ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話   作:アルピ交通事務局

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飲み込まれた心!の巻!

 

 ミホークは出ていくことはしなかった。

 

 東の海のはずれにある小さなこの島ではぐれ武器の情報が無いのであれば自らが広告塔になる事で武器を引き寄せると決めた。

 

「ふむ……中々に悪くはないな」

 

 その辺にあるちょうどいい長さの木の棒を握るミホーク。

 

 木の棒を向けている先には薪がある。薪に向かって木の棒を振り下ろせば薪はパッキリと割れた。

 

「ふん、貴様にとってそれはとっくの昔に通過したものだろう」

 

「いや、そうでもない」

 

 アバン流刀殺法『地』の技である大地斬を完璧にマスターしている、と言うよりは元から覚えているミホーク。

 

 アバン流刀殺法と言うよりは全てのアバン殺法の技術に関して興味を示している。『地』の技を軽々とするのだからとっくの昔に通過したものと言えばミホークは考える。

 

「悪魔の実無しに強くなろうと考えれば剣に走るのは極普通な事だ。しかしこの剣が実に厄介だ……生まれながらに剛腕な者はそれなりにいる。その剛腕を活かした剣を覚えようとする。それはそれで間違いではばいがこの『地』の技とやらは最も最適な力の出し方を求めている……武器の性能や己の肉体の性能に頼らない技術だろう」

 

「……初心でも忘れていたのか?」

 

「かもしれん」

 

 剣豪として名前が知れ渡り、最上級大業物で黒刀でもある夜を手に入れたミホーク。

 

 ミホークを倒して名を売りたい者達はかなり居るだろう。そんな相手に対してミホークは軽々と剣を振るう。

 

 私の目に間違いが無ければミホークはまだ海軍本部大将を倒せない。殆ど完成された強さでありながらもまだ届いていないが、まだ伸び代がある。

 

 本人は望んで手に入れたかは知らないが、結果的には圧倒的な力を持ってしまった。その圧倒的な力で雑魚を倒し続けた。

 

 誰の助けも借りず勝てない奴は何処にも居ない……目標とする相手も理想もなにもなければ1人の武人として腕でなく性根が腐る。

 

 ミホークはその段階にまで足を運んでいた。そこで『地』『海』『空』の3つの技を見て基礎の大切さを思い出した。そんなところか。

 

「……」

 

「通報はしないのだな」

 

 私はミホークと戦わない。ミホークは別に戦っても構わないと思っている。私自身も戦うことに対しては特に異議は無い。

 

 ただミホークと私が戦えば島はひとたまりもない。ミホークははぐれ武器を探すのを優先している。

 

 ミホークは村には居るが特に悪さはしない。どういう経路で手にしたかは分からない金を用いて酒や飯を食っている。その金が汚いか綺麗かは気にしていない……マネーロンダリングの概念があまり無い、と言うよりはこの世界は島同士の交流が少ない。

 

「見ていれば分かる……アレは別格だと」

 

 ミホークを通報しようと思えば通報することが出来るのだが貴虎は通報しなかった。

 

 理由は至ってシンプルだ。増援を要求して送り込まれる海兵が何人束になっても敵わないからだ……貴虎はそれを理解しているから通報しない。

 

「さて、お前達も日々強くなっていると実感しているだろう。ここまでやってもまだ成長していないとなれば余程のカスでそれを育成出来ぬ私は無能だ……今日はお前達に必殺技を考えてもらう」

 

 農耕が終われば何時も通り修行の時間に入る。

 

 基礎がそこそことは言え出来たのだからそろそろだなと必殺技について考えてもらうことにした。

 

「おいおい、技って言うけど将軍様よ。あんた、アバンストラッシュをオレ達全員に教えようとしてんじゃん」

 

 必殺技について考えろと言うのだがここでナンジロウが意見する。

 

 武器の種類はあれども最終的にはアバンストラッシュを覚えれるようにと自警団の者達は鍛えている。

 

 1度だけ見せたアバンストラッシュは必殺技として完成されたと言ってもいいだろう。

 

「確かにアバンストラッシュは力、速さ、覇気の3つを兼ね備えるベストな技だ……純粋な武器を使った技術の中ではトップクラスに見えるがしかしまだまだ上には上と言う物がある」

