ヒトヒトの実 超人種モデル ゴールドマンを食った男の話 作:アルピ交通事務局
「出来ましたよ」
「ほぉ……これは随分と大掛かりな料理が出てきたな」
竹で出来た船型の更に乗せて料理を持ってきた孔明。
ザウスは大掛かりな料理を作ってきたなと感心を示しており、竹で出来た船型の皿の上には饅頭が乗せられていた。
赤色の饅頭、黒色の饅頭、緑色の饅頭、白色の饅頭と4つの色の饅頭がある。
「貴方達もどうぞお食べください……この海鮮八宝饅を」
「ふむ……この竹の船は蒸籠だな。竹の爽やかな香りを饅頭を蒸した際につける為の物だ」
「見ただけで分かるのですか。流石は料理王……しかし、それだけではありませんよ」
「どれ、工夫を見せてもらうか」
饅頭が大量に乗せられているので私達に食べていいと言う孔明。
ザウスは饅頭が乗せられている竹で出来た皿は皿でなく饅頭を蒸すのに使う蒸籠である事に気付いた。まだ食べていないのに1つ目の工夫を見抜いたかと孔明は驚くがまだまだ工夫はあると言うのでザウスは食べる。私達も食べる。
「コレは鮑か」
「こっちはナマコっすね」
「これはフカヒレね」
「ホタテか」
私が食べた饅頭は海鮮八宝饅の名の通り海鮮類、鮑が餡だった。
ハヤトが食べたのはナマコが餡だった。ロビンが食べたのはフカヒレが餡だった。リグレットが食べたのはホタテが餡だった。
「ふむ、海鮮八宝饅と言う名の通り海鮮類を使っている……鮑、フカヒレ、ナマコ、ホタテ、蟹、海老、イカ、ヒラメ……極上の海の幸だがただの海の幸ではない。干物にすることで旨味を最大なまでに上げていて、土鍋で煮込んだな」
「ええ……ですがそれだけではありません」
「生地にも工夫があるな。イースト等のキツい匂いが一切しない、しかしコクのある生地。老麺法で熟成された生地が酵母として使われている。緑色はほうれん草、黒色は黒ゴマ、赤色は人参を生地に練り込んでいる」
極上の海鮮饅頭を作ってきた孔明。
ザウスは具材の秘密、普通の具材でなく干物にした物を使っていることや土鍋で煮込んだことを見抜く。しかし孔明はそれだけでは無いと言うので生地が老麺法の生地で、饅頭に色が付いているのは別の食材を練り込んでいる事を言う。
「美味いな……この様な料理が作れたのだな」
「ええ。饅頭や餃子などの点心と呼ばれる料理には多少自信があります。中でもこの海鮮八宝饅は私のとっておきです」
今まで何度か孔明の料理を食べたが、こんな料理が作れるとは知らなかった。
孔明は点心が得意で、この海鮮八宝饅は自分のとっておきの料理だと誇らしげに語る。
「饅頭でありながら宴席料理として通じる極上の一品だ……しかし、これではない。美味い料理だがコレでは頷けない」
「っ……流石に無いとは思いますが、まさかボリュームが足りないというわけではありませんよね?」
「確かに私は作るのと同じくらいに食べることも得意だ。しかしボリュームが足りないという理由で拒むわけがないだろう」
孔明の渾身の海鮮饅頭を食べて極上の料理であることは認めた。
しかしこれではないのだとザウスは首を振った。孔明にとっては一番の料理であり、それを食べさせても違うと頷かないのでまさかとボリュームが足りないからなのかと聞いた。ザウスはそんなわけがないだろうと否定した。
「次は私がいかせてもらう」
貴虎に素人の料理を素人の料理だから不合格とは言わなかった。アップルパイ向きのリンゴ使っていることを褒めた。
孔明の海鮮八宝饅を宴席料理として通じる極上の一品として褒めた。しかしそれでも頷かない。やはりと言うべきか、この課題には正しい答えがある。その答えを出さなければザウスは首を縦に振らない。
「私はこれだ」
「ほぉ……随分と珍しい料理を知っているな」
「……少し手間を加えた親子丼だぞ?」
リグレットが持ってきたのはリグレットの得意料理である親子丼だった。
しかしなにかが違うのかザウスは珍しい料理を作ってきたなと感心している。リグレットは少し手間を加えた親子丼で、別の料理を作っていないと言う。
「成る程、知らずに作ったのだな……普通の親子丼は鶏肉を卵でとじた物だが、この親子丼は鶏肉を肉団子にしている。そして泡立てた卵を使い出汁に絡める。普通ならば玉子綴じになるが、卵液に入れ具合や火の入れ具合を調整することでスフレの様にふわふわとした玉子になる。ワノ国ではこれを玉子ふわふわと言う料理として提供している」
