乙女ゲー世界というよりチートなし異世界転生が厳しいのかもしれない   作:乙女ゲーはやったことない

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1話

 俺は一切太陽の光が届かないダンジョン内を現在探索している。普通のダンジョンは壁面が淡く光り、光源を持ち歩かずともいいらしいがこのダンジョンは違う。なぜかはわからない。だがその不気味さがこのダンジョンが特別なものなのではないかと俺に期待させる。足場は悪く視界も悪い。装備は貧弱なのにモンスターまで出てくる。まあ、俺でも倒せるくらいだからそこまで強くないのだろうが……

 

 グルルルゥ

 

 モンスターか!

 

 俺は使いすぎて刃の潰れたほぼ鈍器の剣を構える。魔法を起動し、身体能力を強化する。一気に魔物に近づきその頭部を破壊した。

 

「ふう、今回はうまくいった……」

 

 いつまでこんな綱渡りみたいなことをしないといけないんだろう。

 あのクソどもしっかりしてたら……そうあのクソどもが!!!

 

 ◇◇◇

 

 俺が転生しているのに気づいたのは、5歳くらいの時だった。名前はウィリアム・フォウ・セレスディア。辺境男爵家の三男に生まれた。俺はそこで使用人としてこき使われていた。ん?どうして貴族の子供なのに使用人をしているんだって?家に金がないからだよ! 両親は仕事を文官に任せて遊んでばっかりだし、借金は作ってくるし、兄と姉たちも気に入らないことがあると暴力をふるうし、最悪の家だ。長男と長女は借金をしているらしいし、絶対いつか取り潰される。はやく家を出ていかないと俺まで共倒れだ。

 

「5歳で出ていったら野垂れ死ぬだろうから今は出ていけないけど……」

 

 勉強をして出ていったときちゃんと働けるようにしなければならない。夜勉強するせいでさらに疲労がたまるけど……

 

 ◇◇◇

 

 10歳になった。そろそろ家から脱出する。体力もついてきたし、何とかやっていけるはずだ。

 今は夜。使用人はほぼいないため、警備はざる。簡単に出ていけるはずだ。俺は2階の窓から庭に飛び降りる。魔法で強化すればこれくらいはできる。必要最低限のものをもって音を立てないように敷地の外へ歩く。足音が気にならないくらい離れてから俺は町の方へ走り出した。

 

(自由だ! ここからだ! ここから俺の第二の人生が始まるんだ!)

 

 ◇◇◇

 

 よく考えたら、普通に連れ戻されるくね? そこまで広い島じゃないから、簡単に見つけられるだろうし……やばいちゃんと寝て頭が働くようになってきたら俺の詰み具合浮き彫りになってきた。

 

「おい! ウィル! さぼってんじゃねぇ!」

 

「はい! すんません!」

 

 俺はなんとか仕事を見つけて苦しくも今までと比べれば天国のような暮らしをしていた。ちゃんと飯は食えるし、少ないながらも給金ももらえる。

 

 よしこのまま金をためてほかの領地を行こう。あいつらもそこまでしたらさすがに追ってこないだろ。……追ってこないよね?

 

 ◇◇◇

 

 俺は無事金をため終わり現在港に来ている。屋敷から逃げ出してから特に何も起こらずびっくりするぐらいうまくいっている。

 

 金を払い船へ移動する。前の人にならい、ぞろぞろと歩いていっていたら、

 

「待て」

 

 なぜか俺だけ止められた。俺を止めた男は俺をじろじろ見て

 

「お前ウィリアムだろ」

 

「っ!!」

 

「その反応、やっぱりな」

 

「違いますけど」

 

「そっからごまかせるわけねぇだろ」

 

 ですよね。

 俺はそいつに引っ張られて狭い部屋に移動させられた。

 

「じゃあ、有り金全部出せ」

 

「はあ! なんでだよ!」

 

「なんでって。お前のした借金だろ」

 

 男はにやにやしながら俺に向かって手を出す。

 

「俺は借金なん、まさか!」

 

 クソ親父! 俺の名義で借金しやがった! 接触してこなかったのはだからか! クソ! 余計なところで頭が回るやつだ!

