ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話 作:アルピ交通事務局
「……将軍、俺は正気を失っているのか?空に島がある」
「残念だがお前は正気を保っている……ここは文字通り空に島がある空島だ」
赤い土の大陸よりも上にある複数の気配を頼りに飛んでいけばそこには島があった。
空を飛んでいる島なんてそれこそ御伽噺ぐらいのもので現実的では無いのだと貴虎は自分が変な夢を見ているのでは?と疑問を抱いたが、貴虎は正気を保っている。
「ふむ……地面に似ているな」
貴虎を背中に乗せた状態で空島に上陸する。
空の海ならば通過したことがあるがこうした普通の空島は初であり、最初に足を踏み込んだ感想が出る。地面に似ている感覚だ。
「コレは……地面に似ているが似ているだけで異なるな。豊富な成分を持っている火山灰が雲に付着して植物が根を宿している?」
自身を背負った状態で地面に立った私を見て貴虎は私の背中から降りる。
地面に似た感覚ではあるが地面とは異なっており、なにかしらの仮説を1つ立ててみるが私も貴虎も多少の教養はあれども、多少のレベルであり本格的に知性を宿している学者や技術者と比較すれば知識は足りない。
「ここには人が住んでいるのだから、色々と話を聞けばいい」
「……将軍、言いたいことは分かる。やろうとしている行為についても納得も理解も出来る」
「ふん、今頃はあの島に海軍が来ている頃だろうが私はもう居ないのだから意味は無い。明日辺りには賞金首になるだろうが今日までなら問題は無い」
ここが何処なのか大体の心当たりはついているが、ONE PIECE世界を1から10まで網羅しているわけではない。
もしかしたら原作に出てくる島と類似している島の可能性もあるので現地の人間から色々と聞くのが一番の情報収集だ。しかし貴虎は何故か苦い顔をしている。私は明日にでも賞金首になる身だから情報収集が出来ないとでも思っているのだろうが、まだここにニュース・クーが来ていないのでやれる事は幾らでもある。
「すまない、そこの人よ」
「ん……っひ!ひぃん!?」
「?」
「ここ、ここになにか?」
「将軍、俺がする。色々とあって偶然にも空飛ぶ島を見つけたから来たんだ」
「あ、ああ…………ってぇ!?降りてないウェザリアに来たのか!?」
青いローブを身に纏っている如何にも魔法使いや学者の様な風貌をしている男に初老の男に声を掛ければ萎縮された。
物凄く怯えられており意味が分からないでいれば貴虎は呆れながら会話をするのを交代し、大事な部分を折って説明をすれば男は目玉を飛び出すリアクションを取った。
「その辺は些細な事だ、気にするな」
「ウェザリアが今いる場所的に赤い土の大陸付近だが、まさか天竜人じゃないだろうな!?」
「あんな者達と一緒に扱うな」
「は、はい!申し訳ありません!」
「…………貴虎よ」
「一応は聞いておこう」
「私はまだなにもしていないぞ」
ウェザリアの男が酷く怯えている……貴虎に対しては普通に会話をする事が出来ているのにだ。
いったい何故?と疑問を貴虎にぶつけてみれば貴虎は答えるべきかと悩んでおり、なにを聞いても問題は無いと覚悟を決めた。
「将軍が威圧をしている」
「威圧だと?……私は覇王色の覇気の制御は出来ている。そこらの人間にぶつければ気絶は勿論、武器にも纏えるし感情によって発動しない」
「おそらくは完璧にコントロールし文字通り体に染み込ませたから……一流の芸術家が描いた絵はそれだけで存在感を放つと言う。今の将軍は威圧感に対する耐性がなにも無ければ、それこそ私の様に同じ釜の飯を食ったと言える関係性でなければ普通に怯えてしまう」
「……そうか」
村の住人達は当初は怯えていたが気付けば何事もなく私と接していた。
思い返せば村長に最初に出会った際には異常なまでに怯えられていた。見た目が異形の見た目かそれとも筋骨隆々だからで、話をしてみれば意外と通じると言う関係性ではあった。
