ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話 作:アルピ交通事務局
「今度はしっかりとしたメンツを引き連れているな」
リヴァースマウンテンに再びやって来ればクロッカスと再会する。
私と貴虎で空を飛んでやって来た事を覚えており、今回はゼロ・オリジン号と新たに仲間にした孔明とリグレットを見てちゃんとしている事について指摘する。
「まだだ、まだコックと操舵手は見つかっていない。見つけるまでは偉大なる航路には入るつもりは無い……操舵手は東の海、コックは南の海で探すつもりだ」
「東西南北の海で決めるつもりか?……まったく、呆れたもんだ。コックも操舵手も船の中じゃ重大な役割だ。なにかアテでもあるのか?」
「無いな……だからこそ、探す価値がある」
東西南北の全ての海から選りすぐりの精鋭を選ぼうとしている私に対して呆れているクロッカス。
今のところは操舵手を探しているが特にアテは無い。だが、それでも見つけ出してみせると東の海に入った。
「操舵手の事だが、孔明ではダメなのか?」
「ダメだ……と言うよりは最低でも二馬力が欲しい。何れはこの船を捨てて大きな船を買う、そうなると孔明の指示だけでは船の操縦が間に合わない。孔明の様に天候を見抜けるのでなく、天候を肌で感じ取れるタイプの操舵手が欲しい」
操舵手については全くと言ってアテが無いので貴虎はそもそもで航海士の孔明ではダメなのか?と聞いてくる。
孔明がダメという話ではない。孔明の航海術は見事な物で何れは入る偉大なる航路で大きく役立つ筈だ。だが、それだけで偉大なる航路を突破することが出来るとは思えないので肌で感じ取る操舵手を求める。
「悪魔超人軍も何れはそれなりの人数になる。お前も今はまだそこまでとやかく言わないが、副船長の自覚を持て」
「副船長らしくと言いたいが、お前が船長としてのカリスマ性が強くて私の仕事が無い状態なのだがな」
「クェー!」
「あら、ニュース・クー。一部ちょうだい」
貴虎に副船長としての自覚を持つようにと言えば、私が船長をし過ぎていて副船長としてフォローするところが無いと嬉しい悲鳴を聞かせる。仕事が無いならば自力で探したり取ってこいという無茶な要望は出さないでいると新聞を売り渡り飛んでいるニュース・クーが現れた。
ロビンは新聞を一部購入すれば新聞と引き換えにお金を払った。
この世界の新聞は言いたい放題や政府からの圧力があるものが多いから確かな情報かどうかが不明な事が多いからなんとも言えない。
「面白いニュースはあったか?」
「そうね……」
世界を繋ぐ物でもあるのは事実なので面白いニュースがないのかを聞いてみる。
ロビンは新聞を速読しているが、特にコレだ!と言える大きな情報は無いみたいで次のページを捲ればハラリと1枚の手配書が落とされる。
「ふむ、初手300万ベリーか……多いのか少ないのか分からんな」
「将軍、感覚が麻痺しているけど300万は破格よ……それにしても、珍しいわね」
「?」
300万ベリーの賊が居ると考えていれば、感覚が麻痺しているとロビンに呆れられる。それと同時にロビンは珍しいと言う。
この程度の額の賞金首は何処でも見かけるレベルでどの辺りが珍しいのかが分からない。
「この人、暴走族なのよ。海賊でも山賊でもなくて、暴走族で賞金首になるだなんて珍しいわ」
「ほぉ、暴走族か……罪状はなんなんだ?」
「他に居た暴走集団を血祭りに上げたらしいわ……東の海の丘の上のギャングって言ったところかしら」
「面白い……どれほどの男なのかを見させてもらう。舵をこの男が居る島に切り替えろ!」
ロビンが手に入れた情報を聞いて面白いものだと気付き、船の舵を切り替える。
新聞に載っている情報から最弱であるこの東の海で威張っている……
「ここがか……海軍基地から比較的に近い。船番はどうする?」
暴走賊のトップに立っている男がどれほどの者なのか、暴走族が居る島である仏恥義理島にやって来た。
国として成立しないが大きな街が存在していて、工業が盛んな街として知られている。船を適当な場所に着ければ、この仏恥義理島は比較的に海軍基地から近いと貴虎は指摘して誰が船番をするのかの話になる。
