方を考え続けてくれ。追いつけないからと言ってなりふり構わずにやるのは間違ってる。だから、仲間を頼ってくれ。仲間と一緒に悩め、何もかも自分一人で抱え込まないでくれ。仲間を信じて一緒に特別な存在を目指してくれ。

皆のこれからが自由な意思の名のもとにあらんことを切に願う

                                  南雲より』

 

そこに書かれていたのは皆のこれからを案じてハジメが通った激励と励ましの言葉だった。

突然来た異世界という環境にまだまだ学ぶことの多い子供に対してどうか自身の欲に溺れて外道になってほしくないという拙な思いだった。

 

「メルドさん!もう一度稽古をつけてください!!今度こそ、俺は全員を守れる存在になりたいんだ!!!」

 

「分かった。あいつが命がけで守ったお前らを今度は誰も死なせない。何が何でも絶対に生きてこの戦争に勝つぞ!!!」

 

「おお!!!」

 

ハジメが残した手紙は少なからず多くの人の運命を変え始めていた。だが、同時に運命が大きく変わろうとする者も現れるのだった。

 

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