ヒトヒトの実 モデル超人種 ゴールドマンを食った男の話 作:アルピ交通事務局
「なんだ、もう戻ってきたのか」
「この仏恥義理島が島全体が工業地帯なのは分かった。海賊を相手にしなければ経済が回らないと言う悲惨な状況も」
ハヤトの親父が経営するバイク屋に戻ればもう戻ってきたのかと言ってくるので、この島がどんな島なのかについて答えた。
ハヤトの親父は少し無言を貫いてなにかを考える。
「さっきベルツリーのやつがやってきたが、あんた達がなんか言ったのか?」
「息子を連れて行くならば連れて行けとあっさりと譲ったことを伝えた」
「ったく、余計な事をして……いきなりやってきたからハヤトに用事があるならハヤトの所に行けっつったぞ」
ハヤトの親父はバイクを弄くるのに集中しつつもリグレットの声を聞いた。
先程の暴走族、ベルツリーがやって来たみたいだが、ハヤトに用事があるならばとハヤトに流したみたいだ。
「息子が賞金首になったのに、随分と冷静なものだな」
「ハヤトの奴は暴走族の総長になった男だ……それを止めなかった。ハヤトの道はハヤトが走るものだ。そう決めて見届けていてハヤトが賞金首になったからとああだこうだ言える程に偉そうに出来る口煩い親父じゃねえんだよ!」
「……職人肌の頑固親父も考えものだな」
リグレットがハヤトの親父がハヤトに対してああだこうだ言わない状態であることを冷静と見た。
ハヤトの親父はハヤトが暴走族に入った際に止めなかった事やハヤトの人生はハヤトの物だから賞金首になった今になってああだこうだ言い出すのは違う、それほどまでに偉い親父じゃないと言い切る。
職人肌の頑固親父なのは薄々分かっていたがここまでキッパリとしているのはと少し困るリグレット。
バイクのメンテナンスをしているハヤトの親父は……今の今までこちらを見てこなかったがメジャーを持ってこちらを振り向いた。
「ほぉ……悪魔将軍、中々の体格だな」
「これでも外の世界基準では小さい方だ」
メジャーを持っているハヤトの親父は私の前に立った。
鋭い眼光で睨んできたと思えば、私の体格を褒めてくるが外の世界基準では小さい方だ。ハヤトの親父はメジャーを伸ばしたと思えば、私の股下を計測する。
「なんの真似だ?」
「ハヤトの奴を連れてくってなら、ハヤトの奴に相応しい船長じゃなきゃならねえ……あんたがハヤトに相応しいかどうかをな」
「お父さん、止めてよ!」
「イヴ、表に出てくんじゃない!コイツは真剣な話なんだ!」
「……お兄ちゃんは、お兄ちゃんはっ!」
「馬鹿野郎!そいつは言うんじゃねえよ!!」
「っ……」
私の股下を計測してくるハヤトの親父を見て、1人の女性が現れた。
お父さんとお兄ちゃんと言っていることからしてハヤトの妹と言ったところだが……なにやら込み入った事情がある。イヴがなにかを言おうとすればハヤトの親父は大激怒し、ハヤトの妹、イヴは涙を流して立ち去ろうとすればリグレットが手を掴んだ。
「……なにがあった?私で良ければ話になろう」
「私も聞かせてもらうわ……将軍、ここは私達に任せてもらえないかしら?あの涙の事情は貴方には聞けないわ」
「ああ……私はその話には不要な様だ」
涙を流しているイヴを引き止めて事情を聞こうとするリグレット。
ロビンはあの涙は悲しい涙だけでなく女の涙も含まれている事を見抜き、女の涙について聞けるのは女だけだと私に席を外す様に言ってくる。
事情があり、男である私では聞けない。
ならばこの場は任せるべきだと任せることにし、一旦船に戻れば……貴虎が斬月に変身しており、ヘルメットを被っている男に無双セイバーを突きつけていた。
「私は無駄な殺生は好まない……お前がヤンチャしていただけで見逃してやる」
「なにがあった?」
「戻りましたか……あのヘルメットの男がバイクに乗って襲撃してきたのです。バイクの腕は中々ですが、武芸を嗜んでいると思えない者で貴虎にかかればという顛末です」
私が居ない少しの間で船の上が若干荒らされている。
大体の事は予測する事が出来るが、現場を知っている本人達から聞くのが一番だと話を聞けば孔明が簡潔に答える。
「悪魔将軍……っ……」
「どうした……ここが海賊の船だと分かって襲撃をしたのだろう?大物が出てきたからと今更怯えるつもりか?」
