透き通る世界のフツーな少年と妖怪達   作:nalnalnalnal

7 / 10

 妖怪ウォッチのアニメとゲームを見返してるんですが、ぜんっぜん今でも爆笑できるし泣けるのスゴイですよコレ。

 BGMがいいんですよBGMが!

 


セリカの悶々とした一日

 

 

 

 

「……はぁ……」

 

 

 

 ケータ達がヘルメット団を撤退させた翌日──対策委員会のメンバー内で唯一ケータ達の協力に少なからず難色を示している反応を見せていたセリカは昨日の出来事を振り返っていた。

 

 

 

(なんなのよ妖怪って……なんであんな子どもが先生になってんのよ……)

 

(何だってシロコ先輩も信頼できるとか言って──ん?)

 

 

 

 色々と思うところはあるが承諾してしまった以上今更無理とも言えないもどかしさに悶々としていた時、視界の端に見覚えのある人影が映り始めた。

 

 

「──な、何してんの……?」

 

「あ、こんにちはセリカさん!」

 

「アビドスを散策してたんでウィスよ。今はブラスターとかの手入れも兼ねての休憩でウィスね〜」

 

「セリカちゃんもチョコボー食べるニャン?」

 

「さ、散策……? ふ〜ん。先生って暇なのね」

 

「早朝にそれ言うんでウィス?」

 

 

 

 公園内でお菓子を食べたりブラスターと見覚えのないガジェットなどの手入れをしたり伸びをしたりと、見るからにのんびりしてますよという状態のケータ達。

 

 

 

「セリカさんは学校?」

 

「今日は自由登校日だし、先生には関係ないでしょ?」

 

「じゃあどこに行くんですか?」

 

「だから関係ないでしょ? 先生はのんびりしてたらいいじゃない」

 

「えぇでもこれからホシノさん達が来るからセリカさんも一緒にって思って……」

 

「私は用事があるから。先生はホシノ先輩達と遊んでたらいいの」

 

「そんなに急用なんでウィス?」

 

「まぁ、先生はまだ子どもだし分かんないわよ」

 

「むっ、聞き捨てなりませんね! ケータきゅんはもう立派な社会人も同然なんでウィスよ!」

 

「じゃあ私は行くから。ついて来たりしないでよ!」

 

 

 

 そんなのんびりしていたケータ達とは裏腹に急用があると言い張るセリカはすぐにその用事の為なのかケータ達の前から去ってしまう。

 

 去っていくセリカをケータは落ち込んで表情で見送っていた。

 

 

 

「オレ嫌われてるのかな……」

 

「昨日あの後シロコさんが『これまで誰もアビドスの問題とまともに向き合ってくれなかった』と言っていましたからそれが原因なんだと思いますよ」

 

『先生は嫌われてなんかないですよ! きっと……

 

「そうだといいんだけど……」

 

「まぁケータのじーちゃんもあんな感じだったし大丈夫じゃないかニャ?」

 

「ケイゾウさんとはま〜た別のタイプな気がしますけどね〜?」

 

『……? ケイゾウさんって誰なんですか?』

 

「オレのじいちゃんなんだ。妖怪ウォッチを初めて作ったスゴイ人なんだよ!」

 

『お、おじいちゃんなんですか!? 先生の家族はスゴい人がいるんですね!』

 

 

 

 セリカとの関係をどうにか改善できる方法はないかと考えるケータを横目にガジェットの手入れをしているウィスパーに、ふとアロナが興味を示したかのように問いかける。

 

 

 

『そう言えばウィスパーさんは何を手入れしてるんですか? ブラスターとは違うやつもありますよ?』

 

「よくぞ聞いてくれました! これはですね──」

 

 

 


 

 

 

 ──そして、ケータ達とセリカが別れてから数時間が経ち、お昼時になった頃。

 

 アビドス自治区内に店を構えるラーメン店『柴関(しばせき)ラーメン』の店内では、一人の少女が忙しく働いている姿が垣間見える。

 

 

 

「いらっしゃいませ! 柴関ラーメンです!」

 

 

 

「何名様ですか? 空いてる席にご案内いたしますね!」

 

 

 

「少々お待ちください! 3番テーブル替え玉追加です!」

 

 

 

 その少女は黒見セリカ──店内に響き渡る活発なセリカの声色は今朝のケータ達に対するもののはかなり違っていた。

 

 そしてそんな忙しくも明るい雰囲気が流れる柴関ラーメンに、突然セリカにとってあまり会いたくない団体客が現れる──

 

 

 

ガララッ!