「毎度毎度ロビンというわけにもいかないからな」
「そうですね。では私と貴虎が残りましょう」
「む……ここは新参者の私が、と言いたかったが。まぁ、いい……ロビン、外出は構わないか?」
「ええ……貴方達なら大丈夫だわ」
貴虎と孔明が残ると言い出した。
新参者のリグレットが苦労人をと思っていたがあっさりと貴虎と孔明は船に残ることを選び、今回はロビンとリグレットが一緒に出ることになった。
悪魔超人軍に在籍しているが、そこに至る前に色々とあったが為に心を閉ざしていたロビンだったが少しずつ開いている。
ロビンを売り渡す理由も特に無い、金に困ったのならば賞金首を狩ればいい……ただそれだけだ。
「しかし、思っているよりも広いのだな」
「そうですね。急な曲がり道や坂道は多いですが人の手で開拓された道が多い」
「この街の一番の売りは蒸気機関らしいわ……それを用いて作ったバイクって乗り物で爆走しているみたい」
世界政府非加盟国と言えるレベルではないが思ったよりも広大な仏恥義理島。
工業地帯に足を運べば色々と賑やかであり、表には顔を出すに出せない者達もそれなりに居る……ふむ……
「ここで船や大砲等の初期装備品を色々と手に入れているのか」
「どうやらそうみたいですね」
蒸気機関のエンジン以外にも色々な物が置かれている。
明らかに大砲としか言えない物や船のマストに絵を描く仕事等の海賊からしか利益を出すことが出来ないであろう仕事も請け負っている。
世界一の造船所であるウォーターセブン以外にも造船所があるにはある。
それは分かっていたが実際に造船所があるのを見れば、全員こういうところで船などの冒険に必須な初期装備を揃えているのだと納得がいく。
「世界政府加盟国ならば一発で大目玉を受ける事ばかり……」
「ここは工業が盛んな街であって工業が盛んな国じゃないわ……そもそもで世界全体がどちらかと言えば緩くて、そうしなければまともに食べられない情勢なのよ」
意図的に海賊達に協力をする真似をしている光景にリグレットは少し悩まされる。
世界政府加盟国じゃないのとそうしなければ生きていくことが出来ない、海賊を相手に商売をする事ではじめて生計が成立している、よくよく考えればイカれているおかしな懐の情勢について言えばリグレットは余計に悩まされる……
「リグレットよ、無理をするな。お前は悪人は向いていないのだから、自分を納得させる言葉を探すのは難しかろう」
海賊になったのでなく悪魔超人軍に入った。
世間一般で言うところの悪への道を進もうとしているのは分かっているが、中々に受け入れるのが難しい……すんなりと受け入れられる程に楽天的な思想をリグレットは持っていない。リグレットは少し深呼吸をした後にこういう物だとなんとか飲み込んだ。
「この漢連合ってのを探さないといけないわね」
「なんだあんた等、漢連合を探してんのかい?」
ロビンが目当ての人物である漢連合の総長とどうやって会うかを模索していれば、商店街のおばさんが声をかけた。
「知っているのか?」
「知ってるって言うよりも、この街の男どもは総長に惚れ込んでて漢連合に入ってんのさ。幸いにも全員暴走族をしてても家の家業を手伝ってくれたりしてて……でもこの前のは凄かったわね。総長との仏恥義理島チキンレースは」
「チキンレース?」
「何処かの国がこの街を買い取って工業地帯を作るって言い出してね。この街は世界政府非加盟国だから何をしても許されるって風潮があって。だから総長は白黒ハッキリと決着を付けるんだってチキンレースをしてこの街を買い取ろうとした偉い人が海に溺れたのさ。ただまぁ、そのせいで賞金首になったみたいだけど」
「随分と楽天的だな……賞金首になったのだぞ?」
「男に生まれたからにはなにかを成し遂げなきゃ意味がないって喜んでいたさ。総長に会いたいなら会えばいいけど……大丈夫かい?」
「安心しろ。喧嘩になったのならば問題無く戦える」
街のおばさんに総長が居るところについて聞いてみればあっさりと教えてくれた。
思った以上にあっさりと総長に会うことが出来るなと思っていれば……総長の家の店、バイク屋に辿り着いた。
「バイク屋か……」
