透き通る世界のフツーな少年と妖怪達 作:nalnalnalnal
「ちょ、い、イオリ!! ほんとにダメです!! 活動記録を見ていないんですか!?」
「お、落ち着いてよチナツ……よ、ヨウカイってやつだろ?」
「知っているのに戦闘を行う気ですか!?」
「い、いや仕方がないだろ! 向こうにはうちの厄介者がいるんだぞ! みすみす見逃すわけにはいかない!」
「大体子どもに手を上げるとは何事ですか!? 風紀委員の名が廃れますよ!」
「ぐっ、そ、それは……」
「それに第一先生に勝てるはずがありません! 下手をすれば私達が全滅させられるかもしれないんですよ!?」
「そ、そんなにか!?」
「……なんか勝手にやめてくれそうな雰囲気あるね〜」
「まぁそりゃ11歳の子どもに手を上げたらヒナが黙ってないでしょ」
「ほ、ほんとに風紀委員と知り合いだったのね……流石だわ先生!」
「あ、あわわ……今の内に逃げますか!?」
「というかアビドスの自治区でこんなことしちゃって大丈夫なんでウィス?」
「権利問題とかどうたらこうたらが起きないのか不思議ニャン」
「お、オレはよく分かんないけど……」
風紀委員がやって来て早々風紀委員の前線が口論に発展した結果停滞している現状。チナツと知り合いであるケータの人脈の広さに驚きつつも、抜け出せそうな隙を探す便利屋の面々。
未だにワイワイガヤガヤと言い合うチナツとイオリを見ている中、思いついたかのようにムツキがケータへと話しかける。
「……ねぇ、先生。あいつら全員戦意喪失させられる妖怪っていたりする?」
「な、なんでまたそんなことを?」
「いや〜アビドスの自治区にまで侵略して来てるんだし、こうなったらとことん面子を潰してやりたいな〜って思ってさ? それにアビドスの奴らが来たらまた面倒事に発展しちゃうんじゃない?」
「た、確かに……」
「ま〜ケータくんに銃口を向けているとなればさぞかし怒ってくれることでしょうね!」
「ムツキ……余計なことはしないでいいから」
「そ、そうよ! 余計に反感を買うわよ!」
「まぁまぁそう言わずにさ〜。どうせ元々反感買ってるんだから今更変わらないよ」
「ま、まぁそれは確かに……」
「いいんじゃないでウィス? 撃ってくる可能性もありますし、アビドスの皆さんの自治区をこれ以上荒らさせないためにも追い返すというのは」
「た、確かに結構荒れちゃってるもんね……それに柴関ラーメンもこの辺にあるし、ダメだよね!」
「お、先生もやる気みたいだね〜! んじゃ、いっちょやっちゃって!」
これ以上のアビドスへの被害を減らす為にも、一先ずは風紀委員を落ち着かせることに決めたケータ。
チナツがいる為罪悪感が残ってしまうが、ケータにとっても平和が一番。無駄な争いを阻止する為にも、ともだち妖怪を呼び出すことにした。
そして、いつものようにメダルを取り出し──
「オレのともだち! 出てこいつづかな僧! 妖怪メダルセットオン!」
フシギ召喚〜!
フシギ!
フシギ!
ブギウギ!
オレたちゃ、オオハシャギ〜!
