青の巨人   作:凛九郎

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都市部では天気が悪い日が多いみたいですね、野菜とか高くなるんだろうな…きっと。


晩餐会に幽霊現る

綾川邸の晩餐会は正しく豪華絢爛を絵に描いたような贅の限りを尽くした催しとなっていた。

ざっと100人は超えるであろう参加者の中にはBURKの隊員達も含まれている様だったが、各々タキシードやドレスに身を包んでいるせいか気品ある紳士淑女にしか見えない。拓海はただ晩餐会の光景に目を白黒させながら黙ってテーブルの見た事もないような料理を見よう見まねのテーブルマナーでちまちまと食べることしか出来なかった。

 

「君はお嬢様のご友人かな?」

 

武骨な男が拓海に声をかけて来る。拓海は自分の名前を名乗り、最近仲良くなったばかりではございますが大変恐縮ながら参加させていただいておりますと食べる手を止めて応じた。武骨な男はその見た目通り豪快に拓海の肩をバシバシと叩き、そんな固まらなくても良いんだぞ。何もとって食べようってわけじゃないんだからとこれまた見た目通りの大声で笑い飛ばした。

 

「弘原海隊長、初対面の相手にそんな…。距離感を少しは考えて下さい。」

 

女性が武骨な男、弘原海を冷めた目で一瞥し嗜める。そのキリリとした眼差しと背中に定規でも入っているかのように伸び切った背筋。何事にも妥協を許さない精神性が所在に集約されて微かに肩が透けるデザインのグレーのレディドレスも華やかな晩餐会において異彩を放っておりその姿にはある気高さや気品が滲み出ている。

 

まあ堅い事をそう言うな、駒門隊員。晩餐会で何も話さないのはかえって無作法なんじゃないか。黙って飯を食べるのは恵方巻きと通夜だけって相場が決まってるんだ。そう言って笑う弘原海に冷めた目をした女、駒門はやれやれと言った調子で小さくため息をつきそれ以上の言及を避け拓海に話を向ける。

 

「すまない、我々の隊長はいかんせん豪胆が行き過ぎていてね。気にしないでくれ。」

 

「いえいえ、そんな謝られるような話じゃありませんから。」

 

「ところで水瀬さんは梨々子お嬢様とはどの様なキッカケで知り合れたんです?」

 

まさか路地裏で濡れて倒れていたところを助けられましたと正直に話すわけにもいかず、拓海は困っているところを綾川と尾瀬の2人組に助けてもらったんだとぼかして答えることが精一杯だった。駒門はお嬢様は優しい方ですからね、人が良すぎるし美貌もある。悪い虫が湧いて来ないか我々BURKも心配になるくらいですよと拓海から一度も目を逸らさずに答えた。拓海は察した。今自分が全力で釘を刺されているのだと。駒門は拓海をまだ牽制するつもりなのか怪獣が地球に多く飛来する前は綾川の学校行事に潜入し動向を見守っていたエピソードを語り出した。綾川が語った内容の焼き増しに近かったが、地球防衛を生業としているせいかよりその時の危機迫る情景を臨場感たっぷりに語ってくれた。

 

「ーーーーこの様にウルトラ記念博物館で同行調査していた時に現れたのがウルトラマンカイナ、彼との出会いは我々BURKにとって大きなターニングポイントとなりました。これにより我々は梨々子お嬢様を守るだけでなく地球における異星人や怪獣のトラブルに対処するという本来の目的に立ち返ったという訳です。」

 

「な、なるほど…。」

 

(BURKが後ろについてるからくれぐれも綾川さんに悪さするなみたいな話されてるのか…これ?)