 

 10歳が大人に勝てるはずもなく、有り金をむしり取られて俺は放り出された。

 

 ◇◇◇

 

 それから俺はなるべく森の中で暮らすようになった。金はすぐ使い、借金取りがとるものをなくす。わざわざ探しに来ても簡単に見つからないように定住しない。俺はそうやって領地の未開の地をふらふらしながら生活していた。

 

 そして11歳の時、俺はダンジョンを発見した。

 

 発見したときはただの洞窟だと思ったがとんでもなく奥が深くモンスターまで出てくる。これはダンジョンだとほぼ確信した。

 

 この時俺は少しおかしかった。疲労とストレスのせいだろう。なぜか俺はこの特殊なダンジョンの奥にとんでもない財宝かロストアイテムが眠っていると確信した。

 

 暇さえあればダンジョンに潜った。潜っているうちに自分の考えのおかしな点に気づいたが引き下がれなかった。このままでは自分の人生は借金を返すだけの人生になってしまう。もしくはババアの後夫にでもなってこき使われて過労死だろうか。とにかくどこかで一発逆転するしかなかった。

 

 俺は余裕が出たらダンジョンに潜る生活を続けた。毎日は潜れない。もともとギリギリの生活だ。本来はダンジョンに潜る余裕などない。だがそこは命を削る思いで頑張った。

 そうやってぼろぼろになりながら少しずつ少しずつダンジョンを攻略していった。

 

 ◇◇◇

 

 俺は15歳になり冒険者登録をした。この世界の冒険者は意外にも地位が高いらしく、見つけた財宝やロストアイテムの所有が保証されているらしい。

 

 15歳になる前に財宝とか見つけちゃったら隠さないとな、なんて浮かれてたこともあったが、あれは全く以て意味のない思考だったらしい。

 

「よし、今日も行くか」

 

 その日はなんでもない日だった。ダンジョンの終わりが見えてきたとかそういうのは全くなかった。終わりは突然やってきた。

 

 そこには鎧があった。大きさは現在王国で主流のものよりも大きく、色は黒。表面は土埃がついていたがとくに劣化しているようには見えなかった。関節部からは筋肉組織のようなものが見えた。生体組織と機械部分が美しく融合したそれはまさしくロストアイテムであった。

 

「やった! 本当にあった! これがあればやっと俺は……」

 

 手を伸ばし鎧に触れる。

 

 ピピッ

 

「うお!」

 

 俺は鎧から出た転生してから久しく聞かない電子音に驚き飛びのく。

 

『旧人類の遺伝子を確認しました。マスター登録を行いますか?』

 

 旧人類? なんだそりゃ? というか触れただけで遺伝子がわかるとかすごすぎだろ。俺が戸惑っていると、

 

『私は人工知能制御式魔装、通称機械魔装です。マスター登録を行いますか?』

 

「マスター登録をしたらどうなる?」

 

『休眠状態が解除されマスターのために働くことができます』

 

「マスター登録をすれば俺の命令に従うのか?」

 

『はい。より良いプランを提案することはありますが、最終的にはマスターの命令に従います』

 

 どうする? こいつを解放するのは危ないか? だが、ダンジョンはここで終わり。こいつを手に入れなければ俺は……

 

 あまりの高性能さに数秒悩んだがここまで来て止まることはできない。

 

「マスター登録をしてくれ」

 

『了解しました。こちらに手を触れ、名前を言ってください』

 

 どこからかパネルが現れる。手のマークがあるのでそこに手を置く。

 

「ウィリアム・フォウ・セレスディアだ」

 

 そう言うと手がチクっとした。血液を採取したようだ。

 

『ウィリアム・フォウ・セレスディアをマスターとして登録しました』

 

 機械魔装はそう言うと光りだし、

 ―――なぜか粒子となって分解されはじめた。

 

「え? ちょ、おいおいおい! お前俺のために働くんじゃなったのかよ! 何消えてってんだよ! 止まれ止まれ止まれ!」

 

 脚や頭が分解され中心に集まっていき、直径1メートルほどの黒いたまになった。カメラのレンズのようなものが形成され、

 

『私の名はラース。改めてよろしく頼む。旧人類の遺伝子を持つものよ』

 

 は?

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