透き通る世界のフツーな少年と妖怪達   作:nalnalnalnal

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 テンポが滅茶苦茶遅いかもしれません……


フツーじゃない街

    

 

 

 

(ほ、本当にこの子が先生……!?)

 

 端末内の先生についてのデータを確認して、本当にケータが先生となる人物であることを知ってしまったリン。年齢もちゃんと11歳と記されており、フツーの少年のはずなのに、記されている場所が場所な為に思わず頭を抱えるが、それ以前に彼からの『妖怪』という言葉が気になった。

 

 

 

「よ、妖怪というのは一体どういう……?」

 

(妖怪って何……!? 百鬼夜行連合学院にだってこんな未確認生物はいないのに……!?)

 

「ワタクシからご説明いたしましょう」

 

「あっは、はい?」

 

「霊的な存在……と捉えてもらって構わないでウィスが、ほとんどが人間や動物や道具などが死んだ後に妖怪になるのでウィス!」

 

「つ、つまり、死後の生物や無機物の新たな姿……という事ですか?」

 

「そうでウィスね〜」

 

 

 

 一応妖怪についての概要は理解できたリンだったが、さらっと流された死後だとか道具だとか、それを妖怪本人が言っている状況も中々変だと感じるが、それと同時にケータも相当おかしいと感じる。さも当然かのように妖怪を引き連れてキヴォトスにやって来たのだから。

 

 

 

(どうしてこの子は妖怪達と普通に話せているの……!? こういう年頃の子は怖いもの知らずってこと……で済ませていいのコレは? しかも私の方が怖がられている可能性が……)

 

(いやそれよりも、私本当にこの子をシャーレの部室に案内しなきゃいけないの? 11歳の子によりにもよって先生の仕事を任せるなんて……)

 

「あの〜……」

 

「はっ、す、すみません! 混乱されているのは分かります」

 

「それはあなたもじゃないでウィスか?」

 

「そう言えばウィスパーはやけに落ち着いてるニャンね?」

 

「ワタクシは妖怪執事! これしきのことで動揺はしませんよ〜!」

 

「さっきのみっともない姿はなんだったのニャン?」

 

「それはアンタもでしょーが!」

 

「オレ、本当に働くんですか……?」 

 

「ゔっ……恐らく連邦生徒会長が推薦したのがあなたなので……そういうことになるんですが……」

 

 

 

 不安そうな目で見つめるケータに罪悪感を覚えるリン。しかし彼女も先生を案内しなければならないという使命がある。引き下がる訳にはいかない……のだがやはり高校生程度ならまだしも11歳という年齢が邪魔をする。

 

 

 

「う〜む……連邦生徒会長とやらはエンマ様みたいな感じなんでウィスかね? ケータくんが多くの妖怪とともだちということに目をつけたんでしょうかね……?」

 

「友達になれるものなんですね……?」

 

「妖怪にはモテモテですからね〜ケータくんは」

 

「なんでフミちゃんには振り向いてもらえニャイのかが不思議ニャン」

 

「余計なこと言わないでよ!」

 

 

 

 しかしウィスパーとジバニャンと親しそうに言い合う様子を見ると本当に友達なんだと思い知らされるが、ふと時間を見れば押していることが分かってしまったリン。とりあえず今のケータについての責任は自分が負うとして部室に案内することに決める。

 

 

 

「その、申し訳ないのですが私も11歳ということは知らずに案内役を任せられていたので……と、とりあえずキヴォトスについての説明も兼ねて移動しませんか?」

 

「あっ、は、はい!」

 

 

 

 そしてリンは何とか落ち着きを取り戻してケータ達とエレベーターに乗りながら彼らにキヴォトスについての説明をし始める。

 ケータはエレベーター内で日本でのさくらエクセレントツリーを彷彿とさせる絶景に感嘆の声を漏らしながらリンの話に耳を傾ける。

 

 

 

「そう言えばお名前を聞いていませんでしたね?」

 

「あっ、オレは天野ケータです!」

 

「ワタクシはウィスパーでウィス」

 

「オレっちはジバニャンニャン!」

 

「それではケータさん……じゃなくて先生。先程も言いましたが、ここはキヴォトス。数千の学園が集まる学園都市です。ケータ先生は連邦生徒会長が設立した超法規的機関である連邦捜査部『S.C.H.A.l.E(シャーレ)」の顧問として活動して頂きたく……」

 

