ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話   作:アルピ交通事務局

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さらば自警団!悪魔将軍のマッスルスパーク!の巻!

 

『貴様ッ……冗談では』

 

 ロジャーの血筋を絶やす為に当時、必死になって疑いが出た時点で殺すような真似をしていた。

 それほどまでにロジャーに対して世界は警戒をしていた……血筋を絶やしたと思っている中で一応は血の繋がりがある人間が居るのであれば、尚更だろう。

 

 悪魔の実の能力が普通の人にとっては恐怖の象徴で化け物と罵られる事はそれなりにあるのでその手の話かと思って聞いてみれば全く別のもの、存在してはいけない存在がまだこの世にしっかりと残っている。センゴクはこの話が冗談かどうかの確認をしたいが私は電伝虫の通話を切る。弟がロジャーの父であり、ロジャーの叔父である事実は変わりはない。その上でセンゴクが何時かは悪として芽吹く可能性がある人間を先に悪の芽になるかもしれないからという理由で摘み取るタイプの人間なのは理解している。

 

「将軍……今の話は……」

 

 自警団が生まれる原因でもあり、世界中が抱えている悩みの種である海賊。

 その海賊が増える原因を作った諸悪の根源とも言うべき存在、ロジャーの血筋である事を知れば自警団の者達は動揺を隠せない。

 先程までの貴虎が海軍本部に栄転する事を皆で祝おう!と言う空気から一転……ではないな。空気そのものが死んでしまっている。

 

「天のダンベルよ!リングをここに!」

 

 私は天のダンベルを取り出して地面に叩きつけた。

 ピシリと地面に亀裂が入れば地面からプロレスをするのに相応しいリングが現れ、私はリングの上に立った。

 

「ナンジロウ、デンゾウ、アラン、マツシロ、ブラッド……そしてシュウジよ。1人ずつかかってくるがいい」

 

 色々と思うところはあるだろうが、言葉にして伝えるにはあまりにも言葉を考え選ぶ時間が短すぎる。

 今の私は超人なのだから戦いを経て語り合う事を選んだ……誰が出るのかと思っていれば、真っ先にマツシロがリングの上に立った。

 

「海賊達さえ居なけりゃオレはパン職人を目指していた!パン1つ1つ、酵母を変えて拘ったりする美味えパンを作って村の評判のパン屋になりたかった!そしてあんたの告白で気持ちの整理は付かねえ……あんたがそういう人間なのは理解してるつもりだ」

 

 ゴキゴキと腕をマツシロは鳴らす。

 気持ちの整理が追い付いていない、だからこそ気持ちを整える為に例え勝ち目が無かろうとも私に挑まなければならない。

 

「ふん!」

 

 別になんてことはない。筋肉が豊富な男が自分にとってやりやすいやり方での正拳突きをした。

 それはこんな所では早々に見ないものだが、それでも見るようになっている。

 

「中々のパワーだ」

 

「料理人は力と体力が居るんだ……なによりもオレはパン職人。筋肉を増やすことでパン生地を良くする事が出来る太陽の手甲(ガントレット)を手に入れる為の筋トレは欠かした覚えは無い!」

 

 正拳突きを真っ向から掴んで受け止めた。腕の筋肉のおかげでいいパワーが生まれている。

 このパワーは何処から生まれているものなのかをマツシロが答えた。パン職人として手に入れた物だと……己の夢を果たす為の努力をした末に手に入れた力か。

 

「っ!」

 

「いい反応だ」

 

 腕を引っ張ればこのままだと腕が折られると感じたマツシロは腕を下に向けて垂直に、逆立ちの様な体勢になる。

 このままでは終わると言う反応は中々の物だと感心しながらも持っている腕を離せば自然とマツシロの手は地面に向かうが、地面にぶつかる前に間に入り、ブリッジをする。

 

「ふん!ふん!」

 

 ブリッジをする際の動き、お腹の部分にマツシロを当てる。

 マツシロは空中に浮かされ衝撃を与えられている事でどうにもする事が出来ない状態であり、私は空中に居るマツシロのもとに向かって飛んだ。

 

「マッスルスパーク!」

 

 キン肉族三大奥義であり必殺技としては致命的な欠点を抱えている三大奥義の中でも最高難易度のマッスルスパークを決める。

 

「ぐはぁ!?」

 

 マッスルスパーク天、そしてマッスルスパーク地を受けたことでマツシロは血を吐いた。

 私はマツシロを持ち上げればリングの外に出して残りの5人を見つめれば……ブラッドが出てきた。

 

