ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話 作:アルピ交通事務局
「ケホケホ……」
「風邪か?」
「いえ、ただ咽ただけです。それよりもお二人は大丈夫ですか?」
ケンか孔明か決められないまま時間が経過しており……おそらくは新世界側の海にやって来た。
新世界の偉大なる航路ではなく、北の海か西の海か……どちらにせよコレはコレで好都合である。
「大丈夫とは?」
「ウェザリアは植物があるので酸素などは問題はありませんが気圧が変わるレベルの高度にありますので、急な気圧の変化に体が追いつかないのかと。既にウェザリアの気候に馴れているので今度は青海の気候にやられるのでは?と思いましてね」
「ああ、それなら問題無い。私も将軍もその辺は頑丈だ」
急な気圧の変化による病を心配するケンだったが、貴虎は問題無いと述べる。
普段は農耕をしているがコレでも戦闘の類で食っている身でもあるから、急な環境の変化による病や体調不良は無い。
「しかし……いや……ガッツリとアウトだな」
「いや、ハハハ……」
何故いきなり気圧云々の会話をしているのかと言えば、ウェザリアから降りた。
ケンが航海士にでなく、ウェザリアが生計を立てる為に行っている天気を売りにやって来た……一時的とは言え雨を降らせるのでかなり高度な技術を求められる物であり、ウェザリアの創始者であるハレダス達が天気を売りに来ましたよとのアピールをしている。
貴虎は天気を売りに来ると言う行いは法律にガッツリと触れていると認識しているのでアウトと言えばケンは苦笑いをした。
ケン自身も心の何処かでやってはいけない犯罪という認識があるのでなにも言い返せない。
「それで、わざわざ貴方達はなにをしに来たのですか?」
ハレダス達ウェザリアの学者が天気は要らないかと交渉に及んでいるが、私達はそれに協力をしない。
それはハレダス達の仕事であり、ケンや孔明は今の段階でウェザリアに無い物資や本などの嗜好品が無いのか、ここは新世界ではない西か北の海なのでその土地独自の文明の物等が無いのか確認したりして購入したりする仕事をしている。
私や貴虎に力仕事が任されたわけではない。重たい荷物を任せても島雲ならば軽々と持ち運ぶことが出来る。
ウェザリアを降りて青海を冒険すると言い出したわけでなく、ウェザリアでは出来ないあることをしたいのだと降りた。
「将軍がなにをするか……なにせ色々と語ってない事が多いからな。またなにかとんでもない物が出てくるだろう」
「大層な話ではない。少々身なりを整えようと思っているのだ」
貴虎は何をするかは知らないが私だからなにかとんでもない物が出ると読んでいるがそんな大層な話ではない。
少々身なりを整える、ただそれだけだがそれを聞いた3人がなにを言っているんだ?と言う顔をしている。
「えっと……オフには出来ないのですよね?」
「ふん、安心しろ。ちゃんとプランは練っている」
ウォーターセブンやモックタウンの様な海賊相手に商魂逞しく生きている街もあるだろうが、そうでない街もある。
悪魔将軍及びゴールドマンの身は悪目立ちをする。特に世界政府加盟国ならば通報されてもなにも文句は言えない……気配を完全に断つ擬態ならば得意だが風景と溶け込む自然体になるのは難しい。
「オーバーボディを作る」
「オーバーボディ……なんですかそれは?ボディと言う事は体が関係している物でしょうが」
「なに、平たく言えば着ぐるみだ」
色々と考えに考えた結果、オーバーボディを作れば色々と誤魔化す事が出来ると判断した。
オーバーボディと言うワードを聞いても孔明はピンと来ていないのでスゴくざっくりと言えば着ぐるみと言えば呆れていた。
「わざわざウェザリアから降りて着ぐるみ作りですか……呆れましたね」
「ふん、それはどうかな?……ただ単に着ぐるみを作るのならばウェザリアにある素材だけでどうにでもなる。私が地上に降り立ったのは着ぐるみでなくオーバーボディを作りたいからだ」
「……とりあえず、なにをするかお教えください」
