透き通る世界のフツーな少年と妖怪達 作:nalnalnalnal
ブルアカは初投稿なので温かい目で見てもらえれば。
一応アニメ版のケータきゅんです。
キヴォトスにも妖怪がいる!
「──私のミスでした」
「私の選択、そしてそれによって招かれた全ての状況」
「結局、この結果に辿り着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……」
「……今更図々しいですが、お願いします──先生」
「きっと私の話は忘れてしまうでしょうから、それでも構いません」
「何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから……」
「ですから、大事なのは経験ではなく──選択」
「あなたにしかできない選択の数々」
「責任を負う者について、話したことがありましたね」
「あの時の私には分かりませんでしたが……今なら理解できます」
「大人としての、責任と義務。そしてその延長線上にあった、あなたの選択」
「それが意味する心延えも」
「……ですから、先生。私が信じられる大人であるあなたになら、この捻れて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……」
「そこへ繋がる選択肢は──きっと見つかるはずです」
「だから先生、どうか──」
「……んっ?」
(もう朝かぁ……それにしても、変な夢だったな)
(オレのこと大人とか言ってたよね……? 何か言葉も難しかったし)
瞼を擦って未だ眠気が残る瞳をゆっくりと開けるごく普通の少年──
それなのにあの夢と言えば、自分のことを先生だとか大人だとか言っていた。偶に難しくて意味が分からなかった言葉もあり、何かの予兆なのだろうか。最近テレビで予知夢が何とかという特集を見たせいでそう考えてしまうケータ。
(まぁいいや。あと五分だけ寝よっ……)
(──って、え?)
(どこだここ……?)
学校までの有意義な時間を過ごそうとしたケータだったが、いつものベッドが何故か比較的硬くなっているのに加え、毛布もどこにもない状況に違和感を覚えて周囲を見渡すと──
──自宅の部屋とは全く雰囲気の違う綺麗な部屋のソファに自分が寝かされていることに気がついた。
「えっちょ、どこなんだよここ!?」
「あっそうだ──ウィスパー! いる!?」
ケータが自分の毛布の上で寝ていたはずのともだち
「なんでウィスかケータくんこんな朝っぱらから……ってあら? この一晩でリフォームでもしたんでウィスか?」
「違うよ! 外見てよ外! さくらニュータウンじゃないよここ!」
「なーに言ってるんでウィスか。さくらニュータウンと言えば発展が進んでる街なんでウィスからこんな高層ビルだってあり得なくは──ってはぁぁぁぁぁぁ!?」
「やっぱりおかしいよね!? この部屋もオレん家じゃないし……妖怪のしわざ?」
「いやいやこんなことを引き起こす妖怪なんて見たことも聞いたことも──な、ないんでウィス……」
「……えっ分かんないの!?」
「だって妖怪パッドにもそんなことは……」
「もー肝心な時に役に立たないんだから!」
「なっ!? け、ケータくんだってワタクシが居なかったら何も分からない癖にー!」
ウィスパーとこんな状況下にも関わらず喧しく口喧嘩をし始める二人を尻目に、ウィスパー同様ソファの下で寝ていた赤い猫の妖怪──ジバニャンが怠そうに起き上がる。
「うるさいニャンね……もっとゆっくり寝かせろニャン。特にウィスパー」
「んだとこのジバ野郎!!」
「ねぇジバニャンは知らないの!? ここ!」
「ニャァ〜? ここってケータの家じゃ── ニャッ!?」
「ど、どこニャンここ!? 高層ビルとかめっちゃ建ってるニャン!」
「目を輝かせてる場合じゃないでしょうがあーた!」
「でもほんとにどこなの……? 妖魔界ではないよね?」
「似たところで言えばニュー妖魔シティがありますが……見下ろしただけでも妖怪が誰も居ないんでウィスよね……」
「なんかロボットとか動いてニャイか?」
余りにも馴染みのない大都会に目を輝かせるジバニャンと変な事に巻き込まれたのではないかと危惧して大慌てするケータとウィスパー。
六十年前にタイムスリップしたり死んで妖怪になった経験があるケータなのだが、彼自身は達観している訳でもなく、一人の小学生なのだ。
最近は平和ボケしてしまう程の穏やかな生活を送っていたのだが、久々に大事件に巻き込まれたと心配になる。誘拐事件の線もあるのではないかと考えるウィスパーだが、室内から見下ろせる大都会は日本にはなかった筈だと記憶している為やはり妖怪の仕業なのではないかと考える。
しかしウィスパー達妖怪が住む妖魔界にもこんな都市はなかった。となれば、ここは一体どこなのだ?
海外……と言うには余りにも現実味がなさすぎる。ロボット等が稼働して明らかに現日本よりも技術が発展している。ならばここは──別の世界? それとも未来?