「ここはプロレスやボクシングのリングだが、遠慮なく刃物は使わせてもらおう」

 

 ブラッドがリングの上に立てばサーベルを抜いた。

 全員が同じ戦い方をするわけでなく、それについて異議を唱える理由は何処にも無い。

 

「硬度10、ダイヤモンドパワー……私のダイヤモンドは文字通り世界一硬いぞ?」

 

「無論、それも承知だ……将軍よ、我々に必殺技の基礎を覚えさせ必殺技を覚える様にしたのはなんの為だ?地の奥義、海の奥義、空の奥義、それら全てを同時にするアバンストラッシュは基礎ではあるが奥義でもありそれ以上は要らぬだろう?」

 

「特段、難しい話ではない。嘗てロジャーは白ひげやガープと何度も激闘を繰り広げていた。しかし戦いとは本来1度で決着が着くもの。ならば基礎を覚えた後に小手先の技術を多く増やすのでなく己の特技を極限まで研ぎ澄まし必殺技の領域にまで達した物を用意しろと言う話だ……ダイヤモンドソード!」

 

 サーベルで切りかかってくるブラッドの攻撃を避けていくが、リングの外に出ない事やブラッドの成長を考えれば回避は不可能と判断した。ダイヤモンドソードを取り出すことでブラッドの持っているサーベルとの勝負がすることが出来る。

 ダイヤモンドソードとブラッドのサーベルがぶつかり合う……この世で最も硬い物質であるダイヤモンドで出来た剣と、名刀と言われるレベルではないサーベルが一定以上の実力差を持っている人間がぶつかれば結果は言うまでもない。サーベルが砕け散った。

 

「今のお前ではただのサーベルは追い付かん」

 

「ぐぅ!?」

 

「マッスルスパーク!」

 

 名のある職人の名工でなく、普通の職人が作ったサーベルではブラッドとはもう釣り合わない。

 これからはブラッドにはブラッドのスペックに釣り合ったサーベルを何処かで手に入れなければならないと告げた後にマッスルスパークの体勢に入り、マッスルスパークを叩き込んだ。

 

「次だ」

 

「オレが行かせてもらうぜ」

 

 マッスルスパークを叩き込めばマツシロ同様にリングの外に放り投げる。

 次に誰が来るのかを聞けばアランが出てきた……アランは自警団の中では見聞色の覇気よりも武装色の覇気に色が偏っているタイプであり、まだ完全に使いこなせているわけではないが基礎の入門の入口にまでは来ている。

 

「将軍よ……あんたにゃ感謝してんだ。本来ならなにも出来ねえガキのオレ達を鍛えてくれた。ただ力を得るだけじゃなく、勉強や命を育む事の大切さを教えてくれた」

 

「それで?」

 

「だから1つだけ答えを教えてくれよ……俺達は実験台だったのか?」

 

「……」

 

「海賊つっても色々な奴等が居るのはあんたとの生活で学べたさ。あんたは強くなりたい俺達に力を手に入れる方法を教えてくれた……でも、あんたは俺達を、何れは将来的に自分が持つであろう海賊団の運営の実験に使っていたのか?俺達のあの日々は偽りだったのか?」

 

 アランは返答次第ではと殺気を出しており、武装色の覇気が纏えている。

 

「……私がこの戦いで使う決まり手はマッスルスパーク、そう決めている。マッスルスパークは私からすれば必殺技と絶対に呼んではいけない技と認識している。お前達に関してだが最初はシュウジへの気紛れから始まったのだけは変わらん……」

 

「じゃあ、今はどうなってんだよ?」

 

「私の思いはマッスルスパークが教えてくれる。お前達が私をどういう人間なのか分かっているのであれば、マッスルスパークから読み取れ」

 

「そのマッスルスパークを受けた2人はボロボロじゃねえか!ボロボロになる技なんざ受けてたまるか!」

 

「どちらにせよ、リングに立った以上は戦う、それしか道は無い……更になにかを聞きたければ倒すがいい」

 

「っは!それが一番だな!」

 

 小難しい話をしてはみたものの、私自身が言葉でなく行動で示そうとしている。

 アランも小難しい話よりも最後は拳で戦っていた方が自分の性に合う事は理解しているからか笑みを浮かび上げ、得意のエアハンマーで攻撃をしてくるがこちらもエアハンマーで相殺する。

 

「エアハンマーの次は魚人空手を学ぶといい」

 

「ぐぅうっ!!」

 

 魚人空手そのものは習った事は無いが空気中の水分に干渉して振動でのダメージを与えるタイプの拳の技は使える。

 アランはエアハンマーが自慢の武器だが、そこで停滞することは勿体無いと最後にアドバイスを入れつつ見本を見せる。

 

