ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話   作:アルピ交通事務局

14 / 35
革命家襲来!の巻!

 

「ほぉ、面白いのが来たな」

 

 普通に馴染んでいるミホークは望遠鏡でなにかを見つけた。

 

 見聞色の覇気でこの島に向かって船が近付いてくる……何時もの様に暴虐非道な海賊達ではない。悪意の様な物は感じない。

 

「アルティメットアイ!」

 

 悪意の様なものを感じないどころか力の大きさがバラバラだ。強い者は強いが弱いものは弱い。

 

 海賊ではない、海軍ならば事前に貴虎になにかしらの連絡があると思いアルティメットアイを使い遠くにある船を見る。

 

「アレは……」

 

「さて、やるか」

 

 船には海賊の証である髑髏の海賊旗は掲げられていなかった。代わりに別の物が掲げられている。

 

 アレは確かと思い出そうとするとミホークは黒刀を抜いて……

 

「海波斬!」

 

 アバン流刀殺法、海の技。海波斬を使った……

 

「それはお前の通常攻撃だろう」

 

 海波斬を使わなくても海波斬と同じ現象を起こすことが出来る。通常攻撃でなく海波斬として使った飛ぶ斬撃は今までよりも鋭い斬撃であり船に向かって飛んでいくが途中でなにかとぶつかり弾けた。

 

「ふむ……アバンストラッシュはアレを破るか」

 

「なんだ、アバンストラッシュに憧れたのか?」

 

 ミホークの海波斬がなにかにぶつかったと思えばミホークはそれを上回るさらなる一撃、アバンストラッシュAを考える。

 

 コイツは既に自分ならではの剣術等の答えに至っているのだが、どうやらアバンストラッシュに対して色々と興味を抱いたらしい。アバン流奥義に相応しい技術だから惚れ込む奴は惚れ込むだろう。

 

「アバンストラッシュはやめておけ、あの船が沈む」

 

「将軍、アレを受け入れるのか?」

 

「出来れば来ないで欲しいのだがな」

 

 海賊旗を掲げていて程良い強さの海賊達ならばシュウジ達に戦わせる。しかしやってきたのは海賊旗を掲げていない船だ。ただし商船ではない。海賊旗とはまた別の厄介な物を掲げている。

 

 ミホークが海波斬を使ったので流石にシュウジ達も気付いてやってきた。

 

 望遠鏡を覗き込めば船がやってきていることが分かるのだが……対応に困っていた。

 

「アレは……どうすればいいんだ?」

 

「向こうの出方次第だ」

 

 シュウジがどういう風に対応をすればいいのか分からないので私に聞いた。

 

 どうすればいいもなにも向こうの出方次第……下手な事はしてこないだろうが、なにが目的なのかは読めない。

 

「存在が存在の為に、コイツが軽く威嚇した」

 

「構わん。一部からはそういう存在と見られているのだから」

 

 やってきたのは革命軍、革命家のドラゴンの船だ。

 

 ミホークが攻撃してきた事について軽く弁明をすればドラゴンは自分達は世間からよく思われていない立ち位置の人間である事は自覚しているので攻撃された事についてはとやかく言わない。

 

「革命家ドラゴンか……なにをしに来た」

 

「すまないが上陸をさせては貰えないだろうか?」

 

「なにが目的だ?」

 

「船員を休ませたい……俺の様に訓練している者は僅かでな、そうでない者達は馴れない旅で疲弊しているんだ」

 

 ドラゴンがこの島に上陸したいと言うのだが目的が分からない。目的を聞けば船員を休ませたいと言う。

 

 ドラゴンの様に力強い気配を持っている者は何人かは居るが、ドラゴンの乗っている船では少数と呼んでもいいレベルの数であり大半は衰弱している。肉体面の疲労でなく精神面での疲労……ドラゴンは親があのガープだ。そして海軍に居て色々と訓練をしている。だから船の旅には慣れているだろうが、ドラゴンの船に乗っている者達はドラゴンの様に訓練をした人間じゃない。本当に一般人な人間が乗っている。

 

「私はこの村の自警団の長であって、村長ではない。お前が村長に話を通して上陸許可を貰え……まずはお前だけが上陸しろ」

 

 ドラゴンは何時もの海賊とは異なっている。倒す理由は特に見当たらないのでまずはとドラゴンの上陸のみを認める。

 