「将軍様、興味があるので?」
「少しな。とは言え今はその話をしているわけじゃない……ここに漢連合の総長が居るらしいからな」
「あ、呼びましたか?」
バイク屋と聞いてバイクを想像している。いずれは乗りたいと思うが今は総長が目当てだ。
何処に居るのだろうかと思っていればリーゼント姿の覇気を感じない男がニコニコと姿を表に現した……
「お前が漢連合の総長?」
「はい。僕が漢連合の総長のハヤトです……って、どっかで見た顔だと思えば賞金首の悪魔将軍!?ひぇーっ!?」
「ハヤト、なに怯えてんだ!お前だって立派な賞金首だろう!たかが自分よりも上な相手にガタガタ言ってんじゃないよ!」
ニコニコと笑っているハヤトが私について気付けば怯え出した。
ハヤトの父と思わしき人物が私に怯えるなと尻を文字通り蹴り飛ばして私の前に対峙させる。ハヤトと私は視線を合わせる
「ヒィッ!?」
「ったく……ほれ!さっさと乗れ!」
視線を合わせるが内股になってガクガクと震わせる。
イメージしていた総長とは真逆だなと、むしろ親父さんの方が総長としての貫禄があると思っていれば親父さんはバイクを1つ持ってきた。ハヤトは怖い!と叫びながらもバイクに乗った。その瞬間だった
「っ!」
「おうおう!海のギャングがオレ様になんの用事だ!!」
今までのひ弱なハヤトとは打ってかわり、男気ある男に変貌した。
変貌した際にほんの少しの威圧感を感じた……コイツ、レベルは低いが覇王色の適性がある。
「仕事になればON/OFFの切り替えをする人が居るって聞くけれど、ここまで極端なのははじめてね」
「っへ!この漢連合総長!ハヤト様はハンドルを握りゃ変貌するってもんよ……オレ様に挨拶に来たってところか?」
ブンブンとエンジンを吹かしながら笑みを浮かべるハヤト。
喧嘩をしに来たと思っていて威嚇のエンジンを鳴らしているので私がここにやって来た理由について改めて述べる。
「我が名は悪魔将軍、悪魔超人軍を率いる者だ……ハヤトよ、貴様を悪魔超人軍の船の操舵手を務めてもらいたい」
「っへ、なにを言い出すかと言えば傘下に下れってか?確かにオレ様にかかりゃ船の操縦だってお手の物だがな、オレはこの島のヘッドリーダーとしてやっていくんだ。海賊には付き合えない」
「ハヤト、お前の腕を買ってわざわざここまでやって来たんだ。一緒に行ってやったらどうだ?」
「……おい、親父。それが息子にかける言葉か?」
操舵手を求めてハヤトに会いにやって来た事を伝えるとハヤトは船に乗ることを拒んだ。
この仏恥義理島で総長をするのに忙しいとキッパリと断ろうとしたが、親父さんがついて行ったらどうだと勧めてきており、ハヤトは額に青筋を浮かべて親父さんを睨んだ。
「馬鹿野郎!今のお前にこの仏恥義理島は狭えんだよ!どいつもこいつも丘が良いとか言いやがって、1回過酷な海を知ってこい!」
「っは!なにが過酷な海を知ってこいだ!ロジャー達が暴れている頃に自分も一山当ててやろうと海賊を志したのはいいが大した成果が出せずに船の造船の手伝いをしている町工場の親父落ちぶれたんだろうが!」
「ああ、そうだ……だがな、ハヤト。お前だったら出来るだろうが……俺が出来なかった世界一周ってやつをよ!!このまま狭い仏恥義理島に居て井のなかの蛙になるぐらいなら」
「テメエの夢を押し付けてんじゃねえぞ!クソ親父が!……っち!」
「あ、コラ!待ちやがれ!」
ブォンブォンとバイクを鳴らしながらハヤトは親父さんの話を無視して走り出した。
親父さんは追いかけるかと思ったが、追いかけることはせずに大きなため息を吐いた。
「ったく……ガキがくだらねえ心配をしてんじゃねえよ。別にオレはお前に夢の続きを託したいんじゃねえんだ」
「……なにやら訳ありみたいだが、追いかけないのか?」
「あのバカは勝手に帰ってくる!ハヤトに用事があってハヤトが居ないんだから帰りな!」
「あの子にしてあの親ね」
親父さんがボソリと呟いたのを聞いて、バイクを親指で指差して追いかけなくていいのかをリグレットは聞いた。
親父さんは放っておいても帰ってくると言い出し、用事が無いならば帰れと言い出した姿を見て親子だなとロビンは感じ取った。