透き通る世界のフツーな少年と妖怪達 作:nalnalnalnal
デカグラ3章ゔゔゔぅぅ……!
でもこっちは対策委員会ですよぉ……
「……えっと〜……うん。まぁ……先生の凄さはよく分かったよ」
「わ、私達の出る幕もありませんでしたね☆」
「ん、凄いともだちだった」
ケータがオロチとヘルメット団を退けた後、生徒達と再びアビドスの教室へと集まっていた。だが生徒達は当然先刻のオロチとケータの関係について興味津々だった。
とは言えケータとオロチはともだちであるとしか言いようがなかった為生徒達はケータの凄さを実感することとなっていた。
「それに加えてそのスゴイ武器……先生ほんとに11歳?」
「
「まぁメダルなしではドライヤーみたいなもんでウィスから……」
「オレっちもたまに使ってるニャン!」ガブッ!
「オレのって言うか妖怪のものって感じですし……スゴイのは妖怪──ってジバニャンそれオレのチョコボー! せっかく残してたのに〜!」
「それとともだちになれる時点で十分凄いと思うんだけど!?」
「慣れてるんですね……」
ケータからすればキヴォトスもよっぽどおかしいと思うのだが、もう常識として通用しているのだろうと声には出さなかった。
「──で、あのヘルメット団とやらに狙われていたのは何故なんでウィスか……?」
「あ、そうでした! これからそれについてもお話ししますね」
(そんなサラッと流していいものなの……?)
(この子にとっちゃキヴォトスでの銃みたいなものなんだろ〜な〜)
「私達はアビドス対策委員会──このアビドスを蘇らせる為に有志が集った部活です。一応全校生徒で構成されているんですが……」
「えっ、じゃあ生徒は5人だけなんですか!?」
「学校がこの有様なので他の生徒は出て行っちゃったんです……」
「ケータくん。前に言った砂漠化でウィスよ」
「あっ、知ってたんですね。まぁ大体の原因はそこにありますが……」
「学校もこの有様だから住民もいなくなって、さっきのヘルメット団みたいなチンピラにも狙われてるの」
「大変ニャンね〜……」
妖怪パッドでアビドスの情報を見ながら話を聞いている中で少し含みのあるアヤネの発言が少し気になったウィスパーは、思い切ってそれを聞いてみることにした。
「『大体』って……何か他に原因があったりするんでウィス?」
「……ん〜まぁそうだね〜……」
「ん、簡単に言えば──」
「し、シロコ先輩それ言っちゃうの……?」
「先生は信頼できる。大丈夫」
「いや、でも……」
何か思うところがあるのかセリカはバツが悪そうにシロコにそう言うが、シロコは堂々とケータを信頼できると言い張った。
「えっと……?」
「まぁ、借金があるんだよね〜。アビドスには」
「あらま……それは砂漠化とは別の問題なんです?」
「いえ……数十年前に大きな砂嵐が起こってしまい、学区の至る所が砂に埋もれてしまったので我が校は克服の為に多額の資金を投入せざるを得なくなったんです……」
「で、片田舎の学校に巨額投資してくれるのは悪徳金融しかなかったってこと」
「それ以降も砂嵐は毎年大規模になって発生してアビドスの半分以上が砂に呑まれて借金がみるみる膨れ上がっていったんです……」
「自然災害でウィスか……中々理不尽な話ですね……」
「借金ってどれくらいの値段なんですか……?」
「ん〜とね……9億円ぐらいあるんだよね」
『9億ぅっ!?』
予想外の額の大きさに思わず素っ頓狂な声を上げてしまうケータ達。先生としての初任給が入ったとは言え想像を絶する額過ぎたのだ。一応元資産家がシャーレにいるにはいるが、その資産はキヴォトスに持って来れなかったのに加えて小学生のケータにとっては夢のまた夢のような額だった。
「え、それって返済できる目処は立ってるんでウィス……?」
「い、一応毎月の利息分だけで788万円……それも加味して計算すると309年返済……に、なりますね……」
「無理じゃないですかぁ!?」
「借金って複雑なんだね……」