「ど、どうしよう!! に、逃げる!?」
「あ、焦り過ぎでウィスよ! 変な妖怪が襲ってくる可能性もあるでウィス!」
「誰か呼んでみるのはどうかニャン?」
「あっ確かに! 呼べるかな……うんがい鏡だったら家に帰れるかも……!」
ジバニャンの提案に好ましい反応を示したケータが腕に装着された奇妙な腕時計──妖怪ウォッチの召喚口を見やる。そして彼の脳裏に浮かんだ妖怪を
「ウィスパー! うんがい鏡のメダル!」
「は、はい只今ー! ありましたどうぞ!」
「大辞典とかメダルは残ってるのニャンね」
ウィスパーがうんがい鏡と呼ばれた妖怪のメダルを取り出し、ケータがそれを召喚口に当てて言った。
「オレのともだち! 出てこいうんがい鏡!」
「妖怪メダルセットオ──「お待たせいたしました先せ──えっ?」」
「えっ?」
「ウィス?」
「ニャン?」
──のだが、満を持してともだち妖怪を召喚しようとしたケータ達が居る部屋に唐突にケータよりも遥かに年上であろう高校生程の落ち着いた雰囲気の女性が入り込んで来た。
ケータ達三人は唐突な出来事に思わず固まってしまい、入って来た女性は目を見開いてケータを見つめ、言い表せようもない微妙な空気感が室内に漂っていたが、静寂を破ったのは女性だった。
「あっえっ子ども……!? 何故ここに子どもが……!? へ、部屋は間違って……ない……!? なら先生はどこに……!?」
「先生……?」
「あっ、は、はい……? えっと、どうかされたのですか? 迷ってしまったんですか?」
落ち着きを早速放り投げてしまった女性が放った『先生』という言葉にケータは反応を示した。それに怖がらせてしまったかと思って慌てて優しく宥めるように聞き返すが、再び取り乱すことになってしまう。
「そう言えばさっき先生って夢で言われた気がするなぁ……?」
「──えっ!?」
彼女はケータが自分が先生だと言われたという自覚があること驚愕した。夢という言葉だけならば、まだ想像している事とは別だと考えていただろう。しかしこの部屋には彼一人……ではなく、浮遊する物体? や二足歩行の猫が居る。後半はとりあえず後回しにするとして、彼が発した言葉とこの部屋の状況を鑑みて、彼女は一つの結論を出した。
(まさか……この子が先生だとでも言うの……!? いや、横にいる生物達が何か特別ということ……!?)
「この女の人は誰ニャン?」
「えっと……あの〜……?」
「あっすっすみません取り乱してしまいまして……」
それでも目の前に居るのは子ども。怖がらせる訳にはいかない為何とか咳払いで呼吸を整えて訳が分からない状況に陥っているケータに自分達の事情を説明し始める。彼の横にいる生物をチラチラと見やりながら。
「と、とりあえず自己紹介をさせていただきます。私は『
「あっえっと……お、オレは天野ケータです…でもが、学園都市……? れんぽ……えっ?」
「何言ってるニャン?」
「う〜む……妖怪パッドで調べてもキヴォトスなんて都市は出てこないでウィスね……」
(やりずらい……)
「そ、それがどうしてオレ達が連れてこられることに……?」
「……そ、そもそもまず皆さんはキヴォトスの外からやって来られたと思います」
「日本のことでウィスかね?」
最早フツーに会話に参加してくる謎の生物に驚いている暇はないと判断したリンは子ども相手の為なるべく分かりやすく要点を絞って話す。
「私には分からないのですが、その認識で合っていると思います。そしてキヴォトスは、数千の学園が集まって形成されている巨大な学園都市です。えっと……あの。先生……と言うよりかは、あなたが働く場所……になる予定なのですが……」
「えっええええええっ!? オレ働かされるの!?」
「それってダメじゃないでウィスか!? 滅茶苦茶法に抵触してますよね……しかもケータくんが働くなんて無理でウィスよ! 頭だって別に良くはないんでウィスから!」
「ケータが働く姿なんて想像できないニャン……」
「あの……失礼ですが年齢は幾つに……?」
「こ、今年11歳です……」
「じゅっ!?」
予想はしていたもののいざ直面すると目眩がしてしまいそうな状況に思わず頭を抱えるリンを心配するケータだったが、自分が働かされるかもしれない状況には流石に自分の心配をせずにはいられなかった。
(11歳? えっ嘘でしょ? キヴォトス外の
(それと本当に横の生物達は何!? 喋るしタブレット端末も扱っているし……そもそもどうやってここまで来たの!?)
(き、聞くだけ聞いておきましょう。これから多くの生徒達と関わることに……な、なるの? 殆どの生徒よりも年下でしょこの子!?)
意を決してウィスパーとジバニャンについてケータに問いただすことを決めたリンは表面上は落ち着いた様子を見せて取り繕う。
「そちらの生物? は一体どういった存在なのですか……? 機械ではないでしょう?」
「そう言えばワタクシ達のことが見えてるんでウィスよね?」
「え、ええ……」
「あっ、コイツらはウィスパーとジバニャンって言うんですけど……妖怪……なんです」
「よ、妖……怪!?」
フツーな少年ですといった顔をしているケータへの認識を一瞬で改めたリンだった。
えっ、小学生で先生なんてしていいんですか!? ってなる生徒しかいなそうですねコレ。
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