「超法規的……機関って言うのは?」

 

「キヴォトスに存在する生徒達を際限なく加入させることも、各学園の自治区で制約無しに()()活動を行うことも可能な、言うなれば何でもアリな組織です」

 

「えっ今戦闘って言わなかった?」

 

「絶対言ったニャン……」

 

「そんな物騒なんでウィスかキヴォトスという場所は……?」

 

「生徒が武装するのが殆ど常識のような銃社会ですから……もし外出される場合は護衛をつけるなり、身を守る手段を必ず携帯して下さい。先生は要人なので……」

 

「い、いやでもオレまだ11歳ですよ?」

 

「わ、私にもケータ先生が連れて来られた明確な理由が分からなくて……その、すみません……」

 

 

 

 ウィスパー達の妖魔界も人間界と比べれば治安は悪いのかもしれないが、エンマ大王という調停役が居る為大事は滅多に起きない。とは言えエンマ大王も全知全能という訳でもない為、全ての妖怪を管轄するという事もできない。

 

 妖魔界でも争い事はよく起きるのだが、銃という完全な武装をする妖怪は数少ない。ケータにとってはフツーの小学生でもあり、一発でも当たれば死に至る状況に身体を震え上がらせる。

 

 

 

(連邦生徒会長……? っていう人は何でオレをこんなところに連れてきたんだよ……)

 

 

 

 ケータ達がキヴォトスの恐ろしさに本気で自分の身を心配している間にエレベーターが停止し、エントランスルームへと連れられる。

 

 

 

「では、部室まで案内を──」

 

 

 

「見つけたわよ代行!」

 

 

「首席行政官。お待ちしてました」

 

 

「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が今の状況について納得のいく回答を要求されています」

 

 

 

 ケータ達がエントランスに到着するや否や、四人の生徒がリンに詰め寄ってくる。腰まで伸ばされた菫色の髪の女性、色々と大柄な女性、風紀と書かれた腕章をつけた女性、白髪の羽のような髪をした女性。誰もがケータよりも年上なのは明確でたじろいでしまう。

 

 

 

「……面倒な人たちに絡まれましたね……」

 

「すっごい毒吐きましたねこの人……」

 

「肝が座ってるニャンね」

 

 

 

「今数千もの学園自治区が混乱状態なのよ! それなのにどうして連邦生徒会長は何週間を姿を見せな──って、えっ? 子ども……?」

 

「……と、そのフワフワしたのと赤い猫は……?」

 

 

(オレっち達のこと見えてるニャン!)

 

(キヴォトスの人達は妖怪が見えるようでウィスね)

 

(あの頭についてる輪っかって何なんだろ……天使みたいな感じだけど。えっしかも羽生えてる……!?)

 

 

「な、なんで子どもと一緒にいる訳!? その変な生き物についても説明してもらえる!?」

 

「はぁ……この方は連邦生徒会長が推薦なされた、キヴォトス外から来られた部活の顧問となられる先生の天野ケータさんと、お仲間のウィスパーさんとジバニャンさんです。ケータ先生は連邦捜査部のシャーレに配属され、いついかなる時でも戦闘が可能だったりと、何でもアリな権限をお持ちになっています」

 

 

 

 ごくフツーの少年だと考えていた生徒達だったが、リンの発言によって一瞬で認識を裏返した。

 

 

 

「「「「……え?」」」」

 

 

 

「どっ、どうも……?」

 

「それと、連邦生徒会長は行方不明になられました」

 

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

 

 集まった生徒達は余りの情報量の多さ──特にケータが先生であるという事に驚きを隠せずに目を見開いてケータをじっと見つめている。年上女性からの鋭い視線にたじろぐケータの前にリンが立ち塞がって彼女達を宥める。

 

 

 

「あ、あの失礼ですが年齢は幾つに……?」

 

「じ、11歳です」

 

「じゅっ!?」

 

「……連邦生徒会長がこの子を推薦されたと?」

 

「ええ。端末のデータにもケータ先生の名前も年齢も偽りなく記されていました」

 

「……真実なのは分かりますが……年齢的に大丈夫なんですか? それに権限だって……」

 

「恐らくケータ先生はウィスパーとジバニャンさん達妖怪とともだちであるから推薦されたのだと思います。年齢は……流石にですが……」

 

「「「「妖怪……?」」」」

 

