ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話 作:アルピ交通事務局
「さーて、テメエら。オレの耳が悪かったからもう一度だけ聞いてやる。なんだって?」
ドラゴンのスカウトを蹴った。ドラゴンは私やミホークはスカウトしたかったが断った以上は無理強いはしない。
仮に革命軍に入りたいのであれば何時でも構わないと言う感じの姿勢を貫いており、そんなこんなで数日経過した。
ドラゴンが言っていた様に一般人だった船員達は馴れない航海で疲れていた。特産物と呼べる物は何もないが平穏な村に上陸して普通に過ごすことで精神的疲労等が抜けていき数日の間で元気になった。そして新たに問題が生まれた。
マツシロが額に青筋を浮かべながらポキポキと指を鳴らしている。革命軍の1人はマツシロから放たれる威圧感に対して顔を青くしながらも頭を下げた。
「お願いします。どうか食糧を、小麦を分けてください!粉にするのは我々で行いますので」
「……貴様も1つの軍勢を率いる長なのだろう」
「すまん……」
マツシロが栽培している小麦を革命軍は譲ってほしいと頼んだ。小麦粉にするのは自分達の力で出来るから、小麦の状態で構わないと言っているがそういう話ではない。マツシロが金を得るのと体を鍛える為に耕した小麦をタダで譲ってくれと言っている。
革命家であるドラゴン率いる革命軍、と言えば聞こえはいい。原作が開始した頃には大きな勢力になっているが今の段階ではまだまだ小さい勢力だ。故に裏で金策を支える者達は圧倒的に少ない。それに対してドラゴンは人を多く助けようとしている。戦う意思があるものを!と手を伸ばしていてドラゴンのカリスマ性に魅了された者や不幸な今から脱却する為にと立ち上がる者はそれなりにいる。
そうなると革命軍の稼ぎに対して、革命軍が必要とする物資が足りなくなる。
武器系は最悪鍛え抜いた筋肉や覇気でどうにかなるが食料だけはどうにもならん。
「ミホークですらジャガイモを栽培しているというのに……」
「あのミホークが?」
だから食料を譲ってくれと頭を下げている……その行いを見てミホークですら野菜を栽培している事をボヤけばドラゴンは驚く。
ミホークと言えば剣士として名高い、だから剣術道場を開くことも出来るが自警団以外は幼い子供が多いのと確実に手加減が出来ないのと回避が出来なければ死ぬがいいと言う感じの修行をさせるので剣は教えさせてない。
「今回の小麦はよ、品種改良を兼ねて手間暇かけて作った小麦なんだよ。普段は発芽していねえが、今回の小麦は発芽している小麦だ。発芽していることで通常の小麦と異なって甘い小麦になっていて砂糖無しでも甘いパンを作れる優れものだ。普通に売るとしても通常よりも高くする予定だ……それなのに譲ってくれだ?物乞いしなきゃならねえなら革命家なんざ止めちまえ!!」
色々と手間をかけて作った小麦を僅かでいいが譲ってくれと頼み込む革命軍に対してマツシロは激怒している。
収穫率が米よりも良い小麦。世界中で主食として親しまれているパンを作るのに必須な物だ……手間暇かけて育てた自分の小麦を値段を吹っ掛けるならばまだしも、タダと言う事もあってか何時手が出るか分からない状態だ。
「……ドラゴン、六式をマツシロ達に伝授することは可能か?」
「出来なくはないが……教わる側が覇気と同様に得意不得意がある。六式全てを鍛えるのでなく六式のどれかを鍛える方がオススメだぞ」
「構わん……マツシロ達に六式の基礎を教えてやれ」
「それはつまり」
今回はそれを支払いの代金にする……あまりこういう例を作ってしまえばそれに誰かが群がる可能性がある。
マツシロに小麦の適正な価格の金を渡せば不服そうにしていた……小麦の全てを譲れと言うわけではないがそれでもそこそこの額だ。その額分の小麦粉を商人に売り渡せないとなれば商売の間にある信頼や信用が生まれない。こういうことはあまりよくない行いなのは分かっているが無駄に話を長引かせたくない。
「たくよ、お前等金稼ぐ方法ぐらいは考えとけよ!!」
「お前達の様に農耕が出来れば食糧問題等がどうにかなるのだがな」
「バカか。それ以外にどうにかしろつってんだよ!幾ら貧乏軍隊だからってなんかあんだろ!」
小麦を売ることは認めたが、こういう行いは良くないことと認識しているのでマツシロは怒りが早々に納まらない。