「つづかな僧〜……」
「お、また新しい妖怪!」
「あれ……木魚?」
呼び出したのは妖怪つづかな僧。その名が表す通り何でもかんでもありもあらゆる物事を続かなくさせてしまう妖怪である。
「なんじゃ? ワシになんか用かぁ〜?」
「つづかな僧! 向こうにいる人達に取り憑いて続かなくさせて!」
「仕方がないのぉ〜……」
「あら意外とすんなりと」
「撃たれないように気をつけて!」
そしてつづかな僧が風紀委員の面々へと近寄り始めると、それなら気付いたイオリがそのこの世のものとは思えない風貌に驚愕する。
「──な、なんだあれは!?」
「ま、まさか先生のおともだち妖怪……!?」
「はぁ!? アレが妖怪ってヤツなのか!? いやでも見た目的に全く強そうじゃないが……」
「見た目に騙されてはいけません! それに私達に敵意があると思われている可能性があります! 今すぐに事情を説明しないと!」
「ど、どんだけヤバいんだよ妖怪ってのは!?」
そんな未だに停滞している状況につづかな僧が一言──そして、怪訝な視線を向ける風紀委員の面々へと取り憑いた。
「つづかないったなつづかない〜……つづかないったらつづかない〜……」
そして取り憑かれた風紀委員の面々は──
「──……う〜ん……やーめた!」
「正直めんどくさいしなんでわざわざこんなところまで来なくちゃならないんだ……や〜めた!」
「ヒナ委員長に怒られたくないし……やめたっ!」
「よしわたしもや〜めた!」
「うぉぉぉい何してるんだよ!?」
「ああ、やっぱりこうなってしまった……」
つづかな僧に取り憑かれた彼女らは一斉に武器を放り投げ、『やーめた』と一言──たった一瞬で戦意喪失させてしまった妖怪の力を再度確認して苦笑する便利屋と焦りまくるイオリ達という何ともまぁ明確な対照的な関係ができあがってしまった。
「妖怪……すっご!」
「風紀委員が一瞬で……無法すぎない??」
「た、たった一人で全員を……!」
「先生……ちょっと凄すぎるわ……」
「ま、まぁ凄いのはオレじゃないんですけど……」
「いやいや全員がともだちなんでしょ?? 心を許してるってことだから先生も凄いよ〜?」
「これ毎回妖怪呼び出すたびに言われますね〜」
「同じリアクションばっかりでちょっと飽きてきたニャン」
「ちょっと分かっちゃうかも……」
「凄いものに凄いって言って何が悪いのよ!?」
割と同様の反応を見せるキヴォトス人の方がよっぽど凄いと常日頃から思うケータ達であるが、それを言ったところで結局妖怪やケータの方が凄いと言われる始末……最早フツーの小学生という肩書きが意味を成していない。その肩書きもケータの自称であるのだが……
そんな状況下の中、ケータ達の背後から一部始終を見届けていたホシノを除いた対策委員会の面々が現れる。
「……どういう状況なのよこれ」
「ん、ゲヘナの風紀委員が来て暴れてると思ったら一瞬で投げ出してる」
「状況説明ありがとシロコ先輩……」
「あら、アビドスの皆さん。もう終わっちゃいましたよ」
『見てれば分かりますよ……先生を敵に回したら終わりだということも』
「ですね〜☆」
最早対策委員会の面々もケータの影響で便利屋に対しての敵対心は失っており、それぞれがワチャワチャと話し出す中、頭を抱えたチナツがイオリを引き連れてやって来た。
「せ、先生……ご無沙汰しております……」
「あ、チナツさん!」
「すみません……私がいながらこんな暴挙を……」
「暴挙って……第一目的は便利屋でな!?」
「先生。その、便利屋……を差し出すということは……」
「えっと、それはちょっとできません……オレのともだちですし」
「せ、先生……!」ジーン……
「そう……ですよねはい。先生ならそう言いますよね……」
「すんなり認めていいのか!? こいつらはゲヘナの──「イオリ」ぐっ……」
一種の逆恨みのような視線をイオリに向けられるケータだが、便利屋を差し出すということは素直に同意できない。自らの身を本気で案じてくれたアル達を差し出すということは出来ないし、あまり争い事にはしたくない。
そしてそんなケータを庇うように立ち塞がった対策委員会の面々がチナツ達と対話を始める。
『……ここは私達アビドスの自治区です。その上でこの暴挙を敢行しているのならば、ここで先生が見逃すとは言っても私達は素直に認められません。風紀委員は一体どういう目的でここに攻撃したんですか?』
「目的? それはさっき言った通り──」
イオリが言葉を紡ごうとしたその瞬間、突然通信端末から一人のホログラムが投影される。
『イオリ。ここは私から』
「アコちゃん?」
「アコ行政官……」
「ってかアコちゃん! あんなヤバいのがいるなら先に言ってくれないか!? お陰で全員武器を放り投げちゃったんだけど!」
『……成程。それが"妖怪"という──』
『いえ、失礼──初めまして、対策委員会の皆さん。そして──シャーレのケータ先生』
そう名乗ったのはゲヘナ風紀委員会の実質的なナンバー2である『