「人は見かけで判断してはいけない……とは言え判断される見た目や言動をしている方にも問題があるのもまた事実」
話をすれば意外と分かり合うことが出来るだが、その最初の一歩を踏み出すのが少々ややこしい。
貴虎はネクタイ無しのスーツを好んでいるが服装の変更で色々と出来るが私が出来るのは力を抑えてゴールドマンの姿に戻るぐらいだ……コレはアレを作るしかないか。
「それでここはウェザリアと言う島だが……具体的にはどんな感じの島なんだ?」
「どんな感じの島?……フッフッフッ……よくぞ聞いてくれた!!」
貴虎がウェザリアと言う名前は分かったがどんな感じの島なのかが全くと言って分かっていないので聞けば怯えていた男は目を輝かせた。私に怯えてからの貴虎ならば会話が出来るからのこの反応は少々リアクションに困るのだが男は答えてくれるので文句は言わない。
男は結び目が複数あるロープを取り出した。
「ここはウェザリア、ウェザー、即ち天気に関する研究や実験を行っている島……結び目を1つほどけばあらふしぎ」
「!……」
ロープの結び目を解けば心地よいレベルの風が吹いた。
貴虎はそれに驚いたがそれは偶然なんじゃないのかと疑いの眼差しを向けている。その手の視線には馴れていると言わんばかりに男は2つ目の結び目を解けば突風が吹いた
「結び目を2つ解けばそら不思議、そして更に3つ目を」
「待て」
「ぬぅ!?」
「あ、すまん」
2つ目を解けば最初に吹いた風よりも遥かに強い突風が吹いた。
まだ結び目は残っておりこれから段々と風の力が強まっていくのだなと言うのが分かったので止めに入ったが遅かった。貴虎はあまりの強風を前に体が浮いてしまったので即座に掴んで吹き飛ばない様にした。
「なんて凄まじい突風だ……コレは悪魔の実の力か?」
「いや、コレはウェザリアが作り上げた天候科学技術……風を操る技術なんて基礎も基礎。ウェザリアで天気の研究のあれこれをしている物ならば誰でも使える」
自然物である風を操る為に悪魔の実の能力で起こしている不思議な超常現象の類かと貴虎は疑うが男は首を横に振る。
風を操る技術程度はウェザリアの人間ならば誰もが覚えているものであり、賢い人間である貴虎はある事が浮かんでしまった。
「天気の研究をしている、と言っていたな……まさか雨を降らせる技術も」
「当然ある」
「…………」
「世界政府に捕まったら高確率で
天気の研究をしていると言うのであればそれ相応の成果、雨を自由自在に降らせる技術があってもなんらおかしくはない。
貴虎はそれがあるかどうかの確認をすればあると言う事を男は素直に認めた。雨を降らせる技術と聞けば立派な技術かもしれないが、この世界では普通に使える水不足で苦しむ地域が多く存在している。その不便さを解消する為に雨を自由に降らせる道具があるのだが大きなデメリットがあり世界規模で使用を禁じられている。
ウェザリアはそれとは別の方向性で雨を降らせる技術を確立している。
自然が起こす雨を完全に再現出来ているかどうかは不明なものの雨というものを降らせる技術自体は確立している。この島で天気の研究をしている人間が居るのならばおそらくは誰でも雨の降らし方を知っているだろう。
「将軍についていけば色々とあるのは覚悟してついてきたが……初手からとんでもないものがぶっ飛んできたか……」
私との冒険は色々とあるのを覚悟していた貴虎だったが一番最初にやって来たのが天気を操れる島で遠い目をしている。
最終的にはラフテルに向かう事は決まっていて、東西南北の海で色々と調達をすれば未開の地が多い偉大なる航路に入るのだから副船長としてもう少し落ち着きというものを持ってほしいものだ。
「……ふむ……私は見ての通り肉体労働には自身がある。その手の雑用を引き受けるので少しの間、ウェザリアの滞在の許可をもらいたい」
「まぁ、空いている屋敷があるから滞在は許可出しますが……ウェザリアは一定の地に留まらない。風は起こせるが自然の風の気紛れで動いている空島じゃから変な所に行く可能性もある。稀にこのウェザリアの技術を奪おうと考えるものもいるのでそいつらを倒す!でどうです?」