「ヒキコウモリなら知ってそうニャンけどお金持ってニャイからニャア……」
「まぁ、こんな感じでつまらない問題なんだよ〜」
「別に先生が気にする必要はないわよ。金融なんか理解できてないでしょ?」
「うぐっ……」
セリカの言う通り、ケータは金融業界なんて経験も何もない為理解できていない。つい最近までフツーの小学生のお小遣いで娯楽を買ったりとやりくりしていてまだ大人のお金の使い方を知らないのだ。
初任給を貰った今でも最高で6桁程度のお金を目にしたことがない為9億と聞いて呆気に取られてはいたものの、気にするなと言われて気にしないケータではなかった。
「聞いてくれただけでもとても嬉しいですよ☆」
「ん、それにさっきも先生にはお世話になった。これ以上迷惑はかけられない」
「こういう裏社会みたいな情勢は難しいからね〜」
「難しいことにわざわざ首突っ込む必要はないわよ」
「ノノミ先輩の言う通り、来てくれただけでも嬉しいです!」
『……』
生徒達は揃って大丈夫だとケータ達に言うが、ケータはやはり自分がまだ11歳だから信用されてしないのかと思ってしまう。いや、実際そうなのだろう。
信用がないというよりかは流石に子どもには難しい問題だからという理由が大きいのだろう。
ケータ自身も自分が来て解決できる問題なのかと一瞬考えてしまうが、それでもやはりケータの選択肢には──
「ケータくん。ここは……」
「うん……」
「あの……」
「どうしたのさ先生?」
「それでもオレ達に手伝わせてください!」
『……えっ』
それしかなかった。目の前で困っている人達を見捨てることはケータにはできなかった。今まで色んな問題や妖怪に巻き込まれたことはあれど、その度に誰かの力を借りて解決したことが多々ある。
先生になったのだって誰かの力になりたいからという理由だからだ。気を遣われているのだろうが、ケータには関係ない。
「……先生。無理しなくてもいいんだよ?」
「そうですよ。私達を気にかけなくても……」
「──でもアヤネさんはシャーレに手紙を送ってくれましたよね」
「それは……」
「オレみたいな子どもじゃなくてちゃんとした大人の人が来て欲しかったと思うんですが……困ってる人を放っておくなんてできません!」
「そ、それだけで……?」
「先生はまだ子ども。それにキヴォトス街の人間だからいつ命を落としてもおかしくない。だから──」
生徒達はケータを巻き込んでしまって本当に良いものなのかとまだ踏みとどまっていた。特にセリカはそれに加えてまだ信用に足る人物なのかは分からないという理由もあった。
しかしケータを間近で見続けていたウィスパーとジバニャンからすれば──
「あの〜ケータくんはこういう方なので何を言っても無駄でウィスよ……」
「それにケータにはオレっち達がついてるニャン!」
初対面の妖怪と時間をかけずに仲良くなったり、妖魔界の王ともともだちとなってしまえるケータがこの程度で引き下がるような人間じゃないことはとうの昔に理解しているのだ。
それに、
「で、でも先生は子どもだから借金なんて分からないでしょ!? 下手に手を出したら大変なことになるかもしれないでしょ!」
「……お言葉ですがワタクシからすればアビドスの皆さんもまだまだ子どものようなものでウィスよ。ワタクシ達がいた場所では借金なんて大人が返済するものでしたし」
「それにケータくんは妖魔界も過去の世界も救った経験があるんですよ! 借金も含めて問題というのは何も大人が解決するものじゃないんでウィスよ」
「精神的に支えるという方法もありますし、解決までの過程にケータくんをひとつまみするだけで皆さんの肩の荷も降りると思いますよ」
「そ、そうニャン! 誰かが側にいるだけで笑顔になってくれる子だっているニャンよ!」
「……ウィスパー……ジバニャン……」
いつもは一緒にふざけて笑い合っていた二人が真剣にアビドスの生徒達を説得している姿に心を打たれるケータ。
二人もシャーレの立派な一員──特に最近はアロナとヒキコウモリの方が円滑に仕事を進められているのを見ている為少しライバル視もしている。