「臆するな。特に難しいことはしないし私にしか出来ない」
私はそう言うと手がバチバチと音が鳴り常人にも見える電磁波が浮かび上がる。
それは少し前に見せたものではあるが特になにも無かった物であるが……それはウェザリアと言う土地が悪かった。
「地面に鍵穴が……なにかが出てきた!?」
「この地に眠りしマグネットパワーよ、我が身にオーバーボディを!」
鍵穴の様な物が地面から出現すればそこから何かのエネルギーが出てきてバチバチと音を鳴らしている私の腕と繋がる。
私は力が繋がったなとマグネットパワーを用いてオーバーボディを作れと念じれば私の体に負荷が少々掛かり少し輝き……最終的には悪魔将軍とは異なる見た目となった。
「なっ!?……縮んだ!?」
「着ぐるみならば普通、大きくなるものでは?」
私自身が自覚はしているがケンや孔明達から見てハッキリと体格が縮んでいると驚かれる。
自分の腕を見るが日に焼けた筋骨隆々の男でも鎧なのか筋肉なのかイマイチ分からない不思議な肉体とも全く異なる物になっている。
「貴虎、鏡はあるか?」
「あ、ああ……それがオーバーボディとやらか。識別するタイプの見聞色が無ければ気付けないな」
オーバーボディに身を包んだ私を見て言葉を失いかけていたが少しずつ冷静さを取り戻す貴虎。
なんとなくのレベルでの見聞色の覇気だが私だと気付くことが出来ず、私から放たれている独特の威圧感を感じ取ることが出来ない……
「見た目を少し改善し威圧感を無くしただけであり、実際にやりあえば高確率で気付かれるだろう」
「まぁ、あの見た目よりはまし……なのですかコレは?大して変わらない気がしますが」
今の私の見た目は天体戦士サンレッドに出てくるナイトール瓜二つだ。
悪魔将軍から見た目が変わったが相変わらず派手な見た目であることには変わりはないのだが、事前に用意していたジャージを着れば変わったヘルメットを被っている男になる。
「如何にもな見た目からそれは少々どうかと思いますよ?」
「そうか?」
ナイトールなのだから緑色のジャージを着ていてもなんらおかしくは思われない、本来はフロシャイムのFの部分を悪魔超人軍の紋章にすればそれでいい。ケンがナイトールの見た目がいいのにジャージを着ることで全てを台無しにしてしまっていると指摘するが、これがいい。
「その姿で行動しようというのは分かるが、戦えるのか?」
「ミッチミチだから海軍本部中将クラスとはやりあえん。その時がくればオーバーボディを脱ぐ。だが、その辺の雑兵ならば大体は覇王色でどうにか出来る」
ナイトールになっているので本来の姿ではない。
オーバーボディをざっくりと着ぐるみと言っているが体格を無理矢理縮めているのでミッチミチな感覚もあるにはあり、不自由なところもある。体は不自由だが意識はハッキリとしているので覇王色の覇気は問題無く使える。
オーバーボディは基本的には使い捨てる物であり、戦いをしなければならない時は当然この姿を脱ぎ捨てて悪魔将軍としての姿に戻る。
「コレは凄まじい技術ですね……しかし、何故ウェザリアでは出来ないのですか?先ほどの腕がバチバチと鳴らして鍵穴を作りなにかを回収しそれをオーバーボディに変換しておりましたが、ウェザリアでやろうとしましたよね」
「このオーバーボディはマグネットパワーで出来ている。当初はウェザリアのマグネットパワーをと思ったがウェザリアにはマグネットパワーその物が無い。まだ正確には分かっていないが、今のところの仮説では正常な地面でなければマグネットパワーは存在していない」
「マグネット……磁力のことですか。確かにウェザリアは人工的な空島で偉大なる航路の島々特有の特殊な磁場は出ていませんから磁力をエネルギーにした物ならばウェザリアから採取は出来ませんね」
スゴい技術である事を褒めたがウェザリアで同じ事をしようとしていた。その時に失敗に終わっていたことをケンは覚えており何故出来ないのかについて聞かれればウェザリアにマグネットパワーその物が宿っていない。マグネットと言う単語から磁力を連想し、ウェザリアには磁力が無いからそれは確かに使うことが出来なかったなと素直に納得をした。