 

 私はそう言うと畑で採れた大根を見せる。

 

 自警団の者達が育てている作物の1つであり、それを見ても特に違和感を感じない。この大根自体は極々普通の物であり……私は手刀で大根を真っ二つに斬った。そして大根をくっつけた。

 

「戻し切りか……手刀でする奴ははじめて見たな」

 

 ミホークに大根を渡せばミホークは大根を投げた。そして黒刀で乱切りにした……と思えばくっついた。

 

 私が大根を戻し切りをしたことでミホークの中にある対抗心の様な物が燃え上がったのだろう。

 

「アバンストラッシュは必殺技として極上の物だ。しかし最上級の物であり最強というわけではない……この戻し切りの様な技術だけならばアバンストラッシュを上回る剣術もある。他にもこういう技もある……ブラッドよ、剣を持て」

 

「……実験台か」

 

「口で言うより実戦で学べ……ふん!」

 

「っ!ぐぅ!!」

 

「ほぉ……」

 

 アバンストラッシュ以外にも使える技はあるのだとブラッドに剣を持たせた。私はその辺に落ちていた木の棒をブラッドの剣にぶつけた。剣は砕けない。木の棒も砕けない。だが、ブラッドは苦しそうな顔を浮かべておりミホークはなにをしたのか気付いた。

 

鮫衝撃(アタッコディ・スクアーロ)……剣を通じて相手の手首を破壊する技だ」

 

 鮫衝撃……コレもアバンストラッシュとは方向性が違うが充分に必殺技となりうる技だ。

 

 こんな技があるのかとミホークは面白そうに、いや、ウズウズしている……長らく強者に巡り合わなかったのだからそうなるだろう。

 

「悪魔将軍よ、お前はプロレスが主体の人間ではないのか?」

 

「その認識で間違いない……仮に私が剣の道を選んでも100点満点中の80点が限界だ。私の戦闘スタイルはプロレスだ」

 

「……80点でその領域か。ならば100点のプロレスはどれほどのものか」

 

「生憎だがお前の相手はするつもりは無い……お前達の課題は必殺技を考えること。アバンストラッシュがどの様な技の仕組みなのかは教えた。使うの為の基礎は着実と建築している……ならばそこに己の個性を詰め込め」

 

 ミホークは今にでも戦いたいと思っている。黒刀である夜を抜かないのは奇跡とも言えるだろう。

 

 ミホークは私がどれだけ剣を極めても80点しか取れないことを聞いて少し残念そうにする……何時ぐらいに斬撃が飛んでくるか。

 

「必殺技か……海賊を相手にする以上は海賊船を破壊することを視野に入れなければならない。そうなると投擲系の武器がいいな」

 

 デンゾウは投擲系の技を考える。

 

 弓矢にするのか?と聞けば弓矢は弓と矢と言う道具に依存しているので、どんな物にでも使える投擲系の技を考えたいと言う。

 

「オレはもう考えてんだよな……空気の塊を相手にぶつける、エアハンマー!」

 

「コレのことか?」

 

「ふぁっ!?」

 

 アランはエアハンマーと言う技を考えていると言ったが既にその技は私は会得している。

 

 武装色の覇気で空気を固めてぶつけるという技を見せれば、アランの頭の中で想定しているエアハンマーそのものだったのか少し落ち着く。

 

「私は速さと呼吸を極めるか」

 

 ブラッドはとにかく速さを求める。呼吸を操り一時的に身体能力を爆発的に上げ、速度重視の剣を覚える。

 

「オレはそうだな……ちょいと変わったスタイルでも見つけるかね」

 

 ナンジロウは今まで教わった物を活かせる今まで教えていないなにかを考える。

 

「オレとシュウジは武器よりも拳を使った戦闘スタイルの方が性に合う」

 

「俺の必殺技か……」

 

「……ふっ、悪くない光景だな」

 

 己に与える課題を己で考える。何をどうすればいいのかについて考えて試行錯誤を繰り返す光景をミホークは微笑ましく思う。

 

 1人での修行にはどうしても限界があるがミホークにはその常識が通じない。だがこういう空気もそれはそれで悪くはない。

 

