乙女ゲー世界というよりチートなし異世界転生が厳しいのかもしれない   作:乙女ゲーはやったことない

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4話

「女子特有のルールか……」

 

 オリヴィアさんと初めて会ってから数日後、俺はオリヴィアさんから相談を受けていた。

 

 自分が学園に馴染めない一つの原因として平民ということ以外にも、そういうのがわかっていないというのがあるのではないかと思ったらしい。

 

「うーん……俺も女子のルール、というか貴族のルールについても詳しくないんだよな……」

 

「そうですか……」

 

 平民以下の生活だったからな。ラースを手に入れてから浮かない程度に貴族について勉強しただけだ。

 

「聞くとしたら同じ女子か先生……」

 

 女子の知り合いなんてオリヴィアさんしかいないし、

 

「よしまずは先生に聞いてみようか」

 

 ◇◇◇

 

 俺たちは一緒に職員室まで移動した。

 

「どうする? 俺が聞いてこようか? 先生もだいたい貴族だから話しにくいだろ」

 

「いえ、ウィリアムさんばっかりにお世話になるわけにはいきません。頑張って聞いてきます」

 

「そうか。わかってると思うけど男の優しそうな先生を狙えよ」

 

「わかりました。それじゃあ行ってきます」

 

 ふんと意気込んでオリヴィアさんは職員室へ入っていった。

 

 ◇◇◇

 

 数分後、オリヴィアさんが職員室から出てきた。

 

 あまり顔色が良くない。何かあったんだろうか。

 

「その……えっと……」

 

「? なんだ?」

 

 どの先生に何をされたんだ? 相手によっては俺がボコボコにしてやろう。

 

「お金を貸してください!」

 

「はい?」

 

 ◇◇◇

 

 その後オリヴィアさんの話を聞けば、アンジェリカさんに挨拶をするために高い贈り物がいるらしい。

 

 先生はむしろいい人でとても紳士的だったそうだ。

 

「そういうことなら全然いいよ」

 

「本当にありがとうございます! 必ず返しますので!」

 

「そんなに急がなくていいよ。それに王都のダンジョンは稼げるらしいから、それぐらいなら結構すぐに稼げるかもよ」

 

 なんなら返さなくてもいいんだが、多分それじゃ納得できないだろう。

 

「ダンジョン行く時は俺を誘えよ。一人は危ないからな」

 

 散々ソロダンジョンアタックを繰り返した俺がいうのもなんだけどな。まあ、実体験で危ないのがよくわかっているという見方もできるけど。

 

「いいんですか? でもそれじゃあお金を返すことにならないんじゃ……」

 

「いいんだよ。オリヴィアさんには勉強教えてもらってるし、ちょっと手伝うくらいがちょうどいい」

 

 あとオリヴィアさんめちゃくちゃいい子だから、単純に助けてあげたい。

 

 その後、オリヴィアさんはまだ納得してない感じだったけどなんとか押し切った。

 

 ◇◇◇

 

 学園に入学してから約1ヶ月たった。

 

 俺は現在リオン、ダニエル、レイモンドと中庭のベンチに座っている。授業の合間などはだいたいこの3人といる。貴族らしくないやつらなので付き合いやすい。

 

「なぁ、お茶会はどうする? やっぱり招待する相手は選ぶべきだよな?」

 

 と心配そうにダニエルが聞いてきた。5月の連休に相手がいるいないに関わらずお茶会を開かなければならない。開かないと今後の婚活に大きな支障が出るらしい。

 

 相手がいないのにどうお茶会を開けという話だが、お誘いの手紙に返事がない時もあるので、そういう女子がゲリラできた時のために用意だけはしとけということだ。

 

「実家から仕送りをして貰ったけど、そんな贅沢なお茶会は開けないんだ。僕は参加してくれそうな女子なら誰でもいいや」

 

 実家から仕送りしてもらうだけいい方だぞレイモンド。俺は完全に自腹だ。まあ、別の方法で親から金をむしり取ったが。

 

「俺も特にひどいのを除いて片っ端からかな」

 

「俺とウィルは格式高いお茶会を開かないといけないらしいぞ。冒険者として成功したからにはうんぬんかんぬんみたいな感じで」

 

「らしいな。今から憂鬱だよ」

 

 女子に大金を使わないといけないことに対してな。ラースがいるから金には困らないが心にダメージを負う。

 

 俺たちがお茶会について話していると、ユリウス殿下が取り巻きや女子たちを連れて歩いてきた。

 

「……今年は殿下や名門貴族たちがいるからハードル高いよね」

 

 ダニエルも肩を落としていた。

 

「比べられるよな。勘弁して欲しいぜ」

 

 殿下たちは顔、金、権力全てを持っている。さらに個人の能力まで高いのだから、それはもうモテモテだ。

 

