ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話   作:アルピ交通事務局

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謎の悪魔の実!の巻!

 

「大変だぁ!」

 

「リンマーさん、どうしたの?」

 

「海賊が来た!」

 

 転生して2週間、村で雑務をこなしながら暮らしていれば漁師のリンマーが大慌てで村に来た。

 弟が何事かと聞けば海賊がやってきた事を告げて1枚の手配書を出した。

 

「賞金30万ベリーの海賊だ!」

 

「……」

 

 海賊旗から何処の海賊団なのか割り当てることが容易い。賞金30万ベリーの海賊、と言われれば安くはないか?と思う。

 

 ルフィ達が海賊の懸賞金として上澄みも上澄みで逆に底辺はどんな物なのか分からない。分からないで言えばここは東の海だと言う事は分かった。最弱の海と言われている東の海、そして原作開始よりも大分前の時代故に30万ベリーはバカに出来ない金額だ。

 

「まぁ、取りあえず何時も通りでいいんじゃないかな?」

 

「む?」

 

 海賊が来たと慌てているリンマーに対して弟は何時も通りと言った。

 なにが何時も通りなのか?と聞きたいところだが、弟の言葉を聞いてそれもそうかとあっさりと受け入れ村の人達は行動に移す。

 

「最近、海賊が来ていない為に何時も通りが思い出せんが」

 

 なにが何時も通りと言うのが分からない。

 

 最近、海賊を見ていないという都合のいい話を出して弟に何時も通りが何なのかを聞く。

 

「まぁ、簡単な作業だよ……海賊達を受け入れる。それだけでいい」

 

「む……略奪にならんか?」

 

 ルフィやシャンクス達が基本的には例外である……と言うよりはルフィはルフィでインペルダウンの囚人達を解放したという悪行がある。その囚人達はバギーに従い、バギーは王下七武海の権限を利用して罪に問われない海賊行為をしている。元を辿ればルフィが悪い。

 

 世間には海賊=悪人と言う印象操作をしている世界政府だが決して全てが間違いというわけではない。と言うよりは……ルフィ達以外が具体的になにをどういう風にして賞金が付いたのか詳細について語られていない。

 世間一般で言う悪行と言えば政府に逆らった国家反逆罪と略奪行為等でしっかりと罪を重ねている極悪な海賊である囚人達をインペルダウンから解放したという重すぎる罪状はしっかりとあるが。

 

 海賊達を受け入れると弟は言うが、ルフィ達の様に基本的には悪さをしない海賊はホントに例外だ。

 世界政府が最悪なので海賊と言う存在にあえてなることで恐怖による支配での統治が出来なくもないが……例えここが最弱の海である東の海と言えども、なにが生まれるか分かったものではない。

 

「まぁ、大丈夫だと思うよ」

 

 弟は問題はないと言っている……まぁ、特に問題らしい問題は無いだろう。

 

 海賊達を掲げている立派な船がやってくる。望遠鏡で見るに20人ぐらいの海賊達で、船長は海賊旗と同じ帽子を被っている。

 いきなりの発砲等が来たらどうするんだ?と思いながらも村長が何事もなく動いておけと与えられた仕事をしていれば……海賊達は上陸した。

 

「全員!今だ!」

 

「「「『おう!』」」」

 

 賞金首の海賊で悪行を行っている海賊だ。銃を持ってニチャアと笑みを浮かべていたりする。

 ああ、こいつらはこれから悪行をするのだなとなんとなくで分かるのだが、村長の掛け声と共に魚の漁で使われる網が投げられる。突然の事に戸惑う海賊達だがまだ終わらないとバケツに入れた海水をぶっかける。

 

「くそっ、銃が!」

 

 ONEPIECE世界では銃は不遇の象徴、と言うか銃の技術が発達しておらずフリントロック式の銃が主体だ。

 

 最新鋭の装備を貰っている筈の海軍ですら雨に濡れたらその時点で銃が使えない程に情けない古い銃を使っている。

 

 海水をぶっかけられたせいで火薬が湿気にやられてしまい銃を銃として扱う事が出来ず、村で銃を持っている人達がパンパンと撃った。

 

「首を落とせ」

 

「財宝を奪え」

 

「海軍に連絡だ」

 

 海賊達はあっという間に死んでしまった。村の人達は慣れた手付きで海賊達の首を切り落とす。それ以外にも海賊船に財宝が無いのか等の確認をする。どちらが海賊なのか分かったものではないが……弟はこの事に関して特に疑問を抱いていない様子。

 

