ヒトヒトの実 超人種モデル ゴールドマンを食った男の話 作:アルピ交通事務局
「おぅおぅ、なんの用事だ?」
「ここが東漢連合の集会所だって分かってやってきたのか?」
「ああ、そうだ」
ハヤトの親父から貰ったバイク……に乗らずに手で押してやってきた。
バイクに挟まっていた東漢連合の集会所にやってくれば如何にも暴走族だと言う衣装を着ている門番の2人の男に止められる。ここが東漢連合の集会所だと分かってやってきたかを聞かれるので頷いた。
「総長のハヤトに会わせてもらおう」
「あぁん!!テメエ、見ねえ顔だが早々に総長に会えると思ってんじゃねえよ!」
「ハヤト総長に会いたいってなら、それ相応の力を見せて、みぃ!?」
「コレで構わんか?」
ハヤトの親父から貰ったバイクは大型のバイクだ。
バイクが倒れた際には起き上げるには立ち上がる時の力を利用するのだが、私は軽々と大型バイクを片手で持ち上げる。大型バイクを軽々と持ち上げれば門番の暴走族2人は顔を青ざめる。
「そ、総長!」
「なんだ、今忙しい……っ!悪魔将軍!テメエ、なんでここを知ってやがる!」
「貴様達の行方など、調べれば直ぐに分かる……特に今回は情報提供者が居てな」
顔を青ざめた暴走族の門番はハヤトを呼びに行く。
ハヤトがやってくれば今は忙しいという事を言おうとスレ。私を睨んでどうしてこの場所を知っているのかを聞いてくる。仏恥義理島の人間ならば東漢連合の集会所の場所ぐらいは知っている。情報提供者が居たことを告げれば、ハヤトはバイクを見た。
「そのバイク……親父の野郎、チクリやがって!」
「貴様の親父が言っていてな……お前は頑固者だと」
「なにが言いてえ!」
「簡単だ。バイクで決着をつける……貴様の義弟も貴様に認められる為にバイクで戦ったと聞く」
「……おい、悪魔将軍。テメエ、ナメてんのか?……この東漢連合総長!ハヤト様はあらゆる乗り物を乗りこなせる!その中でもバイクだけはこの世の誰にも負けねえ!」
バイクで決着をつけることを言えばハヤトは怒りを顕にする。
自分がこの世の誰よりもバイクを乗りこなせるという自信を持っている。それで挑んできたのはナメられていると認識した。
「ああ、知っている。貴様の親父があらゆる乗り物を乗りこなせると自慢していた……そして貴様の船長に相応しいかどうか見せてみろとこのバイクを用意した」
「親父の野郎……ふん。悪魔超人軍だか悪魔将軍だかなんだか知らねえが、テメエは今、自分自身に枷をつけた事を理解してるか」
「枷だと?」
「そうだ。普通の殴り合いならテメエには勝てねえかもしれねえ。だがバイクによるレースならば誰にも負けねえんだよ!このままグダグダとやるのは性に合わねえ。オレとのレースを受け入れてやる」
ハヤトはそういうと自分のバイクを持ってきた。
ハヤトの親父がチューンナップしたバイクに負けず劣らずの物でありハヤトはそれに跨る。するとハヤトから感じる威圧感が強くなる。
「ただし!オレが勝ったのならば、さっさとこの仏恥義理島から消えやがれ!お前が勝ったのならば地獄の果てまでテメエの船の操舵手を務めてやる!」
「ふっ、そうでなくてはな」
「テメエ等、分かってるとは思うが妨害工作はするなよ……コイツは男と男による真剣勝負だ!」
エンジンを起動させてアクセルをブンブンと鳴らす。
ハヤトは近くに来ている舎弟達に妨害工作なんかを一切するなと釘を差す。
「待ってください、お義兄さん」
「……コイツはお前の出る幕じゃねえ」
包帯を巻いた爽やかな青年が出てきた。
東漢連合の特攻服を着ておらず、ハヤトの事を義兄さんと呼んでいた事から妹の婚約者と推察する事が出来る。義弟は止めようとするが、ハヤトは出る幕ではないと言う。
「オレはよ……風を感じてえから暴走族を作った。この島のやり方に文句を言わせねえようにカンキチの旦那と交渉した。お前に任せると決めたイヴを寄越せと言ったあの海兵が気に食わねえと血祭りにあげた。今まで好き勝手に生きていたんだ。テメーのケツはテメーで拭かなきゃ男じゃねえ」
「それでも、貴方は僕のお義兄さんです!イヴさんを託されて守らないといけない!そして悪魔超人軍に手を出したのは僕だ、筋を通さないといけないのは僕で」
「だったらよ、オレにやらせろ。コイツはオレに話があんだ……おい、ヤマハ。悪魔将軍にルートを教えろ」
「押忍!」
義弟がやらかしたのだから自分がどうにかしないといけないと言うが、ハヤトは自分にやらせろと言う。
