ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話 作:アルピ交通事務局
「まさか一夜で8割も削りきるとは……」
「短期決戦の方が好ましい……作戦も何もなくただジリジリと時間をかけていては兵も武器も無駄に消費させるだけだ」
虐殺王の名に相応しい蹂躙をした。
リグレットに言った様に相手を震え上がらせ味方を鼓舞する一騎当千の猛者、そんな力を見せつけられてリグレットは言葉を失う。
「しかし、撤退を選ばないとは愚かですね」
「お前みたいなのが向こうには居ないんだろう」
通り雨を利用し、如何にも自分が雨を降らせたと演出をした。
そこから様々な可能性を生み出しているにも関わらず海賊達は撤退と言う選択肢を取らなかった。
孔明の様な兵法もしくは戦術を学んでいる者が向こう側には居なかった。
急な通り雨に加えて自分達よりも遥かに額の高い海賊、コレはまずいと判断して一時撤退というのは決して悪いことではない。貴虎はその辺を知っている、出来る者が居ないのだと孔明に告げた
「……コイツは中々に使いやすかったな」
貴虎はマンゴーロックシードを手にして呟いた。
今まではメロンディフェンダーと無双セイバー主体で戦っていたが今回は全く別の武器を用いて戦った。
「確かあの時、色々と送りつけた筈だ……本当に採用されているのならば、何処かの誰かが持っている可能性がある」
貴虎の名前から連想するからと仮面ライダー斬月や戦極ドライバーのデザインを送りつけた。
食べた者に超常的な能力を与える悪魔の実に対する嫌味もしくはカウンター、普通に食べて美味しい果物をモチーフにしている。貴虎のアイデアが採用されたから貴虎に斬月が回ってきたが後になって調べて分かった事は他の海兵達にも一応は戦極ドライバーを渡している。
ただ強化スーツなだけあり着るだけでもかなりの負荷がかかる。
ジェルマ66は改造人間でそれに耐えうる肉体を持っているが、常人では着こなせない。海兵達に無理をさせるわけにはいかないのだと上は判断して戦極ドライバーの回収となったが、メロンアームズ以外にも色々なアームズのデザインは送っている。マンゴーロックシードもその内の1つだ。
「それで、報酬は?」
「少し待っていろ。ここから海軍基地までそれなりに距離がある……遺体だらけで、どれがどれなのかが分かりづらいから換金に時間はかかる」
海賊を倒せば、その海賊の賞金を6割ほどは融通してくれる。
最高金額2000万の海賊は狩れなかったが1000万から300万ベリーの海賊はゴロゴロと居たので狩ることが出来た。コレで悪魔超人軍の活動資金、いや、将来の船の為の貯金が増えたが現物が届いていないのでまだかと聞けば待つように言われる。
やはり生け捕りしなかったことは虐殺をしていた事に問題があるのだろう。
リグレットは監禁にまで時間がかかると述べた後にゼロ・オリジン号を降りていった……
「もういいぞ」
ゼロ・オリジン号から完全に降りたのだと分かれば隠れていたロビンが姿を現す。
今までひっそりと隠れていたロビンは自分の能力で周りに敵が居ないか等の確認をしているが、今のところは問題は無い。
「名のあるとは言わないけれど、一度にこれほどを相手にしたなんて……やるじゃない」
「ふん、まだ貴虎の方が骨がある」
ロビンの手には懸賞金が書かれている手配書がある。✕印が刻まれているのが大半であり、それらは私が倒した海賊だ。
自分と違う理由で賞金首となっているのだからそれ相応と思っていたが私が虐殺と呼ぶに相応しいレベルにまで血祭りに上げた事をロビンは驚いている。だが、私からすれば貴虎の方がまだ骨がある。
「それよりも貴女は大丈夫なのですか?……この人数、そして貴女の身の上や能力の利便性から船番を任せておりますがストレスにはなりませんか?」