 ルフィ達が少数派の存在であり、多数派の存在はバギーの様な海賊達だ。

 最初に登場したバギーは極々普通の村から海賊としての力を行使して略奪行為を行っている……あの時は偶然にもルフィ達が居て丸く納まったものの、あのままではバギー達に村を占拠されていただろう。

 

「コレが普通か」

 

「……ミュース兄さんは命を奪うことが間違いだって思う?」

 

「どうだろうな……少なくとも、奴等はそういう世界に足を踏み入れている……倒すと言う曖昧な言葉はオレは嫌いだ」

 

「どうして?」

 

「悪人を殺すならば殺すでそれは構わない。だが、悪人を悪の道から引っ張り上げる事をするのもまた1つの正義。悪の芽をいちいち摘み取っていても仕方がない。まぁ、だからといって悪を無理に善の心に変える事は人の心を操ると同じだ」

 

 生まれた時から善なる心を持っていて環境により悪の心を抱く性善説、生まれた時から悪なる心を持っていて環境により善の心を抱く性悪説。どちらが正しいかという議論だが、オレからすればただのどっちも極論な考えを持っているだけだ。

 

 善なる心を持って生まれた人間が環境により絶望の1つでもして悪の心を宿す事は普通にある。

 悪なる心を持って生まれた人間が環境により希望を抱いては善の心を宿す事は普通にある。

 

 性格というものは生まれながらのものもあるが環境により形成されるのは多々ある。理解者や共感者になろうにもその人の立場に実際になってみなければ分からない、見えないと言うものは沢山ある。プロ野球好きの飲み屋のおっさんが俺が監督ならばここでこういう風に選手起用するとか言っているが、いざホントにプロ野球選手の監督になって選手を指揮する立ち位置になれば緊張でなにも出来んだろう。

 

「まぁ、外にロマンがあると求めたか……それとも典型的な楽を選んだのか」

 

 殺した海賊の手配書とその海賊が載る原因になった事件を見た。

 1つの村を襲撃したと言うこの世界では極々普通の事件、海賊にとって懸賞金等は自分の誇りと言うよくわからんものがある。

 海賊達の船に乗れば本の一冊でもあるかと思ったが特に無い。海賊は成功すれば酒池肉林を味わえる夢の様なものかもしれず、それになりたいと逃げる。

 

 農民として畑を耕したり家畜を育てたりするのを嫌う……平穏でなく刺激的な冒険をしたいと求めているのか?それとも海賊になって好き勝手出来ることで抑制から解放されたいのか。形はどうあれ1つの秩序も無くて力だけの世界などただの愚かな世界としか言えない。もっとも、この世界を作った天竜人の上に立つバカはそれを良しとしているが。

 

「兄さん、兄さん……これ……」

 

「悪魔の実だな」

 

 海賊達の食料などを押収していれば変な模様が入った果実を見つける。

 

 弟はそれを見てまさか!と驚いている。オレもその見た目からコレが直ぐになんなのかと気付いた。そう、ONEPIECEにおける超常的な力を食べるだけで手に入れる事が可能な悪魔の実だ。

 

「……食べるのか?」

 

「それこそまさかだよ。皆、気付いていないしコッソリと海軍に売ろうかなって」

 

「……」

 

 悪魔の実は能力がピンキリだ。好きな衣装に着替えれる能力から海を一瞬で凍りつかせる冷気を操るまでホントにピンキリだ。

 しかしそれでも超常的な力を持っていることには変わりはなく、海軍に売れば1億ベリーで買い取ってもらえる……クソみたいな能力でも1億、危険な能力でも1億と言う一種の宝くじだ。

 

「……何故わざわざオレに言う?お前がコッソリと売ってお前だけの物にすればいいのに」

 

「兄さんなら羽振りが良くなった僕の異変に直ぐ気付くから……お金は山分けにしないかい?」

 

「ふぅ……そのお金でなにをどうするつもりだ?確かにここはなにもない普通の村だ。数千万単位での金があれば基本的には困らない……だが、大金を手にして失敗する人間は沢山居る」

 

 オレも弟も、考えることが出来る頭は持ってはいるが知識があるかと言えば無い。教養が足りない。

 ここで弟が海賊になると言い出したならば兄としてぶん殴るが、弟は、大金を手にして一体なにをするつもりなのだろうか?

