透き通る世界のフツーな少年と妖怪達 作:nalnalnalnal
いやほんとすみません……明日明後日の夜に連続投稿する予定ですので!
銀行襲撃を終えたケータ達一行は、アビドスへと戻り早速集金記録の書類の確認を行なっていた。
が、しかし──
「なっ、何よこれ!?」
「これは──」
「えっと……借金返済者:アビドス高等学校『返済額788万円』──支援:カタカタヘルメット団に対して『任務補助金500万円提供』って記録がある……けど……?」
「ということはあの輸送車は紛れもない、アビドスの皆さんと接触したトラックで間違いないということでウィスね……いや、しかし──」
「ヘルメット団の背後にいるのはまさか──カイザー、ローン……?」
『……』
記録によって、とうとうヘルメット団の背後で蠢いていた存在を見つけ出したケータ達……だが、ケータですらも疑問を抱く程に事態は
「で、でも……借金ってこの学校がしてるんですよね? 何で学校を襲ったり……お金が返せなくなっちゃうんじゃ……」
「ふむ……これは中々に厄介な問題でウィスね……」
「先生の言う通り学校が破産したら元も子もありません……」
「……カイザーローン単独の仕業じゃなそうだね。カイザーコーポレーション本社自体の息がかかってるとしか思えない」
「ま、そう見るのが妥当だよね〜……」
「こーなったら直接直談判でもしてやりましょうかね!?」
「ウィスパーさんステイステイ。まだ確固たる証拠もないから下手に動けないよ」
学校からの返済金を受け取っているにも関わらずのヘルメット団のアビドスに対しての侵攻……通常の銀行への借金のシステムにおいて、お金を貸し付けた学校側を潰す行為は返済能力を奪うことと同義。言うならば自らの首を絞めている行為だ。
しかし、今までの襲撃から見てもやはり理解できない点ばかり。
何故ヘルメット団に対して支援を行っているのか。それによってカイザー側が一体どんな得を得ると言うのか。
まだ金利のシステムすらも理解していないケータですら疑ってしまうこの事態。
しかし記録を見ただけで答えには至らない……一旦休息を取ることに決めたケータ達であったが、心のモヤモヤは解消されず不完全燃焼感が残ってしまうこととなってしまった。
「えっと、皆さん色々とありがとうございました!」
「お、オレ達も色々と巻き込んじゃってごめんなさい!」
「う〜ん何だか二人は似たもの同士だね〜」
「あ、それ私も思ってた」
「表の平凡、裏は妖怪ドリ〜ムバスターズのボスと最高幹部……何だかアウトローみたいですね☆」
「私が最高幹部なんですか!?」
「ちょっと乗り気だったニャン」
「そ、そんなことないですよ!?」
「一番乗り気だったのはウィスパーさんだけどね」
「いやぁその節はどうも〜」
「褒めてないわよ!?」
「確かに便利屋よりかは断然アウトローっぽかったよ。先生」
「シロコ先輩も変な褒め方しなくていいから!」
「あ、あはは……」
ヒフミを見送る為に校門前へと集まっていたケータ達。ヒフミはどうやらこの件をトリニティ総合学園の最高峰に位置する『ティーパーティー』に報告するそうだが、彼女達がどんな反応を示すのかは彼女達のみぞ知る……
ホシノだけは唯一何かと危惧している様子だが……
「あ、今度オレもトリニティに行ってみようって思ってるんです!」
「あっ、そうなんですね。きっと先生な色んな人と仲良くなれると思いますよ! 確かもう正義実現委員会のハスミさんとは会ったことがあるんですよね?」
「はい! かっこいい人でした……!」
「なら、正義実現委員会に顔を出してみるといいかもしれませんね! 皆さんいい人ばかりなので……」
既にトリニティの治安維持組織である正義実現委員会の一員と仲がいいという事実を知らなかったアビドスの面々は驚きつつも今までの言動、行動ですぐにその事実に納得してしまうのだった。
「まぁたくさんの妖怪さん達と仲がいいですからね……」
「他の学園にもともだちがいそうだね」
「先生だからこそ、ですよね☆」
「そりゃ本人の性格もあると思うけど……」