「マッスルスパーク!」

 

 見本を見せた後にマッスルスパークを決める。マッスルスパーク地によって叩きつけられたアランは吐血をし倒された。

 アランを倒したのだと確認を終えればアランをリングの外に追い出した。

 

「次は私だ」

 

「デンゾウか……貴様はなにが言いたい?」

 

「今の私は正直に言えば焦っている。今の心に従い行動はしたいが、一度ブレーキを踏んでから物事を考えなければならないと貴方と過ごした時間で学ぶ事が出来た……悪魔将軍よ、貴方の狙いが何なのかは分からない。私の思いも定まらない」

 

「なにもない状態で挑む気か?」

 

「否……他の者達が確実に茶化すからと言っていなかったが私には交際相手が居る。そして子供が……コレから背負う物が増えた人間として挑ませてもらおう!!」

 

「ふん、それで力を出せるのは男ではない!女だ!」

 

 自分の気持ちの整理がつかず戦う理由も見当たらないデンゾウは戦う理由を作り上げた。

 守るべきものを守らなければならないと言う最もな理由をつけているが、それで力を出すことが出来るのは男ではない。女だ。

 デンゾウは煙玉を取り出して地面に叩きつければ爆発を起こしてリングから姿を晦ます……だが、見えなくとも見聞色の覇気で大体何処に居て何をするかのを読むと言う行為を私が問題無く行えるぐらいデンゾウは知っている。

 

「煙手裏剣の術!」

 

 デンゾウは一部の煙を集めて武装色の覇気で手裏剣の様な形にして留め、投げる。

 

「甘いな……その技の本質はそこではない、なによりもダイヤモンドの硬さを持つ私には通じない」

 

 火薬の爆破により生まれる煙に含まれている成分の大半は人間にとって有害物質だ。

 煙手裏剣の術は人間にとって有害物質の煙を体内に取り込ませる為、所謂傷風の様なものを起こす為にある。ダイヤモンドパワーを持っている私にはそもそもで手裏剣が刺さらない……能力者でない人間でならば当たっていただろう。

 

「マッスルスパーク!」

 

 デンゾウにもマッスルスパークを決める。

 デンゾウも先にマッスルスパークをくらった者達と同じく吐血をして倒れた。

 

「ったく、あんたはホントに容赦がねえな」

 

 次にリングの上に上がったのはナンジロウだ。

 アラン達に一切の迷いなくマッスルスパークを叩き込んでいる事に対して容赦がないと呆れながらも笑っている。

 

「それで、貴様は?」

 

 私がロジャーの叔父であった事を告げて一同が戸惑っていながらも答えの様ななにかを各々見つけようとしている。

 私との戦いで私と拳での語り合いをしており、各々に言うべき事を幾つか述べた後にマッスルスパークを叩き込んでいる。ナンジロウも私や今までの日常、そしてこれからの日常からなにか言いたいことの1つや2つはあるのかと聞いた。

 

「ん〜……まぁ、そうだな。あんたについていきてえって思いがあるぐらいだ。対話を望んだ結果がこの戦いだけど、あんたがこの後にする事はなんとなくで分かる。俺もそこに連れてって欲しいとは思うが、それをしたら今までの日常がなんだったんだって話だ。例えあんたがここまでの展開を予測してわざと起こした事だとしても今まで過ごした時間の否定だけはしたくはねえ……」

 

 ナンジロウは私がロジャーの叔父であることについては特に言及していない。

 自警団と共に過ごしていた日々は本物であり、新たなる一歩を踏み出す為に今までの物を崩壊させた。それを何となくだがナンジロウは見抜いている。

 

「貴様はおちゃらけている割にはそういったものには敏感だな」

 

「他の奴が鈍いんだよ」

 

 ナンジロウも私に挑んでくる。無数のテニスボールが飛んでくるが回避や打ち返す事で対応をする。

 他の面々と同じく決まり手はマッスルスパーク……コレだけは変える事は出来ない。マッスルスパークの本質を知っているからこそ、私は地獄の断頭台でなくマッスルスパークを自警団の者達にかけている。

 

「残りはお前だけだ」

 

「…………」

 

 自警団の者に対して勝負を挑んでおり、貴虎は最初からノーカウントだ。

 アラン、マツシロ、ナンジロウ、デンゾウ、ブラッドと5人を倒して残ったのはシュウジだけだ。シュウジは私がロジャーの叔父であることを告げてからずっと黙っている。

 気持ちの整理には時間がかかるのは分かるが、私に残されている時間は少ない。シュウジはリングの上に立った。

 