私の名前を呼べば、膝がガクガクと震えているヘルメットの男。
ここが海賊の船だと分かって襲撃をして、私がやってきたから怯えるのかと見つめれば震えながらも男は立ち上がる。見聞色の覇気で気配を感じ取ってみれば、海賊達に向ける嫌悪感とは違う……私達だから選んだのでなく、何かをしなければならないという使命感に駆られている意思を感じ取る。
「倒さないと……海賊を倒さないと、お義兄さんが安心しないんだ!勝負だ!悪魔将軍!」
「……!」
「っ……はぁ……ハァハァハァハァ」
「ほぉ、それで納まったか」
込み入った事情があるが私に対して宣戦布告をしてきているのは確かだと覇王色の覇気を放つ。
覇王色の覇気の威圧感を感じ取った男は立つことが出来なくなり呼吸が大きく乱れる……が、それだけで終わった。常人ならばこの覇王色の覇気で気絶しているだけで終わるが、この男は覚悟を決めて私から放たれる威圧感を耐え抜いてみせた。
攻撃に纏う覇王色の覇気すら使っていないただの覇王色の覇気にここまでやられているだけで力の差はハッキリとしている。
ハイハイに近い動き、体を引き摺るような動きをしてこちらに近付いてくる……
「将軍、わざわざ相手をする必要は無い……この島には私達以外にも海賊が居るみたいだが、度胸試し感覚で挑んだのならばさっさと去れ。将軍に見つかった以上は2度目は無い」
「ダメ、だ……そんなんじゃ、ダメなんだ……何時までも、何時までもお義兄さんに頼ってたら、僕がイヴさんを守るって約束したのに、オレの義弟だってお義兄さんに認めてもらったのに!頼り続けていたらダメなんだ!僕が海賊を倒して、お義兄さんの戦いを終わらせるんだ!」
貴虎は見逃してやると言っているが男は逃げない。
男には込み入った事情があり、その為に戦っておりスパナで私の胴体を殴るが全くと言ってダメージにならない。
「ふむ……事情があるようですね。ですが、貴方は悪魔超人軍に手を出しました。覚悟をしなさい」
孔明はそう言うと扇を煽った。
なにをするのか思えば黒色の粉塵が舞い男のもとに向かえばボンッと爆発する。黒色火薬を用いた粉塵爆発を行ったのか。
ヘルメットを被っている男の服は一部焼け焦げて焼滅した。
男は突然の攻撃に驚いて倒れた。それを見た貴虎は斬月の変身を解除した。
「将軍、なにがありましたか?」
「東漢連合の総長であるハヤトには会えたには会えたが聞く耳を持たない状態でな……込み入った事情があるそうでロビンとリグレットが情報を集めている……ふむ」
「この音は、バイクか」
ハヤトに会いにやって来たのだからそれ相応の成果があったのだろうと孔明が聞いてきたのである程度は噛み砕いて説明をしようとすればバイクの音が鳴り響いた。
貴虎がバイクの音が聞こえるなと音が近付いてくる方向に目を向ければ……ハヤトがやって来た。
「馬鹿野郎!テメエ、なにやってんだ!」
「お義兄さん、事情はイヴさんから聞きました……もうこの仏恥義理島はお義兄さんが守らないといけない島じゃない。僕達が守っていく為に」
「馬鹿野郎!相手は悪魔将軍だ!テメエみたいないい子ちゃんがなにやっても無意味なんだ!……男ならどんな相手でも喧嘩する以上は勝てって言いてえがよ、テメエはもう1人の人間じゃねえんだよ!お前がくたばっちまったらイヴが」
「私の覇王色の覇気を受けても貴虎にも孔明にもやられても尚立ち上がろうとする男気は見事だ……それで、ハヤトよ。今度はお前が挑むつもりか?」
「っち!逃げんぞ!乗れ!」
「っ……僕じゃ、僕じゃダメなのか……」
ハヤトは男を自分に乗せて去っていった。
貴虎と孔明が視線で追いかけるかどうかについて聞いてくるので追いかける必要は無いと言えば貴虎も孔明も深追いをしない。込み入った事情があるからなのと、深追いをしてもハヤトはこの島から出ていくことは無い。居場所が分からなくてもハヤトの家は分かっていてそこから色々と出来る。
「ただの度胸試しで私達に挑んだのではありませんね……」
「正義の心に近い心を持っていたな……あの手の輩は色々と厄介だぞ」
孔明と貴虎は冷静に分析する。
込み入った事情があるのは確かなのだろうが話は進められない。ロビンとリグレットの成果を待つと待っていれば、2人は帰ってきた。