「おやおや〜? セリカちゃんはもうこんなに先生にぞっこんなんだね〜」
「うううるさいわよ!」
「ヒフミさん。またアビドスにいらして下さいね! いつでも歓迎します」
「ありがとうございます。色々大変だとは思いますが、困ったことがあったら呼んでください! 私も先生達のともだちなので! では、また……」
「さようなら〜!」
笑顔で手を振るケータを微笑ましく思いながらも去っていくヒフミ……そんな一行の裏で、別の何かが蠢こうとしていた……
キヴォトス某所。そこではかつて便利屋に依頼を行った大柄のロボットの男が鬱憤を溜まらせている様子を見せていた。
「チッ……何なんだ一体……! 便利屋の連中がアビドスに懐柔されたかと思えば今度は銀行強盗だと……!? しかも子どもにネコに白いソフトクリームだと!? どんな幻覚を見ているのだあいつらは……! 子どもやネコ如きに金庫が突破される筈がないだろう……」
「──案外、そうでもありませんよ」
「……何だと?」
──そんなロボットの男の前に現れたのは一人の黒いスーツを纏った
そして、ロボットの男に不適な笑みを浮かべながらこう言った。
「これら全ての出来事が──妖怪のしわざなのかもしれませんね……クックック……」
まるで、まだ顔も合わせたことのないケータのことを知っているかのように──ケータに対して興味が湧いているのを隠しすらもしない様子を見せながら、そう言った。
「にしても、どうしたんだろうアルさん……急に呼んだりして」
「まぁあの人のことですから特に気にする必要もなさそうですがね……」
「何だかんだ言って皆んないいヤツだからニャァ……何でアウトローなんて目指してるのか意味不明ニャン」
「元々ゲヘナ学園というところは治安が悪いと聞きますし、その影響は多少なりともありそうでウィスね」
「治安悪いんだ……」
「そこでチナツさん達のような風紀委員の出番という訳でウィスよ」
ヒフミ出会った一波乱あった日の翌日。ケータ達は柴関ラーメンへと赴いていた。
突然モモトークにアルからの連絡が入り、何やらただならぬ様子が伺えた為少し小走りでやって来た次第だ。
「と、とりあえず入ろっか……!」
ガララッ!
「……──あっ、先生! こっちよ!」
「あら、皆さんお揃いで……」
「何の話ニャン?」
「まぁまぁ、とりあえず座ってよ〜」
「あっ、はい!」
「あ、わ、わわ私なんかの隣でよければど、どどどうぞ!」
柴関ラーメン内へと入ると、既にアルだけでなく便利屋の面々が集結しており、ケータ達が来るのを見ると笑顔で出迎える。
しかしいつものアルの調子ではなく、どことなくぎこちない様子が伺えた為何の話をするのかが余計に気になり始めたケータ達。
ケータ達がハルカの横へと座ると、アルはぎこちない様子を残しつつも真剣な雰囲気を纏わせ、ゆっくりと口を開いた。
「え、えっとね、その……」
「……社長」
「わ、分かってるわよっ……えっとね、単刀直入に言うわね。先生……アビドスに脅されてたりしない!?」
「……え?」
「……ウィス?」
「……ニャン?」
──と、アルから発せられた言葉に困惑の表情を見せるケータ達。それもその筈。アル達と天ぷらを一緒に食べた時に、アビドスに来た理由は対策委員会に協力する為だと既に説明済みであるのだ。
その上でアルが何故アビドスに脅されていないかと危惧しているのかが理解できなかった。
困惑するケータ達を他所に、アルは必死に諭すようになるべくマイルドな喋り方で話し出す。
「き、昨日の銀行強盗が先生達だったってことはカヨコ達から聞いたわ!」
「逆によく気付きませんでしたね……」
「いやほんとになんで気付かなかったのアルちゃん」
「ううううるさいわよ!! だ、だってまさか先生だとは思わないでしょ!?」
「それはそう」ナデナデ……
「ニャァ〜……」ゴロゴロ……
「そ、それで私達も先生達がもしかしたら脅されてるんじゃないかって……」
「そ、そうなのよ! 先生みたいないい子が銀行強盗なんてする訳ないでしょ!?」
「いい子って……あーたどんだけ絆されやすいんですか……」