「悪魔将軍……俺は殴り合いを望む。覇気を使わない純粋な殴り合い、拳での語り合いをしたい」

 

「私も出来ればそうしたいのだが、私が口にした悪魔の実の能力をオフにする方法を知らん」

 

 チョッパーもルフィも悪魔の実の能力を発動するぞ!と意識して悪魔の実の能力を発動していない。

 それと同じ理屈で私も悪魔将軍の姿からゴールドマンの姿に戻ることは出来ても本来の姿に戻ることは出来ない……流石に純金の頭部は下品だと何度か試してみたが、ゴールドマンになる悪魔の実を食べる前の本来の姿、ゴール・D・ミュースの姿への戻り方が分からん。

 

「出来る限り悪魔の実の力をオフにしてこれだ……それをした上でも純粋な殴り合いを望むか?」

 

「ああ」

 

 動物系の悪魔の実を口にしている時点で、私の運動能力は常識から外れている。

 オフにしようにも出来ないものではあるが抑えることは出来ると悪魔将軍の姿からゴールドマンの姿に退化し、拳を構え、殴り合いを起こす。

 

「ぐぅ……」

 

「我が身はミホークの黒刀同様の硬度だ……だが、見事だ」

 

 私の拳を拳で相殺しようとするが相殺が出来ずに苦しんでいる。

 ゴールドマンの耐久力もあるが私自身が常に使い続けた事でダイヤモンドパワーを用いなくても黒刀の如く硬い。シュウジはまだその領域には至っておらず撃ち合えば撃ち合うほどに苦しみの表情を浮かび上げる。対する私はゴールドマンの肉体に戻ったので弱体化している筈だが殴った時のフィードバックは特に無い。

 

「将軍よ……お前の道はお前の道だ。何れ違える(たがえる)時が来るのは分かっていた。その覚悟をしていたつもりだ……だからこそ、問おう!何故貴様は自警団を、海賊だけならお前だけでどうにか出来ただろう。いや、煩わしいのならば空を飛ぶ能力で無人島にだって行けた筈だ!」

 

「自警団を認めた理由か?作ろうと思った理由か?……私は自覚していないが答えは知っている」

 

 全てはシュウジに頼まれたからだが、拒む事は可能だった。逃げることは可能だった。

 私ならばもっと賢い選択肢が出来ていたのだろう。それはまさにその通りだ。そして全ての疑問の答えは1つだ。シュウジと何度も何度も殴り合いシュウジはボロボロになり……この技を使う。

 

「マッスルスパーク!」

 

 シュウジにマッスルスパークを叩き込んだ。

 私を殴る事で自傷し、更に殴られ……その上でのマッスルスパークだ

 

「ぐふぅ……」

 

 当然と言うべきかシュウジは口から血を吐いた。

 自警団の6人は全てマッスルスパークが決まり手で終わり…………全員が倒れているだけだった。

 

「……何故、影を引き受ける?」

 

 天のダンベルでリングを出した際に同時に出てきたゴングを貴虎は鳴らした。

 カンカンと響き、私の勝利が決まった……その後で貴虎は聞いた。私が彼等の影を引き受ける役を担った事を。

 

「愚かな事を、影を引き受けているつもりは無い……今は空白の時代だ」

 

「空白の時代?」

 

「ゴールド・ロジャーが海賊王に至った。無敵と言われたロジャー海賊団を知っている者達がロジャーの最後の言葉から一人立ちをし、ロジャー海賊団と互角以上に渡り合った海賊達が勢力争いをしている。そしてそんな奴等の背中を見てロジャー達を言葉でしか知らない新たなる世代が生まれる。その新たなる世代が旧世代の者達に挑み、世界は変わる」

 

「……確かに白ひげ達も何時までも上に立ってはいられない。英雄であるガープ中将も歳にだけは勝てないと言っている。だが」

 

「変わりゆく世界に対して過去を固執するか、未来を見るのか、それは各々の自由だ……悪魔の実の能力のおかげで全盛期の肉体を保てているが流石の私も魂の老いにだけは勝てぬ。本来、私はロジャーや白ひげの世代よりも更に昔の人間、本来であれば活動しなければならない時代で活動しなかったのだから横から旧い世代の人間として新たなる世代に対して立ち塞がる壁にならぬのならば下手に口出しをせずに見守るのが道理のこと……でなければ、意志を引き継げん……コレより自警団の長はシュウジ、お前が勤めろ。どの様な形にするかはお前次第だ」

