ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話   作:アルピ交通事務局

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悪魔超人の資格!の巻!

 

「……」

 

「ここでは星空は見えんぞ」

 

 ウェザリアで補充しなければならない物資を補充し、後は風の向くままとなった。

 孔明は雨を降らせた街の丘の上に居た。無言で空を見上げているが……ウェザリアと違い雲が邪魔をして星空が見えない。唯一見える物があるとすれば三日月だろう。

 

「星空ならばウェザリアで何時も見ています……私は音を聞こうとしているのです」

 

「音……ケンが言っていた声のことか」

 

 音を聞きたいと耳を澄ませているのかと思ったが、耳は澄ませていない。

 ケンが一部だけだが聞こえたと言う声を孔明は聞き取ろうとしている……

 

「正直、センセイが言っていた声と言うのは分かりません」

 

「それを感じ取る事が出来たのは、ケンの先天性の才能があってこそだろう」

 

 ケンが言っていた声について孔明は聞こうとするが聞き取れない。

 ケンが聞こえたと言う不思議な声は見聞色の覇気に目覚めただけでなく見聞色の覇気の方が得意だからこそ出来る。

 

「声自体は存在している……ただ、聞き手側に問題がある」

 

「私にですか?」

 

「ああ……人々の意識が詰まった声は聞き手側が耳をしっかりと傾けなければならない」

 

 ルフィ達の最初の船であるゴーイング・メリー号が燃やされる時にルフィ達は声を聞いた。

 愛着心がある自分達の船だったから声を聞くことが出来た……が、船大工ではあるが麦わらの一味ではないアイスバーグがメリー号の声を聞くことが出来た。アイスバーグは船大工だから船のことを熟知している、だが麦わらの一味程にメリー号に愛着心があるかと聞かれれば無いだろう。しかしそれでもアイスバーグはメリー号が放つ僅かな声を聞くことが出来た。

 

「ケンが聞いている声や、それ以上の声を聞くには……ウェザリアではダメだ」

 

「だから貴方の船の航海士になれと?」

 

「それは手段の1つに過ぎない。幸いにもここには海軍がいる、ただの海軍でなく海軍本部になにかと顔が利く男もだ……奴等について行けば聞こえる可能性は無くもない」

 

「何故ウェザリアがあるのか、知らないほどに私は愚か者ではありません……海軍に行くことだけはありえない。彼等は確固たる地位と信念を持っていますが、それだけです。それ以外は異なるものです」

 

 私達に付き添う事はしなくとも海軍に行けば聞こえる可能性はあるが、ウェザリアは海軍にとって異端な存在である事は熟知しているのでそれだけは無いと否定し、海軍は正義を掲げては居ないことを述べた。

 

「ならば、どうするつもりだ?」

 

「そちらこそ……私の知恵が必要だと言わないのですか」

 

「貴様が優秀な事ぐらいはとっくに理解している。だが、今の貴様では悪魔超人軍には入る資格が無い」

 

「資格?」

 

「ふん」

 

 入る資格が無いと言えばなにを意味しているのかと興味を孔明は抱いた。

 それが何なのかについて説明をしてやろうと私は手を翳せば地面からグツグツと熱湯が茹で上がっている壺に近い形状の釜が現れた。

 

「ナイトール、物資の補給も天気の代金も貰えた……それは確か……孔明ではダメだろう」

 

 物資の補給や謝礼等を貰えた事を報告に貴虎がやって来た。

 グツグツと沸騰している壺に近い形状の釜を見てなんなのか知っている貴虎はそれは孔明では無理な物だと判断した。

 

「私ではダメだとは……度胸試しが出来ないとでも」

 

「こういう事だ」

 

 貴虎は孔明の質問に答える為になんの迷いもなく釜の中に手を入れた。ブクブクと沸騰していて煮え滾る湯が中には入っているが貴虎は特に叫ぶことも表情を切り替えることもせず30秒ほど手を入れた後に釜の中から手を出した。

 湯気を出しているどころかブクブクと沸騰している。熱湯に耐えれる生物は探せば存在しているかもしれないが、人間である貴虎には耐えれる物ではない。普通ならば大火傷を負っている……だが、貴虎の手はなんの変化も起きていなかった。

 

「コレは鬼出しの釜と言う代物で……悪魔超人軍はコレに手を入れてもなんとも無い者達の集まりだった」

 

「……っ……なにか条件があるのですか?」

 

「悪魔超人軍が掲げた思想を持っておらず造反や諜叛の意思がある者達は火傷をしてしまう。逆にその信念や思想を抱いているのであれば、全くと言ってなにもないただの心地良い湯だ」

 

「思想……貴方達は珍しく勤勉な者でしたね。普通ならばそれを嫌い自由を謳い無秩序に動こうとするロクでなしの集まりだと言うのに……どの様な思想を持てばこの湯で火傷にならずにすむのです」

 

「最初は海賊に負けないと言う気持ちだ……だが、私自身が賊となった今では少々内容が変わった。今のこの鬼出しの釜は私の冒険の力となり、終わりを見届ける覚悟がある者のみが火傷をしない」

 