「……磁力で着ぐるみ?」
「コレはおそらくは将軍の悪魔の実の能力の応用だろう」
結果的には磁力を用いて着ぐるみを作ったことになるが、磁力は着ぐるみを作る物でないと孔明の中では認識している。
貴虎も詳しいことは分かっていないが、私が口にした悪魔の実の能力を応用した技術の1つだと言えば孔明もケンも興味深そうにしている。
「嘗てキャプテン・ジョンが宿していたと言うジキジキの実以外で磁力を操ることが出来る……貴方が口にしたのは動物系ですが幻獣を含めても磁力を操る生物は聞いたことはないですね……実に興味深いです」
「マグネットと呼んでいるが、正確には私が別のエネルギーを磁力や電力に変換しているだけに過ぎない……少々、この力について研究していたがかなり危険な代物でな。正直な話、私も持て余しているところはある」
月の文明でマグネットパワーに関するあれやこれやを一応は研究していた。
私自身が学者肌の人間でないのは理解しているのでサイコマンの様にマグネットパワーを完全に理解して極めたとは言い難いが、それでもマグネットパワーが恐ろしき力で命を操る事が出来る神すら許されない領域にある物であることは自覚している。そしてそれを使おうと考えている自分も居る。
「コレに関しては私と同じタイプの悪魔の実を口にした者のみが使える……とは言え……」
「?」
「いや、気にするな。些細な事だ」
私の為に用意されたであろう悪魔の実やラフテルにある始祖の祭壇には9つの始祖のダンベルがある。
悪魔の実はその能力を持っている人間が死ななければその能力を宿している悪魔の実は生まれない。そして9つのダンベルが既にラフテルにあると言うのと超人はその気になれば生き返る事が可能な存在であれば、おそらくは完全に死んでいない。
もし私が口にした悪魔の実がヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンならば、ラフテルに9つのダンベルがあるならば
この誰かになれる9人の悪魔の実能力者が何らかの形でラフテルに辿り着いた、もしくは最初からラフテルに居て祭壇にダンベルを捧げた。何時か現れるかもしれない他の始祖達を……クロッカスの話に間違いが無ければ、後は私の持っている天のダンベルを捧げるのみ。他の超人種は居ないだろう……仮に居ても超人でなく超神の類だ、悪魔の実で神様は何処までありなのかが分からないが悪魔と言いつつ仏と太陽神と神獣である青龍や麒麟があるからなんとも言えん。
「コレである程度は自由に動ける」
「一言申し上げておきますが、騒ぎは起こさないでください」
「海軍や海賊相手ならまだしも他の奴等に」
「居たぞ!」
「……」
なるべく騒ぎは起こすなと言っているにも関わらず海兵達が現れる。
孔明に騒ぎは起こすつもりは無いことを伝えたつもりであったが、どうやら誰かが通報した……複数の海兵に睨まれる。
「間違いない、手配書の通りだ!」
「手配書……?」
海兵の1人が手配書の通りだと1枚の手配書を持って確認をしている。
私は賞金首だから当然と言いたいのだが、今の私はジャージ姿のナイトールであり手配書に載っている悪魔将軍としての写真とは姿は大幅に異なっている。当然と言うべきかそれについて孔明は即座に気付いた。
「間違いない!拐われた海兵、貴虎だ」
「……俺か」
海兵が握っている1枚の手配書に載っている顔写真は私でなく貴虎が写っている。
私達は賞金首で私は倒されればだが、貴虎に関しては生け捕りしなければならない。私が貴虎を拉致した事になっており、目の前にいる海兵達からは賊である悪魔将軍に拉致された海兵と言う立ち位置になっている。
自分から騒ぎを起こしている自覚は無かったのでまさか自分が原因とは思っていなかったなと貴虎はボソリと呟いた。
海兵達は……なにかを待っている。その辺の雑魚な海兵と大して変わらないレベルの実力者達だが、1名だけ強い気配がありそれが近付いてきた。
「カトリーヌ軍曹、間違いありません!拐われた海兵である貴虎です!」
「……本当ね」