 

 

 

「いらっしゃいませ! 柴関ラーメンで……す……」

 

「5……7……人かな〜? とりあえず7人で〜」

 

「あらまいい雰囲気じゃないでウィスか〜」

 

「お疲れ様ですセリカちゃん☆」

 

「お疲れ。来たよ」

 

「あ、あはは……お疲れ……」

 

「こ、こんにちは!」

 

 

「なっ……ななッ……!」

 

「何でここにいるのよぉっ!?」

 

 

 

 現れたのはアビドス対策委員会のメンバー達とケータ達だった。

 

 

 

「いや〜セリカちゃんのバイト先ならここだと思ってさ〜」

 

「ホシノ先輩かぁっ……! うぅ……」

 

「お腹空いたニャ〜ン……早く食べようニャン!」

 

「そうですね! セリカちゃん案内してください!」

 

「──そうだぞセリカちゃん。折角アビドスの生徒さんが来てくれたんだから案内してやってくれ」

 

 

 

 店内で騒ぐセリカ達の前にやって来たのはセリカの恩人であり柴関ラーメンの店主である犬獣人の柴大将。

 

 

 

「た、大将……うぅ……分かりましたよ……」

 

「それで、あんたは……」

 

「あっ、シャーレってところで先生……をやってる天野ケータです!」

 

「ほぉ〜噂通り本当に子どもなのか」

 

「まぁそりゃ妖怪なんて連れてたら噂になりますよね〜」

 

「不良生徒とかの問題を不思議なパワーで解決するなんて噂があれば皆んな食いつくさ」

 

「だが、けったいなのを連れていたとしてもウチのお客さんには変わりない。是非味の感想を聞かせてくれよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 ケータを疑う素振りも見せない柴大将に迷惑をかける訳にもいかないセリカは、不満そうな顔をしながらも広いテーブル席へとアビドス生徒達を案内し始める。

 

 そしてケータ達以外が席に座ると同時に、シロコとノノミから究極の選択が出される。

 

 

 

「先生! 私の隣空いてますよ! ぜひこちらへ!」

 

「ん、私の隣も空いてる」

 

「あらま……ケータくん! ここは男らしく決めちゃいましょう!」

 

「えぇ……!? う〜ん……じゃあ──」

 

 

 

 少し驚く感情を覗かせたケータだったが、アビドスで初めて会ったのがシロコであった為とりあえずシロコの方に座ることにした。

 

 

 

「ん……」

 

「振られちゃいましたね☆」

 

「え、えぇ……!?」

 

「ちょっと狭くないでウィス? ジバニャンはケータくんの膝の上に座ってくださいよ!」

 

「そもそもウィスパーは浮いてるニャンから関係ないニャン! そんなに座りたいならケータの寝癖にでも座ってろニャン」

 

「えっやめてよ……何かイヤじゃん……」

 

 

「ちょっとワタクシの頭を見ながら言うのやめてくれます!?」

 

 

「飲食店でそんなこと言うのやめてくれる!?」

 

 

 

「先生のあのツンツンって寝癖なんですね……」

 

「それで似合ってるの凄いよね〜」

 

 

 

 ウィスパーの頭頂部の白いフヨフヨを見ながら言い合うケータ達に怒号を飛ばすセリカだったが、一応名目上は客である為注文を聞く。

 

 

 

「はぁ……ご、ご注文は……?」

 

「セリカちゃ〜ん違うでしょ〜? 『ご注文はお決まりですか?』でしょ〜そこは? それにそんな怖い顔しないでよ〜。さぁレッツトライ!」

 

あぅ……ご、ご注文はお決まりですか……

 

「う〜ん普段のセリカちゃんとのギャップがいいね〜」

 