「玉子ふわふわって……まんま過ぎる名前ね」
「と言うかワノ国に行った事あるんすか?」
リグレットが作った親子丼は親子丼であると同時に玉子ふわふわと呼ばれる料理でもあった。
見たまんまの名前とロビンが少しツッコミを入れる。そしてハヤトはワノ国に行ったことがあるのかを聞いた。
「ワノ国には行ったことは無い。しかし過去にワノ国から出て行った者達の中で料理人だった者が一部のワノ国の料理を世界に広めてな。玉子ふわふわは珍しいだけでなく高度な技術も求められる物だがまさか親子丼として作った物が偶然にも玉子ふわふわだったとはな」
ザウスはワノ国に行ったことは無いことを言い、親子丼、いや、この場合は玉子ふわふわ親子丼を見つめる。
いただきますと言った後に玉子ふわふわ親子丼を食べる。
「その名の通りふわふわとした玉子が絶品だ……そして鶏肉だが、玉ねぎと混ぜて肉団子にしている。肉のジューシーさがハッキリと伝わりふんわりとした玉子が美味い……だが、違う」
ザウスはリグレットの玉子ふわふわ親子丼を食べた。
肉団子の工夫やふわふわとしている玉子が美味いことを言い、美味い親子丼であることは認めたがこれでもないと頷かない。
リグレットは少しショックを受けるが、孔明や貴虎がダメだったので自分の親子丼で美味かったと頷く可能性は低いと見ていたのか直ぐに立ち直る。
「じゃあ、次は僕の番ですね」
今度はハヤトの番になった。
ハヤトは厨房に向かって料理を始めた。
「お待たせしました、炒飯ッス!」
「ピンク色?」
料理が完成したので持ってきた。ハヤトが作ったのは炒飯だった。
普通の炒飯かと思えば所々ピンク色で、紅生姜か?と思ったが紅生姜の色ではない。
「梅干しを潰した物を使った炒飯ッスよ」
「ほぉ、梅干しをか」
「はい。お祖母ちゃんが言ってたんすけど梅干しは元気の源で毎日食べれば不健康にならないって。でも、梅干しは物凄く酸っぱくて好き嫌いの好みが激しい物で大抵の人は苦手です。僕も昔は梅干しが苦手でしたけど、この梅干しの炒飯から段々と梅干しが食べれるようになったんです」
ピンク色の正体は梅干しであることをハヤトは教えた。
ザウスは梅干しかと聞き返せばハヤトは梅干しは元気の源であること、好き嫌いの好みが激しい物、自分も昔は苦手だったが梅干しの炒飯から段々と梅干しが食べる事が出来るようになったと教える。
ザウスは梅干し炒飯を食べる。
「ハヤトだったか。確かにお前の言うように梅干しは栄養価が高く元気の源だ。しかし強烈な酸味が原因で好き嫌いの好みが極端に分かれる物でもある。炒飯にすることで梅干しの強烈過ぎる酸味が少し飛んで食欲を刺激するさっぱりとした炒飯になる……悪くはないぞ。しかしこれでもない」
「これじゃないんすね……まぁ、他の皆がダメだったからそんな気がしてたんすけど」
ハヤトの梅干し炒飯を褒めるザウス。
しかしこれでもないのだと頷かない。残りはロビンと私だけになったがロビンはここで考える。
「貴虎の好物のアップルパイ、孔明の渾身の海鮮饅頭、リグレットの玉子ふわふわ親子丼、ハヤトの梅干し炒飯……どれも充分な料理だわ」
「ああ、充分な料理だ。しかしそれでは頷けない」
「……そもそもで、料理王と呼ばれる男に対して料理の味とかで頷かせる事は出来ないわ。仮に認められる美味い料理があったとしても、それじゃあザウスをコックとして誘う理由が無くなるし……なにか答えがあるのね」
4人の料理はどれも美味い物であったが、ザウスは頷かない。
ザウスは料理が不味かったり致命的な欠点があると主張はしない。美味い料理であったことは認めている。ロビンがここで味で納得をする事が出来ない、ただ単純に美味い物を求めているのではない。極上の料理が作れたらザウスをコックに誘う理由が無くなると気付く。
「貴方は何かの料理を求めている……けど、流石にノーヒントじゃ無理よ」
「どうやら多少は頭が回る様だな……その通りだ。今まで色々と私をコックとしてスカウトしてきた海賊達にも同じ課題を出したが求めていた答えは一向に出さなかった。料理人を求めるのならば、その答えには至る筈だが至らなかった」
「答えはなんなのだ?……流石にノーヒントではわからない」
「ふむ……そうだな」