手伝わなければケータの給料がなくなって住む場所がなくなるのではないかという焦りもあるのだが……
やるときはやる。それがウィスパーとジバニャンというケータのともだちなのだ。そしてそれはケータも同じ。
「お、お願いします! オレ達に手伝わせてください!」
子どもながらも必死に力になりたいと頭を下げて願うケータに、生徒達は心を打たれた。
「……ここまでされちゃうと断る理由もないよね〜……? それに頭を下げるのはフツーこっちなのに」
「ん、先生達の思いは伝わった。だから頭を上げて」
「これが大勢のともだちがいる所以なんでしょうね!」
「そうですよね……わざわざ来てくださったのに追い返すような真似はできませんよね」
それは否定的な意見を出していたセリカも例外ではなかった。
「セリカちゃ〜ん? 先生はこう言ってくれてるけど」
「……わ、分かったわよ! でも信用してるわけじゃないから! これは私達アビドスの問題なんだから!」
「はっ、はい! ありがとうございます!」
「いや〜ワタクシ達もたまにはやるでしょ〜う?」
「終わったらチョコボーいっぱい買ってニャン♪」
「……ウィスパーはともかくジバニャンはそれが目的だったの……?」
「ニャハッ♪ バレちゃったニャン?」
「……ジ〜バ〜ニャ〜ン! せっかく見直したのに〜っ!」
「ちょっみ、見直したってどういう意味ニャンッ!?」
「そう言えば『過去の世界を救った』って言ってたけど……え、ほんと?」
「話せば長くなるのでまた後日に話してあげてくださいケータくん」
「……あっオレが話すの!?」
「妖怪って何でもアリなんですね〜!」
「そんなことより! これからどうするかを決めなくてはならないんじゃないですか?」
「──そうそう。それなら計画を練ってみたんだ〜」
「え、ホシノ先輩が!? 珍しい……」
「酷くない? まぁとりあえずヘルメット団についてだよ〜」
先刻のウィスパーの発言に色々と気になることが多いが、今は自分達の問題を解決するべきだと踏んだ生徒達。そして驚愕の表情を浮かべるセリカを横目にホシノから計画が話される。
「先生達も大体予想はついてるかもしれないけど、ヘルメット団は最近一定のサイクルでアビドスに襲撃に来てる。まずは奴らを何とかしないとだし……そもそも借金返済以前に邪魔されちゃ話にならないからね〜」
「そうですね……そのお陰で補給品も底をつきかけてたので……」
「ん、だから先生には本当に感謝してる」
「このままじゃ消耗戦だから、こっちから前哨基地を襲撃してやるのさ」
「確かに、今なら先生がいますから有利に戦況が進みますね!」
「キヴォトスの方達は血気盛んですね〜……ケータくん。ここはいっちょやってやりましょう!」
「あ、あんまり喧嘩とかはしたくないんだけどなぁ……」
「大丈夫だよ〜。追い返すだけだから」
キヴォトスに来てからというものの、戦闘の機会が爆増しているせいで元の生活とのギャップを感じているが、リンに豪語した身であるので頑張ろうと心の中で意気込む。
そしてケータ達は早速アヤネの支援の甲斐あってか、カタカタヘルメット団のアジトへとやって来ていた。
「こっちには先生もいるからね〜。負ける気がしないね」
「ん、今ならヘルメット団も消耗してる。やらない理由がない」
「期待されてますね〜。さぁここは一瞬でやっちゃいましょう!」
「……ウィスパーも戦ってくれたらいいのに……」
「わ、ワタクシは執事ですから! ケータくんの身の回りの世話をするでウィスよ!」
「……」
ジバニャンと合体したら結構戦えるんだからすればいいのにと思うケータだが、なるべく早く片をつける為にともだち妖怪のメダルを取り出す。
「よし……!」
「オレのともだち! 出てこいラストブシニャン! 妖怪メダルセットオン!」
レディースアーンドジェントルメーン♪
レッジェーンド!!
レジェンド〜♪
レジェンド〜♪
レジェンド〜♪
レッジェ〜ッ! ン〜ッ! ド〜ッ!!