突然の出現に加え、不思議な程の笑みを浮かべながら話しかけてくるアコに若干の警戒をしながらも、ケータ達三人はこう思った。
「これまた凄い格好の方が来ましたね〜」
「アレでエミちゃんと同い年ぐらいなのかニャン? 信じられないニャン……」
「み、見ない方がいいのかな……?」
「ケータくんはあっちを見ときましょう! ハスミさんとかもそうですがキヴォトスは一体どういう校則をしてるんでしょうかね……あんな乱れまくってる服を看過してるのも中々変な話だと思いますが」
「あの子なんか怪しいニャン……」
『……?』
「……いや、アコちゃんは聞かない方がいいかも」
『……よく分かりませんが、気を取り直して──皆さんはアビドスの生徒会……という認識でよろしいのでしょうか?』
『……はい。厳密には違いますが、事実上は私達が生徒会の代理を務めています。なので用件は私達がお聞きします』
『そうですか……それでは、先程までの愚行は私の方から謝罪させていただきます。ですが私達風紀委員はあくまで、ゲヘナの校則違反をした方々を逮捕する為に来ました』
『望ましくない出来事もありましたが、まだ違法行為とは言い切れないでしょうし……やむを得なかった。ということでご理解いただけますと幸いです』
『……先程も言いましたが、そう易々と認められません! 他の学校が別の学校の敷地内で堂々と戦闘行為をするなんて!』
「いや、まだ戦闘には……」
『イオリは少し黙っていてください──他の皆さんも、同じ考えのようで?』
「そりゃそうでしょ! 自治権の観点からしたら明確な違反行為でしょ!?」
「それに何か先生にも用があるみたいだね? 先生のことを事前に調べ上げているみたいだけど」
「すみませんね? 先生は今は私達の顧問ですので……まずは私達を通してからお話ししてください☆」
『……成程。中々素晴らしい洞察力をお持ちのようで』
──と、一触即発の雰囲気に思わず気圧されていたケータ達だが、何とか雰囲気を再度和ませる為に誰を呼び出そうか話し合っていた。
「ホノボーノ呼んで和ませてもらおうよ〜……」
「でもなんかあの風紀乱れまくってる人はケータくんに用がありそうな感じですし」
「ケータなんかしたのかニャン?」
「してないよ! そもそも知り合いじゃないし……」
「ん〜でも何か和ませたところでまたバチバチになりそうですし……ここは一発かましてやるのも一つの手ですよ!」
「かますって……どういうこと?」
「ほら、この方呼んでしまえば──」
「え〜!? ほんとに大丈夫!? 余計に拗れない……!? っていうか絶対ダメでしょ!」
「まぁまぁ〜やるだけやってみましょうよ〜」
「も〜……」
『……ふう。既に兵力を削がれている身でありますし、こうも凄まれては正直に言うしかないようですね。私の目的は最初からあなたなんですよ──シャーレのケータせんせ……あら?』
アコがそう言ってケータの方を向いたのだが、当のケータは状況を良くする為にともだち妖怪を呼び出そうとしていた。
「オレのともだち! 出てこい百鬼姫! 妖怪メダルセットオン!」
レディースアーンドジェントルメーン♪
プリチー族〜!!
プリチ〜!
プリチ〜!
オーマイラブリー!プリチ〜!
イェス!プリチ〜!
「百鬼姫!」
呼び出したのは妖怪百鬼姫──地獄のお姫様であるが、滅茶苦茶に、有り得ないぐらいに口が悪いことでケータ達にも浸透してしまっている妖怪だ。
呼び出した理由は一つ。
「なんじゃ寝癖。突然呼び出しおって」
「いやまぁ……ちょっとあの人と話して欲しいんだ」
「あの人……?」
百鬼姫がアコを見やると、アコは少し驚いた様子で百鬼姫を見返す。
『……成程。妖怪というのは真実のようですね。そしてどうやら私と対話してくれるのはそちらの妖怪さんのようで──』
「なんじゃ横乳まろび出女。その舐めた態度は」
『よこ……ッ!!??』
「んふふっ……」
百鬼姫を呼び出した理由──アコと対話させ、少しでもあっけらかんとした態度のアコの表情を歪ませる為。
ウィスパーですらも怪しいと疑ってしまう程の笑みを浮かべていたアコは想定通り突然真正面からぶつけられた悪口とも捉えられるあだ名に表情を歪ませた。
突然のあだ名に思わずムツキは吹き出し、他の便利屋の面々や対策委員会の面々と笑いを堪えている。
風紀委員会の面々やアヤネは驚愕しているが……一瞬にして場が凍りついた。
『……し、失礼。少し取り乱したしました……そ、そのユニークなあだ名は私のことでしょうか?』
「お主以外に誰がいるのじゃ。大体なんじゃその痴女のような服装は。わらわに見せびらかしているのか?」
『ちッ……!?』
「おい寝癖。わらわに気分を害させる為に横乳まろび出女とわざわざ話させたのか?」
「その逆っていうか……」
『ふ、ふふふ……』
『ゴホンゴホン!!』
表情の歪みがまだ直っていない顔で、アコは何とか気持ちを落ち着かせようの奮闘しながら話し出す。
『わ、わわわわ私の目的はあなたですよ──ケータ先生。突如現れた摩訶不思議な力を扱う少年……しかしその肩書きは超法規的機関の顧問』