 

「ご・注・文・は!?」

 

 

「うへ〜そんなに怒らないでよ〜」

 

「ラーメンかぁ……久しぶりだなぁ……」

 

「大体休日に行きますもんね〜。普段は給食でしたから」

 

「先生。ここのラーメンは凄く美味しいから遠慮はいらない。久々なら余計にそうするべき」

 

「……そう言えば、皆んなお金持ってるの? またノノミ先輩に奢ってもらうの?」

 

 

 

 ふと気づいたかのようなセリカの一言が耳に入るや否や、ウィスパーはケータに期待の目を向ける。

 

 

 

「ケータくん! 分かってますよね!? カードは持ってますよね!?」

 

「うん……」

 

 

 

 ウィスパーからの言葉でポケットから()()()()()()を取り出すケータ。そしてウィスパーはコソコソとケータに話す。

 

 

 

「こういうのは大人らしく奢るのが筋ですよ!」

 

「オレ大人ではないんだけど……」

 

「残念でウィスね……きっとフミちゃんが見たら『ケータくんかっこいい!』って言ってくれるのに……」

 

「オレが奢ります!!」

 

 

「え、えぇ……? 気持ちは嬉しいですが、大丈夫なんですか……?」

 

「う、う〜んおじさんも流石に罪悪感が……」

 

「わ、私も……」

 

「先生カードも持ってるんですね……? ほ、本当に11歳なのか分からなくなって来ますね〜……」

 

 

 

「ブレないニャンね……」

 

「もう好意らしきものを寄せている人もいるんですがね〜……」

 

 

 

「ほぉ〜中々やるじゃねぇか先生!」

 

「う〜んまぁこのままでもいいんじゃないでウィス?」

 

 

 

 ──その後、結局ケータに全額奢ってもらうことになってしまった対策委員会の面々は本当に大丈夫なのかと店を出ても罪悪感が残っていた。

 

 

 


 

 

 

「やっと終わった……もう……皆んなで来るなんて騒がしいったらありゃしない。特にあの3人はほんとに……!」

 

「ホシノ先輩め……昨日のことがあったからあの子を連れて来たに違いないわ!」

 

 

 

 ケータ達が去ってからも忙しくバイトをしていたセリカのシフトも終わり、辺りは既に暗くなっていた。

 

 そんな中でセリカは昨日から話題の中心に居座るケータに対して悶々とした気持ちを抱いていた。

 

 

 

「ふざけないでよ……そう簡単に私が折れると思ったら大間違いなんだから」

 

「でも……流石に大人気ないかな……」

 

 

 

 とは言えどもケータはまだセリカよりも全然年下……やりすぎなのかという気持ちも同時に渦巻く。

 

 そんなセリカの背後で、複数の人影が蠢いていた。

 

 

 

「……ここら辺も人が少なくなったな……前はこんなんじゃなかったのに」

 

「治安も悪くなってるし……私達が頑張らないと……学校だって立て直さないと……」

 

 

 

 アビドス自治区や学校について考えると、セリカの脳内には無意識にケータが思い浮かんでしまう。

 

 ヘルメット団をいとも容易く退けた妖怪の力。それとともだちになれるケータ──頼ってみてもいいのではないか。しかしその思いはセリカは未だ芽生え始めているのかも分からなかった。

 

 

 

「とりあえずバイト代も返済に充てて──えっ?

 

 

 

ドドドドドドーーーーーーーーンッッッ!!!

 

 

 

 突然目の前に見覚えのあるヘルメットを被った集団が現れたかと思うと──意識を向けていなかった背後から轟音が鳴り響くと同時に巨大な爆発によってセリカの身体が煙に紛れる。

 

 予想外の襲撃の為警戒もしていなかったセリカは煙を吸い込んでしまうが、爆撃の影響なのか意識も段々と薄れ始める。

 

 

 

「ケホッ……ケホッ……!」

 

(何よこれ……この爆発音は……Flak41改……? こいつら私を狙って……!)