「一々驚かないで下さい。結論から言うと、『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなった為、今の連邦生徒会は行政制御権を失っています。認証を迂回できる方法を探していましたが……先程までそのような方法は見つかっていませんでした」

 

 

「自分のこと棚に上げましたよあの人……」

 

「ほんと何でケータが先生になんてなったのか意味不明ニャン」

 

「オレも分かんないんだってば……」

 

 

「しかし、このケータ先生こそが調停役(フィクサー)になってくれる……はずです」

 

 

 

 リンの自信があるのか無いのか分からない物言いに生徒達は怪訝な表情を浮かべる。

 

 

 

「そんな曖昧で大丈夫なんですか? 仮にも先生という立場であるというのに」

 

「ケータ先生は先程言った通り妖怪の方々とも仲がよろしいそうなので……です」

 

「いやだからその妖怪って何なの!?」

 

「幽霊みたいなモンニャン」

 

「ああ幽霊ですか……幽霊!?」

 

「それと仲がいいというのもちょっと意味がわからないんですけど

 

「11歳って殆どの生徒よりもかなり年下じゃないですか? 戦闘に参加なんてさせたらダメなんじゃ……連邦生徒会長はどういう判断をしてるんですか?」

 

「こんな子どもに重責を負わせるつもりなんですか!?」

 

 

 

 生徒達がケータについて質問攻めをリンにしている為か、リンの中で苛つきが溜まり始めていた。彼女もケータについてはそこまで知ってはいないのだ。仕方がない。

 

 それを見ていたケータが申し訳ないと感じた為緊張していたが意を決して一歩前に出て生徒達に話しかける。

 

 

 

「えっと……その、妖怪って言っても悪いヤツらじゃないので安心してください! リ、リンさんもオレのこと知らなかったみたいだし、悪いのはオレですよ!」

 

「……ケータ先生……」

 

「あっ、そ、そのすみません! 私も少し驚いてしまっただけで……悪く言うつもりは無かったんです! 本当にすみません……」

 

「大人気なかったですね……怖がらせるつもりはないのでどうか安心して下さい」

 

 

 

 ケータ自身も訳が分からない状況下に陥っている為家や妖怪達が心配なのだが、自分のせいでリンに迷惑がかかっているのが申し訳なかった。

 生徒達はリンを庇ったケータに慌てて謝り、子どもがいる中で問い詰めるような真似をしてしまった事への罪悪感が募ってしまう。

 

 

 

「えっと、私はミレニアムサイエンススクールの2年の『早瀬(はやせ)ユウカ』です……その、すみませんでした!」

 

「トリニティ総合学園の正義実現委員会に所属している『羽川(はねかわ)ハスミ』です。その……あまり怖がらないでください」

 

「私も同じくトリニティ総合学園で、自警団の『守月(もりづき)スズミ』です。よろしくお願いします。ケータ先生」

 

「ゲヘナ学園の風紀委員会に所属しています、『火宮(ひのみや)チナツ』です。よろしくお願いします」

 

「あっ別に怖がってませんよ! 年上の人に囲まれるってあんまりない状況だったので……妖怪ならあるんですけどね。あははっ!」

 

 

「それフォローになってないんじゃないでウィスか?」

 

「だって本当に慣れてないんだから仕方ないじゃん!」

 

「フミちゃんに振り向いてもらえないのもこんな感じだからじゃニャイか?」

 

 

 

 ケータは小学生でクマやカンチ、フミちゃんといった同い年のともだちや色んな妖怪と絡んでいるが、年上の女性に囲まれるという経験は然程無いのだ。そのせいで変なことを口走ったことを小馬鹿にされてしまうが、雰囲気は和んだようだ。

 

 子どもながらも自分を庇ってくれたことに少し唖然としてしていたリンだがケータの厚意を無駄にしない為、すぐに状況の説明に入る。

 

 

 

「ケータ先生。シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。今は殆ど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で地下に『とある物』を持ち込んでいます。そこに先生を案内するのが私の役目です」

 

「えっ30kmって大分遠くじゃない……?」

 

「恐らく銃社会に生きる人達ですから慣れっこなんでしょうよ……」

 

 

 

 ケータ達がキヴォトス人の恐ろしさを痛感している間にリンが誰かと連絡を取り始める。ケータをシャーレまで案内するのに必要な手順なのだろう。

 

 

 

「モモカ。シャーレの部室に直行するヘリが必要──『えシャーレ? そこ今大騒ぎだよ?』……大騒ぎ?」

 

『矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こして戦場になってるよ。なんか連邦生徒会に恨みを待って地域の不良達を先頭にして周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから仕入れたみたいだよ?』

 

「……妖魔界の百倍ぐらい治安悪いでウィスね」

 

「やっぱり怖いよここ……」

 

 

 

 普段との治安のギャップに妖怪の二人ですら身を震わせる現状だった。

 

 

 

『それで、連邦生徒会所有のシャーレの建物を占領しようとしてるらしいの。なんか大事なものがあるみたいな動きをしてるけど?』

 

「……」

 

『まーでももうとっくに滅茶苦茶な場所だし──あっ、お昼ご飯のデリバリー来たからまた連絡するね先輩! じゃまた!』

 

 

 

 そしてリンの意向を無視して通話は一方的にプツンと切られてしまった。明らかに苛つきが溜まっているリンに恐る恐るケータが尋ねる。

 

 

 

「あ、あの大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫です。大した問題ではないのでご安心を……」

 

「……ですが、キヴォトスの正常化の為にも、ここに集まった暇じ──暇そうな方々の力が必要になりそうです」

 

「えっ?」

 

 

 


 

 

 

「なんでウィスかこの惨状は!?」

 

「ちょっせ、先生前に出過ぎです! 私達の後ろに下がってて下さい!」

 

「ケータ先生は弾丸一つでも死の危険があります! と言うか絶対に来るべきでもなかったんですよ!」

 

「あっ、ご、ごめんなさい!」

 

 

 

 『D.U』外郭地区・シャーレの部室付近に連れて来られたケータ達だったのだが、街中で鳴り響く銃声や轟音に怯えまくっていた。あの中の一つですらケータに命中してしまえば死に至る可能性がある。

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()、先生としてキヴォトスに招かれたケータが瀕死に陥ったら色々と問題を被ってしまうのだ。

 見た感じ不良の集団が騒ぎを起こしているそうだが、全員に共通して輪っか──『ヘイロー』がついている。

 

 移動中に聞いた話によると、キヴォトスの生徒達が持つもので、一種の生命線のようなものだという説明を受けた。ケータ達フツーの人間と比べれば身体能力も格段に上であり、銃社会が成り立ってしまっているのもヘイローが一つの原因とも言える。

 

 

 

 

「いっ痛っ! 痛いってば!! あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!?」

 

「伏せてくださいユウカ。それにホローポイント弾は違法指定はされていません」

 

「うちの学校ではこれから違法になるの! 傷跡が残るでしょ!」

 

『──皆さん。今現在この騒動を起こした生徒が判明しました。』

 

『──"狐坂(こさか)ワカモ"。百鬼夜行連合学院で退学になった後、矯正局を脱獄した生徒です。"災厄の狐"と称される程前科を持っている危険人物です。特にケータ先生を守りながら戦闘を──』

 

  

 

 ユウカ達が前線を押し上げてリンからの連絡を聞くと、前方に恐らくそのワカモであろう狐のお面をつけた女性がいるのが見えた。

 

 

 

「……あら。連邦生徒会は来ていないようですね。フフッ、構いませんが……あの建物は連邦生徒会が大事にしている物と聞いてしまったので……壊さないと気が済みませんね」

 

「あなたね! この騒動を起こした狐坂ワカモは!」

 

「あら。連邦生徒会の子犬達が現れましたか……お可愛いらしいこ──ってあら……? あららら……? 子ども……?

 

「ッ皆んな先生を!」

 

 

 ワカモはついて来ていたケータに気がつくと、お面で表情は見えないが興味を示しているのは誰もが理解できた。

 

 ワカモに見つかっていることに気づいたケータはすぐに一歩下がって冷や汗を流しながらも、どうにかこの状況を打破できないかと考えていた。ユウカ達はケータを庇うように立ち塞がるが、ワカモはそれでも興味深そうにケータを見ている。

 

 

「ケータくん……ど、どうします? なんかヤバい人が相手らしいでウィスよ……」

 

「ど、どうするって言われてもなぁ。オレとか絶対戦えないし……やっぱり誰か呼ばないと収まらないかな……?」

 

「そもそもウォッチは使えるのかニャン?」

 

「妖怪パッドが使えるので多分使えるかと……」

 

「……じゃあウィスパー。メダル出して!」

 

「誰のでウィスか? あっ、幾ら危険人物だからと言ってエンマ様とかはダメですからね!?