『きっかけはティーパーティーでした』
『知っていますよね? 長きにわたってゲヘナと敵対関係にあるトリニティの生徒会のことです』
『そのティーパーティーが、シャーレに関する報告書を手にしている──と、うちの情報部から話が上がってきまして』
「ティーパーティ……ん、ヒフミのことだね」
『連邦生徒会長が設立した正体不明の超法規的組織──どう考えても、怪しくありませんか?』
『とても危険な不確定要素であるシャーレが、トリニティとの条約にもどんな影響を及ぼすのか分かったものではありません。ですからせめて条約締結までの間、私達のもとで先生を庇護する為にお迎えしようという訳です』
「はぁ!? それで私達が認めるとでも思ってんの!?」
「穏やかじゃありませんね☆」
「ん、勝手な真似を。先生は渡さない」
『ふふ、やはりそう言います── 「おい。横乳まろび出クソ女。わらわを無視するつもりか?」く、クッ……!?』
「何が風紀委員じゃ。お主が一番風紀を乱しているだろうに。それにその格好……頭がおかしいのか? それともただの変態露出狂なのか?」
「ぶっ……あっはははは……!!」
「ん、んふふ……」
何とか平静を保とうとしていたアコだったが、さっき以上に百鬼姫からの刺々しい言葉の数々に表情を歪ませる。
そしてムツキは大爆笑し、冷静沈着であるカヨコですらも笑いを堪えられず、他の面々も同様に吹き出した。
『は、はははぁ〜っ!? 別に私はこの服装がいいだけですけどぉ〜っ!?』
「ならお主は芯から変態露出狂というわけじゃ」
『は、はぁ〜っ!? 大体あなたなんなんですかいきなり! 失礼だとは思わないんですか!?』
「なぜお主のような変態女に気を遣わねばならないのじゃ」
『こ、こんの……!!』
「ちょ、アコちゃん色々崩れてる……!」
『ふぅー!! ふぅー!! こ、こうなったら、ぶ──』
『武力行使です!! やってやりなさい!!』
最早抑えられなくなったのか、アコは大声で叫び出した──しかし、当の風紀委員の生徒達はつづかな僧に取り憑かれているせいで気力が失われている。
「えー行政官めんどくさ〜い。戦闘とかや〜めた!」
「行政官もやめたら〜?」
「そんな頭おかしい服装してるんだから少しは頭冷やそっ」
『な、何言ってるんですか!? っていうか最後の誰ですか!? ぶっ飛ばしますよ!?』
「あ、アコちゃんどうどう……」
「よ〜し。じゃあかえりタイも呼んじゃおう!」
「オレのともだち! 出てこいかえりタイ! 妖怪メダルセットオン!」
レディースアーンドジェントルメーン♪
ブキミ〜族〜!!
ブッキミ♪
ブッキミ♪
ブッキミ〜♪
「かえりタイ……」
取り憑きを強化する為に、ケータは対便利屋の際に呼び出したかえりタイを呼び出した。
「あ、ケータくん。また会ったね〜。ボクを呼んだってことはまた帰らせて欲しい人がいるの?」
「うん! あの人達を帰らせて!」
「分かったよ〜」
『な、何ですか今度は……ネクタイ……!?』
「ちょ、まずいですよアコ行政官!! 今すぐ撤退しましょう!」
「あっ。あのネクタイの妖怪って……」
「わ、私達と戦った時に呼んだ妖怪さんですよね……?」
「あー。これはちょっとアコも可哀想。同情するかも」
「と言うか私達めちゃくちゃ空気になってるわね……」
かえりタイの見た目からは想像もできない程までの戦闘においての脅威さを既に知っている便利屋と対策委員会の面々は思わずアコに同情してしまう。
そしてかえりタイが更に風紀委員の面々へと取り憑くと──
「……っていうかもうやめたんだし帰ろっか!」
「だね! やめたんだからここにいる必要もないでしょ」
「ということで撤退しますね!」
『えっちょっとま、待ってください! ほんとに帰る気ですか!?』
「アコ行政官……先程妖怪のことを見極めたような発言してませんでした……?」
「アコちゃん……これもう無理かも」
『なっ、ななな……!』
最早風紀委員会の名誉が一瞬にして消え去ったこの和みと焦りが混じったこの状況の中、突如として一人の生徒が現れた。
「え、なんで皆んな帰って……いや、それよりも──アコ、この状況、どういうこと?」
『……えっ』
『──いいいいい委員長!? どうしてここに!?』
現れたのはゲヘナ学園風紀委員会のトップに立つ生徒──ゲヘナ風紀委員長・『
絶対やりたかったやり取りがこれです。
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ケータくんに対する妖怪達の感情どうするか問題
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重い
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フツー
-
割と軽め
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無関心(あんまりいないかも?)