 

(こんなに大人数で……しかも火力支援……!? いや、ち、違う……これは……ッ)

 

皆んなにッ……先生に知らせないと……

 

 

 

 崩れ行く意識の中でセリカは必死に身体を動かそうとしたが、それは叶わずに意識は自然と刈り取られていく。

 

 

 

「車に乗せろ。ランデブーポイントへ向かう。殺すなよ」

 

「しかし……あの訳の分からない生物を呼び出す子どもはどうしますか?」

 

「あの生物と得物さえなけりゃ脅威じゃない。本体はヘイローも持っていない。行方がバレることは……」

 

 

 

(せ、んせ……い……)

 

 

 


 

 

 

ガチャッ

 

 

 

「みんな、お待たせ」

 

「ただいま戻ったでウィス!」

 

「ホシノ先輩! 先生!」

 

「どうだった、先輩?」

 

 

 

 対策委員会の部室にケータ達とホシノが入室するや否や、セリカ以外のメンバー達は揃って焦りを見せた表情で問う。

 

 なぜ焦っているのか。なぜケータとホシノが一緒に行動しているのか。そのきっかけはアヤネがセリカと連絡が取れないと伝えて来たことだった。

 

 バイト先である柴関ラーメンから定時で上がったまではいいのだが、その後数時間に渡ってセリカと連絡が全く取れなくなってしまったのだ。

 

 アヤネがセリカの部屋を訪ねても誰も居らず、ついにはセリカのスマホの電源が入っていないことが分かり、誰かに連れ去られたのではないかという疑問が出て来た。

 

 その原因を突き止める為に先生であるケータの権限を最大限に活用していたのがホシノとケータ達だった。

 

 

 

「先生の権限を使って、連邦生徒会が管理するセントラルネットワークにアクセスできてね〜」

 

「そ、そんなこともできるんですか……!? とてつもない権限ですね……」

 

「まぁその分バレたらヤバいでウィスが……ケータくんは気に留めてすらもないでしょうが……」

 

「うん。セリカさんを助けられるなら使うに決まってるよ」

 

「それで、連絡が途絶える直前のセリカちゃんの端末の場所は──ここだったよ」

 

 

 

 ホシノが机上のアビドスの地図のとある場所を指差すと、シロコ達は険しい目つきになる。

 

 

 

「ここは……砂漠化が進んでる市街地の端の方ですね……確か不良が集まってる……」

 

「このエリア、以前分析した際にカタカタヘルメット団の主力が集まっていると確認できた場所です」

 

「じゃあ、やっぱりセリカはヘルメット団に……」

 

「帰宅途中で油断し切ってるセリカちゃんとアジトに連れ去ろうってことか〜……」

 

「人質……でウィスね……」

 

「なんて卑怯な奴らニャン! ケータ! 早く助けに行くニャン!」ダッ!!

 

「うん! 早く行こう!」ダッ!!

 

「ケータくん! ブラスターだけじゃなくコレも使いましょう!」ピューッ!!

 

 

 セリカを攫った犯人が分かるや否や、ケータ達3人は対策委員会の面々よりも早く部屋から飛び出してセリカの元へ向かってしまった。

 

 ケータの選択肢の中にセリカを助けに行かないというものなんて存在しなかった。何故ならセリカはともだち……の一歩手前のような関係性だが、ともだちと言えるホシノ達のともだちなのだ。

 

 例えともだちでなくとも、ケータは助けに行ってしまう。そういう人間が天野ケータなのだ。

 

 ウィスパーやジバニャンもいつもとは打って変わって真剣な目つきになっているのを見ると全員がセリカを本気で心配しているのだと分かるが、ケータ達だけを向かわせる訳にはいかない為すぐにホシノ達も駆け出す。

 

 

 

「先生達本気だね〜。だけどおじさん達も黙ってられないよ」

 

「思えば連絡が途絶えた後に一番最初にセリカちゃんを助けたいと言ったのも先生でしたね」

 

「ん、だけど先生だけに任せたらダメ」

 

「そうですね☆皆んなでセリカちゃんを助けましょう!」

 

 

 

 ──こうしてセリカ救出作戦が開始したのだった。

 

 

 


 

 

 

「う、うぅ……」

 

「うっ……──はっ!?」

 