「それぞれの持ち味を活かす技か……理論上、しっかりと鍛えればアバンストラッシュは誰にでも使える技。悪魔将軍よ、お前にはお前の必殺技があるのか?」

 

「無いと言えば嘘になりあると言えば嘘になる」

 

 各々が必殺技を思考する中でミホークは私に必殺技は無いのかを聞いてくる。

 

 必殺技と呼ぶに相応しい技はある。あるにはある……と言うよりは幾つも抱えている。

 

「世間一般の基準では充分に必殺技と呼べるレベルの物は幾つかは会得している。しかし、それで満足は出来ない」

 

 私はそう言うと人型の木を手にしてダブルアームスピンをかけて浮かび上げ……地獄の断頭台を見せる。

 

「恐ろしい技だ……受ければ即死する技だ」

 

「なにを言い出すかと思えば、必殺技とは必ず殺す技だ……お前の場合は武器を用いているが故に基本的な攻撃が既に必殺技のレベルになっている。私もこの超人ボディのおかげでただの手刀ですら凶器となりうる……しかしそれでもまだ上澄みレベルだ」

 

 私自身理解している……私の実力はまだこの世界の住人の全盛期のレベルだと。

 

 ゴールドマンの力を用いてそのレベルなのは情けない……ゴールドマンの真に恐ろしいところは億年単位で鍛えたプロレス、悪魔の実の能力の影響か老化しないので億年単位でプロレスをして鍛え上げる事は可能なものの、目の前にはミホークがいる。それはつまり着実と原作に向かっていると言うこと。やはり億年単位でプロレスの特訓が出来ないのはキツいな。

 

「……ふん!……違うな……」

 

 地獄の断頭台よりも上な技を出す方法は知っているが、どうやってそれを私が出せるかは分からない。それならば別の方向を見る……マグネットパワー?アレは基本的には触れん。マグネットパワー自体が嫌いというわけではない。この世界では異能を用いたバトルは普通にある。私のダイヤモンドパワーもそれの一種だから否定はしない。だが、マグネットパワーは星の生命エネルギー、過剰に吸い取ればこの星を潰してしまう。

 

「将軍、今度はなにを覚えるつもりだ?」

 

「武装色の覇気を用いた武具破壊技」

 

 武装色の覇気を纏った手刀で岩を破壊する……が、これではない。

 

 武装色の覇気を体外に出す、流桜と呼ばれる技術の更に先の段階である武装色の覇気を対象物に流し込み破壊する事が出来る。

 

 その技を応用した技術、あらゆる物を破壊する技……貴虎から見れば何度も何度も岩に手刀を入れている様に見えるが、そうではない。

 

「叩くと同時に武装色の覇気を流し込む……叩いた時の衝撃と流し込まれた武装色の覇気が噛み合う事で万物を破壊する技を会得する事が出来る筈だ」

 

 感覚的に言えば呪術廻戦の黒閃と二重の極みを足した技だ。

 

 だが……なにかが足りない。理屈以外のなにかが足りない……覇気は意思の力、感覚の世界の物である。何十年も修行をしているので武装色の覇気についてはコツを掴んでいると言えるがなにかが足りない。

 

 感覚が故に言葉にするのは難しい。感覚が故にそれを求めてしまえば逆にそれが何なのかが分からない。

 

「将軍さんよ、オレはこういうのを考えたんだ」

 

 後日、ナンジロウが何処かから持ってきたテニスのラケットを手にしていた。

 

 普通のボールをぶつける……私が指示している影響かどうかは分からんが接近戦主体の集団になっている。異能の類は悪魔の実を食べなければ出来ないので仕方がないが、ナンジロウは中距離以上の攻撃を考えた。

 

 まだ武装色の覇気は使えないナンジロウだが、鍛え上げた力はある。『地』と『海』の技術を合わせたサーブを用いれば常人であれば目で追うのは不可能な速度のサーブを編み出した。

 

「……感覚の世界か」

 

 テニスのサーブを見て、私の求めているものは感覚の世界で理屈を考えても仕方がないとなる。

 