用事があるのはハヤトの方で義弟には関係ない。ハヤトは部下の1人にルートを教えろと言えば島の地図を持ってきた。
「ルールは簡単だ!この仏恥義理島を3周する!ルートはヤマハが持っている島の地図に描かれている通り……テメエが筋を通しに来たんならば、ショートカットはするなよ」
「無駄ですよ。ショートカットが出来るのは総長と総長の親父さんと総長の義弟だけですよ」
島の地図には仏恥義理島を一周するルートが描かれている。
ヤマハはどちらが先に3周をするかで決着をつけるが、一応の為にショートカットをするなよと釘を差してくるが、地図を持っているヤマハがショートカットが出来るのは3人だけだと語る。
「言っておくが、今までオレにレースを挑んで勝てた奴は1人も居ねえ……オレの走りに完璧についてこれたのは1人、オレの義弟だけだ。だが、オレの走りを抜く事が出来たのはこの世の何処にもいねえ。テメエのバイクは親父がチューンナップしたバイクなら、この勝負はバイクの性能じゃなく運転手の腕で勝敗を分ける」
「そうか……ならば覚悟せねばならんな」
なにせ運転方法は頭に叩き込んでいて身体で理解したが、バイクに乗るなんてこの世界に命を宿してから初めての事だ。
この世の誰よりもバイクレースでは負けないと自負しているハヤトが相手ならば、それ相応の覚悟をしなければならない。コレは船長である私がやらなければならない事だ。
「先ずはこのサーキットを2周しろ……バイクってのはいきなり最高速度を出せるもんじゃねえ。サーキットを2周している間に速度を上げて一気に駆け抜けろ」
ハヤトがそう説明をすれば私はバイクの電気エンジンをつけた。
電気エンジンならば静かなモーターかと思ったが爆音が鳴り響いており、アクセルを回せばブーン!ブーン!と鳴り響く
「3,2,1……GO!」
※
「どうやらレースが始まった様ですね」
仏恥義理島の見晴らしのいい高台で望遠鏡を用いて孔明は悪魔将軍とハヤトの様子を窺う。
バイクを走らせてサーキットを周回していて速度を手に入れていっているのでレースそのものを成立させたと確信する。
「将軍様が挑んでなんだが……勝てるのか?」
「勝てる勝てないじゃなくて、勝たなければならないのですよ」
バイクに乗ったことどころかついさっきまでバイクに触れた事が無かった悪魔将軍に対して、バイクが当たり前の暴走族のトップを務めているハヤト。
レースをすればどちらが勝つのかは予想が簡単でリグレットは不安そうにしているが孔明は勝たなければならない戦いだと言い茶を飲む。
「ハヤトはバイクの運転ならば誰にも負けないと自負しています。それを知った上で将軍は挑みにいきました」
「なにか裏工作を」
「いえ、それはしてはなりません……将軍の為にも、ハヤトの為にも。私達は向こう側が無粋な真似をしないかの確認ですよ」
孔明は男の世界というのは理解していないが、ハヤトの最も得意とする事で将軍は挑んだのは分かっている。
ハヤトの船長に相応しいかどうかを示すために。ハヤトもその勝負は買ったと承諾をしたのでレースが始まった。
リグレットは裏工作、つまりは妨害工作等をしないのかを聞いてくるがそれでは2人の為にならないと孔明はしないという。
自分達がここにやって来たのは東漢連合側がハヤトに勝たせる為に裏工作をしないかどうかの確認であり、望遠鏡を覗けば至る所に東漢連合は居るものの、妨害工作らしい事はしようとしていない。
「だが……」
「あの人を船長と認めたのならば、信じるのもまた船員としての役目……おや?」
「どうした?」
「アレは……海軍の船!」
「なに!?」
孔明が望遠鏡でレースはどうなっているか見ようとすれば、海軍の船がやってきている事に気付いた。
リグレットは驚いて孔明から望遠鏡を借りれば、紛れもなく海軍の船だった。ただ、何処かボロい見た目をしている海軍の船だった。
「ハヤトが今まで間に立って協定を結んでいたおかげで、この島は成り立っていましたがハヤトが賞金首の賊となった以上はその協定を破ることが出来ます。おそらくは、ハヤトの逮捕に乗り出したのでしょう」
「こんな時に、急いで知らせなければ」
「あの2人を止めるのは至難の技……と言いたいところですが、こちらにはロビンが居ます。コレは幸いです」
孔明は茶を飲み干せば、電伝虫を取り出した。
ゼロ・オリジン号で待機している貴虎に向かって電話をかければ貴虎は出る。貴虎に海軍の船がやって来ている事を伝え、ロビンの力……ハナハナの実の能力を使って悪魔将軍のバイクとハヤトのバイクに口を出現させて状況を説明する様に指示を出す。