「あぅ……頭痛ぁ……──って、こ、ここは!?」

 

 

 

 ガタンガタンと、どこかをトラックが走行する音が嫌になる程耳に入り込み、刈り取られていた意識が覚醒したセリカ。

 

 視界は薄暗く何も見えないような状況だったが、自分がそのトラックの荷台に乗せられているのだと分かると同時に、光が少しだけ差し込んでいるのが見えた。

 

 

 

「トラックの荷台……? あ、そっか……ヘルメット団にやられたんだ……」

 

「どこに連れていくつもりなのよ……!」

 

 

 

 ヘルメット団への怒りと自分の情けなさも同時に感じつつ、何とか脱出出来ないかと、僅かな期待を胸に光を頼りに荷台の中から外の景色を見渡す。

 

 が、そこには──

 

 

 

「ぇ……砂漠……線路……!?」

 

「線路があるってことはまさか……アビドス郊外の砂漠……!?」

 

 

 見渡す限りの砂漠、そして崩れた電車や線路が広がっていた。つまり市街地やアビドス高等学校からも離れた場所──連絡が取れない僻地。

 

 僅かな期待は景色を覗いただけで一瞬で絶望へと変わってしまった。

 

 

 

「そ、んな……ここからじゃ……どこにも連絡なんて……ッ」

 

「脱出したとしても……知らせる方法なんて……」

 

 

 

 遠く離れた場所で脱出して、対策委員会の面々は助けに来てくれるだろうか。まだ意識が覚醒して間もない……複数人を相手取ることができるだろうか。

 

 油断して不意を突かれた自分がこの状況を打破することができるのだろうか。

 

 思考が負の色一色に染まっていく──油断していた自分が情けない。しかしそれよりも──ケータに対して申し訳なさが募り始めていた。

 

 

 

『あの生物と得物さえなけりゃ脅威じゃない。本体はヘイローも持っていない』

 

 

 

 ふと、先刻のヘルメット団の発言が気になった。思えばケータは見返りも何もないのにヘルメット団を退けるのに協力……いや、自分達の力も借りずに退けた。自分よりも年下でまだ全然子どもだと言うのに。

 

 そのせいでヘルメット団からも注目された始めてしまっている。ケータは見返りもなしに力を貸してくれた。それなのに自分は協力したいと言ってくれたのに突き放すようなことをした。

 

 いつかケータが狙われるかもしれない……自分たちの為に来てくれたのにその事実がたまらなく申し訳なかった。

 

 思考が絶望に染まっていく……

 

 

 

「みんな、心配してるだろうな……」

 

「……このままどこかに埋められちゃうのかな……誰にも気づかれないように……」

 

「連絡も途絶えて……私も他の子たちみたいに街を去ったって思われちゃうかな……」

 

「裏切ったって思われるかな……」

 

「……誤解されたまま、みんなに会えないまま死ぬなんて……」

 

「そんなの……っ、ヤダよ……っ

 

「うぅっ……ぅぐぅっ……ぅっ……

 

「ごめんなさいっ……」

 

「先生ぇっ……!」

 

 

 

 セリカの心が折れかけた瞬間──

 

 

 

もひとつオマケに〜?

 

 

 

「ぇっ……?」

 

 

 

『USAピョン!』

 

 

「発射ーーーっ!!」

 

 

 

 今聞こえるはずのない、聞き覚えしかない少年の声が突然聞こえたかと思えば──

 

 

 

バゴォッ!!

 

 

 

 セリカの視界に極太のレーザービームが荷台を貫通するのが映ると、誰が見てもセリカがいるということがレーザーによって空いた風穴から理解できるようになった。

 

 視界が一気に闇から光へと転じ、中には見覚えのある少女達の姿。そしてそのレーザーを放ったであろう張本人──天野ケータがセリカの方へと走って来ていた。

 

 

 

「セリカさん! 助けに来たよ!」

 

「先生……っ?」

 

 

 

 一目散に駆け寄ってくるケータを見て更に涙が溢れてしまうセリカ。

 

 

 

「あらま……泣いてるじゃないでウィスか」

 

「な、なななっ、泣いてないから!!」

 