「心配してくれてありがとう。でも、閉鎖空間には馴れているから大丈夫だしこの能力のおかげで色々と見たり聞いたりする事が出来るわ」
色々な理由が混じり合い船番をしているロビンを孔明は心配する。
しかしロビンはこの手の環境にはなれていて何かがあってもハナハナの実の能力で情報収集が容易いと気楽に答える……ハナハナの実、名前からは能力は想像しにくいが万能な能力だ。
「それよりも心配しないといけない事があるわ」
「なんだ?」
「バンダイ王国が何時裏切るかどうかよ」
ロビンは自分の心配よりも他の事を心配する。
なにかと思えばバンダイ王国が何時、私達を裏切るかどうか……
「裏切る?この国は海賊の首で成り立っているんだ。下手な事をするよりも海賊達を一部支援する方が国が上手く回るだろう……裏切るのが最も効率が悪いぞ」
「確かにそうね。でも、私達は何処まで行っても賞金首の存在……仮に裏切りで奇襲を仕掛けたとしても、世間からの非難は浴びない。バンダイ王国は実情を知らない周りの国から見れば西の海で海賊をはじめて少しずつ名前が売れている人達を倒している優れた武力を持っている国家と認識されているわ」
「しかし、そういう事をすると言う事は今後あまり良くない方向に流れます……私達を裏切る為の正当な理由、そして裏切ったとしても海賊達の様なカタギの人間でない者達が今度は自分が同じ目に遭わされると言う疑惑の念を抱いてしまいます」
「裏切る方向を変えさせるのよ……今回の戦いで得たお金だけれど、それは悪魔将軍が倒した者達が8割程よ。悪魔超人軍に実際に入って来るお金として約4500万。仲介手数料を入れた場合だと6000万以上は行くわ……コレを出し惜しみしたいところは出し惜しみしたいでしょうね」
私達を裏切るという事について貴虎と孔明は疑問を抱く。
海賊相手ならば義理だ人情だと言うことをしないのは分かっている。犯罪者相手ならば何でもするという考えを持っている下衆な国家は当たり前だ。私が一方的に蹂躙していたりする事などを考慮してもそれをしてもあまりメリットが無いように見えるが……結局のところは金と言う問題点にぶつかり合う。
「金が絡むと人は変わってしまう……特に額が額だ」
数百ベリーぐらいならば見逃せるが、数千万だ。
天竜人への天上金が幾らかは知らないがそれだけの額があれば暫くは食いっぱぐれる事は早々に無い。民度が0か100かのどちらしか無い色々と終わっている世界であるONE PIECEの国々ならばやるところはやるだろう。
「その額を踏み倒しても問題は無い相手ならばその額を踏み倒す理由を取り見繕う必要すらない……まったく、犯罪者を利用したマッチポンプなシステムだ」
「納得している場合じゃないわ……何人か貴方達に対して逆恨みに近いものを抱いているわ」
「逆恨みだと?」
「利益が無いに等しいことに不満を持っているわ」
「ふん、まともに戦果を上げられない愚か者が……その程度の存在であれば覇気だけでどうにでも出来る」
私達のせいで本来は手に入れる取り分を無くしている事を不満に抱いている海賊達が何れは金を奪いにやってくる。
その程度の相手ならばどうにでもなる……あの場で戦果を上げることが出来なかった時点で底が知れている。超人パワーの類を使わずとも鍛えた覇王色の覇気だけで終わる。
「……ふん、誰かがやって来るな。感じたことが無い気配だ」
誰かがこちらに向かってやって来ている。感じたことがない気配で、何処の誰かか。
ここでロビンを見られるわけにはいかないのだとロビンには隠れてもらうがハナハナの実で言葉や動きを観察してもらう。
「よぉ、果物戦士」
「……お前は……2000万の、なんの用事だ?」
乗り込んできたのはインフェルシア側が雇っている海賊で最高額の賞金首の海賊だった。