「ラストブシニャン!」
呼び出されたともだち妖怪──ラストブシニャンはケータを見るや否や、嬉しそうな表情を浮かべてケータに歩み寄る。
「……むっ? ケータ殿ではないか! 久しぶりでござるな!!」
「久しぶりラストブシニャン! ごめんね急に呼び出して……」
「ノープロブレムでござるよ! 丁度ス〜シ〜を堪能していたところでござる。ケータ殿にも──むむっ? ここは……?」
「ごめんね……説明してる時間がなくて。今オレ達危ない人達のアジトの前にいるんだ。だからラストブシニャンに手伝って欲しくて……」
「なるほど。ソレガ〜シ〜の力が必要なのでござるな! ケータ殿にはジャポンに来てから世話になってたのでな。助太刀するでござるよ!」
「あら。意外とやる気でウィスね。完全に人選ミスだと思ったんですけど……」
「ソレガ〜シ〜も一人の武士。ケータ殿が困っているのなら駆けつけるでござるよ!」
ラストブシニャン──USAから日本にやって来た日本の文化をこよなく愛するメリケンレジェンド妖怪だ。
日本にやって来てケータには一度家に泊まらせてもらったことや売り切れ続出のパンを分けてもらった恩などがある。
その刀の切れ味や実力は間違いなく本物だ。しかし彼には色々と面倒くさい問題があるのだ……
「ありがとう! 終わったら天ぷらでも食べに行こっか!」
「テンプ〜ラ〜でござるか! ジャポンではス〜シ〜に並ぶ食べ物だと聞いているでござるよ!」
「ここジャポンじゃないんですけどね〜……」
「今言うなニャン! めんどくさいことになるニャン!」
またもや中々強そうな妖怪を呼び出して楽しそうに話すケータを側から眺めている生徒達。
「わぁ☆かっこいい妖怪さんですね!」
「な、何なのよ……!?」
ケータ達がアジト前で話していると、話し声を聞きつけたのかカタカタヘルメット団の構成員達が銃を構えてやって来た。
「あっ!? こ、こいつらさっきの……!?」
「嗅ぎつけて来たのかっ……くそっ!! こっちが消耗してる時に……!」
「──ラストブシニャン! お願い!」
「任せるでござる!!」
「無防備な者を斬るつもりはないでござるが……ソレガ〜シ〜のともだちを傷つけさせはしないでござるよ!!」
そしてラストブシニャンは素早くヘルメット団の懐に入り込み──
ザシュッ!!
「なっなぁぁぁっ!? 私のライフルがぁ!?」
「このチビ──へぶぅぅっっ!?」ドグォォッッ!!
「ナイスニャンケータ!」
「ジバニャンも手伝ってよ!」
そして、メリケンレジェンドの名に恥じぬ戦いぶりを発揮するラストブシニャンとグレるりんのメダルをセットしたブラスターで攻撃するケータ、何とか肉球で攻撃するジバニャンによって戦況はすぐに終幕へと向かって行き──
「す、すっごいね〜……おじさん達の出る幕もなかったね」
「ん、妖怪ってすごい……」
『み、見てるだけで良かったんでしょうか……』
生徒達が周囲を警戒しながら支援し、段々とヘルメット団の銃が破壊されていき、とうとうラストの一人となると──ラストブシニャンの悪い癖が出てしまう。
「ユーがラストでござる!! ラストォォ──「ごぶぅぅっ!?」──!?」
「や、やった!」
ラストブシニャンが攻撃しようとした構成員の頬にブラスターの攻撃がぶち当たり、銃もろとも吹き飛ばされてしまう。すると──
「こ、この野郎……覚えてろよー!!」
『先生! その人が最後で、全員が撤退したことを確認しました!』
「や、やった!」
「いや〜流石ケータくんでウィスね〜」
「ラストブシニャンもナイスニャ──ニャッ!?」
「な、な〜に〜……!?」
「あっ! ちょっと待っ──」
「ら、ラストを取られるとはソレガ〜シ〜一生の不覚……!!!」
「ほらこうなるニャン!!」
「ちょっとアビドスの皆さんも見てるんでウィスから──」
「かくなる上はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ハラキリソォォドォォォォォォォォ!!!!!」
これがラストブシニャンの一番悪い癖──『ラストを取られたり何か間違えたりするとすぐに切腹しようとする』ことだ。
「ちょっとやめてくださいってばマジで……ちょっやめろぉぉ!!」
「止めてくれるなラストを取られたソレガ〜シ〜に価値はないぃぃぃ!!」
「ケータ何でコイツ呼んだニャン!!」
「ごっごめんってラストブシニャン! 後で天ぷら奢るから!」
「……あ、あれは何をしてるのかな〜……?」
「わ、私達に聞かれても……と、止めた方がいいのかな……」
「よ、妖怪さんは皆んな癖が強いんですね〜……」
『あっちょっと皆さんほんとに刃が腹に刺さりそうです! と、止めてください!』
「も、もう仕方ないな〜。今日の初仕事がコレかぁ〜……」
ヘルメット団を相手するのではなく何故かラストブシニャンを止めることが目的になってしまったホシノ達は苦笑しながら切腹を止めさせにケータ達の元へと走って行くが……
「な、何なのよほんと……!? 訳分かんない……!」
セリカはそれをバツの悪そうな表情で見続けていた。
何か真面目な雰囲気になった分はハラキリで取り返す。
早くいろんな生徒と絡ませてぇ〜!
モチベーションにつながるので評価や感想のほどよろしくお願いします!