「そ、そういうのはいいから! 私も心配なのよ……」
「アルさん……」
そう言うアルの表情は本気で、真剣にケータ達の身を案じているものだとケータでも察する程までに落ち込み気味のもので、いたたまれなくなったケータは躊躇していた事情について話すことを決めた。
「え、えっと、実は──」
「な、なるほど……そういう事情だったのね……と、とりあえずよかったわ……」
「あの人ほんとなんでアウトローなんて目指してるんでウィス?」
「いやぁそこはご愛嬌というか……ね?」
「元々は敵だったのにお人好しすぎニャン」
「元来の性格がああいうタイプだから……」
「アウトローになりたいって夢を応援してくれる先生もめちゃくちゃにお人好しだけどね〜」
「で、ですね! アル様の夢を本気で応援してくれる人がいるなんて……」
「それに私のことだって怖がらないでくれたしね」
「あら、カヨコさんに特段怖い印象はありませんが……」
「ね〜。こんなに可愛い顔してるのに怖がられちゃうんだよ〜」
「変な妖怪ばっか見てるからカヨコちゃんのこと怖がる訳ないニャン」
「た、確かに……?」
「それは……」
「そうかも〜」
「……あの〜ワタクシの顔見るのやめてくれます〜??」
「全部聞こえてるわよ!?」
「あ、あはは……」
アル達に銀行襲撃の背景を話したケータ達。
元々は敵だったケータを心から心配してしまうアルとフツーなら忌避されそうな夢を応援してくれたケータという二人──便利屋の面々にとっては馴染み深いアルと似た者同士であるケータには既に心を開いてもいい相手という認識となっていた。
そんなことが汲み取れる会話を当の二人は照れながら聞いていたが、耐えられなくなったアルが思わず叫ぶ。
ケータとしても真剣に褒められるという体験は中々に小っ恥ずかしいもので、普段から揉め事に巻き込まれやすい体質であった為慣れない会話には思わず赤面する。
「とは言っても他にやりようはあったんじゃないの? ウィスパーさんめっちゃすり抜けてたし」
「いやぁそこはアビドスの皆さんの雰囲気に飲まれてしまいましてねぇ……」
「ま、まぁとりあえずちゃんと事情があってよかったわ……先生には恩返しをしたいもの」
「え、いやいやそんな大丈夫ですよ! オレがやりたいって思ったことですし……」
「ダメよ! 施されてばかりの便利屋68じゃないの!」
「それに私達はもう『ともだち』でしょ〜? 困ったらいつでも呼んでよ〜」
「まだ11歳なんだから知らないことばかりだと思うし、遠慮しないでいいよ」
「は、はい! わ、私なんかとともだちになりたいと言ってくれましたし……」
「いやいや! ハルカさんも全然いい人ですよ! アルさんのことが大好きな人なんだって思いますし!」
「え、えぇぇぇ……!?」
「ほらすぐこういうこと言っちゃうんだから……ともだちが多い理由がよく分かるね」
「くふふっ……子どもの純粋さはハルカちゃんに突き刺さるね〜」
そんなとてもアウトローを目指す者達とは思えない程和みきった雰囲気の中、ムツキが思い出したかのように『あ』と言葉を漏らした。
「そう言えば気になってたんだけど先生達のあの謎の名前はなんなの?」
「あ、あああれはですねぇ……」
「そこ動揺するとこなの? 滅茶苦茶堂々と名乗ってたのに……」
「た、確かアル様は先生の名前が一番気に入ってましたよね……?」
「え、ええ! あのフウ2っていうのはどういう名前なの? ケータ……からはあんまり想像できないのだけれど」
「あ、フウ2っていうのは──オレが妖怪になった時の名前なんです」
「「「「……は?」」」」
一言。その一言だけで和みきっていた場の雰囲気は一瞬にして凍りついた。ケータが言った言葉の事情を知っているウィスパー、そして以前事情を聞いたジバニャンは『あちゃー……』と思わず頭を抱える。
「せ、先生……? 妖怪になったっていうのはどういうこと……?」
「え? そのままの意味ですよ!」
「ね、ねぇ。妖怪って──」
「た、確か──」
「し、死──」
ハルカが言葉を紡ごうとしたその瞬間──
ドゴゴゴーーーーーン!!!