「将軍様……気持ちの良い話ではありませんでした」
「不愉快極まりない話よ」
リグレットが少し苦しそうな顔をしていてロビンも少し怒りを顕にしている。
どうやら余程の話があったのだろうと、軽く食事を済ませた後に何があったのかについて改めて聞いた。
「この辺の海はカンキチって人が色々と担当をしていたんだけど、この間別の人に担当が変わったのよ。ハヤトはその人に対して交渉したんだけれど……見逃す代わりにハヤトの妹のイヴを嫁に寄越せって。ハヤトはそれにキレて手を上げたらしくて、それが原因で賞金首になったのよ」
「イヴには既に婚約者が居て、暴走族の総長のハヤトに認められてもらう為に色々とあった……それでやっと認めたのにこの話が持ちかけられた。自分が妹を任せても問題無いと認めた男から奪うなんて気に食わないと」
話を色々と纏めればこうだ。
この仏恥義理島は工業地帯で海賊相手に商売をして経済を回している島だ。
海賊相手に商売をしている事について目を瞑ってもらう代わりに本当にどうしようもない無法者の海賊をハヤトが撃退し海兵に売り渡し、掛けられている賞金をカンキチと呼ばれる海兵に渡していた。
ハヤトが海賊を倒して海軍に売ることでこの島の秩序を保っていた。
この辺の海を担当しているカンキチが異動し、新しくこの辺の海を担当している海兵がやって来た。
その海兵は、海賊を倒した際に手に入る賞金でなくハヤトの妹を嫁に寄越せと要求した。
それは出来ないどころか妹を道具扱いした事を許せずハヤトはその海兵に手を出して賞金首になった。
妹のイヴには結婚相手が居るらしく、ハヤトに認められてもらう為に壮絶なバイクでの戦いがあった。
最終的にはハヤトは妹のイヴとの結婚、そして義弟を認めてた。
イヴは今は家で花嫁修業の途中なのと結婚式の資金稼ぎの為に実家暮らし。
とのこと。
それを聞いて色々と考えた結果、さっきの奴が何者だったのかを気付く。
「先ほどのはそのイヴと言う妹の婚約者で……私達を倒すことで海賊達ともう戦わなくても問題は無いと証明し、安心してこの島から去る様にしようとしたのですね」
「……今回は見逃したが、次に来ればしっかりと仕留める」
孔明がさっきのはイヴの婚約者で自分達に挑み勝利することでハヤトを安心させる……帰ってきたドラえもんみたいな展開だな。
今回は見逃したが次にやってくれば悪魔超人軍として筋を通す。私達に挑むのであれば、倒すことはしっかりとする事を言えば4人はどうしたものかと考えるが答えは出てこない。ハヤトが自らの意思で悪魔超人軍に入ってもらわなければ意味が無い。
「お〜い!」
日を跨げば早朝にハヤトの親父が現れた。
リアカーをつけたバイクに乗って……いったいなにをしに来たのかと思い、顔を出す。
「なんの用事だ?」
「なに、ハヤトの奴は頑固者だからな……コイツで決着をつけて欲しいって思ってな」
ハヤトの親父はそう言うとバイクを見せた。
大型バイクで中々の物だと素人目に見ても感じ取れる。
「あんたに合わせてチューンナップしている」
「……貴様、随分と協力的だな。息子を海賊が連れて行く事について文句を言わんのか」
この島にやってきて誘いに来た時から行った方がいいと勧めてくるハヤトの親父。
息子を海賊が連れて行く事に対して普通ならば文句の1つや2つぐらいあるだろう。ハヤトの親父はバイクの鍵を取り出した。
「別にオレぁ、あんた達を気に入ったから協力してるわけじゃない。遠路はるばるハヤトの腕を買ってこの仏恥義理島にやって来た。ハヤトはこの仏恥義理島の東漢連合の総長にまで上り詰めた男さ。親バカになったつもりは無いが、ハヤトの奴は乗り物に乗らせりゃ右に出るものはいない。そんなハヤトを連れてくって事は部下にするんだ……悪魔将軍、あんたがハヤトの船長になれるかどうかを見せてもらおうじゃねえか」
ハヤトの親父はそう言うとリアカーがついたバイクに乗った。
「最高の状態に仕上げてある……ハヤトと勝負する以上は無茶な運転になるが、修理費なんざ気にせずに突っ走りな」
ハヤトの親父はそういうと去っていった。
バイクに跨ってみるが……予想以上にしっくりと来る……
「ふん、職人は言葉でなく腕で語るか……ならば、それに応えようではないか」