答えがあるというのは分かったが、あまりにもノーヒント過ぎる。
ロビンは無理と考えている。リグレットもノーヒントでは分からないと言うのでザウスは少し考えた。
「私は東西南北の海の料理を極め、料理王と呼ばれていた。世界政府加盟国の王族お抱えの料理人を始めとする腕自慢の料理人を相手にし全戦全勝。出張料理人として各地に赴き王族や貴族以外にもベガパンクが現れる前まで世界一の天才と言われていた男やマフィア等の大事な会食の料理を振る舞っていた」
「それは知ってますよ……でも、ある日突然消えたんすよね?」
ザウスは自分の経歴について語る。それは知っていて、ある日突然消えたことをハヤトが聞いた。
「料理王と呼ばれ出張料理人として世界各地を転々としていた。ある日、何時もの様に出張先で料理を作り終えた……次の依頼は無く何時もの様にとその島で腕自慢の料理人に対して勝負を挑んだ。私の料理人人生で唯一の敗北をした」
「料理王と呼ばれるお前が負けたのか!?」
全戦全勝で無敗の料理人と聞いていて、そうだろうなと納得する程の腕をザウスは持っていた。
しかし、唯一敗北した料理人がいる。ザウスの腕は知っていて、そのザウスに勝った料理人が居るのかと貴虎は驚きを隠せない。
「ああ。その男の名はタカオ、下町の包宰と呼ばれるほどの料理名人だ。しかし戦った時は私よりも一回り以上歳下の10代の若い料理人だった。名人と呼ばれるが若造だと思って落胆していたが真剣に挑んだ料理勝負の結果は私の大敗、審査員はタカオの料理を認めてタカオの圧勝だった……その時の料理ほど素晴らしい料理は無かった。敗北をした私は出張料理人をやめてザウスキッチンを立ち上げた……その時の料理と同じ物を作れば私は頷く。ヒントは与えた、これ以上は無いぞ」
自分を負かせた料理人について語り、求めていた料理はその時の料理だと教える。
敗北をきっかけに出張料理人をやめたこと、ザウスキッチンを立ち上げた事を伝えヒントは与えたぞとこれ以上はなにも無いと言う。
「まさか料理王と呼ばれている料理人に勝った料理人が居たとはな……」
ザウスに勝った料理人が居るとは驚く貴虎
「でも、あんなヒントじゃなんも分かんないですよ。タカオって料理人の名前なんて聞いたことないし、どんな料理を作ったかなんて想像出来ないっすよ」
ヒントを貰ったものの具体的にはなんなのかは一切分かっていない。
ハヤトはタカオなんて料理人は聞いたことがない。無論、私達も聞いたことがない。
「……下町の包宰、と呼ばれる料理人だそうですから高度で豪華な料理でなくありふれた料理ではありませんか?」
孔明はタカオの異名から出した料理について推理する。
下町の包宰と言うのであれば高級料理でなく大衆料理じゃないのかと考えた。
「ありふれた料理で料理王と呼ばれる男に勝てるのか?」
しかしリグレットはザウスを相手にありふれた料理で勝てるのかと疑う。
タカオと呼ばれる料理人が料理勝負でザウスに勝った……
「その料理は私達でも作れる物であろうな?」
「ああ、作ろうと思えば誰でも作れる……だからこその料理だ」
ザウスに勝った料理ならば物凄い高度なそれこそ一流の料理人にしか作れないものかと考えた。
しかしそんな意地悪な問題を出すとは思えないので聞いてみれば誰でも作れるとザウスは頷いた……誰でも作れるという事は、ありふれた料理。しかしそれではザウスの料理に勝つことは出来ない……いや、違う。それは私達が勝手にそう思い込んでいるものだ……
「成る程、そういうことか」
「なにやら答えを考えたようだな……作ってみろ」
「いや、出来ない」
「なに?」
タカオがどんな料理を作ったのかが予想した。その料理ならばザウスに勝てる可能性がある。
なにか考えたなとザウスは料理を作ってみろと言うのだが私は出来ないと言った。
「仕込みに時間がかかる……ロビンよ、お前が得意料理である煮物を作ってもザウスは頷かないだろう。私が明日、ザウスを頷かせる料理を作ってみせよう」
「……多少は期待させてもらうぞ」
ザウスがどんな料理を求めているのか分かった私は一日を貰った。
ロビン達はどんな料理なのか分かっていないのでここは私が作るべきだなと早速仕込みに入った。
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