 孔明には私の冒険の力になれるが力になる事と終わりを見届ける覚悟が無い。だから熱湯の蒸気だけで熱さを感じる。

 

「終わり……」

 

「私のこれからの冒険は前途多難だろう。波乱万丈だろう。だが、それでも様々なものを見て回る……そして何時かは終わりを迎える。私の船に乗っている限りは戦って死ぬ以外の死は許さん。私の冒険の終わり方は決めている。私の冒険の力となり、そして私の最後を見届け受け入れる覚悟が出来た者こそ我が船に……孔明よ、貴様は詩や物語は好きか?」

 

「ええ……多少は嗜んでおります」

 

「どんな詩にも物語にも終わりは確かに存在している、それが駄作であろうが名作であろうが。ケンが聞こえた声はその物語の声だろう。だがそれはほんの一部……お前かケンならば私はケンを選びたい。だが、ケンはお前こそ相応しいと推薦している」

 

「……呆れましたね。そこまで言って自分の船について来いと、乗れとは言えないのですか?海賊らしく欲しい物は奪おうとしないのですか?」

 

「私は海賊ではない、悪魔超人だ。悪魔超人軍は過酷だ、その存在は教えても自らで門を叩かぬ限りは入れるつもりは無い……少なくとも、貴虎は自らの意思で悪魔超人軍の門を叩いた」

 

 もっとも、あの時に門を叩きたかった者は貴虎だけではないが。

 その話をすれば色々とややこしいのでせずに言うだけは言い残し……夜が明けた。

 

「貴虎准尉を助けて頂いた謝礼金となっております!」

 

 ウェザリアのするべきことは終えたのでこれから島を離れる。

 賞金首であった貴虎を助けて海軍に送り届けたので賞金だと大金が入った袋を手に1人の海兵が……

 

「ゼファーは居ないのか?」

 

「先生は最前線を退いていて教官になっていて色々な海に……ここは私に任せて問題は無いと判断してくれたの」

 

 ゼファーが居ないので聞いてみればカトリーヌがゼファーは別の場所に居ると判断をし、既にこの場には居ない事を告げる。

 

『マンゴー!』

 

「それは戦極ドライバー!」

 

 自分達に任せても問題は無いと言えば海兵達は銃を構えた。

 カトリーヌは戦極ドライバーを取り出して腰に装備し、マンゴーロックシードと思わしき物を装填すれば西洋風の音が流れる。

 

『マンゴーアームズ!ファイト・オブ・ハンマー!』

 

「急に変身をして、なんの真似だ?」

 

「もうやめにしましょう……そろそろ、本性を現したらどうかしら?ねぇ。恐怖の将!悪魔将軍!」

 

 見た目はマンゴーアームズだがベースとなっているのは仮面ライダーイドゥンに変身したカトリーヌ。

 何処の段階で気付かれていたのか本性を現せと言っており、マンゴーアームズの武器であるマンゴーパニッシュを私に向ける

 

「ふん……隠し立てしても無駄ならば姿を見せるしかない!」

 

「「「『ほ、ホントに悪魔将軍だった!?』」」」

 

 ナイトールの見た目にピシリとヒビが入れば悪魔将軍の姿となっている私が出てきた。

 カトリーヌは私だと確信をしていたが、他の海兵達は悪魔将軍だと思っておらず驚いている。

 

「気配も完璧に変えているが何処で気付いた?」

 

「1つ引っかかったのよ。准尉を拉致して空を飛んで旅立った……そしてウェザリアに降り立った。悪魔将軍に空を飛ぶ能力があっても准尉には空を飛ぶ能力は無い。だから降りるかどうかは貴方が決めること。そして准尉はこう言ったのよ……ケンは俺達が世話になっている人ってね。俺が世話になっている人ならばまだ分かるけれど、俺達だと複数になる。そこから考えられる事は貴方が悪魔将軍であること」

 

 貴虎が言っていた俺でなく俺達と言う言葉からの推理、幾つか指摘できる事はあれども纏めている。

 カトリーヌは思っていた以上に優秀な海兵、戦闘面以外のところでも活躍出来るとは中々なものだ……だが

 

「悪魔将軍、貴方を倒して捕まえるわ!」

 

「カトリーヌよ、お前には2つのミスがある」

 

「ミス?貴方は完全に包囲されている、空を飛べる能力があってもこの数なら撃ち落とせるわ」

 

「ふん!」

 

 2つのミスがある事を指摘すれば自分の作戦にミスなんて無いと主張するカトリーヌ。

 ならばそのミスを指摘してやるかと覇王色の覇気を周囲に放ち威圧をすればバタバタと海兵が倒れていきカトリーヌは膝をついた。

 

「コレは驚いたな……ちゃんと使ったのだが」

 

「なめ、ないで……私は、戦極ドライバーを使いこなす為に死ぬ気で頑張ったのよ……常人なんてとっくに止めている、わ……」

 

 手加減を一切していない覇王色の覇気をぶつけて膝をついて呼吸を乱すだけで終わったカトリーヌ。

 他の海兵達と同様にバタバタと倒れていくものかと思ったがこの覇王色の覇気を耐えるとは流石に予想外だが、まともに戦えない。

 常人では使えない、いや、耐えられない戦極ドライバーを使いこなせる様になる為に頑張った事を述べる

 