ドラゴンは農耕することが出来れば食糧問題等が一気に解決する事が可能だと考えるのだが土地が無いのでそれが出来ない……勢力を拡大すれば農耕をする事が可能な土地を手に入るが、それは未来での話だろう。
金が無い貧乏軍隊なのは自覚している……賞金首を金に変えようにも革命軍の人間の足が割れればその時点で詰む。それがわかっているので下手に賞金首を倒して賞金に変えるという事は出来ない。
「これから先に金は確実に必要となる……今回はコレで済んだが、次はそうもいかん」
「それは分かっている。海賊達から略奪をしているが、行いが行いのために収入が安定しない」
「そうではない。純粋に金を稼ぐ方法を学べと言っている」
「農耕は何れそれをする為の土地をだな」
「それ以外にも金を稼ぐ方法を学べと言っている」
貧乏軍隊をどうにかするには何処か農耕に向いている土地の確保と考えているが何故そうなるのだ。
確かに食料と一緒に金を得る長い目で見れば効率がいいものだが、それだけが全てではない。
「……いいか、貴様の事だから武力を強化しようと考えているだろう。それ自体は間違いではない。だが、組織運営をするには他にも色々な部署が必要だ」
「諜報員も何れは」
「それ以外にも必要だと言っている……戦うことが出来ないが何かしらのことは出来る者は確かに居る筈だ。そういう人材をスカウトして何処かの島を開拓し組織の足を支える裏方の存在にするんだ」
「……言いたいことは分かる。だが、それこそ悪魔の実の能力でもない限りは1日や2日で撒いた種が作物に実らない」
「それ以外にも売れるものはある……最も、それは覚悟が必要だが」
組織を運営するのに必要な裏方を増やせと言えば農耕を頭に過ぎらせるドラゴン。直ぐには成果は出ないと言うので他にも売れる物はあると言っておく。
「料理のレシピを売れ」
「なるほどな……確かに料理じゃなくてレシピを売るってならいい話だ。だがよ、東西南北の海で食材は異なるし偉大なる航路なんざ未知の世界だぜ?」
料理のレシピを売れと言えばなにが言いたいのかマツシロは即座に理解した。
レシピを使ってもいいですよの契約をする。何処でも同じ味を楽しむことが出来るのはいいことだが、東西南北の海で食材は大きく異なるので同じ物は作れないと言う。
「小麦ならば何処でも確実に手に入るだろう……そして小麦を使った主食、パンがある。パンのレシピを開発し、そのレシピを教えてそのパンを売ってもいいと言う契約をして料金を徴収する」
かの有名なカーネル・サンダースが巨万の富を生み出したフライドチキンを広めた現代では当たり前の方法、フランチャイズだ。
この世界では飲食店のチェーン店なんて考えは殆ど無いに等しい。あったとしても、嘗て修行した場所から暖簾分けした程度だろう。そして大抵の飲食店が動き等を見て盗めという厄介な考えを持っている。
「レシピ契約することで一定の額を常に搾取する事が出来る。売れるレシピを作る事に成功すれば次に作るレシピも買いたいと願うだろう」
「そうか……しかし料理のレシピを売るとなれば料理人として築き上げた物を手放さなければならん」
「ふん、馬鹿者が。売る料理はある程度はシカな料理で構わない。その上で一番美味いと思わせればいいだけだ」
料理を料理でなくレシピで売ることに対して反対される可能性があると危惧するドラゴン。
そんな何処の誰が作ったのか分からない物凄い高度な料理なんて食べる人間は極僅かだ。シカな料理で一番美味いと思わせればいいだけ。
「料理人と呼ばれるレベルの料理人ならば簡単に作れるシンプルな物、尚且つ後で色々と加工しやすい……シンプルで加工しやすいパンを作ればいい。難しい料理よりもそちらの方が海の境目を越えて作られている。何故ならば簡単に作れて後から自分ならではのオリジナルを出せる」
「そうと決まりゃ、何処の海でも作れるパンを作らなきゃならねえな」
まだドラゴンがパンのレシピを売ると言う事について頷いてはいないのだが、マツシロはパンを作る事に賛成した。
他にも色々と金を得る手段はあるが色々と教えて色々と手を出すのが一番厄介な事だからとパンのフランチャイズにのみ絞る。
最終的にはドラゴンはパンのレシピを売ると言う事を飲み込んだ。料理人達と協力して何処の海でも売れる美味しいパンを作る事になった……が、意外とも言うべきかマツシロがあっさりと完成させた。