 ドラゴンはかたじけないと一礼をした後に島に上陸し、村に足を運んで村長に船員達を島に上陸させていいのかの許可を貰った。

 

「あの〜出来ればその辺も判断してくれた方が」

 

「一応はお前の顔を立てているのだぞ?」

 

 既に数千万以上の賞金首のドラゴンを堂々と連れてきた事に村長は驚いた。

 

 ドラゴン=悪人という認識はしていないが、あの顔で革命家なので村長はどうしても怯えてしまう。大丈夫な人間ならば私の裁量で上陸許可を出してくれと言うがそれをすれば村長の顔が立たない。村の長という意味は無くなる。

 

「まさか海兵狩りのミホークがこの様なところに居るとは」

 

「世界政府打倒を目論んでいる革命家ドラゴンがこの様な辺境の地に来ようとはな」

 

 ミホークとドラゴン、どちらも互いに有名な存在だ。

 

 東西南北、四つの海の中で最も最弱と言われている東の海の端っこにある名物らしい物が無い島に居ることは見る人によればありえない事だろう。現にミホークはドラゴンが偉大なる航路に居る存在と認識している。ドラゴンもミホークを偉大なる航路に居る存在と認識している。

 

「それで、なんの用だ?」

 

「最初に言ったとおりだ……俺の軍の兵達は志願した義勇兵だ。素人の集まりでこれから偉大なる航路に入り長期の航海をする前の一休みだ」

 

 改めてこの島になにをしに来たのかを聞けば最初に言ったとおり、この島で休むと言う……嘘は無いか。

 

「海兵狩りのミホーク……どうだ?俺と一緒に行動しないか?」

 

「世界政府を相手に喧嘩か……唆られないと言えば嘘になる」

 

 ミホークの正しい情報をある程度は知っているドラゴン。義勇軍もとい革命軍に入らないかと誘いを入れれば少しだけミホークは興味を抱く。

 

「やめておけ、そいつは色々と無茶苦茶だぞ……高い戦闘力を持っているだけに歯止めがきかん」

 

 シュウジ達の修行にはなっているとはいえ、シュウジ達が全力じゃないと回避する事が出来ない飛ぶ斬撃を定期的に飛ばしてくる。

 

 そのせいか武装色の覇気よりも見聞色の覇気に偏りが生まれている……おそらくは全員先に使えると言えるようになる覇気は見聞色の覇気になるだろう。

 

「これでも賞金首だからな。俺の存在を喋らない口止め料として自警団へ払っているつもりだが」

 

 口どころか命すら止まる物を渡すな。

 

「この島に上陸する際に1人の海兵を見た……どうやら根回しはしているみたいだな」

 

「根回しと言うよりは勝つことが不可能な相手に挑みたければ挑めと言っているだけだ。ミホークもお前もどうにかしたければ最低でも海軍本部中将クラスの猛者を呼ばなければならない……仮に通報してもここから海軍の支部は遠く、その支部に居る海兵達はハッキリと使い物にならん」

 

 海兵になれば美味しい思いをすることが出来る、そういう邪な考えを持った上で海兵になっており向上しようとする者達は居ない。

 

 自分よりも格上な海賊は最初から見なかったことにし数十万ベリーぐらいの海賊ならば威張って倒そうとする……なんともまぁ、情けない海兵だ。

 

「自警団という物を率いているのならば、情けない今の世の中に対して不満を抱いているか」

 

「……私をスカウトか?」

 

「勘違いするな。ここに来たのは船員達を休ませる為だ。それに関しては嘘じゃない……だが、ここに加わればこの上なく強力な味方になる人間が居るのだからスカウトするのは普通の事だ」

 

 ドラゴンは私が自警団を率いて海兵に対して文句を言っているのならば今の世の中に対して不満を抱いていると認識しスカウトした。

 

 それが最初から目的だったのかと視線を向ければドラゴンはここに立ち寄ったのはミホークのスカウトでも私のスカウトでもなく、船員達を陸に上がらせて心を落ち着かせる為だと、最初に言ったとおりだと主張する。

 

「今の世界を変えなければならない……その為には力が必要だ」

 

「……この世には絶対的に正しいことなんて無い。人間は良くも悪くも前に進むように出来ている。変わらないことを許さない秩序の形成と言う名の変化の無い世界の管理をする存在が居るのならば悪魔将軍として管理者達を倒そう」

 

「なら」

 