「それで構わない、と言いたいところだが出来ればウェザリアで天候に関することを学びたい」
ウェザリアの滞在の許可を貰えばウェザリアに対して良からぬ事を企む者を倒すことを提示する。
私と貴虎は今のところは戦闘能力には自信があるが、それ以外は自信がある、自慢が出来ると言う類のものは無い。
「……見たところ学者の様な人間ではなさそうですが?」
「海に出て冒険を、独学では限界がある上に偉大なる航路を渡る為に通常の航海術が役立たない」
私が天候に関するあれこれを勉強したいと言えばビクリとなる……まだ私に対して畏怖をしているところはあるがそれでも会話は可能であり嘘を交えずに航海術の一環として天気に関するあれこれを学びたいと素直に打ち明ければどうしたものかと言う顔をしている。
「偉大なる航路を冒険している者はロクでもないから嫌か?」
「いや、そうじゃないです。偉大なる航路を冒険する上で全員が持っているアイテムがあります」
「
「偉大なる航路は天気も異常気象が多いのがザラで、ウェザリアでも未解明なのも幾つもある……教える事は可能だが、明日の天気を予測するレベルならばともかく、偉大なる航路を渡る為の航海術の一環としてウェザリアの天候学が如何に優れていても現場に出てある程度の場数と言うものを踏まなければ完全には乗り切れない、です」
普通の天気に関する勉強程度ならばウェザリアでどうにかなるが、異常気象が当たり前の偉大なる航路では場数を踏んだ航海士でも難しい事が多い。ここはあくまでも研究所に近い場所であり、研究成果や研究結果を発表する場所でなく、更に言えば本当の現場ではない。
「つまりはここで基礎を学んで後は実戦さえ踏めば乗り切れると?」
「ドッキーン!!」
「将軍、冷やかすな……天気の勉強に関してはしたいと言うのが私達の本音だが、正直なところ航海術や天気関係に関しては出来ない奴は一生出来ないものだ。場数もあるが単純に頭が良いだけでなく流れている空気の微弱な違いを肌で感じ取れるものでなければ難しい」
このウェザリアの気象学は非常に役立つもので航海術を覚える上では必需品なことぐらいは分かっている。
貴虎は覚えようとすることはいいことだが、航海術を学ぶのは本当に難しいと……確かに天気に関する資格の代表格である気象予報士は最難関の国家資格の1つと言われ、現実で本当に航海士の仕事に就いているものも本格的な海洋系の学校や海上自衛隊の様なところから出ている事は極々普通のことでその上でGPSの恩恵もある。
偉大なる航路は特殊な磁場を持っている以上はGPSは全くと言って当てにならない。完成された世界地図の1つでもあれば何処かの方向に向かえば何れは何処かの大陸にと言う考えは出来るが、完成された世界地図はこの世界には何処にも無い。
「やはり、航海術をしっかりと学んでいる航海士は必須か……」
自分である程度は出来るようになっておいて損は無いと考えたが為に航海術に繋がる気象学を学ぶつもりだったが、限界はある。
ウェザリアに辿り着いた事に関しては本当に運が良かったとしか言いようがないが、ここで学べる事を学んでも普通に腕自慢の航海士に負けてしまう。
「将軍、何をするにしても今日は休もう……将軍の体力は無限かもしれないが流石に精神的にも肉体的にも疲れてきた。自警団からの赤い土の大陸からの空を飛んでいる島とハード過ぎる」
仲間をスカウトする云々を言いたいが色々とハード過ぎるので貴虎が休むことを言った。
肉体的、と言うのはおそらくは私の事を気遣って言っているのだろうが私は超人ボディ故に無尽蔵のスタミナを持っている。心も完璧超人始祖のゴールドマンになっているので失いかけているので精神的疲労も感じないのだが、貴虎は色々とハード過ぎると言う。
お互いのお腹もぐ〜と鳴ったのでこれ以上は無理に色々とするのでなく足を止める
「……これからは守りでなく攻めの組織を作らなければならないか」