「調子戻るの早いニャンね〜……」

 

「セリカさん大丈夫……?」

 

「大丈夫大丈夫だからぁっ!」

 

 

 

 あの小声で放った一言を聞かれているかもしれない為照れ隠しで涙を堪えるセリカ──近寄って心配するケータに泣き顔を見られたくないから必死に取り繕っていると、ケータ達の後ろからホシノ達もやって来る。

 

 

 

「泣きじゃくってるセリカ発見!」

 

「セリカちゃ〜ん寂しかったの!? ごめんねおじさんが悪かったよぉ!! よしよししてあげるからおじさんの胸に飛び込んでおいで〜!!」

 

「泣かないでくださいセリカちゃん! その涙は私達が拭いてあげます!」

 

『よ、良かったぁ〜……』

 

 

「泣いてないって言ってるでしょぉ!!」

 

 

 

 セリカが制服の袖で目を擦って涙を流し終える数十秒間にケータ達は得物を構え始める。しかしセリカはケータが持っている武器には見覚えがなかった。

 

 

 

「せ、先生……それ……なに……?」

 

「あ、コレは妖怪バズーカって言って……妖怪の力を人に与えたりできるんです!」

 

「ちなみにセリカさんを助けた時みたいに攻撃としても使えますよ〜?」

 

「オレっち達は力持ちになったノノミちゃんに運んできてもらったニャン!」

 

「頑張りました☆」

 

「あっそ、そう……」

 

 

 

 涙を流し終えたセリカを見たケータ達は立ち上がって騒ぎを聞きつけたヘルメット団員達に武器を向けて戦闘体勢に入り──ケータはともだち妖怪を召喚する。

 

 

 

「オレのともだち! 出てこいドンヨリーヌ! ふぶき姫! 妖怪メダルセットオン!」

 

 

 

ブキミー召喚〜!
 
プリチー召喚〜!

 

 

ブキミ〜ギブミ〜
      
プリチ〜!

 

ヘルプミ〜!
      
オレッチ

 

ブキミ〜ブキミ〜
      
トモダチ

 

ヘルプミ〜!
      
ふくはウチ〜!

 

 

「ドンヨリーヌ……」
      
「ふぶき姫!」

 

 

 

「二人ともごめんね! 急に呼び出しちゃって」

 

「ケータ! 久しぶりじゃない! どうしたの?」

 

「丁度お休みだったジュバ〜ン……何か用ボボジョワ〜ン……?」

 

 

 

 ケータが呼び出したのはドンヨリーヌとふぶき姫──ドンヨリーヌはホノボーノの妻であり、彼と対になるような『周囲をどんよりとさせる』力を持つ妖怪。

 

 ふぶき姫はその名の通り吹雪、冷気を放つ妖怪でその力は絶大だ。性格面で色々あるのだが、ケータにとっては信頼に値するともだちだ。ケータにとっては全てのともだち妖怪は信頼する以外に選択肢がないのだろうが……

 

 またもや何かスゴイ妖怪を呼び出したケータに最早アビドス生徒達は驚いている暇もなかった。

 

 

 

「今ちょっと不良に囲まれてるんだ。だからお願い! 力を貸して!」

 

「不良……って、何て危ないもの持ってるの!? 分かったわ。すぐにやっつけてあげるわ! ケータは私の後ろに下がっててね!」

 

「旦那があなたのことを気にかけてたジュバ〜ン……アタクシでよければ……」

 

「ふ、ふぶき姫はやりすぎないでね! オレの近くにいる人達は味方だから……」

 

「よろしくね〜。じゃあおじさん達と先生達で半々にしよっか」

 

「ええ。任せて!」 (今この子おじさんって言った……?)