 

「流石に呼ばないよ……」

 

(一瞬だけ考えたけど……あんまり喧嘩とかしたくないし、呼ぶなら──)

 

「呼んでも大丈夫かな……? こんなところに」

 

「恐らくあの不良生徒達も妖怪が見える可能性が大いにありますが……取り憑いてもらえれば解決でウィスよ!」

 

「そ、それもそうかな……? じ、じゃあウィスパー! メダル出して!」

 

「はっはい只今ー!」

 

 

 

 ユウカ達が本当にケータを連れて来てよかったのかと未だに疑問に思ってはいるが、とりあえずワカモに狙われる前にどこかに隠れさせることが最優先事項なのは全員に共通していた。しかし──

 

 

 

「ケータ先生はキヴォトス外の人です。それにワカモは何故か先生を見つめています……人質に取るつもりでしょうか。それはだけは阻止します」

 

「どこか安全な場所に身を隠してもらわないと……」

 

「ケータ先生! ここはとても危ないので安全な場所に──って、先生……?」

 

 

 

 ユウカ達が怯えていると考えていたケータに目線を向けたのだが、ケータは少し怯えてはいるがワカモに目線を向けていることが分かった。同時に腕に着けている時計に何かを差し入れようとしているのが見えた。

 

 

 

「──オレのともだち! 出てこいホノボーノ!!

 

「妖怪メダルセットオン!!」

 

 

ポカポカ召喚〜♪

 

 

「えっ何この音楽!?」

 

「なんか時計から光が……!?」

 

 

ポッカポッカ!

 

ナンカヨウカ!

 

いっちょや〜るか〜♪!!

 

 

「ホノボ〜ノ!!」

 

 

 

 そして腕時計からまるで雲のような形をした黄色い生き物が姿を現した──が当然ケータ以外には見慣れない光景の為──

 

 

 

『はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』

 

 

「ボノ……? 久しぶりボノね〜!」

 

「ホノボーノ! 突然で悪いんだけど、あの人達ほのぼのさせて!」

 

「恐らくホノボーノのことは見えてるはずでウィスから、気をつけて!」

 

「危ないものを持ってるボノね〜。お任せくださいボ〜ノ!」

 

 

 

 ケータが召喚した妖怪──ホノボーノは銃を乱射している不良生徒達に全く臆さずにケータに言われた通り、未だに唖然としているユウカ達の前に立ち塞がり、不良生徒達と対峙する。

 

 

 

「な、何ですかあの浮遊物体は……!? ここに来ている時点でただの子どもではないのは分かっていましたがこんな摩訶不思議な術を使うとは……!」

 

 

 

 ワカモは突然現れたホノボーノに動揺しているものの、あの図体では戦闘能力は皆無だろうと判断するや否や、得物であるボルトアクション式スナイパーライフル『真紅の災厄』でホノボーノに焦点を向けたのだが──

 

 

 

「なっ、なんだアレ!? 雲!?」

 

「さっき喋ってなかった!? うわっ目ついてる!?」

 

「そんな危ないものは捨てるボ〜ノ……ボ〜ノ〜!」

 

 

 

 ホノボーノが不良生徒達が突然の出来事に混乱している隙に彼女達に()()()()()のを見ると訝しむ様子を見せた。

 妖怪達は各々が固有の特性を持ち、人間に取り憑くことでその特性を無理矢理引き出させたり行動させたりすることが可能なのだ。ジバニャンも以前は交差点で人間に取り憑いて寸止め事故を起こさせたりしていた。ケータによって事態は収束したが。

 

 そしてホノボーノに取り憑かれた不良生徒達が一瞬固まったのを見たユウカ達とワカモがどうしたのかと怪訝に思ったが──

 

 

 

「あれ〜っ? なんで私こんなものぶっ放してたんだっけ〜……」

 

「危ないし捨てよっ……あっちょっとあなた怪我してる!」

 

「大丈夫? 少し沁みるけど我慢してね?」

 

「うぅ……ありがとう……ごめんね?」

 

 

 

『は?』

 

 

 

 雰囲気が和んでしまった。

 

 

 






 一応ケータきゅんのウォッチはドリームなんですが、召喚ソングはこっちの方が分かりやすいかな〜って感じで初代にしてます。

 とは言ってもドリームも思い出深いので色んな召喚ソングを出したいなと思ってます
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