今までは自警団として海賊を倒す事や農夫の真似事をしていた。貴虎がついてきたいと言い出し、更には仲間を増やさなければならないと言う考えを持っていたが心構えが甘かった。自警団は己や村を守る為の組織であり、新たに発足する組織いや、悪魔超人軍だが貴虎が私が船長である事について文句を言わずこれから更に仲間を増やす事についても賛同している。
モンキー・D・ルフィは船長以外の役職の能力は皆無と言ってもいいレベルだ。しかし逆を言えば船長としての能力だけは確かにある。麦わらの一味を誰1人欠けることなく引っ張っていく事が可能なのは各々が各々の野望を抱いていて手を取り合った方が好都合、合理的だと判断したからではなく奴に惚れ込んで奴ならば船長である事については文句は言わない。頼まれた自分の仕事を果たす、そんな考えで乗っている。
私はヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食した人間であり超人の神々が自分と同じ神を作る為に作り上げた原初の超人ではない。悪魔将軍の様な圧倒的な強さだけでなく圧倒的なカリスマ性を備えていると聞かれれば怪しい。
戦う上では圧倒的な力で容赦なく蹂躙する事が好ましいが、力を用いての精神や肉体の支配は好みではない。結局のところ、自警団は己の意思で立ち上がった者達で構成されている。無理矢理巻き込むのは好ましくない。
「おい、お〜い!あんたら!」
私自身も変わらなければならないなと思いながらも睡眠を取って翌日を迎えればウェザリアで色々と世話を焼いてくれた最初に声をかけた初老の男が慌てている。何事だと思えば手には新聞が握られており、大体の事は予想する事が出来る。
「覚悟は出来ているな?」
「当然だ」
あの慌て方から昨日の一連のやり取りで大凡の状況は読める。
貴虎もある程度の予測はしており、新聞を持って慌てながら走ってきた男が私達の前に置いた。
「あんた、賞金首の海賊なのか!?」
「ああ……嫌悪するか?」
「実害が無いのならいちいち相手にせん……コレが手配書だ」
一日経過すれば私は話し合いが通じると思われており少し砕けた喋りになる初老の男。
賞金首の賊に対して迷惑な存在かと言ってくるのかと思ったが、実害が無いならば無理に相手にしないと割り切っている。
恐怖の将 悪魔将軍
DEAD OR ALIVE
懸賞金 50,000,000ベリー
「ふん、やはりそう来るか」
本当の名前を教えたにも関わらず恐怖の将 悪魔将軍と言う異名と名前で賞金首になっている。
ロジャーの血筋を絶やさなければならないと当時、必死になっておりロジャーが生み出した損害について知っている世代の人間からすれば私は居るだけで迷惑な存在だろう。
「賞金の額等が合ってないが……」
「いや、最初はコレでスタートで間違いはない……貴虎、お前にもあるぞ」
この世界でも上澄みの戦闘能力を持った人間を相手にする事が可能である私の懸賞金がおかしいと貴虎は疑問視する。
最初はコレで間違いではない。マリージョアや世界政府加盟国の王族を狙った等の誰にでも分かる明確な悪行をしていて億単位の懸賞金が掛かるのならな納得がいくが私は今の今まで自警団達が居る島に引きこもっていた。
私は血筋的に居てはならない存在だが公表が出来ない。初手でありえない額を出してしまえば様々な考察がされて不安を逆に煽らせる。公表出来る罪状の内容から初手で出せる限度額満額だと決めた後になにかしらの罪状をでっち上げる。
私の罪状としてはその辺の海賊団を倒せるほどの小さな自警団を倒した事と海兵である貴虎を誘拐したと言う2つの罪状であり、海兵である貴虎についてはALIVE ONLY、つまりは生け捕りのみ賞金が発生すると描かれている。額は500万だ。
「……私は自分の意思で来たのだがな」
「海軍とは正義の存在、悪に寝返った悪に堕ちた存在はややこしく……私の件もあるから都合が良いと思われたのだろう」
それにしてもロジャーを輩出した海とは言え東西南北の海の中で最も最弱である東の海で初手で5000万ベリーとは踏み切ったな。