「だが、それだけではなにも変わらない……ただ敵を倒しただけに過ぎない。管理者達を倒すのもいいがその管理者達が居なくても世が動く新しい可能性も見せなければならない。その可能性をお前は見つけていない」

 

「新しい可能性……そんなものが」

 

 新しい可能性と言われてなにかを思い浮かべようとするがなにも浮かばないドラゴン。

 

「今の秩序を管理しようとする管理者達を倒すと言うのならば、新しい可能性を見せなければならない……管理するのでなく、それで成功するという一例を」

 

 革命軍に関して心が揺れ動かないと言えば嘘になる……だが、革命軍は足りていない。

 

 今の秩序を作っている者達でなく今の秩序を変化させず管理しようとしている者達の討伐を目標としている。無論、革命を起こす上ではそれはしなければならない事だ。だがそれだけでは意味が無い。新しい可能性を見せなければ同じことを繰り返す。

 

「世界政府を倒した後の事を言っているのか。先を見るのは構わんが、それは成功してからで」

 

「なにも世界政府を倒した後の事ではない、今やっている事を続けるのならば何処かの段階で国家転覆は実行するだろう。お前の手腕ならばその辺の国の国家転覆は容易い……転覆した国家に対して新しい可能性を見せなければならない。新しい可能性を見せなければ、今度はお前達が天竜人と同じ道を辿るだけだ」

 

 私の発言で空中に黒い稲妻の様な物が発生する。

 

 自分達が目指している革命の先が自分達が最も嫌悪している存在だと言えばこの上なく不愉快だろう。

 

「新しい可能性、お前の中にはあるのか」

 

 ドラゴンが怒りで行動しないように自分自身を抑えようとしている中でミホークが聞いてくる。

 

「それが正しいとは言えん……だが、新しい可能性は引き出せる。貴族に生まれた人間は余程のヘマをやらかさない限りは貴族のままだ。逆に市民に生まれた人間は余程の功績を上げない限りは市民のままだ。故にどちらも怠惰になる」

 

「……確かにそれはかなりの数を見かけたな」

 

 どれだけ頑張っても上に上がれない、どれだけ怠惰に過ごそうが落とされることはない。それではなにも意味は無い。

 

 ミホークはそういう人間はかなり見かけたと呟いた。

 

「不平等ではあるが様々な機会を与える……恵まれた環境で怠惰になると言うのならば迷いなく地に落とす。それが国を統べる者であろうとも。天竜人が生まれながらにして王であるのならば、そこらの農家の人間でも生まれた後に王になれる権利を手にする事を可能とする」

 

「待て、その様な事をすれば」

 

「争いになるだろう……だが、それのなにがいけない?人は張り合ってこそ、競い合ってこそ、戦ってこそだ」

 

 誰にでも上に上がれる権利を持っているのであれば、その権利を行使して上に上がろうとする者達は当然出てくる。

 

 その権利を行使しようとする者達同士での争いが起こるとドラゴンは危惧するが私からすればそれはいいことだ。誰かと競い張り合い、戦ってこその人は生きていると言える。

 

 絶対的な神から何もかも不自由なく与えられては生きているとは言えん。なによりも、それでは神を越えることは出来ない。

 

「秩序の管理者を倒すだけではなく秩序の管理者の思想では引き出せなかった進化の可能性を世に見せつける、そうする事ではじめて革命は起きる」

 

「…………」

 

 革命を起こすには秩序の管理者を倒せばいいというわけではない。

 

 新しい可能性と言うものを見つけ出して見せつけなければならない。その事について言えばドラゴンはこちらに向けて放っていた威圧感を納めた。

 

「可能性を見せることでの革命か……考えたことも無かったな」

 

「ふん、少しは頭を鍛えろ……何処かの段階で何処かの国を国家転覆したならば可能性を見せつけろ。そしてスカウトの話だが生憎、お前の下につくつもりは無い」

 

「革命を起こさなければならないロクでもない世の中なのは理解はしているが、俺の様な人間を集めてもたかが知れている。興味はあれども悪いが他を当たってくれ」

 

 ドラゴンは私が来てくれれば革命軍の足元を盤石の布陣にすることが出来るとスカウトするが断った。

 

 ミホークも武力だけでは世の中を渡り切るのは不可能だというのを身を持って味わっているからか、ドラゴンの誘いには興味は抱くもののそれだけではなにも出来ないので断った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。