 

拓海は回答に困り、気まずさを押し流す様にグラスに入ったノンアルコールワインを流し込み心に決めた。余計なことを言わないでこの場はニコニコして居ようと。弘原海はそれを見ておかわりを貰ってくるとボーイを呼びに席を立った。そして自然に拓海の席の背後に周りそっと耳打ちした。

 

「まだお嬢様やそのご友人が来るまで少し時間がある、あちらで少し話さないか?」

 

もしかしたら拓海の居心地の悪さを感じ取ったのかもしれない。拓海は有り難さと感情を気取られてしまうほどの自分の取り繕えなさを少し恥じながら少しお手洗いにと駒門に伝えそっと席を立ち駒門の視界から外れた会場の端でおちあった。

 

「すまないな、駒門は生真面目で頼り甲斐のある奴なんだが、最近いかんせん不可解な事件が続いているせいか気が立っていてな。無意識のうちに君にぶつけてしまったのかもしれん。」

 

「いえいえ、そんな…謝らないで下さい。オレの方こそ気まずい雰囲気にさせてしまってすいません。」

 

「ハハハ、初対面であんなお堅い話だけをされたら誰でもそうなる。それに水瀬君、君はああいうタイプの女性苦手だろう?」

 

「……そんなに分かりやすかったですか?」

 

「伊達に隊長してる訳じゃない。戦闘機操縦だけじゃなく部下の言動や顔色を見るのも俺の仕事の一つなんだ。」

 

「何だか説教されてるみたいな気持ちになっちゃうんですよね、とうとうと突き詰められる感じというか…そういう人苦手で。」

 

「君は繊細だな。言われている事実よりもそれに至る相手の感情にフォーカスするタイプか。BURKにはあまりいないタイプかもしれん。感情に突き動かされ過ぎると判断を誤る。我々にそれはあってはならないことだからな。」

 

「だがな水瀬君。逆に言えば我々は君の様に考え動くことは出来ない。我々に出来ない何かが君になら考え実行出来るかもしれない。」

 

「そういう…ものでしょうか。イマイチ話が大き過ぎてピンと来ないというか…。」

 

「ハハハ、すまんすまん!俺も駒門隊員のことを悪く言えんな。ただ水瀬君。自分を信じ成長しなさい。俺は君ならそれが出来る。初対面で何をと思うかもしれないが、案外俺の勘はよく当たるんだよ。」

 

弘原海は先ほどの豪胆な声をあげての笑顔てまはなく慈しみを持って見守っている様な微笑を浮かべていた。拓海は思ったこの人徳がBURK日本支部が団結することができている一因なのだと。

 

席に戻った2人を待っていたのは駒門の少し怪訝な視線だった。なかなか戻って来ない2人に少し不満を募らせていたのかもしれない。

 

「隊長、水瀬くん。2人とも遅いです。もうお嬢様達席に着いてますよ。」

 

「ハハハ、悪い悪い。何せ水瀬くんと男同士腹割って話していたからな。そういう駒門達は何を話していたんだ?」

 

「……守秘義務がありますので。」

 

駒門は少し頬を赤らめながら下を向く。弘原海は不思議そうに彼女の顔を何秒か見つめた後尾瀬に一体何があったんだと小声で尋ねた。尾瀬はジト目で弘原海を向けてただ一言、朴念仁と言い放った。

 

「梨々子も駒門さんも男の趣味どうなってんのよ…あたしには良さがさっぱり分かんないわね。」

 

尾瀬のつぶやきは晩餐会の喧騒にかき消されていった。

 

ーーーーーー

 

晩餐会が始まって30分ほど経った頃、ドタドタと会場に駆け込んで来た男が1人。風祭弓弦である。BURKでのデスクワークになかなかケリがつかず参加が遅れてしまったのだ。会場を親を探す迷子の様にキョロキョロと視線を彷徨わせていると風祭君こっちこっちと呼ぶ声が聞こえた。声の方に身体を向けると薄ピンク色のドレスを着た女性。綾川梨々子が手招きをしているのが見えた。弓弦はホッとした顔をしながら綾川の右隣の席に座る。昔から武芸を父親から叩き込まれ野山を走り回っていた自分からすればデスクワークもこういった社交場も性に合わない体がムズムズする。

 

『ムズムズしてるのは梨々子が隣にいるからだろ!いいないいなっ!最高だなぁ!青春大爆発だぜっ!』

 

(余計なお世話だっ!)