 

「っ……将軍、あんたは……外の世界に出る為にわざと」

 

 外の世界で私がなにをするかはまだわからないが、何れは未来の知識を利用する時が来る。血筋の段階で黒の人間が更に黒くなるのだから後続の憂いを絶たなければならない。

 

「後続の憂いを絶つ為に私は本気のマッスルスパークを放った……この技はどれだけ練度を高めても私にとって出来損ないの技だ。マッスルスパークの原型となったアロガントスパークの方が何かといいが……マッスルスパークがお前達への思いだ」

 

 キン肉マンが覚えている48の殺人技は殺人とは言っているが、穢れた邪念を殺す正義の技だ。52の関節技もそれに該当するだろう。そこから派生で生まれたキン肉ドライバーもだ……だが、マッスルスパークだけは違う。アレはキン肉族に伝わる奥義であり、マッスルスパークはアロガントスパークと言う原型はあれどもそこを起点に各々が各々のマッスルスパークに発展させている。

 

 シルバーマンが求めていたマッスルスパークを使うことが出来るのは後にも先にもキン肉スグルだけ。

 完全版を覚えていないだけでキン肉アタルも形だけならばネメシスと同様に100%のマッスルスパークを使うことが出来るが、マッスルスパークの本質は無く形だけのハリボテだろう。

 

 私もまたマッスルスパークは覚えているが、私の求めているものはマッスルスパークにはない……だが、私の中にある私が自覚していないなにかを自警団の者達に伝えるにはマッスルスパークしかなかった。

 使いたくはなかったが、マッスルスパークは私の心を教えてくれた。自警団の者達はマッスルスパークを前に倒された。

 

「貴虎よ、お前は元より自警団の人間ではない。お前に託す思いはなにもない。故にお前はお前の道を歩め」

 

「あんたはどうするんだ?」

 

「なに、別の海にでも向かい色々と漫遊するつもりだ。そこならば私はただの賊で、賊の存在は受け入れられる」

 

 貴虎の今後を決める権利は無く、貴虎に伝えるなにかも無い。

 私の今後の歩みについて聞いてくるので東の海から脱出し、南、西、北の何れかの海に向かう。そこから色々と大きな目標を立てず世界を歩み漫遊をする。その事を伝えれば……貴虎はペコリと頭を下げた。

 

「頼む……俺を連れて行ってくれ」

 

「なんの真似だ?……私は海賊王になるつもりも無ければ時代を変える偉大なるなにかになるつもりもない。お前の心の何処かで海賊に対して憧れる心があろうとも、お前が望んでいる事は起きないぞ」

 

「それは分かっている……将軍や皆が予想している様にこのまま本部に栄転すれば華やかしい道が用意されている事も。だが……それでも将軍に付いていって、色々と見たい」

 

「ちょっと待てよ」

 

「それがありなら俺達だって……」

 

 海軍を抜けて私について来たいと願う貴虎だが、それは聞き捨てならないとナンジロウとアランがボヤく。

 私はロジャーの叔父である事を告白した以上はここには居られないと言うのを理解しているが……それでも付いていきたいと言う思いはある。だが、マッスルスパークによって口以外はまともに動かせない状態である為に貴虎以外は誰も動けない。

 

「……私自身がやらなければならない事については心当たりはあるが基本的には諸国漫遊だ……天のダンベルよ、閉じよ」

 

 天のダンベルを地面に叩きつければリングやゴングが消え去った。

 

「フェイスフラッシュ!」

 

 リングやゴングは地面から生えてきたので当然、地面が荒れている。

 荒れている地面を整備する為にフェイスフラッシュを使えば荒れていた地面は元に戻った。

 

「貴虎、私の背に掴まれ……行くぞ」

 

 貴虎を背負えば私は空を飛んで新天地を目指した。




キン肉マンを知らない人への一応の説明
マッスルスパークはアロガントスパークと言う技が原型で、キン肉マンの先祖の多くがアロガントスパークをベースにしたマッスルスパークを開発した。形は細部が異なるもので必殺技としては充分なものだったけれどもアロガントスパークを開発したシルバーマンが求めていたマッスルスパークを完成させたのは主人公のキン肉マンだけで、キン肉アタルはマッスルスパークの一部だけは完成してる。ネメシスの形だけは完成しており、マッスルスパークに必要な慈悲の心が籠もってない。
慈悲の心が籠もっていないマッスルスパークは文字通りの相手を必ず殺す技で、将軍が放ったマッスルスパークで自警団の誰も死なずに生きていると言う事はそういうこと
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