「うわぁっ!?」
「ウィスッ!?」
「ニャンッ!?」
「せ、先生……!」
「爆発……!? 一体どこで……!?」
「とりあえずここから離れるよ! 急いで!」
「先生は私達の後ろについて来て! 前に出ちゃダメよ!」
突然の爆発音が鳴り響く。瞬間的に反応したハルカは隣のケータを庇うように覆い被さり、他の面々もすぐに対処する方法を考える為に行動に移す。
ケータ達三人は爆発が再度発生する可能性を危惧し、ブラスターを構えながらアル達と共に移動を開始する。
ドッカーーーン!!!
柴関ラーメンの外に出て爆発がした方向へと向かったケータ達の視界に映ったのは、再度発生した大規模な爆発、そして──遠方から多数の擲弾兵がやって来ている光景だった。
そして便利屋の面々はこの爆発に覚えがあった。それは──
「また爆発……! これは……!」
「50mm迫撃砲……! まさか──」
「ふ、風紀委員……ですか……!?」
「なっ、なんですってーーーーーーーーー!!!???」
「……えっ、風紀委員って──」
「確かチナツちゃんがいるところニャン!」
「それがまたどうして爆撃なんてことを……それにここはアビドスの自治区では?」
「えっ知り合い!?」
風紀委員と知り合いであることを知らなかった便利屋の面々が驚いている最中、当の迫撃砲を放った風紀委員では──
「ターゲット、確認しました」
「よし。歩兵、第2小隊まで突入」
「……イオリ。あちら側の生徒が来た際にはどうするつもりです?」
「ああ、アビドスっていう……だけど、うちの厄介者を取っ捕まえる為の労力が惜しい。事情を説明している暇はない」
「……そうで──……って──……あ、あれは……!?」
風紀委員の一員であり、ケータとシャーレ奪還作戦を共にした『
しかし、チナツが便利屋の方向に特徴的な白いフヨフヨを見つけ、疑問に思って確認を行った──その瞬間に、大声と共に滝のように冷や汗が流れ出した。
「い、イオリ!! この戦闘行ってはいけません!! いやほんとに!! やめましょう今すぐに!!」
そんなやり取りが行われる数時間前、アビドス高等学校では──
「ん、ありゃ? 先生いないんだね」
「あ、ホシノ先輩。どうやら便利屋の方達に呼び出されたようで……」
「それ、大丈夫なの?」
「一応シロコちゃんやセリカちゃんに伝えたら後で追うと言っていたので」
「んー、まぁ、不安だけど大丈夫かな?」
「ホシノ先輩はまたお昼寝ですか? あ、私のお膝は空いてますよ☆」
「う〜ん魅力的な提案だけど、今日はおじさんはオフだからね。遠慮させてもらうよ〜」
「珍しいですね?」
「おじさんにもイメチェンしたい時期があるのさ」
「使い方が間違ってないですか……?」
「ま、そういうことだからおじさんはここいらで撤退するよ〜。何かあったら連絡して?」
「あ、分かりました〜!」
そして、キヴォトス某所──ホシノはそこにいた。
「……」
「おや、これはこれは」
「お待ちしておりましたよ、暁のホル──いえ、ホシノさんでしたね。失敬」
「……黒服、今度は何の用なのさ」
「……少し、状況が変わりましてね。今回は再度、アビドス最高の神秘をお持ちのホシノさんにご提案が一つ」
「提案……!? ふざけるな!! それはもう──」
「少し落ち着いてください」
「……ッ……」
『黒服』と呼ばれた存在は、先刻ケータ達に対しての興味を隠していなかった存在と同じ──そしてそんな黒服に対して、ホシノはいつもの飄々とした様子ではなく、誰にも見せないような激昂を見せた。
そんなホシノを顔色一つと変えずに宥めながら、黒服はデスクの上に一枚の書類を差し出した。
「──あなたに、決して拒めないであろう提案を一つ」
「どうかご清聴を──ククッ、クックック……」
遂に登場風紀委員!
あ、次回はちゃんとともだち妖怪でますよ。
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ケータくんに対する妖怪達の感情どうするか問題
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重い
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フツー
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割と軽め
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無関心(あんまりいないかも?)