 

「前みたいに兄さんが倒れた時や僕が倒れた時に使えるお金は必要だと思うんだ」

 

「……使う必要が無い大金を身寄りがないオレ達が持っていれば周りがなにを言い出すかわからんぞ?」

 

 倒れた時の事を話題に出されれば反論する事が出来ない。

 

 なにかあった時にポンッと10万円を出すことが出来る懐事情と言うのは割とバカには出来ない。だが、金に宿っている魔力は恐ろしい。金の為ならば何でもするのが人間というものだ。特にオレ達は身寄りがなく保護者も居ない。

 村の奴等は海賊を殺すことについては特に抵抗感を抱いていない。海賊の首は渡すが海賊の持っているお宝や武器は奪いそれをお金に還元し、商船を読んだりして色々と交渉をする……海賊の持っていた宝は海賊の死後持ち主が居ない扱いだからそれについて抗議してくる奴が居ない限りは村の物扱いだからな。

 

「スゴいね兄さん。お菓子で出来た家も買えるんじゃないかな?」

 

「……」

 

「だ、大丈夫だよ……」

 

 コッソリと横領した悪魔の実を海軍に売った。その結果、1億ベリーという大金を手に入れた。

 ジュラルミンケース1つに札束がこれでもかと入っており弟はそれを見て喜んでいるが、金の魔力に当てられている事について視線で訴えれば金の魔力には負けない!と弟は1万ベリーだけを抜いたのでオレも1万ベリーだけを抜いて家の床下の収納にジュラルミンケースを入れた。

 

「これから誰かと恋をし、誰かを愛し、子を作る。その時にこの金を使うことを願う」

 

「……うん。そうだね」

 

 金の魔力に当てられていた弟に将来生まれるであろう子供に金を使えればいいと言えば目を覚ます。

 まったく、自分達ならば大丈夫と言っていた割にはあっさりと金の魔力に当てられて……まぁ、まだまだ若いという証か。

 

「兄さんはなにを買うの?」

 

「なに、アレが結局なんなのかが気になってな」

 

 商船がやってきて色々な物を売ってくれる。使っていいと決めた1万ベリー、弟は買うものを既に決めておりオレになにを買うのかを聞いてくる。オレは悪魔の実図鑑が欲しい。全ての悪魔の実が載っているわけではないが、一部の悪魔の実のデータが載っている。結局、オレ達が売った悪魔の実はいったいなんだったのかという素朴な疑問が残っている。

 

 弟は実は前々から欲しかった野球の道具を買った……何故こんな海賊世界に野球の道具があるんだと言いたいがあるのだからある。

 オレは悪魔の実図鑑を購入した……元々天才的な知性を宿しているベガパンクがノミノミの実を食べることで500年以上先のレベルの科学技術を手にし、世界政府の莫大な資金のおかげで人工的に悪魔の実やその能力を持ったクローン兵を作れる。

 

 悪魔の実はRPGゲームの様にここにいけば確実に手に入るというわけじゃないし、その能力者が居る時点でその能力者を殺さない限りは基本的にはその悪魔の実は生まれない。ベガパンククラスの天才がノミノミの実を食べて手に入れた知性を使うことではじめて人工的に悪魔の実は作れる物で、基本的には一品物だ。

 

 だからオレ達兄弟が売り渡した悪魔の実は海軍の偉い人間になる誰かが食べるのだろう。

 しかし、どんな悪魔の実なのか気にならないと言えば嘘になるので悪魔の実図鑑は購入する。

 

「……夢が膨らむな」

 

 悪魔の実図鑑を開けば悪魔の実が載っている。実の具体的な見た目、そして能力だ。

 原作に登場した悪魔の実は勿論、原作には登場していない悪魔の実も載っているわけで割と夢が膨らむ。

 

 自分がもし魔法等の超常的な力を持って戦うのならばどういう風に戦うか?等は大抵の人間が想像したことがあるだろうが、まさにそれだ。

 攻撃も防御も大体は出来る万能性の高い悪魔の実もあれば、一芸特化の悪魔の実もある。その一芸特化をどういう風に扱うかが能力物の面白いところだ。時間停止とかの明らかに強い物とかよりも色々と誓約があるタイプの能力の方が面白い。

 

「……載っていないな……」

 

 夢が膨らむのは置いておき、オレ達が売った悪魔の実がなんなのかの確認をする。

 しかし予想通りと言うべきかオレ達が売った悪魔の実は図鑑に載っていない……ゴムゴムの実とヤミヤミの実でないならばそれに越した事は無い。しかしそうなればあの悪魔の実がなんだったのかが気になってしまう。手放したのはオレ達だからなにも言えないが。

 

「ミュース兄さん、大変だよ!」

 

「どうした?」

 

 後日、ジャガイモ畑で芋掘りをしていると弟は慌てていた。

 

 また海賊でもやってきたのか?と思っていると……弟の手にはオレ達が海軍に売り飛ばした筈の悪魔の実があった。

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