 

脳内で変な発破をかけてくるカイナを一喝しながら弓弦は円卓に座るメンバーに目を配る。

同級生の綾川に尾瀬、弘原海隊長に自分へのお目付役でもある駒門さん。晩餐会の度に一緒になるいつものメンバーだ。ただ今回は少し違う。見慣れない人が2人組の男女が座っている。年はあまり変わらないかもしかしたら同い年かもしれない。メイビーブルーのドレスを着た月島と名乗った女の子は人見知りも物怖じもしないタイプなのか快活に話しながら器用にテーブルのメンバーに話を振っている。もしかしたらBURKのどこかの支部に属している通信オペレーターなのかもしれない。

 

反対に水瀬と名乗った男子はニコニコとして頷きや相槌は打つが月島にせっつかれて話すことがほとんどで自ら前に出て話すタイプではない様だ。この男もBURKのメンバーなのだろうかそれとも晩餐会に招かれたただの参加者なのか。

 

「ねぇ、風祭君聞いてる?」

 

「へっ?なにが?」

 

綾川に話しかけれた弓弦は腑抜けた声で返事を返す。尾瀬が身につけているカラッとしたレモン色のドレスに似合わない湿っぽい視線をハアーとため息を深く吐きながら飛ばしてくる。

 

「アンタ梨々子の話聞かずに他の女の子に目移り?罪な男だねー。」

 

「違うって!そんなんなんじゃないから!変なこと言うなよ。」

 

「智花、風祭君の事そんなにからかわないでよ。それで風祭君が今1番会いたい人って誰?」

 

んーと腕組みをして悩んだふりをしながら右隣にいる尾瀬に目線で救難信号を送る。尾瀬は湿っぽい視線をより湿っぽくしながら小声で経緯を説明してくれた。弓弦に悪態をつく事はままあれどなんだかんだ面倒見の良い頼り甲斐のある奴なのだ。

 

「月島さんが今1番会いたい人とかやりたいことは何かって皆んなに聞いて回ってるって流れよ。本当いつから聞いてなかったの。」

 

「ハハハ…いつからだろ。」

 

「アンタねぇ…これ貸し一つだから。何か後で奢りね。」

 

弓弦は知っている。こんな風に悪態をつく事はままあれどなんだかんだ面倒見の良い頼り甲斐のある奴なのだ。だから学生生活が終わっても尾瀬とは友人でい続けられるんだと思う。

 

「へいへい、分かりましたよ智花お嬢様。」 

 

「ちょっと風祭君、智花。何コソコソ言ってるの?て言うか風祭くん月島さんからの質問に答えてないし。」

 

「そうだな、オレはいない…かな。」

 

「うわー引っ張って引っ張ってそれ?」

 

尾瀬の悪態を無視しながら弓弦は続ける。

 

「オレ幸せ者だと思うんだ。何も失ってないし、何も欲しいと思えない。今ここにいる人たちが全部満たしてくれてる。」

 

(そうだよな!梨々子がいればもう何も要らねえって感じだよな!恋はスペシャルなパワーだぜユズルっ!)

 

カイナの言葉も無視しながらユズルはカイナとは後で脳内で口喧嘩してやることに決めた。

 

「仲間がいて友達がいて…誰とは言えないけど好きな人だっている。これ以上今は何も要らないし欲しくないかな。」

 

「風祭くん…」

 

綾川のトキメキが混じった視線に弓弦は全く気付いていない。それを尾瀬はどこか遠くの方を眺めるような目で見守っている。

 

「そういう月島さんは誰かに会いたいの?それとも何かやりたいことがあるのかな?」

 

弘原海が月島に問いかける。その顔は酒に酔っているせいかやや紅潮していてまるでお祭りの飾り提灯の様だ。隣に座る駒門がボーイに水の入ったピッチャーの手配をしている。抜け目のないブレーキ役だ。

 

「何というか会いたい様な会いたくないようなそんな感じなんです。会ったら色々思い出しちゃう事もあるんですけど…それでも伝えたい気持ちもあるというか…。」

 

「なるほどな。つまり会いたい人も会って伝えたい事もあるけど、葛藤というか悩みがあるわけか。」

 