 俺たちが羨ましい光景を眺めていると殿下の婚約者のアンジェリカさんがやってきた。白い肌、輝く美しい金髪、赤いパッチリとした少し鋭い眼。派手な美人さんだ。

 

 アンジェリカさんが来ると殿下に群がっていた女子たちが散っていく。

 

 アンジェリカさんが婚約者に群がる不埒者を威圧していると、金髪の小柄の女子がやってきた。

 

「殿下」

 

「ん? あぁ、マリエか。丁度良かった、お前のことを探していたんだ。こっちに来てくれないか」

 

 なんだ? やけに親しいな。殿下を1ヶ月で落とすほどマリエという女がすごいのか、殿下がロリコンなのか……

 

 アンジェリカさんの方を見れば案の定不機嫌になっている。

 

 その後話を聞いていれば殿下はマリエをお茶会へ招待したいようだ。それだけならまだいいが、マリエを含め少数しか呼ばないつもりらしい。やはりアンジェリカさんは怒る。アンジェリカさんが正しいはずだが何故か殿下が正しい流れになっている。

 

 俺が殿下たちを眺めているとレイモンドがリオンに、

 

「何をしているんだよ」

 

「いや、探している人がいるんだけど……特待生ってここにいる?」

 

「特待生? どうしてここでオリヴィアさんが出てくるんだ?」

 

「何か知ってるのか?」

 

「まあ友達かな。放課後よく一緒に勉強するんだ」

 

「放課後いつもいないと思ったら平民の女の子とイチャイチャしてたの?」

 

「イチャイチャはしてねぇよ」

 

「嘘つけ。顔が緩んでるぞ」

 

 まあ、学園の女子の態度を考えればイチャイチャ判定か。

 

 俺がダニエルとレイモンドと話している間、リオンはぶつぶつ独り言を呟きながら何やら考え事をしているようだった。

 

「ウィルはどうしてそのオリヴィアさんと一緒に勉強する仲になったんだ?」

 

 リオンが質問してくる。

 

「図書室で貴族の女の子かと思って声かけたんだよ。平民だってすぐわかったんだけど、入学してからぼっちだって聞いたらなんか可哀想で、放課後はだいたい一緒にいるんだ。あと性格良くて、おっぱい大きくて、可愛い女の子と一緒にいると癒されるっていうのもある」

 

「(ぼっちだった? 出会いイベントがあるから少なからず攻略対象と関わりを持っていると思っていたが……。まさかマリエとか言う女が全部横取りしたのか?)」

 

「気持ちはわかるけど、婚活に支障が出るよ?」

 

 レイモンドが俺に言う。

 

「いいんだよ一人ぐらい。どうせ子供をたくさん産みたくないって理由で妾も迎えるんだから」

 

 そこまで真面目に婚活してないってのもあるけどそれは言わないほうがいいだろう。

 

「え!? ウィル、主じ、オリヴィアさんと結婚するつもりなのか!?」

 

「オリヴィアさんがいいって言うならそれもいいかもな。てか何をそんなに慌ててるんだ?」

 

「(やばっ、ちょっと変だったか)い、いや、なんでもない。オリヴィアさんと、な、仲良くな……(最悪ウィルでもルクシオンを使ってお膳立てすればいけるか?)」

 

「……? まあ、リオンに言われなくても仲良くするが」

 

 こいつ今日はなんか変だな。リオンもオリヴィアさん狙ってたのか? いやそんな話こいつからもオリヴィアさんからも聞かないし違うか。まあ俺が可愛い女の子と仲がいいって聞いて動揺したんだろ。

 

 ◇◇◇

 

「どう思うルクシオン」

 

 リオンは今日あった出来事についてルクシオンの考えをきく。

 

『マリエという生徒はマスターの言う転生者なのでは。転生という現象はにわかに信じ難いですが、初めから知っていたと考えれば辻褄の合う出来事が多いです』

 

「ウィルの方はどう思う? 転生者だと思うか?』

 

『可能性はありますが、オリヴィアという女子は魅力的な方のようですから、純粋に惹かれているとしてもおかしくはありません』

 

「そうか……。問題は王家の船がウィルでも動くかどうかだな……」

 

 主人公にラスボスをなんとかしてもらえれば、ルクシオンもいることだしなんとかなるとリオンは考えていた。

 

 しかし、ゲームでは攻略対象の血筋の誰かと聖女が必要だという設定だった。特別なのは聖女ではなく主人公だったのでこの設定は雰囲気でつけられたものだという可能性もあるがそこが不安な点だった。

 

『私が調べてきましょうか?』

 

「できるのか?」

 

『ええ。私はマスターでは扱いきれないほどに高性能なので、それぐらい簡単にできますよ』

 

「いちいち腹の立つやつだな。さっさといけよ」

 

『了解しました』

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