海軍の象徴である正義が刻まれたコートを背負っていないのと軍曹と言う役割からしてこの辺の支部の人間だろう。
貴虎同様にかなり若い見た目をしている美少女だなと思いながらもこの場をどうやって切り抜けるのかを考える。
「覇気?」
「まぁ、待て」
なにかあれば覇王色の覇気で対応をすると言っているので覇王色の覇気で威圧しないのかと孔明が聞いてくるが、まだしない。
知っておかなければならない事が幾つかあるのだとカトリーヌは貴虎の前に一歩ずつ歩いていき敬礼をする。
「貴虎准尉、よくぞご無事で!……拐われたと聞いた時はもうダメかと」
「……色々とあったがなんとかなった。もうダメかと思ったが世の中どうなったものか……俺が准尉でお前が軍曹だからそうなっているが、使いづらいのなら無理に敬語は使わなくても構わない」
「あ、じゃあ……よかったわ。東の海の海賊達を尽く蹴散らしている無敵の自警団を全員倒して誘拐されたって……海賊による海兵狩りは聞いたことがあるけれども拉致なんて聞いたことが」
貴虎、准尉……まだまだ上はあるとは言えそれなりの階級を貰っていたのだな。
カトリーヌが自分と大して年齢が変わらないので無理に敬語を使わなくてもいいと伝えればカトリーヌは本来の声色で喋る。
「最後のやりとりが出来なかったから分からないんだが、駐屯先の自警団はどうなったんだ?」
「全員が全治一ヶ月の傷を、奇跡的にも誰1人死人が出なかったけれどあそこには海兵狩りのミホークが潜んでいたのよ!王下七武海の制度を受けるって言いにきて今は王下七武海に入ったけれど自警団の傷が癒える一ヶ月の間だけ島に滞在してそこからは出て行ったわ」
「……そうか」
全治一ヶ月の怪我はあったが、奇跡的に1人の死人も出なかった。それと同時にミホークが一ヶ月だけ自警団の代わりをしてくれた。
貴虎と自警団は別物と私は認識しているが貴虎の中では自警団に対する仲間意識の様なものがあるのか元気にやれていると言う事を知れて嬉しそうにしている。
「いやはや、無事でなによりだ!」
「ゼファー先生!」
む?……む?
貴虎があの後について聞いた後に出てきたのはゼファー……確かコイツは劇場版キャラだったな。尾田栄一郎は劇場版はパラレルワールドと言う扱いで本編と合わせたらややこしくなる云々で本編には登場させない様にしているのだが、まぁ、金獅子のシキは本編に一応は出てしまったからな。確かFilmシリーズは原作者である尾田栄一郎監修な物語だから本編と絡んでも違和感が無いようにしているみたいだが……まぁ、私と言うイレギュラーが居るので本来の道筋など今更か。
「貴方は確か元海軍本部大将の」
「今はただの教官に過ぎない……貴虎准尉、よくぞ無事だった。お前を拉致した悪魔将軍は?」
「……奴は悪魔の実の能力者であり、空を飛べるようでして。流石に50kg以上ある自分を抱えて飛び続けるのは負担が掛かった様で途中で空島に、そこでこの方達と出会いました」
「そうか……空を飛べる能力は危険だ。金獅子のシキがまさにその一例……奴は今、何処でなにをしているか。ともかく無事でよかった」
覇王色の覇気をぶつけてもあまり効果が無さそうなのも出てきたので下手にぶつかり合わない。
まだ海楼石で出来た義手を付けていない、片腕だけのゼファーだがそれでもガープ以外の海軍本部中将以上の実力を持っている手練だろう。
「ケホケホ……すみません。物資の調達を、なにか面白い本等が無いか購入をし、ケホッ」
「この人はケン、俺達に色々と世話を焼いてくれた人だ」
「世話なんてとんでもない、むしろ彼等には……ケホケホっ、ゲホッ!?」
「先生!?」
「血を吐いているぞ!!今すぐに医者を呼べ!」
ウェザリアの面々がどの様な処遇を受けるのかやや気になる中で貴虎はケンを紹介した。
世話を焼いてくれた人と言えばケンは咳き込みながらも貴虎が力を貸してくれているおかげで色々と成り立っていることをゼファーに伝えようとすれば……ケンは吐血をした。それを見た今まで呆れ顔以外は特に表情を変えていない孔明が驚いた顔に豹変し、ゼファーも異変を感じ取ったのか医者を呼ぶように言った。