弘原海は訳知り顔してウンウンと頷いている。酒を飲むと愚痴聞きおじさんと化すことを知っている弓弦は弘原海隊長相当呑みまくったんだなと内心苦笑した。

 

「そういう事なら簡単だ。あったその時の気持ちを大切にすればいい。その時に伝えたい気持ち言葉、それが答えさ。」

 

「わー!弘原海さんカッコいい!」

 

ややキザっぽい弘原海の言葉に月島が黄色い声を出す。からかっている訳でもただテキトーにあしらうでもなく上手く場を盛り上げている、所謂陽キャと言われる人種なのだろう。

 

「そうだろうそうだろう!おじさんも伊達に歳取ってないからなー。まだまだ青春出来ちゃうかな、なんちゃって。」

 

「弘原海隊長飲み過ぎ、絡み過ぎです。それにもう晩餐会もお開きになる時間みたいですよ。」

 

弘原海に言葉の冷や水を浴びせかけられた弘原海はバツが悪そうな顔をしてシュンと肩を落としている。

 

「あら、名残惜しいですね。まだまだ話していたいのに。」

 

「あっ、そうだ!折角だから写真撮りましょ!」

 

残念がる綾川に月島が椅子の背もたれに掛けてあった鞄の中からポラロイドカメラを取り出して見せる。今時ポラロイドカメラを持ち歩く人間がいることに少なからず弓弦は驚いた。物怖じのしなさと言い持ち物のセンスと良い、どうやら独特の世界観の中で生きているタイプらしい。

 

そしてあれよあれよという間に集合写真を撮る運びになり同じテーブルを囲んだメンバーは前後2列に並び、近くにいたボーイに撮影を依頼しメンバーおもいおもいのポーズをとり写真に収まった。問題が起こったのはそれから15分後、ポラロイドカメラが現像した写真を見た駒門は甲高い悲鳴に近い声を出して床にへたり込んだ。弓弦たちはそのあまりの声に驚き集まり集合写真を見ると『何か』が写り込んでいる。

それは水色の長髪にあやめ色の瞳をした白いワンピースを着た少女が水瀬の足下に立ち満面の笑みでピースサインを決めている姿だった。

 

「これって、心霊写真って奴?うわー最悪だ夢に出て来そう。梨々子アンタ夜1人で寝れそう?」

 

「ば、ば、バカにしないでよ智花!アイマスクしてベットにお札とお清めの塩置いて念仏唱えて寝るもん!寝れるもん!」

 

「うわぁ、寝れなさそー。寝れなかったら電話かけてきなよ、寝るまで付き合ってあげるから。」

 

「智花…!」

 

「よっ!智花ちゃん男前〜。」

 

「月島さんは平気なんですの…?」

 

「えっ、可愛い女の子が写ってるだけでしょ?落武者とかじゃなくて良かったなーって思うくらいかなぁ。」

 

「小夜、アンタの方がよっぽど男前よ。」

 

女性陣は約1名を除き不気味がり特に駒門は腰が抜けたらしく尾瀬と月島に支えられながら何とか立ち上がった有り様だった。男性陣は三者三様で弘原海は笑いながらどこからかくすねたのかワインをグラスに注ぎ飲んでいるし、水瀬は何故かどこか引き攣った笑みを浮かべながら青筋を立てている。どの様な感情がそんな表情にさせるのだろう。弓弦は水瀬に対しての評価を少し改めた。彼もまた独特の世界観があるらしい。かく言う弓弦はウルトラマンとして越えてきた鉄火場に比べればこれくらいの出来事大したことないなと平然と写真を眺めていた。

 

「今時幽霊もピースサインとかするんだ。」

 

「風祭、アンタやっぱなんかズレてるって。」

 

尾瀬の容赦ない言葉に弓弦は頭を掻いて苦笑いを浮かべた。

 

ーーーーーー

 

(ヴァルナーーーーー!!アンタ一体何やってんだぁぁぁ!!)