セレスティア側に船を停泊させたのならばインフェルシア側に行ってはいけない。インフェルシア側に船を停泊させたのならばセレスティア側に行ってはならない。それはこのバンダイ王国の数少ない海賊達を取り締まる決まり事がある。
そのルールを破れば問答無用で海賊達は殺される。悪党には人権は無いとハッキリと示す。
それなのにも関わらずわざわざ私達に会いにやって来た……なにをしに来たのだと孔明も貴虎も警戒心を強める。
「まぁまぁ、待てよ。いい話があんだよ」
「海賊のいい話なんて、ロクでもないことでしょう」
「お前等も海賊だろうが」
「生憎だが、私達は悪魔超人軍……人によっては海賊に見えるだろうが海賊になったつもりは無い」
上手い商売の話があると言うが、わざわざ法を犯してまでやって来たのだから上手い話なんて何処にもない。
孔明が海賊なんてと否定すればツッコミを入れられた。だが直ぐに貴虎は訂正をした……海賊でなく悪魔超人軍と。
「なら尚更だ。なに、難しい話じゃない……お前等以外の海賊を売ってくれよ」
「なんの話かと思えば、そんなくだらない話をしに来たのか」
「くだらないじゃねえよ、ちゃんとお前等にも取り分をだ……ぐぅ!?」
セレスティア側についている悪魔超人軍以外の海賊を売ってくれ……偶然にも流れ弾が当たったという設定でも貫くつもりか?
あまりにもくだらない話であるが向こうにもちゃんと打算があるのだと金の話をするので私は迷いなく覇王色の覇気をぶつけて意識を気絶させた。
「ロビン、ロープで体が動かない様に……念のためだ」
バキィと聞くのが嫌になる様な音が船内に響いた。2000万ベリーの海賊の骨を握り骨のみを砕いた。
砕いた部分はうっ血した色に変わっていくがその様なものをここに気にする者は居ないと隠れていたロビンが姿を現し、ロープと空っぽの樽を持ってきた。ハナハナの実の力で腕を生やしてはバキバキと関節を折ってから酒樽に突っ込み空気穴を開いた。
「生け捕りだから2000万ベリー丁度でそこから約6割だから1300万は固いわね」
殺すのでなく生け捕りに成功したのでちゃんとした額が貰えるとロビンは冷静に語る。
1300万ベリーか……300万ベリーは雑費に消えるからそれはそれで構わない。
「ここに居ても退屈だろう。30万ベリーまで本を買ってやる」
「あら、太っ腹ね」
「ここで出し惜しみしては意味は無い……コイツは明日にでも売り渡すとして」
「この様な事を言ってきたと言うことはなにか打算があるのか、ですね」
ロビンに対する報酬を用意するとしても考えなければならない問題が1つ、何故わざわざこちら側まで海賊がやってきたか。
必要な物資等は金さえ払えば渡すと言っているし、その金も同業者である海賊を狩って出している……マッチポンプに近いところがあるが、それでも国の経済はある程度は潤っている。
「海賊だってバカじゃない。勝てない相手には逃げることも多々ある……当然と言うべきか、こういう裏取引をしていたのならばバンダイ王国が色々と言ってくる。勿論そのリスクを承知の上で海賊を雇っているが……レートが合わない」
セレスティアとインフェルシアは対立し続けなければならない。
意図的にその環境を作っているが、そのおかげでバンダイ王国は成立している……そして当然、その在り方に疑問を抱いている者、更に上に登ろうと野心を抱いている者も居る。
貴虎はこの海賊が私達に勝てないから交渉しに来たとしても明らかに交渉のカードが合わない、不釣り合いだと即座に見抜いている。
ならばこちらも動くべきだなと船室から看板に出た。
「どうせ居るのだろう?……インフェルシアの重役辺りが」
見聞色の覇気で気配は感じれるが感じたことが無い気配だ。
目から赤色の光線を放てば隠れているそれなりに身なりのいい人間が居た……セレスティア大臣や領地を回している者達に出会ったが、見覚えがない。予想通りと言うべきか?