『わかったけど……私の能力は何処でも使えるわけじゃないわよ』
「間もなく、そちらに向かって将軍とハヤトが走ってきます。そのタイミングで」
『それだったら……やってみるわ』
ハヤトと将軍がゼロ・オリジン号の近くを走る事を教えれば、ロビンは覚悟を決める。
伝えるべき事は伝えた。しかし孔明は考える。あの2人が海軍がやってきたからと、真剣勝負を一旦中止するのかと。その様な事をする性格では無いのだと腰を上げる。
「この島を周るレースですから……無粋な真似はやめてもらいますか」
「……倒すのだな」
このレースは誰にも止めることは出来ないし止めてはいけない。
腰を上げた孔明を見て、レースをしながら海軍を倒すのだとリグレットは気付いた。まさか海軍と戦う羽目になるとはとリグレットは愛用の二丁拳銃に銃弾を装填して歩き出した孔明についていった
「ほぉ、ついてくる事は出来るのか……オレに挑むだけあって少しはやれる様だな」
一方のハヤトと将軍のレースだが、ハヤトが勝っていた。
ぶっちぎりの大差をつけてとは言わないが、10m程離れた距離に悪魔将軍はついてきている。しかし、ハヤトとの距離は一向に詰まらない。自分についてくるとは中々だが、それでも手を緩める理由にはならない。
ハヤトがバイクを走らせ……ゼロ・オリジン号が停泊している場所の近くの道を走る。
「海軍」
「あ?」
バイクを爆走させているハヤトだったがそれでもその声はハッキリと聞こえた。
ロビンがハナハナの実の能力で口を作り、海軍がやって来ている事を伝えようとしたのだが爆速のハヤトのバイクにまだまだ未熟なロビンのハナハナの実の能力では口を作って海軍がやって来ている事を正確に伝える事は出来なかった。
空耳だったのか?と一瞬だけ疑問を抱くハヤト。
悪魔超人軍がなにか仕掛けてきたのかも考えるが、バイクを走らせている悪魔将軍は10m程距離を離している。
「……そうか」
ロビンの口は悪魔将軍のバイクにも作られて、海軍と言うワードを聞いて海軍がやって来たことを伝えたと悪魔将軍は気付く。
普通ならばここで一旦レースは中止して協力して海軍を撤退に追い込もう!と言うが、悪魔将軍にはそのつもりは無くバイクを走らせている。
「総長!」
「ハーレー!テメエ、なにしに来やがった!コイツはオレと悪魔将軍のタイマンだぞ!」
「すみません総長!ですが、海軍が……海軍がやって来たんです!」
「なんだと!」
一周目が間もなく終わる頃に東漢連合の1人、ハーレーがバイクに乗って現れ、ハヤトと並走する。
この勝負は悪魔将軍とのタイマンで、余計な手出しをするなと怒るハヤトに対してハーレーは謝ってから海軍がやって来ている事を伝える。
「そいつは本当か!?」
「ホントっす!悪魔将軍の部下が望遠鏡で見せてくれて、海軍の船はカンキチの旦那が乗っていた船なんで多分、あいつっす!」
「くそ……フェラーリの野郎か」
「そんでもって、気にせずにレースをしてろって」
「……そいつは、貸しを作るってことか?」
海軍が自分を捕まえにやってきたのだと考えるハヤト。
このままでは色々と危ないとレースの中断が頭に過るが、ハーレーは悪魔将軍の部下、孔明から気にせずにレースをしていなさいと言伝も預かっている。それを聞いたハヤトは悪魔超人軍に貸しを作るって事なのかとハーレーを睨んで威圧する。
「馬鹿野郎!海賊に貸しを作ってどうする!テメエもこの東漢連合の1人ならぶっ飛ばす事ぐらい考えやがれ!」
「そ、そうなったら……総長を囮にしないといけないんっす!海軍の狙いは総長だから、総長の元にやってくる!それを逆手に取って、俺達がバイクで追い込めって」
「……っへ、面白いじゃねえか!オレ達のレースは続行だ!テメエ等、オレと並走してやってくる海兵達をぶっ倒しな!」
「押忍!実は、向こうの奴が総長がそう言うと思っていて、配置に向かえと言っててオレ達は向かってます!」
ハヤトはレースを止めるのを拒むのは目に見えていると読んでいる孔明。
東漢連合を要所要所に配置してハヤトを捕まえにやってきた海兵達を撃退させる様に指示を出していた。ハヤトは少しだけアクセルを緩めて悪魔将軍との距離を縮める。
「どうやら要らねえ世話を焼いたみたいだな」
「気にするな。お前の兵達を利用するのだからお互い様だ……それよりも分かっているだろ」
「ああ……レースは中断しねえ!海軍を撃退しつつゴールを貰う!」
ハヤトはそう言うと再び少しだけ悪魔将軍との距離を開いた。