 ならばなにをどうするか……黒子のバスケの緑間の超長距離(スーパーロングレンジ)シュートがいい。緑間のアレは異次元の技術であり完全に感覚の世界に入っている。1人だけ別のスポーツをやっていると言われるだけの技術だ。

 

「……」

 

 朝、目を覚ましてシュウジ達におはようと言う、食事をする時にいただきますと言う、食事を終えたあとにご馳走様と言う。

 

 それと同じ感覚で3Pシュートは撃ってはいけない。集中をする……極限までの集中だが、なにかが足りない。私自身は集中してはいるがなにかが足りない……。

 

「どうやら行き詰まっている様だな」

 

「……なにかが足りない。そのなにかは分からない……私自身、手を抜いているつもりはない」

 

 緑間の超長距離3Pシュートは出来たのだがまだまだ足りない。

 

 完全に停滞をしているのでなにが足りないのかを考えるが分からないでいれば……ミホークは黒刀を抜いた。

 

「ふん!!」

 

「ミホーク、貴様……」

 

「悪魔将軍よ、お前は強い……強過ぎる程に強い。最弱の海である東の海に居ることが異常な存在だ。既に実力は上澄み……超常的な力が使える超人系(パラミシア)や自然物になる自然系(ロギア)と異なり、鍛えれば鍛えるほどに強くなれる純粋な強さを手に入れれる動物系(ゾオン)の悪魔の実だ」

 

「なにが言いたい?」

 

「お前は追い詰められる事に馴れていない……己の肉体を極限まで鍛え上げているだけで覇気はまだ極めていない。覇気とは意思の力……氷の冷静さを持っているが故に限界まで追い込まれた時に出る火事場の馬鹿力とも言うべきものが出せていない」

 

「…………それは悪魔将軍には使えんものだ……私自身がそれを一番理解している」

 

 ミホークが言っているのは限界ギリギリにまで追い詰められてはじめて辿り着く極限の境地……その時に人はありえない力を発揮するというのは理解している。火事場の馬鹿力とも言うべき力だろう。

 

 私で例えるのならば火事場のクソ力、もしくは友情パワーだ。

 

 その存在は否定しない。その力は否定しない。むしろその力は格上を倒すことが出来る可能性を秘めているのだから。

 

 だが……私自身が何処かで分かっている。その状態を出すに出せないのを。理由は至ってシンプルだ、私がゴールドマンの力に飲み込まれたからだ。

 

 動物系の悪魔の実は基本的な性能を上げるのにこの上ないが……その分、その動物の力に飲み込まれて人格が変わることがある。

 

 インペルダウンの看守の能力者がそれであり、私はゴールドマンの力に飲み込まれており火事場の馬鹿力もとい火事場のクソ力を出すためのキッカケである感情のトリガーが無くなっている……無論、感情が無いのならばなにも思わないと考えるのが正しいだろう。

 

 自分自身の心が枯れていると思っているだけで、本当は気付いていないだけで分かっていないだけで心を持っている……だが……それだけだ……

 

「地獄の九所封じその1!大雪山落とし!」

 

 心は何処かにあるかもしれない。ただその引き金の引き方は分からないし、仮に分かっても物語の主人公達の様な使い方は出来ない。

 

 巨乳がやたらと多いこの世界の美女達の裸体を想像して心の力を強くする、弱いけれども頼りになる仲間の為に自分が強くなる……そう言った使い方は出来ないだろう。

 

 地獄の九所封じの最初の技、大雪山落としをミホークはまともに受けた。

 

「ぐぅ……背中の感覚が」

 

「ミホークよ、お前に逆にやり返してやろう……何時ぶりだ?自分が追い詰められるのは」

 

 ミホークは私と戦う大義名分を得たいからと襲ってきた。限界以上を引き出してやると意気込んでいたがナメるのも大概にしろ。

 

 最初に会った時に言っていた様に周りへの被害を考慮せずにミホークが暴れたとしたら最後に立っているのは私だ……。

 

 ミホークは攻撃の余波でなく意図的に周りに被害を与えて私から無理矢理隙を作るという無粋な真似はしない。その行為をしたとしても最後に立っているのは私だが、そうなると色々とややこしい。ミホークは地獄の九所封じの8番目、握手を受けて意識を失った……やはり8番目を零の悲劇にするのは難しいな。

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