 

「皆んな気をつけて。奴ら改造した重戦車を持ってるわよ」

 

「Flak41改良型……」

 

「あんな大きい車は私が凍らせてあげるわよ?」

 

『できるんですか……!?』

 

「もうできない方がおかしいまでありますね☆」

 

 

 

 セリカは不安を感じていたがケータ達がいれば怖いものがないんじゃないかと、逆に奮い立たされる。そしてふぶき姫はその言葉通り──

 

 

 

「チッ……また気味の悪い生物を……! だが関係ない! 総員まずはあのガキを狙──「喋ってていいのかしら?」なっ!?」

 

 

 

 重戦車の前まで堂々と移動して、一言告げた瞬間──

 

 

 

「キラキラ雪化粧!!」

 

 

 

 ふぶき姫渾身の凍てつく氷や吹雪を浴びせる必殺技によって──重戦車はいとも容易く再起不能にされてしまう。

 

 

 

「なッ、ななッ……なんなんだよこンのやろ──「ボボジョワ〜ン……!」あぅ……!?」

 

 

 

 ふぶき姫の必殺技に明確な恐怖を抱いたしまったヘルメット団員にできた隙。そこを突くようにドンヨリーヌが周囲の団員へ一斉に取り憑きを浴びせると──

 

 

「……ちょっと私の弾薬勝手に使わないでよ!」

 

「はぁっ!? コレあたしの何だけど!? アンタが勝手に使わないでよ!」

 

「はぁ……なんでこんな戦いやってるんだろ……勝てる訳ないじゃん……」

 

「散々ボコボコにされたのに戦いたくないよ……」

 

 

 

 ふぶき姫によって崩れかけていた連携が完全に崩壊し、逆になんと仲間割れを始めたりしてしまう始末だった。

 

 

 

「「「「『えぇ……』」」」」

 

 

 

 数分間のうちに、ケータ達が担当している半分の団員達が戦闘不能もしくは戦意喪失状態に持ち込まれていた。そんな状況をアビドス生徒達は『うわぁ……』という顔で見ていた。

 

 

 

「き、緊張感ないな〜……」

 

「──どこ見てんだぁ!!」

 

「──ちょっとうるさいよ〜」ドグォッ!

 

「ん、セリカは少し下がってて。と言うかもう終わるし……」 

 

「何回凄いって言っても足りませんね!」

 

「な、なんなのよもう……」

 

『ふふっ、流石は先生ですねセリカちゃん』

 

「なんで私に言うのっ!?」

 

「そりゃあ守ってくれてるからでしょ〜」

 

 

 

 しけし周囲を見ればホシノが余所見しながらであるのにヘルメット団員を一方的に圧倒していたり、セリカが身体を必死に動かして鬱憤を晴らしていたり、シロコとノノミが連携して翻弄し、アヤネがドローンから火器で攻撃したり……

 

 セリカに関してはケータが遠方からバズーカで援護しているが。

 

 シャーレからの物資で攻撃手段が増えたアビドス生徒達がケータ達より派手さは少ないが、ヘルメット団をボッコボコにしているとんでもない光景が広がっていた。

 

 

 

「……これワタクシ達要ります?」

 

「アビドスのみんなも大概おそろしいニャンね……」

 

『わ、私の出番全然ないじゃないですかぁ!?』

 

「それはもう仕方ないでウィスよ……得手不得手は誰にでもありますから……」

 

「あはは……ご、ごめんねアロナ……でもセリカさんの情報を探す時にアロナがいなかったら無理だったし、いつも守ってくれてるし。アロナはスゴイよ! ほんとにありがとう!」

 

『先生ぇっ……!』

 

 

 

 一応ケータの近くでブラスターでアビドスの後方支援をして、弱って流れた敵をジバニャンが肉球で倒す。ということをしていたものの殆どとどめは他のメンバー達が決めていた為ウィスパーとジバニャンは殺伐としているのにどんよりとしている惨状を傍観していた。

 

 アロナは戦闘で有用なサポートはできるのだがその暇すら最近も今回もなかった。その為ケータとウィスパーとジバニャンに慰められることが多々……

 

 結局この戦いはホシノが言った通り半々担当で終わった。

 

 

 

 





 サラッとバズーカ出て来てますが……ホゲホエール第一形態を倒せる威力あるのおかしいんですよね。まぁ倒したと言っていいのかは分かりませんが。

 USAピョンはいつかちゃんと出したいですね〜。あとアビドスも大概おかしいと思うんですよ。ケータくんと妖怪がおかしすぎるだけで。

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