「そのベルトは常人では耐えられない物だが、まさか使いこなせる者が他にも居るとは……だがそれでもお前はミスを犯している」

 

『メロンアームズ!天下御免!』

 

「無双斬!」

 

「きゃあ!?」

 

 貴虎以外に戦極ドライバーを使える人間が居るとは思いもしなかったが、それでも犯しているミスはある。

 

「貴虎が何事もなく今日まで生きているのだぞ?……既に貴虎は悪魔超人軍に入った」

 

「そんな、なん、で……」

 

「俺がこの男についていきたいと思ったからだ……世間的には賊と思われているのだろう。ならば賊としてこのマンゴーロックシードは貰っていく」

 

 斬月に変身した貴虎はイドゥンに変身しているカトリーヌを無双セイバーで斬った。

 マンゴーアームズと言うだけあり、マンゴーがモチーフの鎧のおかげで致命傷は避ける事が出来たものの私の覇王色の覇気からの大地斬と海波斬を掛け合わせた斬撃である無双斬を受けてしまったのでカトリーヌはイドゥンの姿から変身が強制的に解除されてまともに立ち上がる事が出来ず、貴虎はカトリーヌの戦極ドライバーに装着されているマンゴーロックシードを奪った。

 

「そして2つ目に、本当に賞金を用意する奴がいるか?騙し討ちをするならばもう少し上手く……いや、貴様の売りはその高潔さか」

 

 貴虎を助けて海軍に送り届けたお礼、貴虎のかけられていた賞金500万ベリーを本当に用意していた。

 最初から私の討伐を目標としているのであればダミーの札束ぐらいは用意しておくもの……私達の前に持ってきたと言う事はどうぞ奪ってくださいと言っているも同然だ。もう少し汚く動けないのかと思ったが、どうやら高潔な精神を持ち合わせている様で出来なかった。

 

「素寒貧な私達に500万ベリーはありがたいな」

 

「海軍よ、貴様達からありがたく頂こう」

 

「っ、待ちなさい!!」

 

 貴虎が無双セイバーを腰に戻せば500万ベリーが入ったケースを手に取る。

 素寒貧な状態の私達にとって500万ベリーは大金だ。何処から金を生み出すのか悩んでいたが、こんな所に最初の種火となる金があるとは、流石の私も予想外だ。

 

 変身を解除した貴虎を抱えれば私は空を飛んでウェザリアに向かった。

 

「なんじゃ、元の姿に戻ったのか」

 

「勘づくものが居てな……追手が来る前に逃げるぞ」

 

「逃げると言うが、風が無ければウェザリアは動かない……つい昨日まで天候を弄っていたが、ウェザリアを動かす風は」

 

「ふん、その程度の事は考えていないとでも?」

 

 ウェザリアに戻ればハレダスがナイトールから悪魔将軍の姿に戻っている事について驚くのでバレたとだけ言っておく。

 追手が来られるのが一番厄介な事で、早々に島を離れたい。しかしハレダスは昨日まで天候を弄くっていたのでウェザリアを動かす風が無い事を気まずそうに言っているが……その程度ならば予測済みだと島に向かってマグネットパワーを伸ばす。

 

「コレは……砂鉄か。砂じゃ動かんぞ」

 

「まぁ、見ておけ……一応はマグネットパワーの使い方は心得ているからな、この様な使い方も可能だ」

 

 マグネットパワーを用いて島にある砂鉄を大量に集めた。ハレダスはマグネットパワーに驚いたが直ぐに解析し、砂鉄ではウェザリアを動かせない事を指摘するがそんな事は分かっている。マグネットパワーでこういう事も可能だと4本の腕を作り出した。

 

「腕が増えただけじゃないか……たかが6本の腕でなにが出来る?」

 

「風を起こす……地獄巡りNo.5!」

 

「将軍、ちょっと待て!まさか!」

 

「そのまさかだ!竜巻地獄!」

 

 本来の腕とマグネットパワーで作り上げた腕の合計6本の腕でなにが出来るかの問いかけに、風を巻き起こすと答える。

 それを聞いた貴虎は顔を青くしているが、その通りだとウェザリアに竜巻地獄をぶつけることで本来ならばありえない速度でウェザリアは移動した。

 

「自分で竜巻を巻き起こすとは、悪魔か!……いや、悪魔じゃったか」

 

 災害である竜巻を起こした私を悪魔と比喩しているつもりだが、悪魔将軍と自ら名乗っている。

 悪魔だったなと直ぐにハレダスは冷静になり、大きなため息を吐いたが結果的にはウェザリアは完全に見失った状態になった。

 

「この竜巻のおかげかこの竜巻のせいなのか、進路が少し読めなくなった……次に行く島で降りるんじゃろ?」

 

「「…………」」

 

「なに、ケンも孔明も決めておる……さて、気象を読まなければの」

 

 次に辿り着く島で降りることを聞かれれば返事に悩んでいたが、ハレダスは分かっているとその場を後にした。

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