 

(いやー我ながら素晴らしいプロポーションじゃ。惚れ惚れするのう。)

 

拓海の激昂は自惚れきっているヴァルナには届いていない。

 

(無視すんな!ここにはBURKの隊員達もいるんだぞ!変に怪しまれる行動とったら最悪捕まるんだよ!そんなことになったら何させるか分からないんだぞ、軽率な事はするな!)

 

(……だって折角実体を持って過ごせる世界にいるのじゃ。証が欲しかったのじゃ。人間達と同じ場所で過ごした証が。)

 

急にしおらしくなるヴァルナに少し言い過ぎだと後悔し怒りをトーンダウンさせた。

 

(……気持ちは分からなくはないけど、今じゃないだろ。しゃんとしてくれよ女神様。)

 

ヴァルナはポツリとすまぬと言ったきり拓海の脳内に語りかけてくるのをやめた。彼女なりに反省している様だ。しばらくはそっとしておいた方が良いかもしれない。

 

「今日はありがとうございます、いい気分転換になりましたか水瀬さん。」

 

綾川が声をかけてくる。水瀬はええ、おかげさまで貴重な体験をさせていただきましたと答えると綾川は満足そうに微笑んだ。その様子を見て弓弦が会話に入ってくる。

 

「何だ綾川の知り合いだったのか。来たらいきなり君ともう1人の娘…月島さんだっけ?その2人がいてびっくりしたよ。」

 

「ごくごく最近お知り合いになったばかりで、驚かせてしまったならすいません。」

 

「謝ることなんてないさ。それに見た感じ俺と歳あまり変わらないだろ?敬語抜きで話そうよ。綾川も尾瀬も月島さんとタメ口で話してたし。」

 

弓弦の屈託の無い笑顔に拓海も気を許し右手を差し出す。

 

「オレはただの大学生一年生の水瀬拓海、よろしく。」

 

「18か19ってことはマジで同学年か同い年だな。BURKってほとんどが年上だからなかなか同年代が居なくてね、こんな風に話せて嬉しいよ。俺は風祭弓弦、BURKの隊員だ。よろしく。」

 

2人はガッチリと握手を交わす。その瞬間お互いがお互いに今まで感じたことのない不思議な感覚を覚えた。

 

(何だこの風祭って人…触れた瞬間にまるでずっと戦場に身を置いていた様な緊迫感が伝わってきた。彼がBURKの隊員だからなのか?)

 

(水瀬拓海、自分の世界観を持っているとは思っていたけどまるで海に漂う波みたいな感情の揺れ動きを感じる。本当にただの大学生なのか?)

 

「風祭君、オレ達は良い友達になれそうな気がするよ。」

 

「奇遇だな、俺もそう思ってたんだ。」

 

2人がそう微笑み合ったその時、ドゴーンと大きな地鳴りがあったかと思うと綾川邸の照明が落ちる。何事かと晩餐会の参加者が狼狽え始めると綾川邸の外からギャオーーーーーーと耳をつんざくいやに甲高い咆哮が聞こえて来た。

参加者達が綾川邸の窓から外の様子を伺うと40m近くありそうなミイラを模した怪人が街を我が物顔で跋扈していた。

BURK隊員達はすぐに各所に連絡を取り臨戦体制へと移行し始める。それは弓弦も例外ではない。

 

「綾川さん!他の参加者をシェルターに誘導してくれ!俺は弘原海隊長達と現場向かう!」

 

「分かったわ風祭君!こっちは任せて!」

 

その言葉を聞いた弓弦はサムズアップのポーズをとり頷くと全速力で綾川邸から駆け出して行く。常在戦場の血が今激っているに違いない。

 

「これよりわたし達は地下シェルターに避難します。しっかりついて来てください。」

 

「シェルター!?」

 

「梨々子の家スーパー金持ちだから、地下にめちゃくちゃ大きいシェルター持ってるの。それも東京ドームレベル」

 

シェルターという言葉の響きに驚く月島に尾瀬が冷静に言葉を返す。拓海は内心でそれはもはや隔離施設じゃないかとツッコミを入れる。綾川邸の面々の迅速な誘導の下で拓海達のシェルターへの避難が始まろうとしていた時、パチンと指が鳴る音がした。拓海はその音に思わず振り向くと、そこには白いコートに黒のシルクハットを被った男…ロクノスが立っていた。