何処の海でも食べれる、多く食べて貰うには毎日食べるパンがいい。そうなると食パンが売れ筋だとマツシロは食パンを焼くのに必要な食パンケースを加工し上下差3cmの食パンケースを作った。そのケースだけでは美味い食パンは作れないと通常の食パンに更に手を加えた、パンを作って生計を立てる事が出来る者ならば手間はかかれど作れる美味い食パンを作り上げた。
「マツシロよ、随分と今回の件は乗り気だったな」
革命軍に小麦を譲ってくれと頼まれて怒りを顕にしていたマツシロだったがパンを作ってそのレシピを売ると言う話になってからは一転、マツシロは乗り気になった。
六式の基礎をドラゴンから教わっていた際にはそれだけかよと不服そうにしていたのだがこの話になってからは上機嫌だった。
レシピが完成した後もマツシロはとても機嫌がいいのでそのことについて聞いてみた。
「こう見えてよ、オレは昔はパン職人を夢見ていたんだ。世界に名を轟かせるパン屋じゃねえぞ。狭い空間のほのぼのとした街のパン屋だ。パンに合わせて酵母を変えたりする感じなちょっとオシャレな感じがしているパン屋だ」
「……だから小麦を選んだのか」
「ああ、それもある……つっても、こんなご時世だ。のんびりパン屋なんざやってられねえ。それもこれも、ゴールド・ロジャーが大海賊時代なんて迷惑なもん作りやがったせいだ。あいつさえ居なけりゃ今頃は……なんて言ってられねえか」
……やはり、ロジャーが作った時代はいいことにのみ作用はしていない。マツシロの様に悪い方向に作用しているか。
ロジャーについて悪く言われるがなにも思わん。血縁関係はあるが会ったこともない人間のためにどうにも感情が湧いてこない。
「ドラゴンよ」
「なんだ?」
「見ての通りだが、私は悪魔の実の能力者だ……ふとあることを思い出してな。その能力が使えるかどうかを試してみたい」
パンのレシピが完成したが革命軍達はまだ出ていかない。普通の海賊ならば記録指針に頼ればいいが、ドラゴン達はそうはいかない。
圧政に苦しむ国等の情報を集めたりと色々とある。まだ出ていかないのであればと、ふとあることを思い出す。
私が食べた悪魔の実、ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマン。今の私はこの悪魔の実の能力を覚醒させて常時悪魔将軍の姿になっている。
使う理由が特に見当たらないので今の今まで考えていなかったが、この能力も悪魔将軍である私ならば可能なのではないのかという疑問を抱いたので試すことにした。
おそらくは船ならば可能だと思いドラゴンの船、ヴィント・グランマ号の一室を借り……超人パワーを用いた。
「やはりか……流石は慈悲の神に作られた原初の超人だ。神に等しき力を持っている」
私の予想通りの結果が生まれた……流石はゴールドマンの力としか言いようがない。
超人パワーによって出来上がった物に満足をすれば借りていたヴィント・グランマ号の一室を出た。外にはドラゴンが居た。
「出てきたという事はなにか達成したな」
「ああ……貴様にとってはそれなりの朗報だろう。開くがいい」
「どれ……なっ!?」
ドラゴンにしたかった事については出来たと報告すれば何をしたかったのかの確認をする為に私が出てきた部屋に入った。そして驚いた……本来であればそこはドラゴンの船であるヴィント・グランマ号の一室だ。しかしここに私の超人パワーを用いたことでありえないこと、即ち異界が生まれていた。
悪魔将軍、いや、ゴールドマンがザ・マンが作り上げた超人墓場を模して悪魔超人の本拠地である魔界を作ったとキン肉マンで言われているのでゴールドマンの力で異空間を作ることが可能ではと。ドアドアの実やウタウタの実のように悪魔の実の中には異空間を作ったり干渉したりするタイプの能力があるので不可能ではないと試してみたら見事に成功した。
「これは驚いたな……まさかこの様な事が可能とは」
「不服であれば元の空間に戻してやる……拡張はせんぞ」
「いや、これで充分だ……船に乗せれる物を増やせるだけで心強い……パンのレシピ販売方法といい、異空間といい、お前には貰ってばかりだな悪魔将軍」
「ふん、貴様があまりにもだらしないからケツを叩いたまでだ……貴様がこれから先に戦いを挑む相手は秩序の管理者だ。秩序の管理者は時に全知全能の力を用いてくる。果たして貴様の様な革命家が何処まで足掻けるか」
「今に見ておけ。世界を変える軍隊を作ってみせる」