「な、なんで見えないのに……」
「ふん、気配を消えていない時点で終わりだ……あの海賊を唆して、なにがしたい?」
姿が見えていないのに何故気付いたと戸惑いを隠せないがインフェルシア側の人間ではないと否定はしない。
船からジャンプして身なりのいい男のもとに向かえば亀の姿で隠しきれないのか覇王色の威圧感を感じ取って腰が引けて尻餅をついた。
「ま、待ってくれ!命だけは」
「ならば、もう一度聞こう。あの海賊を唆してなにがしたい?」
命だけは奪わないでほしいと懇願してくるのでもう一度だけチャンスを与える。
あの海賊を唆してなにをしたいのか……それを聞けば話し合いが通じるのだと分かったのか私から感じる威圧感から少し解放されたのか砕けた喋りになった。
「バンエルティア王からこの国を貰うんだ……もうこの国の方針にはウンザリだ」
疲れているというのがハッキリと分かる声色でバンエルティア王への不満を打ち明ける。
この国の方針にはウンザリか……ふん……
「バンエルティア王を倒したとしてどうするつもりだ?」
「この国の制度を撤廃する!能力が劣ってる奴がこんな所に送られて能力が優れている奴だけが生き残るなんておかしい」
「ふん……下を知らない下等な存在の考えだな」
バンエルティア王を倒したとしてどうするのかについて聞けば国の制度の廃止と言う。
この国は海賊達のお金から成り立っているという根本的な部分が……今の政権に反抗することは別に構わんが、上が別の人間になりかわっても大して変わらないのであれば裸の道化でも祀っておけばいい。
「貴様は人が堕落する情けない姿を見たことはあるのか?」
少なくとも堕落するときは酷く堕落する。知性を磨こうとしない者達も多くいる。
自警団を立ち上げた際にシュウジ達に教養を得るように勉学を学ばせたのはそれが最も人を堕落させる物だと私は認識していたからだ。
「無い。だけど新しい国にはそんな奴を生み出さない。この国のクーデターに協力してくれないか?成功したら1億ベリーを、新しい夜明けが」
「……人が成熟していない、進化の時が来ていないのにも関わらず新しい時だなんだと……くだらん」
しかしおかげでするべきことは決まった。
インフェルシア側の人間は私が一蹴すれば目にも止まらない速さで逃げ出した……自分が送り込んだ海賊では使い物にならない力の差があると感じたのだろう。
「一番の賞金首を捕まえたか……夜に争うのは禁止でここに居ると言う事は向こうは違反行為に及んだか」
翌日にリグレットに捕まえた海賊を渡す。
今日戦う手筈では無いのか?となったが冷静になり、夜に勝手にセレスティア側にやってきたのだと推理した。
「コイツはまだ生きている……2000万の賞金首だが1つ提案がある」
「なんだ?」
「私達の取り分はこの男の半値、1000万ベリーで構わない。残りの1000万はそちらがどの様な分散をしようが構わん……代わりにこの国の国王に会わせて貰う」
「なにを言い出すのかと思えば、海賊如きに王が謁見出来るわけがないだろう」
貰える賞金を半分、1000万で構わない代わりに王への謁見を求める。
リグレットはそんな事は不可能だと突っぱねようとするが当然と言えば当然だろう。
「ならば目当ての金の成る木を破壊するぞ……まさかあそこまで弱いとは思っていなかったからな。今日一日私が狩りをすればこの国の争いが成立しなくなる」
「……それは脅しのつもりか?」
「いや、仮に受け入れられなくとも元よりそうするつもりだ……私が求めているのは今のところは金、そして優秀な人材であるお前だ」
「最低の口説き文句だな……話だけは通すが断られると思っておけ」
「ふん、どうだろうか」
リグレットは海賊が入った樽を持っていった。
国王への謁見が出来るかどうかが大事だが出来ないならば破壊するまで……結果として国王への謁見は認められた。