拓海は目を見開いた。ロクノスが現れたことに驚いているだけではない。今、目の前で起こっている出来事が信じられなかったのだ。タクミとロクノス以外の誰もが動きを止めている。まるでビデオの一時停止ボタンを押されているかの様に。

 

「ああ、ゴメンゴメン驚かせちゃったね。ボク時間止められたり空間操れちゃったりするからさ。これくらい朝飯前なんだよね。」

 

「まぁだからキミとキミの友達もこの世界に連れて来れちゃった訳なんだけどさ。」

 

「お前の目的は一体なんだ?何者なんだお前は!?」

 

「質問が多い子だなぁ。まぁ答えてあげるよ。時間を止めてるおかげでどれだけでも答えてあげられちゃうね。まぁ、ボクそんな暇じゃないんだけどさ。」

 

不快感を隠さない拓海に余裕綽々と言った表情のロクノス。目を細め上がりきった口角は不気味な道化師を想起させる。

 

「ボクの名前はロクノス。時間と空間を司る神。目的はウルトラマンカイナを倒すこと。」

 

「地球を滅ぼしたいってことか?」

 

「違う違う、ボクをそんな極悪非道な怪獣共と一緒にしないでよ。これはボクなりの挑戦なんだよ。ウルトラマンと戦って勝つっていうね。」

 

「けどボク1人だと厳しいと思ってキミを呼んだのさ。ウルトラマンに近しい力を持つキミをね。」

 

「じゃあオレはただの当て馬としてここに飛ばされたって言うのか!?」

 

「まぁ、有り体を言えばそうなるね。ボクサイドの助っ人ってところかな。」

 

そんな神の挑戦とやらに巻き込まれて異世界に連れて来られるなんて何で馬鹿げた話だろう。拓海はふざけるなと怒りを露わにしロクノスに掴みかかろうとするが次の瞬間には拓海の背後に瞬間移動され反抗は不発に終わってしまった。

 

「そうだ!もしウルトラマンカイナに勝てたらキミもキミの友達も元の世界に返してあげるよ。あっ、言っとくけど拒否権はないよ?」

 

「じゃあ頑張って!何事も挑戦だよー若者よレッツチャレンジ!」

 

そう言うとロクノスはまた指をパチンと鳴らすと姿を消した。それを合図にするかの様に再び周りの人々が動き始める。拓海はただ再び立ち尽くす事しか出来なかった。

 

ーーーーーー

BURK隊員が東奔西走している中で弓弦は1人人通りのない廃ビルの中に駆け込んだ。理由はもちろんウルトラマンとしてこの悪しき怪人を叩きのめす為である。

 

『見たことない怪人だ、昼間の奴と言いこのミイラ野郎といい。最近どーなってんだ。』

 

「どんな相手でも俺たちは戦う!それがウルトラマン…だろ?相棒。」

 

『ああ、もちろんだぜユズル。オレ達2人なら勝てない相手なんていないぜ!丸一年戦い詰めて繋いだ絆見せてやる!』

 

「いくぜ、カイナァァァァ!!」

 

弓弦はジャケットの内ポケットから変身道具のカイナブラスターを取り出しカイナカプセルを装填し空を射抜く。赤白い閃光が夜に瞬いたかと思うとドガーンという大きな地鳴り共にウルトラマンカイナが姿を現した。

 

カイナの出現を逃げ惑う雑踏に紛れて眺めていたロクノスは不敵な微笑みを浮かべる。その微笑みには少なからず自分の計画通りに進んでいるという満足感が滲み出ている。

 

「さぁ、ウルトラマンカイナ第二ラウンドの始まりだよ。青の巨人がどう動くか…どっちに転んでもなかなかに楽しめそうだね。」




ぷよぷよはスポーツである事を名古屋のアジア大会のニュースで知りました。Eスポーツって言うんですね。(無知)
私はRPGやシュミレーションゲームが好きです。皆様はどの様なゲームがお好きでしょうか。コメントで教えていただければ嬉しいです。
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